日本語では「ひげ」と一語で表現することが多いですが、英語では顔のどの部分に生えるひげなのかによって、様々な単語が使い分けられています。あごひげ、口ひげ、無精ひげなど、それぞれに対応する英単語があり、ネイティブスピーカーは日常会話の中でこれらを正確に区別して使用します。
この記事では、ヒゲを表す英単語の違いや意味、使い分けのポイントについて詳しく解説し、実用的な例文も紹介します。英語でヒゲに関する会話をする際に役立つ知識を身につけましょう。
ヒゲを表す英単語

英語では、ヒゲの種類や生える場所によって、以下のような様々な英単語が使われています。
ヒゲを表す英単語
- beard(ビアード):あごひげ、頬からあごにかけて生えるひげ
- mustache/moustache(マスタッシュ):口ひげ、上唇の上に生えるひげ
- whisker(s)(ウィスカー):ほおひげ、または動物のひげ
- goatee(ゴーティー):やぎひげ、あごの先端部分だけに生えるひげ
- stubble(スタブル):無精ひげ、数日間剃らずに生えた短いひげ
- sideburns(サイドバーンズ):もみあげ、耳の前に伸ばすひげ
- five o’clock shadow(ファイブオクロックシャドウ):夕方のひげ、朝剃ったあとに夕方までに生えてくる短いひげ
- handlebar mustache(ハンドルバーマスタッシュ):両端が上向きに曲がった口ひげ
- full beard(フルビアード):顔の下半分全体を覆うひげ
これらの英単語は、ヒゲのスタイルや形状、生える位置によって使い分けられ、英語圏ではそれぞれのヒゲに対して適切な単語を使うことが一般的です。
ヒゲを表す英単語の発音・意味・特徴と使い分け【例文あり】
ここでは、ヒゲを表す各英単語について、その発音、意味、使い方の特徴、そして実際の例文を詳しく解説します。これらの知識を身につけることで、英語でのヒゲに関する会話がより自然でスムーズになるでしょう。
beard(ビアード)
意味と特徴
beardは主に「あごひげ」を指し、あごから頬にかけて生える髭全体のことを表します。発音は「ビアード」で、「ベアード」ではないので注意が必要です。beardは単に「あごひげ」だけではなく、顔全体のひげを総称する場合にも使われることがあります。また、beardは男性の象徴として扱われることも多く、「grow a beard(ひげを伸ばす)」「shave off a beard(ひげを剃る)」などの表現でよく使われます。
使い分けのポイント
beardは一般的に「あごひげ」を指しますが、文脈によっては顔全体のひげを指すこともあります。特定のひげのスタイルを指す場合には、より具体的な単語(mustacheやgoateeなど)を使うとよいでしょう。また、「to grow a beard」(ひげを伸ばす)、「to trim a beard」(ひげを整える)、「to shave off a beard」(ひげを剃る)などの表現がよく使われます。
例文
- He has a long black beard. (彼は長い黒いあごひげを生やしています。)
- My father decided to grow a beard last month. (父は先月あごひげを伸ばすことにしました。)
- I need to trim my beard before the job interview. (就職面接の前にあごひげを整える必要があります。)
mustache/moustache(マスタッシュ)
意味と特徴
mustache(米国式綴り)またはmoustache(英国式綴り)は、上唇の上に生える「口ひげ」を指します。発音は「マスタッシュ」です。口の周りだけに生えるひげなので、あごひげとは明確に区別されます。mustacheという単語はmouth(口)と語源が似ているので覚えやすいとされています。様々なスタイルの口ひげがあり、ファッションや個性の表現として重要な役割を果たすことがあります。
使い分けのポイント
mustacheは上唇の上に生えるひげのみを指し、あごや頬に生えるひげは含みません。口ひげのスタイルによって、handlebar mustache(両端が上向きに曲がった口ひげ)など、より具体的な表現が使われることもあります。「to grow a mustache」(口ひげを伸ばす)、「to trim a mustache」(口ひげを整える)などの表現がよく使われます。
例文
- My uncle has a thick black mustache. (叔父は濃い黒い口ひげを生やしています。)
- The teacher with the mustache is very kind. (口ひげを生やしている先生はとても親切です。)
- He decided to shave his mustache for the wedding. (彼は結婚式のために口ひげを剃ることにしました。)
whisker(s)(ウィスカー)
意味と特徴
whiskerは主に「ほおひげ」を指しますが、動物(特に猫や犬)のひげを表す場合にもよく使われます。通常は複数形のwhiskersで使用されます。人間の場合、頬に生える毛のことを指し、昔の表現では「whiskers」と呼ばれていました。現代では、動物のひげを指す場合が多いです。
使い分けのポイント
whisker(s)は現代英語では主に動物のひげを指すことが多くなっています。人間のほおひげを指す場合は、やや古風な表現になります。複数形のwhiskersで使うことが一般的です。特に猫のひげについて話す場合は、ほぼ必ずwhiskersが使われます。
例文
- Cats use their whiskers to navigate in the dark. (猫は暗闇で方向を見定めるためにひげを使います。)
- The old sailor had long white whiskers. (その年老いた船乗りは長い白いほおひげを生やしていました。)
- My cat’s whiskers are very sensitive. (私の猫のひげはとても敏感です。)
goatee(ゴーティー)
意味と特徴
goateeは「やぎひげ」と呼ばれ、あごの先端部分だけに生やす小さなとがったひげのことです。名前の通り、山羊のようなひげの形状をしています。発音は「ゴーティー」です。あごの下部分だけに生えるひげで、口の周りには生えていないスタイルのことを指します。ファッションの一部として、特に若い男性の間で人気があります。
使い分けのポイント
goateeは特定のひげのスタイルを指し、あごの先端部分だけに生えるひげのことです。口ひげ(mustache)とは区別されます。よりスタイリッシュで現代的なひげのスタイルを表現する場合に使われます。「to grow a goatee」(やぎひげを伸ばす)、「to trim a goatee」(やぎひげを整える)などの表現がよく使われます。
例文
- He looks cool with his new goatee. (彼は新しいやぎひげがとてもかっこいい。)
- My brother decided to try growing a goatee last week. (兄は先週やぎひげを伸ばしてみることにしました。)
- The artist is known for his thin goatee. (その芸術家は細いやぎひげで知られています。)
stubble(スタブル)
意味と特徴
stubbleは「無精ひげ」を指し、数日間剃らずに生えてきた短いひげのことです。発音は「スタブル」です。この単語は、穀物などが刈り取られた後に残る「刈り株」の意味もあり、顔に生えた短いひげが刈り株のように見えることから、この表現が使われるようになりました。カジュアルな印象を与えるひげのスタイルで、特に若い男性の間で人気があります。
使い分けのポイント
stubbleは不可算名詞で通常は単数形で使います。数日間ひげを剃らなかった結果生えてくる短いひげを表現する場合に使います。「three-day stubble」(3日間分の無精ひげ)のように、期間を指定することもあります。また、「to have stubble」(無精ひげを生やしている)という表現がよく使われます。
例文
- He has three-day stubble on his face. (彼の顔には3日分の無精ひげがあります。)
- Many women find stubble attractive on men. (多くの女性は男性の無精ひげが魅力的だと感じています。)
- I need to shave, my stubble is getting too long. (ひげを剃る必要があります、無精ひげが長くなってきています。)
sideburns(サイドバーンズ)
意味と特徴
sideburnsは「もみあげ」を指し、耳の前から頬にかけて伸ばすひげのことです。発音は「サイドバーンズ」です。常に複数形で使われます。歴史的には、19世紀のアメリカの将軍アンブローズ・バーンサイド(Ambrose Burnside)にちなんで名付けられました(彼の名前から「バーンサイド」が「サイドバーン」に変化したと言われています)。現代ではファッションの一部として様々な長さや形のもみあげが見られます。
使い分けのポイント
sideburnsは常に複数形で使われます。耳の前から頬にかけて伸びるひげを指し、あごや上唇のひげとは区別されます。「long sideburns」(長いもみあげ)、「short sideburns」(短いもみあげ)などのように長さを指定することがよくあります。「to grow sideburns」(もみあげを伸ばす)、「to trim sideburns」(もみあげを整える)などの表現がよく使われます。
例文
- His sideburns reach down to his jaw. (彼のもみあげはあごまで伸びています。)
- I want to grow sideburns like my father used to have. (父が昔生やしていたようなもみあげを伸ばしたいです。)
- The singer is famous for his long sideburns. (その歌手は長いもみあげで有名です。)
five o’clock shadow(ファイブオクロックシャドウ)
意味と特徴
five o’clock shadowは「夕方のひげ」とも呼ばれ、朝ひげを剃った後、夕方までに生えてくる短いひげのことです。発音は「ファイブオクロックシャドウ」です。名前の由来は、多くの男性が朝に髭を剃り、仕事が終わる5時頃には再び短いひげが生え始め、顔に影のようにひげが見えることからきています。髭の濃い男性に特によく使われる表現です。
使い分けのポイント
five o’clock shadowは一日の終わりごろに見られる短いひげの陰影を指します。stubbleよりもさらに短く、朝剃ったあとの同じ日に生えてくるひげを表現する場合に使います。「to have a five o’clock shadow」(夕方のひげが出ている)という表現でよく使われます。
例文
- By 5 PM, he always has a visible five o’clock shadow. (午後5時までには、彼はいつも目に見える夕方のひげが生えています。)
- Even after shaving in the morning, he has a five o’clock shadow by lunch. (朝剃ったとしても、昼食までには夕方のひげが生えています。)
- Some actors intentionally maintain a five o’clock shadow for certain roles. (一部の俳優は特定の役のために意図的に夕方のひげを保っています。)
handlebar mustache(ハンドルバーマスタッシュ)
意味と特徴
handlebar mustacheは両端が上向きに曲がった特徴的な形の口ひげを指します。発音は「ハンドルバーマスタッシュ」です。名前の由来は、その形状が自転車のハンドルバー(handlebar)に似ていることからきています。19世紀から20世紀初頭に特に人気があり、現代ではレトロなスタイルとして時々見られます。ワックスなどで形を整えることが多いです。
使い分けのポイント
handlebar mustacheは特定の形状の口ひげを指し、両端が上向きにカールしている特徴があります。スタイリッシュで目立つひげのスタイルを表現する場合に使われます。「to grow a handlebar mustache」(ハンドルバー口ひげを伸ばす)、「to wax a handlebar mustache」(ハンドルバー口ひげにワックスを塗る)などの表現がよく使われます。
例文
- The circus ringmaster had an impressive handlebar mustache. (サーカスの司会者は印象的なハンドルバー口ひげを生やしていました。)
- He spends ten minutes every morning styling his handlebar mustache. (彼は毎朝10分かけてハンドルバー口ひげをスタイリングしています。)
- My grandfather used to have a big handlebar mustache in his youth. (祖父は若い頃大きなハンドルバー口ひげを生やしていました。)
full beard(フルビアード)
意味と特徴
full beardは顔の下半分全体を覆うあごひげのことを指します。発音は「フルビアード」です。あご、頬、口の周りを含む顔の下部全体にひげが生えているスタイルです。伝統的な男性らしさやワイルドさを表現するひげのスタイルとして知られており、様々な長さや手入れのレベルがあります。
使い分けのポイント
full beardは顔全体のひげを指し、部分的なひげ(goateeやmustacheなど)とは区別されます。完全に顔の下半分を覆うひげのスタイルを表現する場合に使われます。「to grow a full beard」(フルビアードを伸ばす)、「to maintain a full beard」(フルビアードを手入れする)などの表現がよく使われます。
例文
- He grew a full beard for the winter months. (彼は冬の間フルビアードを伸ばしました。)
- My brother looks completely different with his new full beard. (兄は新しいフルビアードで全く別人に見えます。)
- Taking care of a full beard requires more time and effort. (フルビアードの手入れには、より多くの時間と労力が必要です。)
ヒゲを表す英単語の比較表
以下の表は、ヒゲを表す様々な英単語の特徴や使い方を比較したものです。
英単語 | 日本語訳 | 特徴 | 主な位置 | よく使われる表現 |
---|---|---|---|---|
beard | あごひげ | あごや頬全体のひげ | あご、頬 | grow a beard, trim a beard |
mustache | 口ひげ | 上唇の上に生えるひげ | 上唇 | grow a mustache, trim a mustache |
whiskers | ほおひげ、動物のひげ | 頬に生えるひげ、動物のひげ | 頬、動物の口周り | cat’s whiskers |
goatee | やぎひげ | あごの先端部分のひげ | あご先 | grow a goatee, trim a goatee |
stubble | 無精ひげ | 数日間剃っていない短いひげ | 顔全体 | three-day stubble |
sideburns | もみあげ | 耳の前から伸びるひげ | 耳の前、頬 | grow sideburns, trim sideburns |
five o’clock shadow | 夕方のひげ | 朝剃った後、夕方に生えるひげ | 顔全体 | have a five o’clock shadow |
handlebar mustache | ハンドルバー口ひげ | 両端が上向きに曲がった口ひげ | 上唇 | style a handlebar mustache |
full beard | フルビアード | 顔の下半分全体を覆うひげ | 顔下半分 | grow a full beard, maintain a full beard |
ヒゲを表す英単語の使い分け練習問題
以下の問題を解いて、ヒゲを表す英単語の使い分けを練習しましょう。適切な単語を選んで文を完成させてください。
- My grandfather has a long white _ on his chin and cheeks.
- The cat’s _ help it navigate in the dark.
- After three days without shaving, he had _ on his face.
- The circus performer had a large _ with the ends curled up.
- He only has hair on his chin, so it’s called a _.
- By the end of the workday, he always has a _ on his face.
- Elvis Presley was famous for his long _ that extended down his cheeks.
- I need to trim my _ above my upper lip.
- He has a _ that covers his entire lower face.
- The old man’s white _ made him look wise.
- After the morning shave, he already had a _ by 5 PM.
- Many hipsters prefer to grow a _ on their chin only.
- The historical photos show men with large _ on their faces.
- Cats and dogs have sensitive _ that help them sense their environment.
- The actor shaved his _ for his new movie role.
- I prefer men with short _ rather than clean-shaven faces.
- My brother is growing his _ in front of his ears longer.
- The Victorian gentleman had a well-waxed _ that curled at the ends.
- A _ requires more maintenance than just a mustache.
- The old photo shows my great-grandfather with impressive _ on both sides of his face.
ヒゲを表す英単語に関するよくある質問
- 「beard」と「mustache」の違いは何ですか?
-
beardは主にあごや頬に生えるひげを指し、mustacheは上唇の上に生えるひげ(口ひげ)を指します。beardはより広い範囲を覆うひげで、mustacheは限定された部分のひげです。例えば、「He has a beard but no mustache.」(彼はあごひげはあるけど口ひげはない)というように、区別して使うことができます。
- 「whiskers」は人間と動物、どちらのひげを指しますか?
-
whiskersは元々は人間のほおひげを指す言葉でしたが、現代では主に動物(特に猫や犬)のひげを指す言葉として使われることが多くなっています。人間のほおひげを指す場合は、やや古風な表現になります。「The cat’s whiskers are very sensitive.」(猫のひげはとても敏感です)というように、動物のひげについて話す時によく使われます。
- 「stubble」と「five o’clock shadow」の違いは何ですか?
-
stubbleは数日間剃らずに生えた短いひげを指し、five o’clock shadowは朝剃った後、同じ日の夕方(traditionally 5時頃)までに生えてくる非常に短いひげを指します。stubbleはより長く成長した無精ひげで、five o’clock shadowはより短く、一日の間に見え始めるひげです。髭が濃い男性は、朝剃っても夕方には既にfive o’clock shadowが見えることがあります。
- ひげを剃ることを英語で何と言いますか?
-
ひげを剃ることは英語で「to shave」と言います。例えば、「I need to shave my beard.」(あごひげを剃る必要があります)、「He shaved his mustache off.」(彼は口ひげを剃り落としました)のように使います。また、「剃る」という行為そのものを名詞として「a shave」と表現することもあります。例えば、「I need a shave.」(ひげを剃る必要があります)のように使います。
- ひげを伸ばすことを英語で何と言いますか?
-
ひげを伸ばすことは英語で「to grow a beard/mustache/etc.」と言います。例えば、「He decided to grow a beard for the winter.」(彼は冬のためにあごひげを伸ばすことにしました)、「I’m trying to grow a mustache.」(口ひげを伸ばそうとしています)のように使います。また、既に伸びているひげについては「have」や「wear」を使って、「He has a beard.」(彼はあごひげを生やしています)、「He wears a mustache.」(彼は口ひげを生やしています)のように表現することもできます。
- 「clean-shaven」とはどういう意味ですか?
-
「clean-shaven」はひげを完全に剃って、顔にひげがない状態を表す形容詞です。「He is clean-shaven.」(彼はひげを剃っている)や「I prefer a clean-shaven look.」(私はひげを剃った外見が好きです)のように使います。特に仕事やフォーマルな場面では、clean-shavenであることが求められることもあります。
まとめ

この記事では、英語でのヒゲを表す様々な単語について詳しく解説しました。日本語では単に「ひげ」と一語で表現することが多いですが、英語ではヒゲの生える場所やスタイルによって異なる単語が使われます。
beard(あごひげ)、mustache(口ひげ)、whiskers(ほおひげ/動物のひげ)、goatee(やぎひげ)、stubble(無精ひげ)、sideburns(もみあげ)、five o’clock shadow(夕方のひげ)、handlebar mustache(ハンドルバー口ひげ)、full beard(フルビアード)など、それぞれの単語には独自の意味や使い方があります。
興味深いことに、日本語にも実は「髭(し)」「鬚(しゅ)」「髯(ぜん)」のように、ヒゲの種類によって異なる漢字が当てられていますが、現代ではあまり区別せずに使われているようです。英語ではこれらの違いがはっきりと単語の使い分けになっているため、正確に表現したい場合は適切な単語を選ぶことが重要です。
これらの単語を適切に使い分けることで、英語でのヒゲに関する会話がより自然で正確になります。日常会話やファッション、グルーミングに関する話題で役立つでしょう。