英語を学び始めると、同じ意味を持つ異なる単語に出会うことがあります。「秋」を表す「autumn(オータム)」と「fall(フォール)」もその一つです。なぜ秋を表す英語には2つの単語があるのでしょうか?
この記事では、英語初学者向けに「autumn」と「fall」の違いを分かりやすく解説し、実際の使い方を例文とともに紹介します。両者の違いを理解して、状況に応じた適切な使い分けができるようになりましょう。
「autumn」と「fall」の基本的な違い

「autumn」と「fall」はどちらも「秋」を意味する英単語ですが、主な違いは使われる地域と使用場面にあります。
「autumn」は主にイギリス英語で使われる表現です。イギリスでは一般的に「autumn」が使われ、「fall」はあまり使用されません。一方、「fall」はアメリカ英語で好まれる表現で、日常会話では「fall」が圧倒的に多く使われています。
また使用場面にも違いがあります。「autumn」はフォーマルな文書や詩的な表現で使われることが多く、「fall」はカジュアルな会話で使われる傾向があります。アメリカでも公式な文書やニュースでは「autumn」が使われることがあります。
両方とも「秋」という同じ意味を持ちますが、語源や追加の意味にも違いがあります。これらの違いを詳しく見ていきましょう。
「autumn」の意味と使い方
「autumn」は英語で「秋」を表す正式な単語です。主にイギリス英語で使われていますが、世界中で理解される表現です。
「autumn」の語源
「autumn」はラテン語の「autumnus(アウトゥムヌス)」に由来しています。これは「収穫期」を意味する言葉で、秋が収穫の季節であることから生まれた表現です。フランス語を経由して英語に取り入れられた外来語となります。
「autumn」の意味
「autumn」には主に以下の意味があります。
- 秋(季節)- 夏と冬の間の季節
- (人生の)初老期 – 成熟期を過ぎて衰えが始まる時期
特に2つ目の「初老期」という意味は「autumn」特有で、「fall」には見られない用法です。この意味で使われるときは、「the autumn of one’s life(人生の秋)」というフレーズでよく表現されます。
「autumn」を使った例文
以下に「autumn」を使った中学英語レベルの例文を紹介します。
例文
- Autumn is my favorite season.(秋は私の一番好きな季節です。)
- The leaves change color in autumn.(葉は秋に色が変わります。)
- We have a school festival in autumn.(私たちは秋に学校祭があります。)
- It gets cooler in autumn.(秋になると涼しくなります。)
- My grandmother enjoys walking in autumn.(私の祖母は秋の散歩を楽しみます。)
- Autumn begins in September.(秋は9月に始まります。)
- She was born in autumn.(彼女は秋に生まれました。)
- Many fruits are harvested in autumn.(多くの果物は秋に収穫されます。)
「fall」の意味と使い方
「fall」はアメリカ英語で「秋」を表す一般的な表現です。カジュアルで日常的な会話でよく使われます。
「fall」の語源
「fall」が「秋」を意味するようになったのは、「fall of the leaf(葉が落ちる)」という表現に由来しています。この表現が次第に短縮され、「fall」だけで秋を表すようになりました。16世紀頃にはイギリスでも使われていましたが、17世紀頃にアメリカに移住した人々によって広まり、現在ではアメリカ英語の特徴となっています。
「fall」の意味
「fall」には以下のような意味があります。
- 秋(季節)
- 落ちる、落下する(動詞)
- (雨や雪が)降る(動詞)
- 倒れる、転倒する(動詞)
- 落下、転落(名詞)
「秋」の意味で使う場合は名詞として使われますが、「fall」は動詞としても頻繁に使われる多義語です。
「fall」を使った例文
以下に「fall」を「秋」の意味で使った中学英語レベルの例文を紹介します。
例文
- I like fall better than summer.(私は夏より秋が好きです。)
- We go to school in fall.(私たちは秋に学校に行きます。)
- The weather is nice in fall.(秋の天気は良いです。)
- My family takes a trip every fall.(私の家族は毎秋旅行に行きます。)
- Students play sports in fall.(学生たちは秋にスポーツをします。)
- Fall is the best time for hiking.(秋はハイキングに最適な時期です。)
- The trees have beautiful colors in fall.(木々は秋に美しい色になります。)
- Fall is the season between summer and winter.(秋は夏と冬の間の季節です。)
「autumn」と「fall」の使い分け方
「autumn」と「fall」をどのように使い分ければよいのでしょうか。以下のポイントを参考にしてください。
地域による使い分け
英語圏の地域によって、使われる単語が異なります。
- イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど:「autumn」が一般的
- アメリカ、カナダ:「fall」が日常会話で多く使われる
アメリカでは「fall」が優勢ですが、フォーマルな文書では「autumn」も使われます。逆にイギリスでは「fall」はほとんど使われないので注意が必要です。
場面による使い分け
使用する場面によっても使い分けがあります。
- フォーマルな文書、学術論文、ニュース:「autumn」がより適切
- 日常会話、カジュアルな文章:「fall」がより自然(特にアメリカでは)
例えば、ビジネスレターや学術的な文章を書く場合は「autumn」を選ぶと良いでしょう。一方、友人との会話や普段のメッセージでは「fall」の方が自然に聞こえることがあります。
「autumn」と「fall」以外の秋に関する英語表現
「autumn」と「fall」以外にも、秋に関連する英語表現はたくさんあります。ここではいくつかの役立つ表現を紹介します。
秋の季節を表す表現
The fall/autumn equinox(秋分)
- The autumn equinox is on September 23rd.(秋分は9月23日です。)
Indian summer(小春日和)
- We are enjoying an Indian summer this week.(今週は小春日和を楽しんでいます。)
Harvest season(収穫の季節)
- Farmers are busy during the harvest season.(農家は収穫の季節に忙しいです。)
Fall/Autumn colors(紅葉)
- We went to see the autumn colors in the mountain.(私たちは山で紅葉を見に行きました。)
日本特有の「〇〇の秋」について
日本語には「食欲の秋」「読書の秋」「スポーツの秋」といった表現がありますが、これらは日本独自の表現で、英語にそのまま対応する言葉はありません。これらを英語で表現するには、以下のように説明するとよいでしょう。
- 「食欲の秋」
In Japan, fall is considered the best season for enjoying food.
(日本では、秋は食べ物を楽しむのに最適な季節だと考えられています。) - 「読書の秋」
Autumn is known as a good time for reading in Japan.
(日本では、秋は読書に適した時期として知られています。) - 「スポーツの秋」
In Japan, we say fall is perfect for sports activities.
(日本では、秋はスポーツ活動に最適だと言われています。)
「autumn」と「fall」の使い分け練習問題
以下に「autumn」と「fall」の使い分けを練習するための問題を20問用意しました。括弧内に適切な方を入れてみましょう。両方、もしくは片方を入れて下さい。
- In America, people celebrate Thanksgiving in ( ).
- We usually visit Kyoto to see beautiful leaves in ( ).
- My sister was born in ( ) of 1995.
- In England, schools start a new term in ( ).
- The ( ) festival will be held next month.
- I prefer ( ) to summer because it’s cooler.
- She met her husband in the ( ) of her life.
- Many Americans enjoy pumpkin pie in ( ).
- The book was published in ( ) last year.
- In Japan, ( ) is the season for reading.
- The lecture about ( ) colors was very interesting.
- We’re planning to have a picnic this ( ).
- In ( ), days become shorter.
- Many poets write about the beauty of ( ).
- I bought a new coat for ( ).
- The ( ) equinox is in September.
- Children play with ( ) leaves in the park.
- The weather is very pleasant in ( ).
- We’ll hold our annual meeting in ( ).
- I took many photos of ( ) scenery.
「autumn」と「fall」に関するよくある質問
ここでは、「autumn」と「fall」に関してよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- 日本の英語教育ではどちらを教えるのが一般的ですか?
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日本の英語教育では、中学校の教科書で両方の単語が紹介されることが多いです。ただし、日本の英語教育はアメリカ英語の影響を強く受けているため、「fall」が多く使われる傾向があります。学校や教師によって異なりますが、両方の違いを理解しておくとよいでしょう。
- 「autumn」と「fall」以外に「秋」を表す英単語はありますか?
-
現代英語では「autumn」と「fall」が主流ですが、古い英語では「harvest(収穫)」が「秋」の意味で使われていました。現在では「harvest time(収穫の時期)」や「harvest season(収穫の季節)」という表現で間接的に秋を表すことはありますが、単独で秋という意味では使われません。
- 「autumn」と「fall」はいつからいつまでの期間を指しますか?
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天文学的には、秋分(9月22日頃)から冬至(12月21日頃)までが秋と定義されることが多いですが、一般的な認識は国や地域によって異なります。日本では9月から11月を秋と考えますが、北米では9月中旬から12月初旬までを「fall」と考えることもあります。気候変動や文化的な行事も季節の認識に影響します。
- 商業的な表現ではどちらが使われますか?
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商業的な表現では、地域によって異なりますが、日本では「Autumn Sale(オータムセール)」や「Fall Collection(フォールコレクション)」など両方が使われています。グローバルなブランドでも両方の表現が見られますが、より洗練された印象を与えたい場合には「autumn」が、カジュアルな印象を与えたい場合には「fall」が選ばれる傾向があります。
- なぜアメリカでは「fall」、イギリスでは「autumn」が一般的になったのですか?
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16世紀頃、イギリスでは「fall」と「autumn」の両方が使われていましたが、17世紀にアメリカに移住した人々が「fall」を好んで使ったことが影響していると考えられています。その後、イギリスではフランス語の影響もあり「autumn」が優勢になり、アメリカでは「fall」が広く使われるようになりました。このように言語は時代とともに地域ごとに異なる発展をすることがあります。
まとめ

この記事では「autumn」と「fall」の意味の違いと使い分けについて解説しました。ポイントをまとめると、
- 「autumn」はイギリス英語で一般的に使われ、フォーマルな場面や文学的表現に適している。
- 「fall」はアメリカ英語で広く使われ、日常会話やカジュアルな場面で自然な表現。
- 「autumn」には「人生の初老期」という追加の意味があり、「the autumn of one’s life」という表現がある。
- 「fall」は語源的に「葉が落ちる」という現象から来ており、動詞としても多くの意味を持つ。
- 日本の「〇〇の秋」は英語に直接対応する表現がなく、「秋は〇〇に最適な季節」と言い換えるとよい。
- 地域や場面に応じて使い分けることで、より自然な英語表現ができる。
- 「autumn」も「fall」も基本的には同じ「秋」を意味するので、どちらを使っても大きな誤解は生じない。
英語学習では、こうした似た意味を持つ単語の微妙な違いを理解することで、より豊かな表現力を身につけることができます。
「autumn」と「fall」の違いを覚えて、状況に応じた適切な表現を使い分けられるようになりましょう。