英語で「質問する」「尋ねる」という意味を表す単語は複数あり、日本語ではどれも「質問」と訳されがちですが、実際には使う場面やニュアンスが大きく異なります。適切な状況で正しい単語を選ぶことで、より自然で効果的なコミュニケーションが可能になります。
初心者の方でも迷わず使えるよう、この記事では「質問・尋ねる」を表す英単語の違いや使い分けについて詳しく解説します。
「質問・尋ねる」を表す英単語

英語で「質問する」「尋ねる」という行為を表す主な英単語は以下の通りです。
「質問・尋ねる」を表す英単語
- ask – 尋ねる、質問する(最も一般的)
- question – 質問する、尋問する
- inquire/enquire – 問い合わせる、調査する
- query – 問い合わせる、疑問を呈する
- interrogate – 尋問する、取り調べる
- request – 依頼する、要求する
- beg – 懇願する、頼む
- plead – 懇願する、嘆願する
- appeal – 訴える、懇願する
- demand – 要求する、主張する
これらの単語は単に「質問する」という意味だけでなく、質問の目的や状況、相手との関係性などによって使い分けることが重要です。日常会話では主に「ask」を使いますが、ビジネスシーンでは「inquire」や「request」がよく使われます。
また「interrogate」は警察の取り調べなど特殊な状況で使われる単語です。
「質問・尋ねる」を表す英単語の発音・意味・特徴と使い分け【例文あり】
それでは、それぞれの英単語について詳しく見ていきましょう。ここでは各単語の発音、意味、特徴、使い分けのポイント、そして例文を紹介します。
ask(アスク)
意味と特徴
「ask」は「尋ねる」「質問する」を意味する最も基本的な単語です。日常会話でもビジネスシーンでも使える万能な表現で、情報を求めるだけでなく、許可を求めたり依頼したりする際にも使います。「ask」は「質問内容」と「質問する相手」の両方を目的語にできます。
使い分けのポイント
- 日常会話で最もよく使われる基本的な表現
- カジュアルからフォーマルまであらゆる場面で使える
- 「ask + 人 + 質問内容」または「ask + 質問内容」の形で使う
- 許可を求める「〜してもいいですか?」という表現にも使える
例文
- Can I ask you a question?(質問してもいいですか?)
- She asked me about my hobby.(彼女は私の趣味について尋ねました。)
- I asked him for help with my English.(私は彼に英語の助けを求めました。)
question(クエスチョン)
意味と特徴
「question」は名詞として「質問」という意味が一般的ですが、動詞として使う場合は「尋問する」「追及する」というニュアンスが強くなります。相手の発言や行動に疑いを持って質問する場合に使われることが多いです。
使い分けのポイント
- 名詞としての「質問」と動詞としての「質問する」両方の意味がある
- 動詞の場合は、疑問視したり追及したりするニュアンスが強い
- 相手の信頼性や発言内容を疑う場合によく使われる
- 試験などの「問題」という意味もある
例文
- I have many questions about the project.(そのプロジェクトについて多くの質問があります。)
- The police questioned the witness for hours.(警察は目撃者を何時間も尋問しました。)
- I question his ability to finish the work on time.(彼が時間通りに仕事を終えられる能力に疑問を感じます。)
inquire/enquire(インクワイア)
意味と特徴
「inquire」(米語)/「enquire」(英語)は「問い合わせる」「調査する」という意味で、「ask」よりもフォーマルな表現です。ビジネスの場面や公式な状況で使われることが多く、特に丁寧に情報を求める際に適しています。
使い分けのポイント
- 「ask」よりもフォーマルで丁寧な表現
- ビジネスでの問い合わせや公式な情報請求によく使われる
- 「inquire about(〜について問い合わせる)」の形でよく使う
- 人を目的語にすることはできない(「inquire someone」とは言わない)
例文
- I would like to inquire about your services.(あなたのサービスについて問い合わせたいです。)
- She inquired about the train schedule.(彼女は電車の時刻表について問い合わせました。)
- We need to inquire why the delivery is late.(なぜ配達が遅れているのか調査する必要があります。)
query(クエリー)
意味と特徴
「query」は「問い合わせる」「疑問を呈する」という意味で、特に書面やフォーマルな状況での質問に使われます。また、コンピューターの分野では「データベースへの問い合わせ」という専門的な意味でも使われます。「inquire」と似ていますが、より特定の疑問点について質問する場合に適しています。
使い分けのポイント
- フォーマルな文書やビジネスシーンでよく使われる
- IT分野ではデータベースへの問い合わせという専門用語として使われる
- 特定の事項について疑問や懸念がある場合に使う
- 「query about」または「query + 質問内容」の形で使う
例文
- I have a query about my bill.(請求書について質問があります。)
- The customer queried the extra charges.(顧客は追加料金について問い合わせました。)
- Please send your queries by email.(ご質問はメールでお送りください。)
interrogate(インテロゲイト)
意味と特徴
「interrogate」は「尋問する」「取り調べる」という意味で、主に警察や司法の場面で使われます。強い圧力をかけて相手から情報を引き出そうとするニュアンスがあり、通常の会話では使われません。
使い分けのポイント
- 主に法的・司法的な文脈で使用される
- 権力を持って強制的に情報を引き出すニュアンスがある
- 日常会話では、強く質問責めにするような否定的な状況で使われる
- 「interrogate + 人」または「interrogate + 人 + about + 内容」の形で使う
例文
- The police interrogated the suspect all night.(警察は一晩中容疑者を尋問しました。)
- Don’t interrogate me about where I went.(私がどこに行ったか厳しく問い詰めないでください。)
- The teacher interrogated the students about the broken window.(先生は壊れた窓について生徒たちを厳しく尋問しました。)
request(リクエスト)
意味と特徴
「request」は「依頼する」「要求する」という意味で、丁寧に何かを頼む場合に使います。「ask」よりもフォーマルで、主にビジネスや公式な状況でよく使われます。
使い分けのポイント
- 丁寧かつフォーマルに依頼する際に使う
- ビジネスや公式な文書でよく使われる
- 「request + 物事」または「request that + 人 + 動詞(原形)」の形で使う
- 名詞としても「依頼」「要求」の意味で頻繁に使われる
例文
- I request your help with this project.(このプロジェクトへのご協力をお願いします。)
- She requested that I come early.(彼女は私に早く来るよう頼みました。)
- We have received your request for information.(あなたの情報請求を受け取りました。)
beg(ベグ)
意味と特徴
「beg」は「懇願する」「お願いする」という意味で、強い願望や切実さを示します。相手に対して謙虚な姿勢で何かを頼む場合や、非常に切実に何かを求める場合に使われます。
使い分けのポイント
- 切実さや強い願望を表現する
- 謙虚な姿勢で何かを求める場面で使う
- 「beg + 人 + for + 物事」または「beg + 人 + to + 動詞」の形でよく使われる
- 「物乞いをする」という意味もある
例文
- I beg you to forgive me.(どうか私を許してください。)
- She begged her parents for a new bike.(彼女は両親に新しい自転車をねだりました。)
- The children begged for ice cream.(子どもたちはアイスクリームをねだりました。)
plead(プリード)
意味と特徴
「plead」は「嘆願する」「懇願する」という意味で、「beg」と似ていますが、より感情的かつ深刻な状況で使われることが多いです。また、法律の文脈では「(罪状に対して)答弁する」という意味でも使われます。
使い分けのポイント
- 強い感情を込めた嘆願を表現する
- 深刻な状況や緊急性のある場面でよく使われる
- 「plead with + 人」または「plead + for + 物事」の形でよく使われる
- 法廷での「無罪/有罪を主張する」という意味もある
例文
- He pleaded with his boss for another chance.(彼は上司にもう一度チャンスを与えてほしいと懇願しました。)
- She pleaded not guilty to the charge.(彼女はその罪状に対して無罪を主張しました。)
- The children pleaded for more time to play.(子どもたちはもっと遊ぶ時間がほしいと懇願しました。)
appeal(アピール)
意味と特徴
「appeal」は「訴える」「懇願する」という意味で、特に公的な場での要請や上位機関への訴えに使われます。法律の文脈では「上訴する」という意味もあります。
使い分けのポイント
- 公的な場面での要請や訴えかけに使う
- 論理的な根拠に基づく要求に適している
- 「appeal to + 人/組織」または「appeal for + 物事」の形でよく使われる
- 「魅力的である」という意味の名詞・動詞としても使われる
例文
- The charity appealed for donations.(その慈善団体は寄付を呼びかけました。)
- He appealed to the committee for help.(彼は委員会に助けを求めました。)
- The president appealed for calm after the disaster.(大統領は災害の後、冷静さを保つよう呼びかけました。)
demand(ディマンド)
意味と特徴
「demand」は「要求する」「主張する」という意味で、権利や権限に基づいて強く何かを求める場合に使われます。相手に選択の余地をあまり与えない、強い態度での要求を表します。
使い分けのポイント
- 強い権限や権利に基づく要求に使う
- 命令や指示に近いニュアンスを持つ
- 「demand + 物事」または「demand that + 人 + 動詞(原形)」の形でよく使われる
- 丁寧な表現ではないので、使う場面に注意が必要
例文
- The workers demanded better pay.(労働者たちはより良い給料を要求しました。)
- He demanded to see the manager.(彼は支配人に会うよう要求しました。)
- The teacher demanded that everyone be quiet.(先生は全員が静かにするよう要求しました。)
以下は、「質問・尋ねる」を表す英単語の比較表です。
英単語 | 丁寧さ | 使用場面 | 特徴 |
---|---|---|---|
ask | 普通 | 日常会話、一般的な質問 | 最も一般的で汎用性が高い |
question | 普通~強い | 追及、尋問、疑問視する場面 | 相手の発言や行動に疑いを持つ場合 |
inquire/enquire | やや丁寧 | ビジネス、フォーマルな問い合わせ | 「ask」よりも丁寧でフォーマル |
query | やや丁寧 | ビジネス、文書での問い合わせ | 具体的な情報を求める場合、IT分野 |
interrogate | 強い | 法的・司法的な尋問、取り調べ | 強制的に情報を引き出そうとする |
request | 丁寧 | ビジネス、公式な依頼 | 丁寧に何かを依頼する |
beg | 謙虚 | 切実な願い、謝罪 | 強い願望や切実さを示す |
plead | 感情的 | 深刻な状況、法廷 | 感情的かつ深刻な状況での懇願 |
appeal | やや丁寧 | 公的な要請、上位機関への訴え | 論理的な根拠に基づく要求 |
demand | 強い | 権利主張、強い要求 | 権限や権利に基づく強い要求 |
「質問・尋ねる」を表す英単語の使い分け練習問題
それでは、これまで学んだ英単語の使い分けを練習するために、20問の問題を解いてみましょう。適切な英単語を空欄に入れてください。
使える単語は、ask, question, inquire/enquire, query, interrogate, request, beg, plead, appeal, demand です。
- Can I __ you a question about the homework?
- The police __ the suspect for several hours.
- I would like to __ about your opening hours.
- She __ for his forgiveness after the argument.
- The customer __ the high charges on his bill.
- We __ that all employees attend the meeting.
- The lawyer __ with the judge for leniency.
- The charity __ for donations to help the victims.
- He __ to see the manager immediately.
- I __ your help with this difficult task.
- The reporter __ the politician about the scandal.
- Please __ your doctor before taking this medicine.
- The child __ his mother for a new toy.
- The student __ the teacher’s explanation of the problem.
- She __ not guilty to the charges.
- I __ you to keep this information confidential.
- The government __ to the public for calm during the crisis.
- I have a __ about my account status.
- He __ her to marry him.
- The boss __ why the project wasn’t completed on time.
「質問・尋ねる」を表す英単語に関するよくある質問
- 「ask」と「question」の違いは何ですか?
-
「ask」は最も一般的な「尋ねる」という意味の動詞で、日常的なあらゆる質問に使えます。一方、「question」は名詞としての「質問」という意味が一般的ですが、動詞として使う場合は「尋問する」「追及する」というニュアンスが強くなります。「question」は相手の発言や行動に疑いを持っている場合によく使われます。
- 「inquire」と「query」はどう違いますか?
-
「inquire」は「問い合わせる」という意味で、フォーマルな状況やビジネスでよく使われます。一方、「query」もフォーマルな「問い合わせ」という意味ですが、より具体的な情報を求める場合や疑問点を指摘する場合に適しています。また、「query」はITの分野では「データベースへの問い合わせ」という専門的な意味も持ちます。
- 「beg」と「plead」の違いは何ですか?
-
どちらも「懇願する」という意味ですが、「beg」は一般的に何かを切実に求める場合に使われます。一方、「plead」はより感情的で深刻な状況での懇願に使われることが多く、法律の文脈では「(罪状に対して)答弁する」という意味も持ちます。
- 「request」と「demand」の違いは何ですか?
-
「request」は丁寧に何かを依頼する際に使い、相手の選択の余地を残します。一方、「demand」は権利や権限に基づいて強く要求する場合に使い、相手に選択の余地をあまり与えません。「demand」は命令に近いニュアンスを持つため、丁寧な表現ではありません。
- 「appeal」はどのような場面で使われますか?
-
「appeal」は「訴える」「懇願する」という意味で、特に公的な場での要請や上位機関への訴えに使われます。慈善団体が寄付を呼びかけたり、政府が国民に何かを呼びかけたりする場面でよく使われます。また、法律の文脈では「上訴する」という意味もあります。
- 「interrogate」は日常会話で使えますか?
-
「interrogate」は主に法的・司法的な文脈で使われる「尋問する」「取り調べる」という意味の単語です。日常会話で使う場合は、相手に対して非常に強く、しつこく質問するような場面に限られ、やや否定的なニュアンスを持ちます。一般的な質問には「ask」を使うのが適切です。
まとめ

英語で「質問する」「尋ねる」という行為を表す単語は、使う状況やニュアンスによって適切な選択が変わります。「ask」は最も一般的で汎用性が高い単語であり、日常会話のあらゆる場面で使えます。より丁寧な表現としては「inquire」や「request」があり、ビジネスやフォーマルな場面で重宝します。
一方、「interrogate」や「demand」は強い態度や圧力を示す表現であり、使う場面には注意が必要です。
また、「beg」や「plead」は切実さや感情を込めた懇願を表し、「appeal」は公的な呼びかけに適しています。それぞれの単語の特徴や使い分けのポイントを理解することで、より正確で豊かな英語表現が可能になります。