「Between a rock and a hard place」は英語の慣用句で、「二つの悪い選択肢の間で板挟みになる」「どちらを選んでも苦しい状況に置かれる」という意味を持ちます。日本語では「進退窮まる」「板挟みになる」「八方塞がり」といった表現に近いです。
この記事では、この表現の詳しい意味や使い方、さらに初心者でも使いやすい例文を紹介していきます。
「Between a rock and a hard place」の基本的な意味

「Between a rock and a hard place」とは、文字通りには「岩と硬い場所の間にいる」という意味ですが、実際には「どちらを選んでも良くない二つの選択肢の間で苦しんでいる状態」を表します。選択を迫られているが、どの選択肢も望ましくない状況にあることを示す表現です。
状況から抜け出すことが難しく、どんな決断をしても何らかの不利益や困難が待ち受けているというニュアンスがあります。
語源と由来
この慣用句の起源はアメリカの鉱山労働者たちの苦境を描いた表現だと言われています。1910年代のアリゾナ州で起きた鉱山労働者のストライキに関連しています。労働者たちは組合(the rock)と会社(the hard place)の間で板挟みになり、どちらの側につくかという厳しい選択を迫られていました。
時を経て、この表現は広く一般的な困難な状況を表す慣用句として使われるようになりました。
類似表現との比較
「Between a rock and a hard place」と似た意味を持つ英語表現には「Caught between the devil and the deep blue sea(悪魔と深い青い海の間で板挟み)」があります。どちらも選択肢がなく苦しい状況を表しますが、ニュアンスがやや異なります。
また「Between Scylla and Charybdis(スキュラとカリュブディスの間)」というギリシャ神話に由来する類似表現もありますが、こちらはより文学的で使用頻度は低いです。
「Between a rock and a hard place」の正しい使い方
この表現は、困難な状況や選択に直面していることを伝えたいときに使います。特に、どの選択肢も理想的ではなく、避けたい結果につながる場合に適しています。
日常会話やビジネスでの交渉、意思決定の場面など、幅広い状況で使われます。
日常会話での使い方
友人や家族との会話で、難しい選択を迫られている状況を説明するときに使えます。例えば、仕事と家庭のバランスに悩んでいるとき、予定が重なってどちらかを選ばなければならないとき、限られた予算でやりくりしなければならないときなどです。
単に「I’m between a rock and a hard place」と言うだけで、聞き手は話し手が板挟み状態にあることを理解できます。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスにおいても、コスト削減と品質維持の両立、締め切りと完璧さのバランス、複数のステークホルダーの要求に応えるなど、難しい決断を迫られる場面は多くあります。
会議やプレゼンテーションで「We find ourselves between a rock and a hard place」と言えば、組織や部門が直面している困難な状況を簡潔に表現できます。
文法的な注意点
この表現は通常、「be between a rock and a hard place」、「find oneself between a rock and a hard place」、「be caught/stuck between a rock and a hard place」などの形で使われます。主語は人や組織など、選択を行う主体になります。
また、この慣用句は文全体の一部として機能し、単独で使うことはあまりありません。
「Between a rock and a hard place」の分かりやすい例文
ここでは、中学英語レベルの簡単な例文を通して、この表現がどのように使われるかを見ていきましょう。
実際の使用場面が想像できるように、日常的な状況を想定した例を挙げています。
基本的な例文
例文
- I am between a rock and a hard place. I must choose between my job and my family.
(私は板挟み状態です。仕事と家族のどちらかを選ばなければなりません。) - She feels between a rock and a hard place because she promised to attend two events on the same day.
(彼女は同じ日に2つのイベントに参加することを約束したため、板挟み状態だと感じています。) - My brother is between a rock and a hard place. He needs money but he hates his job.
(私の兄は板挟み状態です。彼はお金が必要ですが、仕事が嫌いです。)
状況別の例文
学校
- Tom is between a rock and a hard place. He must study for the test or join the soccer game.
(トムは板挟み状態です。テストの勉強をするかサッカーの試合に参加するか決めなければなりません。)
家族
- My parents are between a rock and a hard place. They want to save money, but they also need to fix our old car.
(私の両親は板挟み状態です。お金を貯めたいですが、古い車を修理する必要もあります
友達
- I am between a rock and a hard place. My two best friends are fighting and both want me to take their side.
(私は板挟み状態です。親友2人が喧嘩していて、両方とも自分の味方になってほしいと言っています。)
「Between a rock and a hard place」に関するよくある質問
この表現について初学者がよく持つ疑問に答えていきます。これらの質問と回答を通じて、表現の理解をさらに深めましょう。
- 「Between a rock and a hard place」は会話でよく使われますか?
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はい、この表現は日常会話でよく使われます。特に困難な選択や状況について話す時に便利です。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使えるため、様々なシチュエーションで役立ちます。ただし、ビジネスや学術的な文書では、より具体的な表現を使うことが好まれる場合もあります。
- 日本語で同じような意味の表現はありますか?
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日本語では「板挟み」「進退窮まる」「八方塞がり」「二律背反」などの表現が似た意味を持ちます。特に「板挟み」は、二つの異なる要求や圧力の間で困っている状況を表す点で、この英語表現に最も近いと言えるでしょう。状況によって最適な訳し方は変わってきます。
まとめ

この記事のポイントを整理すると、
- 「Between a rock and a hard place」は「板挟みの状態」「進退窮まった状況」を意味する英語の慣用句である。
- 元々はアメリカの鉱山労働者のストライキに関連して生まれた表現である。
- 「どちらを選んでも望ましくない選択肢の間で苦しむ」というニュアンスがある。
- 日常会話からビジネスまで幅広いシーンで使用できる。
- 「be between a rock and a hard place」「find oneself between a rock and a hard place」などの形で使われる。
- 類似表現として「Caught between the devil and the deep blue sea」がある。
- 日本語では「板挟み」「進退窮まる」「八方塞がり」などに相当する。
- 中学英語レベルでも理解・使用できる基本的な表現である。
この表現を覚えておくと、困難な選択や状況を簡潔に表現できるようになります。英会話や英作文で活用してみてください。