「Add insult to injury」は、すでに悪い状況にさらに不運なことが起こるという意味を持つ英語のイディオムです。日本語では「泣きっ面に蜂」や「弱り目に祟り目」にあたる表現で、日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われています。このイディオムを理解して使えるようになれば、英語でのコミュニケーション力が一段と向上するでしょう。
本記事では英語初学者向けに、わかりやすい例文とともにその意味や使い方を詳しく解説します。
「Add insult to injury」の意味

「Add insult to injury」は、すでに悪い状況や問題が発生した後に、さらに別の悪いことが起きることを表す英語表現です。文字通り訳すと「怪我に侮辱を追加する」となりますが、実際には「すでにある痛みや問題に、さらに悪いことを重ねる」という意味で使われます。
例えば、雨の中を歩いていて転んでしまい、さらに大事な書類まで濡らしてしまったような状況で使うことができます。
「Add insult to injury」の語源
このイディオムの起源は古く、負傷した人にさらに言葉で侮辱を加えるという状況から生まれたと言われています。古代ローマの寓話作家ファエドラスの作品にも似た表現が見られ、長い歴史を持つ言い回しです。
当初は文字通りの意味で使われていましたが、時代とともに比喩的な表現として様々な状況に適用されるようになりました。
日本語での類似表現
日本語では「泣きっ面に蜂」「弱り目に祟り目」「痛手に追い打ち」などが同様の状況を表す表現として使われます。
これらはいずれも、すでに不運な状況にさらに悪いことが重なるという意味を持っており、「Add insult to injury」と同じニュアンスで使うことができます。
「Add insult to injury」の使い方
「Add insult to injury」は、主に「to add insult to injury」という形で使われることが多いです。文の冒頭や文中に置かれ、すでに述べた不運な出来事に対して、さらに悪い状況が付け加わったことを示します。
日常会話やメール、エッセイなど幅広い場面で活用できる便利な表現です。
基本的な使い方
このイディオムは多くの場合、次のような形で使われます。
- To add insult to injury, …(さらに悪いことに、…)
- As if to add insult to injury, …(まるでさらに悪いことをするかのように、…)
- Adding insult to injury, …(さらに悪いことに、…)
文の前半で何か悪いことを説明し、その後にこの表現を使って追加の問題を紹介するという構成が一般的です。
会話での使い方
友人との会話や日常のコミュニケーションでは、自分や他人の不運について話す際に「Add insult to injury」を使うことができます。
例えば、遅刻した上に大事な会議の内容も聞き逃してしまったというような状況を説明するときに役立ちます。
「Add insult to injury」の例文
ここでは、「Add insult to injury」を使った簡単な例文をいくつか紹介します。
これらの例文は中学英語レベルの文法と単語で構成されているので、初学者でも理解しやすいものになっています。
日常生活での例文
例文
- I lost my keys this morning. To add insult to injury, it started to rain when I was looking for them.
(今朝鍵をなくしました。さらに悪いことに、探している間に雨が降り始めました。) - She missed the bus to school. Adding insult to injury, she forgot her homework at home.
(彼女は学校へのバスに乗り遅れました。さらに悪いことに、宿題を家に忘れてきました。) - We waited for two hours at the restaurant. To add insult to injury, the food was not good.
(私たちはレストランで2時間待ちました。さらに悪いことに、料理はおいしくありませんでした。)
学校生活での例文
例文
- I failed my science test. To add insult to injury, my teacher called my parents.
(私は理科のテストに失敗しました。さらに悪いことに、先生は私の両親に電話しました。) - He broke his arm playing soccer. Adding insult to injury, he had to miss the big game next week.
(彼はサッカーをしていて腕を骨折しました。さらに悪いことに、来週の大切な試合に出られなくなりました。) - Our team lost the match. To add insult to injury, it rained all the way home.
(私たちのチームは試合に負けました。さらに悪いことに、家に帰る途中ずっと雨が降っていました。)
「Add insult to injury」の類似表現
英語には「Add insult to injury」と似た意味を持つ他のイディオムもあります。これらの表現を知っておくと、状況に応じて言い回しを変えることができ、より豊かな英語表現が可能になります。
英語の類似表現
「Rub salt in the wound」(傷口に塩をすり込む)
- This expression means to make a bad situation even worse, similar to “add insult to injury.”
(この表現は悪い状況をさらに悪化させるという意味で、「add insult to injury」と似ています。) - He reminded me about my mistake. That was just rubbing salt in the wound.
(彼は私のミスを思い出させました。それはただでさえ痛い傷に塩をすり込むようなものでした。)
「Kick someone when they’re down」(倒れている人を蹴る)
- This idiom means to attack or criticize someone who is already in a difficult situation.
(このイディオムは、すでに困難な状況にある人を攻撃したり批判したりすることを意味します。) - Don’t tell her she looks tired. Don’t kick her when she’s down.
(彼女に疲れて見えるなんて言わないで。彼女が落ち込んでいるときにさらに傷つけないで。)
文脈による使い分け
これらの類似表現は、微妙なニュアンスの違いがあります。
- 「Add insult to injury」:不運が重なる状況を客観的に表現する場合に使います
- 「Rub salt in the wound」:誰かが意図的に状況を悪化させる場合に使うことが多いです
- 「Kick someone when they’re down」:弱っている人を故意に傷つける行為を非難する時に使います
「Add insult to injury」に関するよくある質問
ここでは、「Add insult to injury」についてよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 「Add insult to injury」はフォーマルな表現ですか?
-
「Add insult to injury」は、フォーマルな状況でもカジュアルな会話でも使うことができる汎用性の高い表現です。ビジネスメールや公式文書でも使用可能ですし、友人との日常会話でも自然に使えます。ただし、非常に形式ばった場面では、より直接的な表現を選ぶ方が適切な場合もあります。
- 「Add insult to injury」の反対の意味を持つ表現はありますか?
-
直接的な反対表現はありませんが、「Turn lemons into lemonade」(レモンをレモネードに変える=悪い状況から良いものを生み出す)や「Every cloud has a silver lining」(どんな雲にも銀色の裏地がある=どんな悪い状況にも良い面がある)などが状況改善を表す表現として使われます。
- 「Add insult to injury」はいつ頃から使われている表現ですか?
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この表現は18世紀から英語で使われるようになったとされています。元々は文字通りの意味(実際の怪我に対して侮辱を加える)で使われていましたが、徐々に比喩的な意味で広く使われるようになりました。現代では完全に定着したイディオムとして日常的に使用されています。
まとめ

「Add insult to injury」は、すでに悪い状況にさらに悪いことが加わる状況を表す便利な英語表現です。日本語の「泣きっ面に蜂」や「弱り目に祟り目」に相当するこのイディオムは、日常会話やビジネスシーンなど様々な場面で活用できます。
以下に本記事の重要ポイントをまとめました。
- 「Add insult to injury」は「すでに悪い状況にさらに悪いことが起こる」という意味
- 主に「to add insult to injury」という形で使われることが多い
- 日本語では「泣きっ面に蜂」「弱り目に祟り目」「痛手に追い打ち」などに相当する
- 日常会話からフォーマルな文書まで、様々な場面で使える汎用性の高い表現
- 類似表現として「rub salt in the wound」「kick someone when they’re down」などがある
- 中学英語レベルの簡単な文の中でも自然に使うことができる
- 18世紀から使われている歴史ある表現である
このイディオムを適切なタイミングで使えるようになれば、英語表現の幅が広がり、より自然な英語でのコミュニケーションが可能になります。ぜひ日常の会話や文章の中で積極的に使ってみてください。

