英語学習において、似た意味を持つ表現の使い分けは常に悩ましいものです。「although」と「though」もそのひとつで、どちらも「〜だけれども」「〜にもかかわらず」という逆接の意味を持ちます。
この記事では、これら二つの接続詞の違いと使い分け方を、英語初学者でも理解できるように解説します。例文も豊富に紹介しながら、実際の使い方をマスターしていきましょう。
「although」と「though」の基本的な意味

「although(オルゾウ)」と「though(ゾウ)」は、どちらも「〜だけれども」「〜にもかかわらず」という意味を持つ英語の接続詞です。基本的には同じ意味で、多くの場面では互いに置き換えることが可能です。
これらの接続詞は、二つの事実や状況が一般的な期待と矛盾する関係にあるときに使われます。例えば「彼は若いけれども、とても賢い」という文では、「若さ」と「賢さ」に対比があり、この二つを結びつけるために「although」や「though」が使われます。
例文
- Although he is young, he is very wise.(彼は若いけれども、とても賢い。)
- Though it was raining, we went to school.(雨が降っていたけれども、私たちは学校へ行った。)
初学者にとって重要なのは、これらの接続詞が「逆接」を表すということです。つまり、ある事実があるにもかかわらず、予想と違う結果や状況が生じることを示します。
「although」と「though」の主な違い
「although」と「though」は基本的に同じ意味を持ちますが、いくつかの点で使い方に違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、より自然な英語表現ができるようになります。
形式度の違い
「although」は「though」に比べて、より形式的でフォーマルな表現です。そのため、公式な文書やビジネスの場面では「although」が好まれます。一方、「though」はより日常的でカジュアルな表現で、友達との会話や非公式な文書でよく使われます。
例文
- Although I disagree with your opinion, I respect your point of view.(あなたの意見には同意しませんが、あなたの視点は尊重します。)【フォーマル】
- Though I don’t like math, I study hard.(数学は好きではないけれど、一生懸命勉強します。)【カジュアル】
文中での位置の違い
「although」と「though」の最も重要な違いは、文中でどこに置けるかという点です。「although」は主に文頭や文中で使われますが、「though」は文頭、文中だけでなく、文末でも使うことができます。特に文末での使用は「though」だけに許された特徴です。
例文
- Although it was cold, we went swimming.(寒かったけれども、私たちは泳ぎに行った。)【文頭】
- We went swimming, although it was cold.(私たちは泳ぎに行った、寒かったけれども。)【文中】
- It was cold. We went swimming, though.(寒かった。でも、私たちは泳ぎに行った。)【文末】
文末の「though」は、前の内容に対して軽い反論や譲歩を加える効果があり、特に会話では頻繁に使われます。
ニュアンスの違い
「although」と「though」にはニュアンスの微妙な違いも存在します。「although」はやや強い対比を表す傾向があり、重要な矛盾や対比を示す場合によく使われます。一方、「though」はより軽い対比を表すことが多く、そこまで重大ではない矛盾に使われる傾向があります。
例文
- Although he studied all night, he failed the test.(彼は一晩中勉強したのに、テストに落ちた。)【より重大な矛盾】
- She is tired, though she doesn’t show it.(彼女は疲れているけれど、それを見せていない。)【比較的軽い対比】
ただし、この違いはあくまで傾向であり、多くの場合はどちらを使っても問題ありません。英語のネイティブスピーカーでも、場面によって使い分けるというよりは、習慣や好みで選んでいることが多いです。
「although」の正しい使い方と例文
「although」の使い方をより詳しく見ていきましょう。文の中での位置によって、いくつかのパターンがあります。
「although」を文頭で使う例
「although」を文頭で使うのが最も一般的な使い方です。この場合、文の構造は「Although + 従属節, + 主節.」となります。
例文
- Although it was Sunday, I went to work.(日曜日だったけれども、私は仕事に行った。)
- Although she is only ten years old, she can speak three languages.(彼女はまだ10歳ですが、3カ国語を話すことができます。)
- Although the movie was boring, everyone laughed.(映画はつまらなかったけれど、みんな笑った。)
- Although it’s expensive, I want to buy it.(それは高価ですが、買いたいです。)
「although」を文頭に置くと、最初に「〜だけれども」という譲歩の意味を示し、その後に主な内容を述べるという流れになります。これにより、読み手や聞き手に対して、後に続く内容への心の準備をさせる効果があります。
「although」を文中で使う例
「although」は文中でも使うことができます。この場合、文の構造は「主節 + although + 従属節」となります。
例文
- I went to the party, although I was tired.(疲れていたけれども、パーティーに行きました。)
- She passed the exam, although she didn’t study much.(彼女はあまり勉強しなかったけれども、試験に合格した。)
- We enjoyed the trip, although the weather was bad.(天気は悪かったけれども、旅行を楽しみました。)
- He ate the vegetables, although he doesn’t like them.(彼は野菜が好きではないけれども、それを食べた。)
文中で「although」を使うと、まず主な内容を述べてから、その後に譲歩の内容を加えるという流れになります。これにより、主な内容に重点を置きつつ、付加的な情報として譲歩の内容を加えることができます。
「though」の正しい使い方と例文
次に、「though」の使い方を詳しく見ていきましょう。「though」は「although」よりも柔軟に使うことができます。
「though」を文頭で使う例
「though」も文頭で使うことができ、この場合は「although」と同様に「Though + 従属節, + 主節.」という構造になります。
例文
- Though it was raining, we played soccer.(雨が降っていたけれども、私たちはサッカーをした。)
- Though I’m not good at English, I try to speak it every day.(私は英語が得意ではないけれど、毎日話すように努力している。)
- Though he is poor, he is happy.(彼は貧しいですが、幸せです。)
- Though the task was difficult, she completed it on time.(その課題は難しかったけれど、彼女は時間通りに完成させた。)
文頭での「though」の使用は「although」とほぼ同じ意味になりますが、「though」の方がやや日常的で親しみやすい印象を与えます。
「though」を文中で使う例
「though」は文中でも使うことができます。この場合も「although」と同様に「主節 + though + 従属節」という構造になります。
例文
- I went to bed early, though I wasn’t tired.(疲れていなかったけれど、早く寝た。)
- She smiled, though she was sad inside.(内心は悲しかったけれど、彼女は微笑んだ。)
- He continued working, though it was already midnight.(すでに真夜中だったけれど、彼は仕事を続けた。)
- We decided to walk, though it was a long way.(長い道のりだったけれど、私たちは歩くことに決めた。)
文中での「though」の使用も「although」とほぼ同じですが、より自然な会話表現になります。
「though」を文末で使う例(althoughにはない用法)
「though」の特徴的な用法として、文末での使用があります。これは「although」にはない使い方です。文末の「though」は、前に述べた内容に対して軽い反論や譲歩を加える働きをし、「しかし」「それでも」「とはいえ」というニュアンスになります。
例文
- It’s expensive. I like it, though.(それは高価です。でも、私はそれが好きです。)
- She didn’t win the race. She did her best, though.(彼女はレースに勝たなかった。でも、彼女はベストを尽くした。)
- I don’t understand this math problem. I’ll try again tomorrow, though.(この数学の問題が分かりません。でも、明日また挑戦します。)
- He’s not very friendly. He’s honest, though.(彼はあまり親しみやすくありません。でも、彼は正直です。)
文末の「though」は、特に口語英語で頻繁に使われ、カジュアルな会話の中で相手の発言に対して軽く反論したいときや、自分の前の発言に補足を加えたいときに便利です。
「although」と「though」の類似表現との違い
「although」と「though」以外にも、似た意味を持つ表現がいくつかあります。これらの違いを理解することで、より豊かな英語表現が可能になります。
「even though」との違い
「even though」は「although」や「though」よりも強い逆接の意味を表します。「〜だとしても」「〜にもかかわらず(それでも)」という意味で、予想外の状況や強い対比を示す場合に使われます。
例文
- Even though it was raining heavily, she went for a walk.(大雨が降っていたにもかかわらず、彼女は散歩に出かけた。)
- I still love this song, even though I’ve heard it a hundred times.(100回も聞いたにもかかわらず、私はまだこの曲が好きです。)
「even though」は、通常の期待や予想を超えた強い対比を示したい場合に効果的です。「although」や「though」よりも強調した表現になります。
「as though」との違い
「as though」は「although」や「though」とは全く異なる意味を持ちます。「as though」は「まるで〜のように」「〜であるかのように」という意味で、仮定や比較を表す表現です。
例文
- He talks as though he knows everything.(彼はまるで何でも知っているかのように話す。)
- She looked at me as though I was crazy.(彼女は私がまるで狂っているかのように私を見た。)
「as though」は現実とは異なる状況を想像して比較するときに使われます。「although」や「though」が持つ逆接の意味はありません。
「but」との使い分け
「but」も「しかし」「けれども」という逆接の意味を持つ接続詞ですが、「although」や「though」とは使い方が異なります。「but」は対等な二つの節を結ぶ等位接続詞であるのに対し、「although」や「though」は従属節を導く従属接続詞です。
例文
- It was raining, but we went out.(雨が降っていたが、私たちは出かけた。)
- Although it was raining, we went out.(雨が降っていたけれども、私たちは出かけた。)
「but」を使う場合は、前後の節が対等な関係にあり、通常はコンマの後に「but」を置きます。一方、「although」や「though」は従属節を作り、主節との間に主従関係を作ります。
また、「although」や「though」と「but」は同時に使うことができません。これは両方とも逆接の意味を持つため、重複になるからです。
- Although it was cold, we went swimming.(正しい)
- It was cold, but we went swimming.(正しい)
- Although it was cold, but we went swimming.(誤り)
その他の逆接表現(however, nevertheless)との違い
英語には「however(しかしながら)」や「nevertheless(それにもかかわらず)」などの逆接を表す副詞もあります。これらと「although」や「though」の主な違いは、文の構造にあります。
「however」や「nevertheless」は、完全な文と文を結ぶのに使われます。これらは通常、文頭や文中で使われ、前の文との対比を示します。
例文
- It was raining. However, we decided to go out.(雨が降っていた。しかし、私たちは出かけることにした。)
- She didn’t study much. Nevertheless, she passed the exam.(彼女はあまり勉強しなかった。それにもかかわらず、彼女は試験に合格した。)
「although」や「though」が一つの文の中で従属節と主節を結ぶのに対し、「however」や「nevertheless」は別々の文を論理的に結びつけます。そのため、より強い切れ目を作りながらも逆接の関係を示すことができます。
「although」と「though」の使い分け練習問題
ここでは、「although」と「though」の使い分けを練習するための問題を20問用意しました。それぞれの問題に最も適切な表現を選んでください。
- ________ it was raining, we went to the park.
- I like this movie, ________.
- ________ she is young, she is very wise.
- He didn’t study much. He passed the test, ________.
- ________ I was tired, I couldn’t sleep.
- The food wasn’t good. The service was excellent, ________.
- ________ it’s expensive, I want to buy it.
- I don’t like coffee. I drink it sometimes, ________.
- ________ he is rich, he lives simply.
- She speaks English well, ________ she has never been to an English-speaking country.
- ________ we left early, we arrived late.
- I finished my homework, ________ it was difficult.
- ________ it’s cold outside, he’s wearing only a T-shirt.
- The book was boring. I read it all, ________.
- ________ she was sick, she came to school.
- He lost the game, ________ he played very well.
- ________ they are twins, they look very different.
- I don’t like horror movies. I watched this one, ________.
- ________ it was a small house, it felt very cozy.
- She didn’t get the job. She’s happy about the experience, ________.
注:多くの場合、「although」と「though」は互いに置き換え可能ですが、問題2、4、6、8、14、18、20のように文末に使う場合は「though」のみが適切です。また、形式的な文脈ではより「although」が適しており、カジュアルな文脈では「though」の方が自然に感じられる場合があります。
「although」と「though」に関するよくある質問
ここでは、「although」と「though」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 「although」と「though」は完全に同じ意味ですか?
-
基本的には同じ意味で、多くの場合は互いに置き換えることができます。しかし、「although」はやや形式的で堅い表現であるのに対し、「though」はよりカジュアルで日常会話でよく使われます。また、文末での使用は「though」のみ可能という違いもあります。
- 文末の「though」はどのような意味になりますか?
-
文末の「though」は、前に述べた内容に対して軽い反論や譲歩を加える働きをし、「しかし」「それでも」「とはいえ」というニュアンスになります。例えば、「It’s expensive. I like it, though.(それは高価です。でも、私はそれが好きです。)」のように使います。
- 「even though」と「although」の違いは何ですか?
-
「even though」は「although」や「though」よりも強い逆接の意味を表します。「〜だとしても」「〜にもかかわらず(それでも)」という意味で、予想外の状況や強い対比を示す場合に使われます。「although」より強調した表現になります。
- 「although」や「though」と「but」を一緒に使っても良いですか?
-
いいえ、「although」や「though」と「but」を同時に使うのは避けるべきです。これは両方とも逆接の意味を持つため、重複してしまうからです。例えば、「Although it was cold, but we went swimming.」は誤りで、「Although it was cold, we went swimming.」または「It was cold, but we went swimming.」が正しい表現です。
- 「although」や「though」の後はカンマ(,)が必要ですか?
-
「although」や「though」が文頭にあり、従属節の後に主節が続く場合は、従属節と主節の間にカンマを置くのが一般的です。例:「Although it was raining, we went out.」ただし、主節が先にあり、後から「although」や「though」の節が来る場合は、カンマは必要ありません。例:「We went out although it was raining.」
まとめ

この記事では、「although」と「though」の意味の違いと使い分けについて詳しく解説しました。以下が主なポイントです。
- 「although」と「though」は基本的に同じ意味で、「〜だけれども」「〜にもかかわらず」という逆接を表す。
- 「although」はより形式的で、「though」はよりカジュアルな表現。
- 「though」は文頭、文中、文末で使えるが、「although」は主に文頭と文中で使われる。
- 文末での使用は「though」のみ可能で、この場合は「しかし」「それでも」という意味になる。
- 「even though」は「although」や「though」よりも強い逆接の意味を表す。
- 「as though」は「まるで〜のように」という全く異なる意味を持つ。
- 「although」や「though」と「but」は同時に使わない。
- 「although」や「though」が文頭にある場合、従属節と主節の間にカンマを置くのが一般的。
- 形式的な場面では「although」、カジュアルな場面では「though」を使うのが適切。
- 文末に逆接の意味を加えたい場合は「though」を使う。
これらのポイントをしっかり理解し、練習問題に取り組むことで、「although」と「though」の正しい使い分けができるようになるでしょう。日常会話や文章の中で積極的に使ってみて、自然な英語表現を身につけていきましょう。