「All that glitters is not gold」ということわざは、「輝くもの全てが金とは限らない」という直訳の意味を持ち、見た目や表面的な魅力だけで物事の価値を判断すべきではないという教訓を含んでいます。このことわざは日常会話からビジネスの場まで幅広く使われ、特に初めて見たものや人に対して性急な判断をしないよう戒める際に役立ちます。
本記事では、このことわざの意味や使い方を詳しく解説し、英語初学者でも理解しやすい例文をいくつも紹介していきます。このフレーズを身につければ、英会話の幅が広がるだけでなく、物事を見極める知恵も得られるでしょう。
「All that glitters is not gold」の意味と由来

「All that glitters is not gold」は、見た目が華やかで魅力的なものが必ずしも本当の価値を持っているとは限らないという意味を持つことわざです。直訳すると「輝くもの全てが金とは限らない」となりますが、日本語では「見かけによらぬもの」や「外見は当てにならない」という表現に近いでしょう。
このことわざの起源は古く、もともとは13世紀のラテン語の格言に由来しています。しかし、現在広く知られるようになったのは、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ヴェニスの商人」で使われたことがきっかけです。シェイクスピアは「All that glisters is not gold」という形で使いましたが、時代とともに「glisters」が「glitters」に変化して現代に至っています。
このことわざは単なる警告ではなく、深い人生の知恵を含んでいます。外見や第一印象だけで判断せず、物事の本質や内面的な価値を見極めることの大切さを教えてくれるのです。特に現代社会では、SNSやメディアで「輝いて」見える生活や商品が溢れる中、この教訓はますます重要になっています。
「All that glitters is not gold」の使い方と場面
「All that glitters is not gold」は様々な状況で使うことができる便利な表現です。特に、何かが見た目ほど良いものではないと指摘したい時や、表面的な魅力に惑わされないよう注意を促したい時に適しています。
日常会話では、友人が魅力的だけれど信頼性に欠ける何かに興味を示している時や、表面的な情報だけで判断しようとしている時に「Remember, all that glitters is not gold」(覚えておいて、輝くもの全てが金とは限らないよ)と言うことができます。また、期待外れの経験をした後に「Well, all that glitters is not gold」(まあ、見かけ倒しだったね)と教訓として振り返ることもあります。
この表現は警告や教訓として使われることが多いため、相手を批判するような口調にならないよう注意しましょう。アドバイスとして伝える際は、自分自身の経験談と絡めて話すと、押し付けがましさを避けられます。
口語での使い方
会話の中でこの表現を使う場合、状況や相手との関係性に応じて言い方を工夫しましょう。
カジュアルな場面では
- You know what they say, all that glitters is not gold.
(ことわざにあるように、見た目に惑わされないほうがいいよ)
アドバイスとして
- Just be careful. All that glitters is not gold.
(気をつけてね。見た目だけで判断しない方がいいよ)
教訓として
- I learned that all that glitters is not gold from that experience.
(あの経験から、見かけによらないものだと学んだよ)
文章での使い方
文章でこの表現を使う場合は、前後の文脈をしっかり作ることが大切です。単に「All that glitters is not gold」と書くだけでは唐突に感じられることがあります。
メールやメッセージでは
- I’d like to remind you that all that glitters is not gold. Please research more before deciding.
(輝くもの全てが金ではないということを覚えておいてほしいです。決める前にもっと調査してください)
エッセイや記事では
- In today’s consumer society, it’s important to remember that all that glitters is not gold. Quality often matters more than appearance.
(今日の消費社会では、輝くもの全てが金とは限らないということを覚えておくことが重要です。外見よりも品質の方が大切なことが多いのです)
「All that glitters is not gold」の例文と解説
この表現をより深く理解するために、様々な状況での具体的な例文を見ていきましょう。
日常生活での例文
例文
- The new smartphone looks beautiful, but all that glitters is not gold. It breaks easily.
(その新しいスマートフォンは美しく見えるけど、見た目に惑わされてはいけない。すぐに壊れてしまうよ。) - I visited that famous restaurant yesterday. All that glitters is not gold. The food was not good.
(昨日あの有名なレストランに行ったよ。見かけによらないものだね。食事はおいしくなかったよ。) - My friend bought a cheap watch that looked expensive. Now it doesn’t work. All that glitters is not gold.
(友達が高級そうに見える安い時計を買ったんだ。今はもう動かない。見かけ倒しだったんだね。) - She seems happy on social media, but all that glitters is not gold. She told me she is very sad.
(彼女はSNSでは幸せそうに見えるけど、外見は当てにならないよ。彼女は私にとても悲しいと言ったんだ。) - This book has a cool cover, but all that glitters is not gold. The story is boring.
(この本はかっこいい表紙をしているけど、見た目だけで判断できないね。話はつまらないよ。)
学校や職場での例文
例文
- That company offers a high salary, but all that glitters is not gold. The working hours are very long.
(あの会社は高い給料を提供しているけど、輝くもの全てが金とは限らない。労働時間がとても長いんだ。) - He got good grades, but all that glitters is not gold. He just memorized everything without understanding.
(彼はいい成績を取ったけど、見かけによらないものだ。理解せずに全部暗記しただけなんだ。) - The job sounds easy, but all that glitters is not gold. There are many difficult challenges.
(その仕事は簡単そうに聞こえるけど、見た目ほど良くないよ。多くの難しい課題があるんだ。) - Our classroom looks new and clean, but all that glitters is not gold. The air conditioner doesn’t work well.
(私たちの教室は新しくて清潔に見えるけど、見た目に騙されてはいけない。エアコンがよく働かないんだ。) - That project seems interesting, but all that glitters is not gold. It requires a lot of hard work.
(そのプロジェクトは面白そうに見えるけど、見せかけだけのものだよ。たくさんの努力が必要なんだ。)
「All that glitters is not gold」の類似表現
「All that glitters is not gold」と似た意味を持つ他の英語表現も知っておくと便利です。状況に応じて使い分けることで、より豊かな表現ができるようになります。
Don’t judge a book by its cover
「Don’t judge a book by its cover」(本の内容は表紙では判断できない)は、物事や人を外見だけで判断すべきではないという点で「All that glitters is not gold」と非常に似ています。
例文
- He looks strict, but don’t judge a book by its cover. He is actually very kind.
(彼は厳しそうに見えるけど、見た目だけで判断しないで。実際はとても優しい人なんだ。) - The restaurant is small, but don’t judge a book by its cover. The food is delicious.
(そのレストランは小さいけど、外見だけで判断しないで。料理はおいしいよ。)
Appearances can be deceiving
「Appearances can be deceiving」(見かけは人を欺くことがある)も同様の教訓を持っています。
例文
- The math problem looks difficult, but appearances can be deceiving. It’s actually simple.
(その数学の問題は難しそうに見えるけど、見かけは当てにならない。実際はシンプルなんだ。) - She seems quiet, but appearances can be deceiving. She talks a lot with close friends.
(彼女は静かそうに見えるけど、見た目は人を欺くことがある。親しい友達とはたくさん話すんだ。)
Beauty is only skin deep
「Beauty is only skin deep」(美しさは表面だけのもの)は主に人の外見について使われますが、同じく外見よりも内面の価値を重視する考えを表しています。
例文
- The actor is handsome, but beauty is only skin deep. His acting is not good.
(その俳優はハンサムだけど、美しさは表面だけのもの。演技は良くないよ。) - Many people like her because she is pretty, but beauty is only skin deep. Her character is important too.
(多くの人が彼女をきれいだから好きだけど、美しさは表面だけのもの。彼女の性格も重要だよ。)
「All that glitters is not gold」を使う際の注意点
この表現を効果的に使うためには、いくつかの注意点があります。
まず、この表現は時に否定的なニュアンスを持つことがあるため、相手を傷つけないよう配慮することが大切です。特に、相手が喜んでいることや楽しみにしていることに対して使うと水を差すことになりかねませんので注意しましょう。
例えば、友人が新しい仕事に就いて喜んでいる時に「Well, all that glitters is not gold」と言うのは適切ではありません。代わりに「It sounds great! Just make sure to check all the details」(素晴らしそうだね!ただ、詳細はしっかり確認しておいた方がいいよ)のように建設的なアドバイスにするとよいでしょう。
また、この表現は慣用句なので、単語を変えたり順番を入れ替えたりすると不自然になります。「All gold is not glittering」や「All that shines is not gold」のような変形は避け、正確に「All that glitters is not gold」と使いましょう。
さらに、この表現を使う場面をよく考えることも重要です。些細なことや重要でない状況でこの表現を使うと、大げさに聞こえる可能性があります。本当に注意や警告が必要な重要な場面で使うようにしましょう。
「All that glitters is not gold」に関するよくある質問
- 「All that glitters is not gold」と「Not all that glitters is gold」は同じ意味ですか?
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これらは微妙に異なります。「All that glitters is not gold」は「輝くもの全てが金とは限らない」という意味で、伝統的なことわざの形です。一方、「Not all that glitters is gold」も同様の意味ですが、より現代的で直接的な表現です。日常会話では両方とも同じように使われることが多いですが、ことわざとして正しい形は「All that glitters is not gold」です。
- この表現はビジネスの場でも使えますか?
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はい、ビジネスの場でもよく使われる表現です。例えば、投資の判断、会社の評価、ビジネスパートナーの選択など、表面的な魅力だけでなく実質的な価値を見極めることが重要な場面で使われます。ただし、フォーマルな場では「We should remember that all that glitters is not gold」(輝くもの全てが金とは限らないことを忘れないようにしましょう)のように丁寧な表現と組み合わせると良いでしょう。
- この表現は否定的な表現ですか?
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この表現自体は否定的というよりも、慎重さを促す中立的な教訓です。物事を深く見極めることの大切さを教えているポジティブな側面もあります。使い方によっては否定的に聞こえることもありますが、本質的には批判的思考を促す知恵の言葉です。
- 日本語で同じような意味のことわざはありますか?
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日本語では「金ぴかはすべて金ではない」という直訳のほか、「見かけによらぬもの」「外見は当てにならない」「内容は表紙では判断できない」などが近い意味を持ちます。また「羊の皮を被った狼」は特に危険なものが良いものに見えるケースを指します。
- 子どもにこの表現をどう説明すればいいですか?
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子どもには、おもちゃの例が分かりやすいでしょう。「きらきら光るおもちゃが見た目はすごくきれいだけど、すぐに壊れてしまうことがあるよね。見た目がきれいなものが、いつも本当に良いものとは限らないんだよ」と説明できます。また、童話「オオカミと七匹の子ヤギ」のように、見た目で判断することの危険性を教える物語と結びつけると理解しやすいでしょう。
まとめ

「All that glitters is not gold」は、外見や表面的な魅力だけで判断することの危険性を教えてくれる貴重な英語のことわざです。シェイクスピアの作品によって広く知られるようになったこの表現は、現代社会においても非常に重要な教訓を含んでいます。
この記事のポイントをまとめると、
- 「All that glitters is not gold」は「輝くもの全てが金とは限らない」という意味で、物事の本質を見極めることの大切さを教えている
- 13世紀のラテン語に由来し、シェイクスピアの「ヴェニスの商人」で広まった
- 日常会話からビジネスシーンまで幅広く使える表現である
- 警告や教訓として使われることが多い
- 会話では「Remember, all that glitters is not gold」のように使うことが一般的
- 「Don’t judge a book by its cover」「Appearances can be deceiving」など類似の表現もある
- 使う場面や言い方に注意し、相手を傷つけないように配慮する必要がある
- 慣用句なので単語の順番や選択を変えないようにする
今回紹介した「All that glitters is not gold」の使い方と例文を参考に、ぜひ実際の会話や文章の中でこの表現を使ってみてください。外見や第一印象だけでなく、物事の本質を見極める大切さを伝える時に役立つ表現です。
英語の慣用句を理解し使いこなすことで、より豊かなコミュニケーションができるようになるでしょう。