英語を勉強し始めると必ず出会う概念に「自動詞」と「他動詞」があります。この2つの区別が分からないと、「なぜここに前置詞が必要なの?」「どうしてこの動詞の後に直接名詞が来るの?」といった疑問が解決できません。
この記事では、英語初学者の方でも分かりやすいように、自動詞と他動詞の違いや見分け方を例文付きで詳しく解説します。
この文法知識を身につけると、英語の文章を作るときの間違いが減り、より自然な表現ができるようになりますよ。
自動詞と他動詞の基本概念

英語の動詞は「自動詞」と「他動詞」の2種類に分けられます。簡単に言うと、自動詞は「目的語を必要としない動詞」、他動詞は「目的語を必要とする動詞」です。この違いを理解することは、正しい英文を作るための基本となります。
ただし、最初に知っておきたいのは、多くの動詞は使い方によって自動詞にも他動詞にもなり得るということです。これから説明する内容を参考に、文脈によってどちらとして使われているかを判断できるようになりましょう。
自動詞とは?(目的語が不要な動詞)
自動詞は「自分だけで意味が成り立つ動詞」で、目的語を必要としません。「~する」という動作自体で意味が完結します。
例文
- I sleep.(私は眠ります)
- Birds fly.(鳥は飛びます)
- She arrived.(彼女は到着しました)
- They laughed.(彼らは笑いました)
これらの文では、動詞の後に「何を」という情報がなくても意味が通じます。
自動詞の後に何か情報を追加したい場合は、普通「前置詞 + 名詞」の形を使います。
例文
- I sleep in my room.(私は自分の部屋で眠ります)
- Birds fly in the sky.(鳥は空を飛びます)
- She arrived at the station.(彼女は駅に到着しました)
- They laughed at the joke.(彼らはそのジョークを聞いて笑いました)
他動詞とは?(目的語が必要な動詞)
他動詞は「”他”のもの(目的語)を必要とする動詞」です。
「~を…する」という形で、動作の対象となるものが必要です。
例文
- I read a book.(私は本を読みます)
- She likes cats.(彼女は猫が好きです)
- He bought a new pen.(彼は新しいペンを買いました)
- We clean our room.(私たちは自分たちの部屋を掃除します)
これらの文では、動詞の後に「何を」という情報がないと意味が不完全になります。
また、他動詞の後には前置詞は不要で、直接目的語が来ます。
自動詞と他動詞の見分け方
自動詞と他動詞を見分けるための簡単な方法をいくつか紹介します。
これらの方法を使うことで、辞書を引かなくても動詞の種類をある程度判断できるようになります。
「何を?」と考えるテスト
動詞を見つけたら、その後に「何を?」と質問してみましょう。
答えが必要なら他動詞、必要なければ自動詞である可能性が高いです。
- She eats (何を?) → 答えが必要 → 他動詞
- I sleep (何を?) → 答えは不要 → 自動詞
前置詞の有無で判断する
もう一つの見分け方は、前置詞の有無を確認することです。
- 自動詞:目的語を加える場合は前置詞が必要
例:I listened to music.(私は音楽を聴きました) - 他動詞:目的語の前に前置詞は不要
例:I heard the music.(私はその音楽を聴きました)
この違いを見ると、listenは自動詞(前置詞to + 目的語)で、hearは他動詞(直接 + 目的語)だということが分かります。
代表的な自動詞と他動詞の例
英語でよく使われる自動詞と他動詞の例を紹介します。これらを覚えておくと、文を作る際の参考になります。
よく使う自動詞
- go(行く)
例:I go to school every day.(私は毎日学校に行きます) - come(来る)
例:Please come to my party.(私のパーティーに来てください) - sleep(眠る)
例:My brother sleeps for ten hours.(私の兄は10時間眠ります) - walk(歩く)
例:We walk in the park on Sundays.(私たちは日曜日に公園を歩きます) - arrive(到着する)
例:The train arrived at the station.(電車は駅に到着しました) - wait(待つ)
例:I waited for my friend.(私は友達を待ちました) - listen(聴く)
例:She listens to music every day.(彼女は毎日音楽を聴きます) - look(見る)
例:I looked at the picture.(私はその絵を見ました)
よく使う他動詞
- eat(食べる)
例:I eat breakfast at 7:00.(私は7時に朝食を食べます) - drink(飲む)
例:She drinks tea in the morning.(彼女は朝にお茶を飲みます) - have(持っている)
例:I have two brothers.(私は兄弟が二人います) - buy(買う)
例:He bought a new computer.(彼は新しいコンピュータを買いました) - read(読む)
例:We read books in the library.(私たちは図書館で本を読みます) - watch(見る)
例:They watch TV after dinner.(彼らは夕食後にテレビを見ます) - make(作る)
例:My mother makes delicious cakes.(私の母はおいしいケーキを作ります) - write(書く)
例:I write a letter to my friend.(私は友達に手紙を書きます)
同じ動詞で自動詞にも他動詞にもなるパターン
英語の動詞の多くは、使い方によって自動詞にも他動詞にもなります。時には意味が変わることもあります。
形が同じで意味が変わる場合
以下の動詞は自動詞と他動詞で使われる場合で意味が変わります。
- run
- 自動詞:走る
例:I run in the park every morning.(私は毎朝公園で走ります) - 他動詞:経営する
例:He runs a small shop.(彼は小さな店を経営しています)
- 自動詞:走る
- stand
- 自動詞:立つ
例:Please stand here.(ここに立ってください) - 他動詞:耐える、我慢する
例:I can’t stand the heat.(私は暑さに耐えられません)
- 自動詞:立つ
- play
- 自動詞:遊ぶ
例:Children play in the garden.(子供たちは庭で遊びます) - 他動詞:(楽器・スポーツを)する
例:She plays the piano very well.(彼女はピアノをとても上手に弾きます)
- 自動詞:遊ぶ
- stop
- 自動詞:止まる
例:The car stopped at the red light.(車は赤信号で止まりました) - 他動詞:止める
例:Please stop the music.(音楽を止めてください)
- 自動詞:止まる
形も意味も似ている場合
以下の動詞は自動詞と他動詞どちらでも使え、意味も似ています。
- open
- 自動詞:開く
例:The door opens easily.(そのドアは簡単に開きます) - 他動詞:開ける
例:I open the window.(私は窓を開けます)
- 自動詞:開く
- move
- 自動詞:動く
例:The cat moved quietly.(その猫は静かに動きました) - 他動詞:動かす
例:We moved the table to the corner.(私たちはテーブルを隅に動かしました)
- 自動詞:動く
- start
- 自動詞:始まる
例:The movie starts at 7:00.(映画は7時に始まります) - 他動詞:始める
例:Let’s start the game.(ゲームを始めましょう)
- 自動詞:始まる
- break
- 自動詞:壊れる
例:My watch broke yesterday.(私の時計は昨日壊れました) - 他動詞:壊す
例:She broke the glass.(彼女はグラスを割りました)
- 自動詞:壊れる
自動詞と他動詞の使い方の注意点
自動詞と他動詞を使う際にはいくつか注意点があります。
これらを知っておくと、英語の誤用を避けることができます。
自動詞を使った表現のコツ
前置詞の選択に注意
自動詞の後には適切な前置詞を選ぶ必要があります。
- listen to(〜を聴く)
- look at(〜を見る)
- wait for(〜を待つ)
- agree with(〜に同意する)
例:I agree with your opinion.(私はあなたの意見に同意します)
自動詞と共に使われる前置詞は暗記が必要
自動詞と前置詞の組み合わせは、必ずしも日本語の感覚と一致しないので覚える必要があります。
例:We arrived at the station.(私たちは駅に到着しました)
※「arrive to」ではなく「arrive at」が正しい表現です
他動詞を使った表現のコツ
目的語が直接続くことを覚える
他動詞の後には前置詞なしで直接目的語が来ることを覚えておきましょう。
例:I enjoy music.(私は音楽を楽しみます)
※「enjoy to music」は間違いです
よくある間違い
自動詞と他動詞を混同する間違いがよくあります。
- ×: I discuss about the problem.(誤)
- ○: I discuss the problem.(正)
- ○: I talk about the problem.(正)
discussは他動詞なので、aboutは不要です。一方、talkは自動詞なので、aboutが必要です。
5文型と自動詞・他動詞の関係
英語には5つの基本文型があり、自動詞と他動詞はこれらの文型と密接な関係があります。
- 第1文型(S + V):主語 + 動詞
- 自動詞が使われます
- 例:Birds fly.(鳥は飛びます)
- 第2文型(S + V + C):主語 + 動詞 + 補語
- 自動詞(特にbe動詞、lookなどの連結動詞)が使われます
- 例:She looks happy.(彼女は幸せそうに見えます)
- 第3文型(S + V + O):主語 + 動詞 + 目的語
- 他動詞が使われます
- 例:I read a book.(私は本を読みます)
- 第4文型(S + V + O + O):主語 + 動詞 + 間接目的語 + 直接目的語
- 他動詞が使われます
- 例:She gave me a present.(彼女は私にプレゼントをくれました)
- 第5文型(S + V + O + C):主語 + 動詞 + 目的語 + 補語
- 他動詞が使われます
- 例:They call him Tom.(彼らは彼のことをトムと呼びます)
このように、第1文型と第2文型では自動詞が、第3文型から第5文型では他動詞が使われます。
文型を覚えることで、自動詞と他動詞の使い分けがより理解しやすくなります。
英語の自動詞と他動詞に関する練習問題20選
英語の動詞は「自動詞」(目的語を必要としない動詞)と「他動詞」(目的語を必要とする動詞)に分けられます。一つの動詞が両方の用法を持つ場合もあり、使い方によって意味が変わることもあります。
以下の問題で自動詞と他動詞の違いを理解しましょう。
- 次の動詞が自動詞か他動詞か答えなさい
sleep, buy, happen, enjoy, arrive - 次の文の動詞は自動詞、他動詞のどちらとして使われていますか
The baby is sleeping. - 次の文の動詞は自動詞、他動詞のどちらとして使われていますか
She opened the door. - 次の文の空欄に適切な前置詞を入れなさい(自動詞の後)
The train arrived _____ the station on time. - 次の英文の誤りを訂正しなさい
She discussed about the problem with her teacher. - 次の動詞は自動詞として使えるか、他動詞として使えるか、あるいは両方の用法があるか答えなさい
increase, begin, grow, raise, lie - 次の2つの文の意味の違いを説明しなさい
a. The shop closes at 7 p.m.
b. The manager closes the shop at 7 p.m. - 次の動詞の組み合わせで、意味が近いものを選びなさい
a. raise / rise
b. lay / lie - 次の文の空欄に適切な動詞(start か begin)を入れなさい
Can you _____ the car? The engine won’t _____. - 次の文の誤りを訂正しなさい
I entered in the room and sat down. - 次の動詞は前置詞なしで使えるか、前置詞が必要か答えなさい
listen, hear, look, see - 次の2つの文の意味の違いを説明しなさい
a. The vase broke.
b. He broke the vase. - 次の文を受動態に書き換えなさい
The storm damaged many houses. - 次の自動詞と前置詞の正しい組み合わせを選びなさい
agree (with / to / on) - 次の日本語を英訳しなさい(適切な自動詞または他動詞を使って)
「彼は毎朝6時に起きます」 - 次の文の下線部の動詞が自動詞か他動詞か答えなさい
Water boils at 100 degrees Celsius. - 次の文を完成させるのに適切な動詞の形を選びなさい
The number of students _____ (increase / increased) last year. - 次の動詞の自動詞用法と他動詞用法の意味の違いを説明しなさい
run - 次の文の空欄に適切な動詞(lay か lie)を入れなさい
Please _____ the book on the table. I want to _____ down for a while. - 次の文で使われている動詞が自動詞か他動詞か答え、それが分かる理由も説明しなさい
The movie ended suddenly.
これらの問題を通して、英語の自動詞と他動詞の違いや使い方について学ぶことができます。同じ動詞でも自動詞と他動詞で意味が変わる場合もあるので、それぞれの用法をしっかり理解しましょう。
また、自動詞が前置詞と組み合わさることで他動詞のような働きをすることもあります。
自動詞と他動詞に関するよくある質問
- 「arrive」と「reach」の違いは何ですか?
-
どちらも「到着する」という意味ですが、「arrive」は自動詞で、「reach」は他動詞です。
- I arrived at the station.(私は駅に到着しました)- arriveの後には前置詞atが必要
- I reached the station.(私は駅に到着しました)- reachの後には直接目的語が来る
- 「stop to do」と「stop doing」の違いは何ですか?
-
「stop to do」は「〜するために立ち止まる」という意味で、「stop doing」は「〜するのをやめる」という意味です。
- I stopped to eat lunch.(私は昼食を食べるために立ち止まりました)
- I stopped eating fast food.(私はファストフードを食べるのをやめました)
- 「wait」の使い方を教えてください。
-
「wait」は自動詞なので、「〜を待つ」と言いたい場合は前置詞の「for」が必要です。
- I waited for my friend.(私は友達を待ちました)
- She is waiting for the bus.(彼女はバスを待っています)
- 自動詞と他動詞の両方の意味を持つ動詞をどう見分ければいいですか?
-
文脈から判断するのが一番確実です。動詞の後に目的語が直接来ているかどうか、前置詞が使われているかどうかを確認しましょう。また、辞書でその動詞の用法を確認するのも良い方法です。
- 「speak」と「talk」の違いは何ですか?
-
どちらも「話す」という意味ですが、使い方が少し異なります。
- speak:自動詞としても他動詞としても使える
- 自動詞の例:He speaks very clearly.(彼はとても明確に話します)
- 他動詞の例:She speaks English.(彼女は英語を話します)
- talk:主に自動詞として使われる
- 例:I talked with my friend.(私は友達と話しました)
- 「〜について話す」と言いたい場合は、「talk about」を使います
- 例:We talked about the movie.(私たちはその映画について話しました)
- speak:自動詞としても他動詞としても使える
まとめ

この記事では、英語の自動詞と他動詞について詳しく解説しました。
ポイントをまとめると、
- 自動詞は目的語を必要としない動詞で、「〜する」という動作自体で意味が完結します。目的語を加える場合は前置詞が必要です。
例:I sleep. / I sleep in my bed. - 他動詞は目的語を必要とする動詞で、「〜を…する」という形で使われます。前置詞なしで直接目的語が続きます。
例:I read a book. - 見分け方としては、「何を?」と質問してみたり、前置詞の有無を確認したりする方法があります。
- 多くの動詞は使い方によって自動詞にも他動詞にもなり得るため、文脈によって判断することが大切です。
- 5つの基本文型と関連付けると、第1・2文型では自動詞が、第3・4・5文型では他動詞が使われることを覚えておくと便利です。
自動詞と他動詞の区別は、英語の文法の基礎となる重要な概念です。この違いを理解することで、より自然な英語表現ができるようになります。英語学習の中で迷ったときは、この記事に戻って復習してみてください。
自動詞と他動詞の使い分けが身につけば、英語力が一段と向上することでしょう。