英語で「何かを頼む・求める」という意味を持つ単語には、「ask」「request」「order」「demand」などがあります。これらは一見似ていますが、使われる場面や丁寧さのレベル、強さが大きく異なります。英語初学者にとって、これらの違いを理解することは適切なコミュニケーションを行う上で非常に重要です。
この記事では、「ask」「request」「order」「demand」の違いと使い分けについて、中学英語レベルの例文と共に詳しく解説します。
「ask」「request」「order」「demand」の基本的な違い

これら4つの単語はすべて「何かを頼む・求める」という意味を持ちますが、それぞれニュアンスや強さが異なります。簡単に順番に並べると、依頼の強さは以下のように変化します。
「ask」は最も基本的で一般的な「頼む・尋ねる」という意味を持ち、日常会話でよく使われます。友人や家族との会話など、カジュアルな場面で使われることが多く、丁寧さのレベルは中立的です。
「request」は「丁寧に頼む・要請する」という意味で、「ask」よりもフォーマルで丁寧な表現です。ビジネスシーンや公式な場面でよく使われ、相手に敬意を示す意味合いがあります。
「order」は「命令する」という意味で、上の立場から下の立場の人に対して指示を出す時に使います。強制力があり、相手に選択の余地をあまり与えない表現です。
「demand」は「要求する・強く求める」という意味で、かなり強い表現です。相手に対して強く迫る時や、権利として当然得られるべきものを主張する時に使われます。
それでは、それぞれの単語について詳しく見ていきましょう。
「ask」の基本的な意味
「ask」は英語で最も基本的な「頼む・尋ねる」という意味を持つ動詞です。日常会話で頻繁に使われ、質問をしたり、情報を求めたり、何かを頼んだりする際に用いられます。「ask」は比較的ニュートラルな表現で、丁寧にもカジュアルにも使うことができる便利な単語です。
「ask」の使い方と例文
「ask」は主に以下のような場面で使われます。
- 質問をする場合
- Can I ask you a question?(質問してもいいですか?)
- She asked me about my hobby.(彼女は私の趣味について尋ねました。)
- 許可を求める場合
- I asked my father if I could go to the movie.(映画に行ってもいいか父に尋ねました。)
- You should ask before you use my pen.(私のペンを使う前に尋ねるべきです。)
- 何かを頼む場合
- I asked him to help me with my homework.(彼に宿題を手伝ってくれるよう頼みました。)
- Can I ask you a favor?(お願いしてもいいですか?)
「ask」の主な文型としては、以下のようなものがあります。
- ask + 人 + 質問:I asked him where he lived.(彼にどこに住んでいるか尋ねました。)
- ask + 人 + to不定詞:I asked her to wait for me.(彼女に私を待つよう頼みました。)
- ask + for + 名詞:He asked for more time.(彼はもっと時間を求めました。)
「ask」の注意点と覚えておきたい表現
「ask」を使う際の注意点としては、間接疑問文では語順が変わることがあります。たとえば、「What is your name?」という直接疑問文が、間接疑問文では「I asked what your name was.」となります。
また、「ask」に関連する便利な表現としては以下のようなものがあります。
- ask for:〜を求める、頼む
- I asked for directions to the station.(駅への道を尋ねました。)
- ask about:〜について尋ねる
- She asked about my new school.(彼女は私の新しい学校について尋ねました。)
- ask after:(人の)安否を尋ねる
- My grandmother asked after you.(祖母があなたの様子を尋ねていました。)
「request」の基本的な意味
「request」は「丁寧に頼む・要請する」という意味を持つ動詞です。「ask」よりもフォーマルで丁寧な表現であり、特に公式な場面やビジネスシーンで使われることが多いです。「request」は相手に対する敬意を示し、相手の裁量を認めた上で何かを依頼する時に使います。
「request」の使い方と例文
「request」は主に以下のような場面で使われます。
- 公式な依頼をする場合
- We request your help with this project.(このプロジェクトへのご協力をお願いいたします。)
- I requested a new desk for my classroom.(教室用に新しい机を要請しました。)
- サービスや情報を求める場合
- The customer requested a refund.(お客様は返金を要請しました。)
- Can I request some information about your school?(あなたの学校について情報をいただけますか?)
- 許可を丁寧に求める場合
- Students are requested not to run in the hallway.(学生は廊下を走らないようお願いします。)
- I would like to request permission to leave early today.(今日早退の許可をいただきたいです。)
「request」の主な文型としては、以下のようなものがあります。
- request + 名詞:I requested a meeting with the teacher.(先生との面会を要請しました。)
- request + that + 主語 + 動詞(原形):I requested that he come early.(彼に早く来るよう要請しました。)
- request + to不定詞:The teacher requested to speak with your parents.(先生はあなたの両親と話すことを要請しました。)
「request」の注意点と覚えておきたい表現
「request」は名詞としても頻繁に使われます。「a request」(要請、依頼)という形で使うことができます。
例文
- I have a request for you.(あなたへのお願いがあります。)
- She made a special request for her birthday.(彼女は誕生日に特別なリクエストをしました。)
また、「request」に関連する便利な表現としては以下のようなものがあります。
- at someone’s request:〜の要請で
- At my request, he sang a song.(私の要請で、彼は歌を歌いました。)
- upon request:要請があれば
- Further information is available upon request.(詳細情報はご要請があればご利用いただけます。)
- by request:頼まれて
- The band played this song by request.(バンドはリクエストによりこの曲を演奏しました。)
「order」の基本的な意味
「order」は「命令する」という意味を持つ動詞です。上の立場から下の立場の人に対して指示を出す時に使います。「order」には強制力があり、相手に選択の余地をあまり与えない強い表現です。権限や権力を持つ人が、それを行使して何かをするよう指示する時に使われます。
「order」の使い方と例文
「order」は主に以下のような場面で使われます。
- 上司が部下に指示を出す場合
- The teacher ordered the students to clean the classroom.(先生は生徒たちに教室を掃除するよう命じました。)
- My mother ordered me to do my homework.(母は私に宿題をするよう命じました。)
- 権威を持つ人が命令する場合
- The judge ordered him to pay a fine.(裁判官は彼に罰金を支払うよう命じました。)
- The police officer ordered the driver to stop the car.(警察官はドライバーに車を止めるよう命じました。)
- 軍隊や組織内での指示
- The captain ordered the soldiers to march.(大尉は兵士たちに行進するよう命じました。)
- The fire chief ordered everyone to leave the building.(消防隊長は全員に建物から出るよう命じました。)
「order」の主な文型としては、以下のようなものがあります。
- order + 人 + to不定詞:The teacher ordered me to stand up.(先生は私に立つよう命じました。)
- order + that + 主語 + 動詞(原形):The king ordered that the prisoner be freed.(王は囚人を解放するよう命じました。)
「order」の注意点と覚えておきたい表現
「order」は名詞としても使われ、「an order」(命令、注文)という形になります。
例文
- He gave an order to attack.(彼は攻撃の命令を出しました。)
- I must follow my parents’ orders.(両親の命令に従わなければなりません。)
また、「order」には「注文する」という意味もあります。レストランや店での注文の際にも使われます。
例文
- I ordered a hamburger for lunch.(昼食にハンバーガーを注文しました。)
- She ordered a new book online.(彼女はオンラインで新しい本を注文しました。)
「order」に関連する便利な表現としては以下のようなものがあります。
- in order to:〜するために
- I studied hard in order to pass the test.(テストに合格するために一生懸命勉強しました。)
- by order of:〜の命令により
- The park was closed by order of the city.(その公園は市の命令により閉鎖されました。)
- under orders:命令下で
- He was acting under orders from his teacher.(彼は先生からの命令の下で行動していました。)
「demand」の基本的な意味
「demand」は「要求する・強く求める」という意味を持つ動詞です。これは4つの表現の中で最も強い表現であり、相手に対して強く迫る時や、権利として当然得られるべきものを主張する時に使われます。「demand」には強い主張や強制の意味が含まれ、時に威圧的な印象を与えることもあります。
「demand」の使い方と例文
「demand」は主に以下のような場面で使われます。
- 強く主張する場合
- The students demanded better food in the cafeteria.(生徒たちは食堂でのより良い食事を要求しました。)
- She demanded to see the principal immediately.(彼女はすぐに校長に会うよう要求しました。)
- 権利として要求する場合
- The customers demanded a refund for the broken toy.(顧客は壊れたおもちゃの返金を要求しました。)
- We demand an explanation for this mistake.(この間違いについて説明を要求します。)
- 状況が必要とする場合
- This job demands a lot of patience.(この仕事は多くの忍耐を要求します。)
- Learning a language demands daily practice.(言語学習は毎日の練習を要求します。)
「demand」の主な文型としては、以下のようなものがあります。
- demand + 名詞:They demanded an apology.(彼らは謝罪を要求しました。)
- demand + that + 主語 + 動詞(原形):I demanded that he return my book.(彼に私の本を返すよう要求しました。)
- demand + to不定詞:The children demanded to go to the park.(子どもたちは公園に行くことを要求しました。)
「demand」の注意点と覚えておきたい表現
「demand」は名詞としても頻繁に使われ、「a demand」(要求、需要)という形になります。
例文
- They made several demands during the meeting.(会議中に彼らはいくつかの要求をしました。)
- There is a high demand for this popular toy.(この人気のおもちゃの需要は高いです。)
「demand」は相手に対して非常に強い表現なので、友人や家族との日常会話では使わないよう注意が必要です。不適切な場面で使うと、失礼や尊大に聞こえることがあります。
「demand」に関連する便利な表現としては以下のようなものがあります。
- on demand:要求に応じて
- Videos are available on demand.(動画は要求に応じて視聴可能です。)
- in demand:需要がある
- Good English teachers are in high demand.(優れた英語教師は需要が高いです。)
- meet the demands:要求を満たす
- The school is trying to meet the demands of all students.(学校はすべての生徒の要求を満たそうと努力しています。)
「ask」「request」「order」「demand」の使い分けのポイント
4つの表現の使い分けは、主に以下の要素によって決まります。どの表現を選ぶかによって、相手に与える印象が大きく変わりますので、場面に応じた適切な選択が重要です。
状況による使い分け
- 日常的な会話や質問:「ask」
- Can I ask you something?(何か聞いてもいいですか?)
- I asked him for his email address.(彼にメールアドレスを尋ねました。)
- フォーマルな依頼や公式な場面:「request」
- We request all visitors to sign in at the front desk.(すべての来訪者の方々はフロントデスクでサインインをお願いいたします。)
- I would like to request a day off next Monday.(来週の月曜日に休暇をいただきたいと思います。)
- 権限を持つ人からの指示:「order」
- The teacher ordered the class to be quiet.(先生はクラスに静かにするよう命じました。)
- My parents ordered me to be home by 9 p.m.(両親は私に午後9時までに帰宅するよう命じました。)
- 強い主張や権利の要求:「demand」
- The students demanded better school lunches.(生徒たちはより良い給食を要求しました。)
- I demand to know why you broke my window.(なぜ私の窓を壊したのか知りたいと要求します。)
相手との関係による使い分け
- 友人や同僚同士:通常は「ask」が適切
- I asked my friend to lend me his notebook.(友達にノートを貸してくれるよう頼みました。)
- 目上の人や初対面の人:「request」が丁寧
- May I request your advice on this matter?(この件についてアドバイスをいただけますでしょうか?)
- 上司から部下へ、教師から生徒へ:「order」が使われることも
- The teacher ordered the noisy students to stand in the hall.(先生はうるさい生徒たちに廊下に立つよう命じました。)
- 消費者の権利や公共の場での不当な扱い:「demand」が使われることも
- The customer demanded a refund after finding a bug in the food.(食べ物に虫を見つけた後、顧客は返金を要求しました。)
フォーマル度合いによる使い分け
フォーマル度の低い順に並べると、
ask(カジュアル〜ニュートラル)
→ order(ニュートラル〜フォーマル)
→ request(フォーマル)
→ demand(強い表現)
ただし、「order」は命令の意味があるため、フォーマルな場面でも使い方には注意が必要です。「request」はビジネスや公式な文書で頻繁に使われる丁寧な表現です。
「ask」「request」「order」「demand」の類似表現との違い
「tell」との違い
「tell」は「伝える、言う」という意味の動詞で、情報を伝達する際に使われます。「ask」や他の表現と異なり、質問や依頼というよりも、情報や指示を一方的に伝える意味があります。
例文
- I told him about the school trip tomorrow.(彼に明日の修学旅行について伝えました。)
- She told me to wait at the bus stop.(彼女は私にバス停で待つように言いました。)
「tell + 人 + to不定詞」の形は「order」に近いニュアンスを持ちますが、「order」ほど強い命令の意味はありません。
「beg」との違い
「beg」は「懇願する、乞う」という意味の動詞で、非常に切実に、時に卑屈な態度で何かを頼む時に使います。「ask」や「request」よりも切実さや緊急性が強く、話し手が弱い立場にあることを示します。
例文
- He begged his parents for a new bicycle.(彼は両親に新しい自転車をくださいと懇願しました。)
- I beg you to give me one more chance.(もう一度チャンスをくださるようお願いします。)
「beg」は「ask」よりも強い切実さを表しますが、「demand」とは異なり、力や権威ではなく、相手の慈悲や好意に訴えかける表現です。
「command」との違い
「command」は「命令する、統率する」という意味の動詞で、「order」と非常に似ています。ただし、「command」は「order」よりもさらに公式で、特に軍事的な文脈や、絶対的な権限を持つ人が使うことが多いです。
例文
- The captain commanded his team to run faster.(キャプテンはチームにもっと速く走るよう命じました。)
- The king commanded that a new castle be built.(王は新しい城を建設するよう命じました。)
「command」は「order」よりも威厳や絶対的な権限を示す表現で、日常会話ではあまり使われません。
「ask」「request」「order」「demand」の使い分け練習問題
以下の問題で、括弧内に「ask」「request」「order」「demand」のうち最も適切なものを入れてください。
- The teacher ( ) the students to be quiet.
- Could I ( ) you a question?
- The customer ( ) to see the manager immediately.
- We politely ( ) that you submit your application by Friday.
- My mother ( ) me to clean my room.
- The protesters ( ) better working conditions.
- May I ( ) for your help with this project?
- The captain ( ) all passengers to return to their seats.
- She ( ) an explanation for the delay.
- I ( ) my friend if I could borrow his bike.
- The judge ( ) the defendant to pay a fine.
- We kindly ( ) your attendance at the meeting.
- The boss ( ) that the report be finished by tomorrow.
- Can I ( ) you a favor?
- The union ( ) higher wages for all workers.
- He ( ) his assistant to book a flight.
- Parents ( ) that the school improve safety measures.
- I ( ) the waiter for the menu.
- The police officer ( ) the driver to show his license.
- We respectfully ( ) a response to our letter.
「ask」「request」「order」「demand」に関するよくある質問
- 「ask for」と「request」の違いは何ですか?
-
「ask for」と「request」はどちらも「何かを頼む」という意味ですが、フォーマル度が異なります。「ask for」は日常会話でよく使われる一般的な表現であるのに対し、「request」はより丁寧でフォーマルな表現です。ビジネスシーンや公式な場面では「request」を使うことが多いです。
- Can I ask for your help?(手伝ってもらえますか?)- カジュアル
- May I request your assistance?(ご協力をお願いできますでしょうか?)- フォーマル
- 「order」と「command」はどう違いますか?
-
「order」と「command」はどちらも「命令する」という意味ですが、「command」の方がより権威的で、特に軍事的な文脈や非常に公式な場面で使われます。「order」は日常生活でも使われる表現ですが、「command」は普段の会話ではあまり使われません。
- The teacher ordered the students to be quiet.(先生は生徒たちに静かにするよう命じました。)
- The general commanded his troops to attack.(将軍は部隊に攻撃するよう命じました。)
- 「demand」を使うと失礼になりますか?
-
「demand」は非常に強い表現であり、特に友人や家族、目上の人に対して使うと失礼に聞こえることがあります。「demand」は権利として当然得られるべきものを主張する時や、不当な扱いに対して強く訴える時に適しています。日常的な依頼や要望には、より柔らかい「ask」や「request」を使うことをお勧めします。
- 子供に何かを頼む時は、どの表現が適切ですか?
-
子供に対しては、状況によって異なります。通常の依頼には「ask」が適切です(例:Can I ask you to help me?)。しかし、言うことを聞かなければならない状況では「order」も使われます(例:I ordered him to finish his homework)。子供の年齢や関係性、状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
- 「Please」をつけると、どの表現も丁寧になりますか?
-
「Please」を付けることで、どの表現も丁寧さが増しますが、基本的な強さやニュアンスは変わりません。特に「demand」は「Please」を付けても強い要求の意味は残ります。ただし、「Please order some food」(何か食べ物を注文してください)のように、「order」が「注文する」という意味で使われる場合は、通常の丁寧な依頼になります。
- ビジネスメールでは、どの表現を使うべきですか?
-
ビジネスメールでは、通常「request」が最も適切です。フォーマルで丁寧な印象を与え、相手への敬意も示せます。「ask」も使えますが、少しカジュアルな印象を与えることがあります。「order」や「demand」は、特別な権限がある場合や、契約上の権利を主張する必要がある場合を除いて、避けた方が無難です。
- I would like to request an extension for the project deadline.(プロジェクトの期限延長をお願いしたいと思います。)
- Could I ask for your feedback on this proposal?(この提案についてフィードバックをいただけますか?)
まとめ

この記事では、英語で「何かを頼む・求める」際に使われる「ask」「request」「order」「demand」の違いと使い分けについて解説しました。以下が主なポイントです。
- 「ask」は最も基本的な「頼む・尋ねる」表現で、日常会話でよく使われる。
- 「request」は「丁寧に頼む・要請する」表現で、フォーマルな場面やビジネスシーンで適切。
- 「order」は「命令する」表現で、上から下への指示に使われる。強制力がある。
- 「demand」は「要求する・強く求める」表現で、4つの中で最も強い。権利主張や不満表明に使われる。
- 使い分けは、状況、相手との関係、フォーマル度によって判断する。
- それぞれに関連する便利な表現(句動詞や慣用句)がある。
- 適切な表現を選ぶことで、より効果的なコミュニケーションが可能になる。
- 日常会話では主に「ask」を使い、フォーマルな場面では「request」を選び、命令や強い要求が必要な時にのみ「order」や「demand」を使うことを心がける。
英語学習において、これらの表現の違いを理解し、状況に応じて使い分けることができると、より自然で適切なコミュニケーションが可能になります。また、それぞれの表現に関連する慣用句や句動詞も覚えておくと、表現の幅が広がります。