英語を学び始めると必ず出会うのが「助動詞」です。「can(できる)」「will(~するつもり)」「must(~しなければならない)」など、小さな単語ながら文の意味を大きく変える重要な要素となります。日本語にも「~できる」「~だろう」など似た表現はありますが、英語の助動詞は使い方のルールが明確で、マスターすると表現の幅がぐっと広がります。
この記事では、英語初学者の方でも理解できるよう、助動詞の基本から応用まで、具体的な例文を交えてわかりやすく解説します。英語の文法で重要な助動詞をマスターして、より自然な英語表現ができるようになりましょう。
助動詞とは?英語における基本概念

助動詞とは、その名の通り「動詞を助ける言葉」です。英語では主語と動詞の間に置かれ、動詞に新たな意味を加える役割を持っています。
例えば、普通の文「I study English.(私は英語を勉強します)」に助動詞「can」を加えると「I can study English.(私は英語を勉強できます)」となり、「能力がある」という意味が追加されます。
助動詞は主に以下のような意味を表します。
- 能力・可能性(can, could)
- 未来・意志(will, would)
- 義務・必要性(must, should, have to)
- 許可・依頼(may, can, could)
- 推量・推測(may, might, must)
英語の助動詞を理解し、適切に使うことで、単なる事実だけでなく、話し手の気持ちや考え、判断なども表現できるようになります。より豊かで正確なコミュニケーションのために、助動詞はとても重要な文法要素なのです。
助動詞の基本ルール:6つの特徴
英語の助動詞にはいくつかの重要なルールがあります。これらを理解することで、助動詞を正しく使いこなせるようになります。
助動詞は主語と動詞の間に置く
助動詞は、主語と動詞の間に置きます。
例文
- I can speak Japanese.(私は日本語を話せます)
- She will come to the party.(彼女はパーティーに来るでしょう)
助動詞の後の動詞は必ず原形
助動詞を使った文では、助動詞の後の動詞は必ず原形(基本形)になります。
三人称単数(he, she, it)でも「s」はつきません。
例文
- He can play the guitar.(彼はギターを弾くことができます)
- She must study hard.(彼女は一生懸命勉強しなければなりません)
三人称単数でも助動詞に「s」はつけない
「he, she, it」などの三人称単数の主語を使うときも、助動詞には「s」をつけません。
例文
- He can swim.(彼は泳げます)※「cans」とはしない
- She will help you.(彼女はあなたを手伝うでしょう)※「wills」とはしない
疑問文では助動詞を文頭に置く
疑問文を作るときは、助動詞を主語の前(文頭)に持ってきます。
例文
- Can you help me?(手伝ってくれますか?)
- Will she come tomorrow?(彼女は明日来るでしょうか?)
否定文では助動詞の後に「not」をつける
否定文を作るときは、助動詞の直後に「not」を置きます。多くの場合、短縮形(can’t, won’t など)が使われます。
例文
- I cannot (can’t) swim.(私は泳げません)
- She will not (won’t) come tonight.(彼女は今夜来ないでしょう)
助動詞は2つ以上連続して使えない
一つの動詞に対して、2つ以上の助動詞を連続して使うことはできません。
例えば「will can」のような使い方はできません。
誤った例
She will can speak English.(彼女は英語を話せるようになるでしょう)
正しい例
- She will be able to speak English.(彼女は英語を話せるようになるでしょう)
主な助動詞一覧と基本的な使い方
英語で頻繁に使われる助動詞とその基本的な意味、使い方を一覧表にまとめました。
それぞれの助動詞について、具体的な例文と共に詳しく見ていきましょう。
助動詞 | 基本的な意味 | 例文 |
---|---|---|
can | 能力、可能性、許可 | I can play the piano.(ピアノが弾けます) |
could | 過去の能力、丁寧な依頼 | I could swim when I was five.(5歳の時泳げました) |
will | 未来、意志 | I will call you tomorrow.(明日電話します) |
would | 丁寧な依頼、過去の習慣 | Would you help me?(手伝ってくれませんか?) |
may | 許可、可能性 | You may leave now.(今、帰ってもいいですよ) |
might | 可能性(mayより低い) | It might rain tomorrow.(明日雨が降るかもしれません) |
must | 義務、強い推量 | You must study hard.(一生懸命勉強しなければなりません) |
should | 義務、アドバイス | You should see a doctor.(医者に診てもらうべきです) |
shall | 提案、申し出 | Shall we go?(行きましょうか?) |
have to | 義務、必要性 | I have to finish this today.(今日これを終わらせなければなりません) |
used to | 過去の習慣・状態 | I used to play soccer.(以前はサッカーをしていました) |
had better | 忠告、警告 | You had better hurry.(急いだ方がいいですよ) |
can / could(能力・可能性・許可)
can の使い方
「can」は「〜できる」という能力や可能性、「〜してもよい」という許可を表します。
例文
- I can run fast.(私は速く走ることができます)
- She can speak three languages.(彼女は3つの言語を話すことができます)
- You can use my pen.(私のペンを使ってもいいですよ)
否定文
- I cannot (can’t) swim.(私は泳げません)
疑問文
- Can you play the guitar?(ギターを弾けますか?)
could の使い方
「could」は「can」の過去形で、過去の能力を表します。また、現在の丁寧な依頼や可能性を表すこともあります。
例文
- I could read when I was four.(4歳の時、私は読むことができました)
- Could you open the window?(窓を開けていただけますか?)
- It could be dangerous.(それは危険かもしれません)
will / would(未来・意志・依頼)
will の使い方
「will」は未来のことや話し手の意志を表します。
例文
- I will be a doctor in the future.(将来、私は医者になります)
- She will help you tomorrow.(彼女は明日あなたを手伝うでしょう)
- I will do my best.(ベストを尽くします)
否定文
- I will not (won’t) go to the party.(私はそのパーティーに行きません)
疑問文
- Will you come to my house?(私の家に来ますか?)
would の使い方
「would」は「will」の過去形ですが、丁寧な依頼や過去の習慣も表します。
例文
- He said he would come.(彼は来ると言いました)
- Would you like some tea?(お茶はいかがですか?)
- When I was a child, I would play in the park every day.(子どもの頃、私は毎日公園で遊んでいました)
may / might(許可・可能性)
may の使い方
「may」は許可や可能性を表します。
例文
- You may leave now.(今、帰ってもいいですよ)
- May I come in?(入ってもいいですか?)
- It may rain tomorrow.(明日雨が降るかもしれません)
might の使い方
「might」は「may」よりも可能性が低いことを示します。
例文
- I might go to the beach this weekend.(今週末、ビーチに行くかもしれません)
- She might not come to the party.(彼女はそのパーティーに来ないかもしれません)
must / have to(義務・必要性・推量)
must の使い方
「must」は強い義務や必要性、また強い推量を表します。
例文
- You must follow the rules.(ルールに従わなければなりません)
- I must finish this report today.(今日このレポートを終えなければなりません)
- She must be tired after the long journey.(長い旅の後、彼女はきっと疲れているでしょう)
否定形の「must not」は「〜してはいけない」という禁止を表します。
例文
- You must not tell anyone.(誰にも言ってはいけません)
have to の使い方
「have to」も義務や必要性を表しますが、「must」より外部からの要求を表す傾向があります。
例文
- I have to go to school every day.(毎日学校に行かなければなりません)
- She has to wear a uniform at work.(彼女は仕事で制服を着なければなりません)
否定形の「don’t have to」は「〜する必要がない」という意味で、「must not」とは異なります。
例文
- You don’t have to come if you’re busy.(忙しければ、来る必要はありません)
should / ought to(義務・アドバイス)
should の使い方
「should」は義務やアドバイスを表します。「must」よりも弱い義務感を示します。
例文
- You should study harder.(もっと一生懸命勉強すべきです)
- We should help people in need.(困っている人を助けるべきです)
- You should see a doctor.(医者に診てもらうべきです)
ought to の使い方
「ought to」は「should」とほぼ同じ意味で、義務やアドバイスを表します。
例文
- You ought to respect your parents.(あなたは両親を敬うべきです)
- We ought to protect the environment.(環境を守るべきです)
助動詞の使い分け方
同じような意味を持つ助動詞がいくつかありますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
ここでは代表的な助動詞の使い分け方を説明します。
can と be able to の違い
両方とも「〜できる」という能力を表しますが、「be able to」は特定の状況での能力を強調したり、未来や完了形で使えるという特徴があります。
例文
- I can swim.(私は泳げます)- 一般的な能力
- I was able to solve the difficult problem.(その難しい問題を解くことができました)- 特定の状況での達成
- I will be able to speak English next year.(来年は英語を話せるようになるでしょう)- 未来の能力
must と have to の違い
両方とも「〜しなければならない」という義務を表しますが、「must」は話し手の強い意思や内部からの義務、「have to」は外部からの要求や客観的な必要性を示す傾向があります。
例文
- I must study hard.(一生懸命勉強しなければならない)- 自分で課した義務
- I have to wear a uniform at school.(学校では制服を着なければならない)- 学校のルールによる外部からの要求
may と might の違い
どちらも可能性を表しますが、「might」は「may」よりも可能性が低いことを示します。
例文
- It may rain tomorrow.(明日雨が降るかもしれない)- 50%程度の可能性
- It might rain tomorrow.(明日雨が降るかもしれない)- 30%程度の可能性
should と had better の違い
両方ともアドバイスを表しますが、「had better」は「should」よりも強い警告や忠告を示し、従わないと悪い結果になることを暗示します。
例文
- You should study more.(もっと勉強すべきだ)- 一般的なアドバイス
- You had better study more.(もっと勉強した方がいい)- 勉強しないと試験に落ちるなどの悪い結果を暗示
助動詞の覚え方
英語の助動詞を効率よく覚えるためのコツをいくつか紹介します。
グループ分けして覚える
助動詞を意味ごとにグループ分けして覚えると理解しやすくなります。
- 能力・可能性:can, could, be able to
- 未来・意志:will, would, shall
- 義務・必要性:must, have to, should, ought to, had better
- 許可・可能性:may, might, can, could
- 推量:will, would, may, might, must
対義語で覚える
助動詞の対義語を一緒に覚えると理解が深まります。
- can(できる)⇔ cannot/can’t(できない)
- must(しなければならない)⇔ must not(してはいけない)
- have to(しなければならない)⇔ don’t have to(する必要がない)
例文と一緒に覚える
実際の例文と一緒に助動詞を覚えると、使い方が身につきやすくなります。
自分の日常生活に関連した例文を作ってみると良いでしょう。
例文
- I can play tennis.(私はテニスができる)
- I must finish my homework.(宿題を終わらせなければならない)
- I will call you tomorrow.(明日電話するよ)
歌やリズムを使って覚える
助動詞をリズムや歌にのせて覚えるのも効果的です。
「サザエさんの歌」のメロディで覚える方法は特に初学者に人気があります。
- “do does 「ふだんから」didは「した」”
- “will「つもり」”
- “can「できる」should「すべき」”
- “May I~?「していいかい?」”
- “mustとhave toは「しなければならない」よ”
英語の助動詞に関する練習問題20選
英語の助動詞は、可能性、義務、推量、許可など様々な意味を表現するために重要です。
以下の問題を解きながら、様々な助動詞の使い方をマスターしましょう。
- 次の文の空欄に適切な助動詞を入れなさい
You _____ study hard if you want to pass the exam. - 次の文を「〜することができる」という能力を表す助動詞を使って書き換えなさい
My brother knows how to swim very well. - 次の文の助動詞の誤りを訂正しなさい
I will can speak English next year. - 次の文の空欄に適切な助動詞を入れなさい(許可を求める丁寧な表現)
_____ I use your phone? - 次の文を「〜しなければならない」という義務を表す助動詞を使って書き換えなさい
It is necessary for you to finish this work today. - 次の文の空欄に、90%の確率を表す推量の助動詞を入れなさい
It _____ rain tomorrow because the weather forecast says so. - 次の助動詞の意味の違いを説明しなさい
must not / don’t have to - 次の文を「〜したほうがよい」という助言を表す助動詞を使って書き換えなさい
It is a good idea to see a doctor. - 次の文の空欄に適切な助動詞を入れなさい(過去の習慣を表す)
When I was a child, I _____ play in the park every day. - 次の文を「〜だったかもしれない」という過去の可能性を表す表現に書き換えなさい
Perhaps he was at home yesterday. - 次の文の空欄に適切な助動詞を入れなさい(丁寧な依頼)
_____ you mind opening the window? - 次の文を助動詞を使って書き換えなさい
I don’t think he is at home now. - 次の助動詞の使い分けを説明しなさい
will / be going to - 次の文の空欄に適切な助動詞を入れなさい(提案を表す)
_____ we go to the movies tonight? - 次の文を「〜するべきだった」という過去の義務を表す表現に書き換えなさい
It was necessary for me to call him, but I didn’t. - 次の文の空欄に適切な助動詞を入れなさい(推測を表す)
That _____ be John at the door. I’m expecting him. - 次の文を「〜することができた」という過去の能力を表す表現に書き換えなさい
She was able to solve the problem. - 次の文の空欄に適切な助動詞を入れなさい(過去の否定の義務)
You _____ told her the truth. Now she’s upset. - 次の文を「〜する必要がある」という必要性を表す表現に書き換えなさい
It is necessary to have a passport for international travel. - 次の文の空欄に適切な助動詞の完了形を入れなさい(過去の推測)
She _____ _____ the test, because she looks happy.
これらの問題を通して、助動詞の様々な用法について学ぶことができます。英語の助動詞は、話し手の気持ちや態度、可能性の度合い、義務や必要性など、微妙なニュアンスを表現するための重要な要素です。
正確に使い分けることで、より自然で豊かな英語表現ができるようになります。
助動詞に関するよくある質問
- 「can」と「may」の違いは何ですか?
-
両方とも「〜してもよい」という許可を表すことができますが、「may」はより丁寧・フォーマルな表現です。また、「can」は能力(〜できる)も表しますが、「may」は主に許可や可能性を表します。
- Can I use your pen?(あなたのペンを使ってもいいですか?)- やや砕けた表現
- May I use your pen?(あなたのペンを使わせていただいてもよろしいですか?)- より丁寧
- 「must」と「have to」の否定形の違いは何ですか?
-
「must not」は「〜してはいけない」という禁止を表しますが、「don’t have to」は「〜する必要がない」という不必要を表します。意味が大きく異なるので注意が必要です。
- You must not smoke here.(ここでタバコを吸ってはいけません)- 禁止
- You don’t have to come if you’re busy.(忙しければ、来る必要はありません)- 不必要
- 「will」と「be going to」の違いは何ですか?
-
どちらも未来のことを表しますが、「will」は話す瞬間に決めた意志や単純な未来の予測を表すことが多く、「be going to」は事前に計画していたことや現在の状況から予測される未来を表すことが多いです。
- I will help you.(手伝います)- 今決めた意志
- I am going to help you.(手伝うつもりです)- 前から計画していた
- 助動詞を2つ続けて使うことはできますか?
-
いいえ、一つの動詞に対して助動詞を2つ続けて使うことはできません。例えば「will can」「must will」などは文法的に誤りです。代わりに、最初の助動詞の後に適切な表現を使います。
- 誤:She will can speak English.
- 正:She will be able to speak English.(彼女は英語が話せるようになるでしょう)
- 過去の出来事に対する推量を表すにはどうすればいいですか?
-
過去の出来事に対する推量は「助動詞 + have + 過去分詞」の形で表現します。
- He must have been tired.(彼は疲れていたに違いありません)
- She may have forgotten about the meeting.(彼女は会議のことを忘れていたかもしれません)
- They could have arrived late.(彼らは遅く到着したかもしれません)
まとめ

英語の助動詞は、動詞に新たな意味を加え、話し手の気持ちや判断を表現する重要な文法要素です。
この記事では、以下のようなポイントを解説しました。
- 助動詞の基本概念:助動詞は動詞を助ける言葉で、能力、可能性、義務、許可、推量などを表します。
- 助動詞の6つの基本ルール
- 主語と動詞の間に置く
- 後の動詞は原形
- 三人称単数でもsはつけない
- 疑問文では文頭に置く
- 否定文では後にnotをつける
- 2つ以上連続して使えない
- 主な助動詞とその使い方
- can/could(能力、可能性、許可)
- will/would(未来、意志、依頼)
- may/might(許可、可能性)
- must/have to(義務、必要性)
- should/ought to(義務、アドバイス)
- 助動詞の使い分け方
- can と be able to
- must と have to
- may と might
- should と had better
- 助動詞の覚え方
- グループ分けして覚える
- 対義語で覚える
- 例文と一緒に覚える
- 歌やリズムを使って覚える
助動詞は一見小さな単語ですが、文の意味やニュアンスを大きく変える力を持っています。日常会話でも頻繁に使われるため、しっかりと理解し使いこなせるようになると、英語表現の幅が広がります。
この記事で解説した内容を参考に、実際の会話や文章で積極的に助動詞を使ってみましょう。練習を重ねるうちに、自然と適切な助動詞が選べるようになるでしょう。