「at large」は英語でよく使われる表現の一つで、日本語では文脈によって「逃走中」「社会全体」「無任所の」など様々な意味に訳されます。
シンプルな表現ながら、いくつかの全く異なる意味を持ち、使い方によって解釈が変わる興味深いフレーズです。
この記事では「at large」の基本的な意味から実際の使い方、語源まで、例文を交えながら詳しく解説していきます。
「at large」の主な意味
「at large」には主に3つの異なる意味があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
「逃走中」「捕まっていない」
最も一般的な意味の一つが、危険な人物や動物が「逃走中である」「捕まっていない」というものです。
特に犯罪者が警察に追われているが、まだ捕まっていない状況を表します。
例文
- The suspect in the bank robbery is still at large.
(銀行強盗の容疑者はまだ逃走中です。) - Three dangerous prisoners escaped from jail and remain at large.
(3人の危険な囚人が刑務所から脱獄し、まだ逃走中です。) - The police warned that the armed criminal is at large in the area.
(警察はその武装した犯罪者がその地域で逃走中であると警告しました。)
ニュースでよく使われるフレーズで、「犯人はまだ捕まっていない」という状況を簡潔に伝えることができます。
「全体として」「一般的に」
2つ目の主要な意味は、「社会全体」「一般的に」「広く」という意味です。
特定の集団ではなく、より広い範囲や全体を指す際に使われます。
通常、「the public at large」(一般大衆)や「society at large」(社会全体)のような形で使われます。
例文
- The government’s decision will affect the population at large.
(政府の決定は国民全体に影響を与えるでしょう。) - These environmental issues concern humanity at large.
(これらの環境問題は人類全体に関わる問題です。) - The museum’s exhibition is designed to appeal to the public at large.
(その美術館の展示は一般大衆に訴えかけるようにデザインされています。)
この意味での「at large」は、限定された集団ではなく、より広い範囲や全体を強調する時に使われます。
「無任所の」「特定の任務を持たない」
3つ目の意味は、特に肩書きや役職と共に使われる「無任所の」「特定の任務や担当区域を持たない」という意味です。
例文
- She works as an editor at large for a major publishing house.
(彼女は大手出版社の編集者アット・ラージとして働いています。) - As ambassador at large, he represents the country in various international forums.
(無任所大使として、彼は様々な国際フォーラムで国を代表しています。) - The committee appointed three members at large to oversee the project.
(委員会はそのプロジェクトを監督するために3人の無任所メンバーを任命しました。)
この用法では、特定の担当区域や定められた職務に縛られず、より広い範囲で活動する役職を表します。
「at large」の語源と由来
「at large」という表現の語源は中世フランス語の「en large」(広々と)に由来します。もともとは「広い場所で自由に動き回る」という意味がありました。
この語源からわかるように、「at large」には「制限されていない」「自由な」というニュアンスがあります。それが時間とともに発展し、現在のように「逃走中」や「全体として」という意味になったのです。
「逃走中」の意味は、「広い範囲のどこかにいる」つまり「特定の場所に制限されていない」という概念から来ています。同様に、「全体として」の意味も、特定の部分ではなく「広く全体を見渡す」という発想から生まれました。
「at large」を含む一般的な表現
「the public at large」(一般大衆、社会全般)
「the public at large」は「一般の人々」「社会全般」を指す表現です。
例文
- The concert is free and open to the public at large.
(そのコンサートは無料で一般大衆に公開されています。) - Politicians often claim to represent the interests of the public at large.
(政治家たちはしばしば一般大衆の利益を代表すると主張します。)
「society at large」(社会全体)
「society at large」は「社会全体」「広く社会一般」を意味します。
例文
- The research findings have significant implications for society at large.
(その研究結果は社会全体にとって重要な意味を持っています。) - As artists, they aim to reflect the concerns of society at large in their work.
(芸術家として、彼らは作品の中で社会全体の関心事を反映することを目指しています。)
「remain/still at large」(まだ逃走中である)
「remain at large」や「still at large」は、「まだ捕まっていない」「依然として逃走中である」というニュアンスを強調する表現です。
例文
- Despite the massive manhunt, the terrorist remains at large.
(大規模な手配捜査にもかかわらず、そのテロリストはまだ逃走中です。) - The police announced that two of the suspects had been arrested, but one is still at large.
(警察は容疑者のうち2人が逮捕されたが、1人はまだ逃走中であると発表しました。)
「at large」と類似表現
「on the loose」との比較
「on the loose」も「逃走中」「自由に動き回っている」という意味を持ちますが、「at large」よりもやや口語的な表現です。
例文
- There’s a dangerous animal on the loose in the neighborhood.
(近所に危険な動物が逃げ回っています。) - The escaped convict is on the loose and considered armed and dangerous.
(脱獄囚は逃走中で、武装していて危険だと見なされています。)
「in general」との比較
「in general」も「全体的に」「一般的に」という意味を持ちますが、「at large」の方がより公式で、より広範囲を強調するニュアンスがあります。
例文
- Young people in general prefer digital communication.
(若者は一般的にデジタルコミュニケーションを好みます。) - The youth at large is concerned about climate change.
(若者層全体が気候変動について懸念しています。)
「at large」を使った会話例
会話例1:ニュースの状況
例文
- A: Have you heard about the bank robbery in the city center?
(市内中心部の銀行強盗について聞きましたか?) - B: Yes, I was just watching the news. They said the perpetrator is still at large.
(はい、今ちょうどニュースを見ていたところです。犯人はまだ逃走中だそうです。) - A: I hope they catch him soon. It’s worrying to think there’s an armed robber at large in our area.
(早く捕まえてほしいですね。この地域に武装強盗が逃走中だと思うと心配です。)
会話例2:編集者の役割について
例文
- A: What exactly does Sarah do at the magazine?
(サラは雑誌でどんな仕事をしているの?) - B: She’s an editor at large. It means she contributes content but doesn’t have specific daily responsibilities like other editors.
(彼女はエディター・アット・ラージだよ。内容を寄稿するけど、他の編集者のような特定の日々の責任は持っていないという意味だ。) - A: That sounds like an interesting position. She can focus on bigger picture issues.
(面白い立場ですね。彼女はより大きな視点の問題に集中できるのですね。)
まとめ:「at large」の使い方のポイント

「at large」は英語で様々な意味を持つ便利な表現です。
この表現の主なポイントをまとめると、
- 主に「逃走中」「社会全体として」「無任所の」という3つの意味があります。
- 語源はフランス語の「広々と」という表現から来ており、「制限されていない」というニュアンスがあります。
- 「the public at large」「society at large」などの表現でよく使われます。
- 「on the loose」(逃走中)や「in general」(一般的に)などの類似表現と比べると、やや公式でフォーマルな印象があります。
- ニュースや公式の文書でよく使われる表現なので、理解しておくと役立ちます。
「at large」をマスターすれば、英語での表現の幅が広がります。
特にニュースを読んだり、より正式な文脈での英語を理解したりする助けになるでしょう。
ぜひ日常的な英語学習に取り入れてみてください。