「beyond」は英語で主に前置詞として使われる単語で、「〜の向こうに」「〜を超えて」「〜以上に」などの意味を持ちます。また、副詞としても使われることがあり、日常会話から学術的な文脈まで幅広く活用される便利な表現です。
この記事では、英語初学者の方でも理解しやすいように「beyond」の意味と使い方を豊富な例文とともに詳しく解説していきます。
beyondとは?基本的な意味と使い方

「beyond」は、最も基本的には「〜の向こう側に」という空間的な位置関係を表す前置詞です。また、そこから派生して「〜を超えて」「〜の範囲を超えて」「〜以上に」といった意味でも使われます。日本語に完全に対応する言葉がないため、文脈によって訳し方が変わることも多い表現です。
「beyond」の基本的な使い方は、何かの境界や限界を超えていることを示す場合に用いられます。物理的な境界(川や山など)を超えた場所を指すこともあれば、能力や理解の限界を超えているという抽象的な意味で使われることもあります。
例文
- The school is beyond the park.(学校は公園の向こう側にあります)
- The stars are beyond our reach.(星々は私たちの手の届かない場所にあります)
- This math problem is beyond my ability.(この数学の問題は私の能力を超えています)
- Her kindness is beyond words.(彼女の優しさは言葉では表せません)
「beyond」は「over」や「above」といった類似の前置詞と混同されがちですが、「beyond」は単に「上回る」というだけでなく、「範囲や限界を完全に超えている」というニュアンスが強い点が特徴です。
beyondの場所を表す使い方
「beyond」の最も基本的な使い方は、場所や位置関係を表す用法です。何かの向こう側や先にある位置関係を示します。この用法では、基準となる場所や物を超えた先にあることを意味します。
場所を表す「beyond」は、地図での方向説明や位置の描写でよく使われます。「〜の向こう側に」という意味で、何かの境界線や目印となるものを超えた場所を示します。
例文
- Our house is beyond the river.(私たちの家は川の向こう側にあります)
- There is a small village beyond those mountains.(あの山々の向こうに小さな村があります)
- The treasure is hidden somewhere beyond the forest.(宝物は森の向こうのどこかに隠されています)
- I cannot see beyond the fog.(霧の向こうは見えません)
特に旅行や道案内の際には、「beyond」を使った表現がよく登場します。目的地への道順を説明する時に、目印となる建物や場所を基準点として使うことが多いでしょう。
beyondとover/acrossの違い
「beyond」と似た意味を持つ前置詞に「over」と「across」がありますが、それぞれニュアンスが異なります。
「over」は主に「〜の上を越えて」という垂直方向の移動や位置関係を表します。一方「across」は「〜を横切って」という平面上の移動を表現します。それに対して「beyond」は「〜を通り過ぎた先に」という意味合いが強く、基準点からさらに先にある場所を示します。
例文比較
- The bird flew over the house.(鳥は家の上を飛びました)
- We walked across the bridge.(私たちは橋を渡りました)
- The school is beyond the bridge.(学校は橋の向こう側にあります)
これらの違いを理解することで、より正確に位置関係を英語で表現できるようになります。特に「beyond」は単なる「先」ではなく、何かの境界や目印を「超えた先」という意味合いがあることを覚えておきましょう。
beyondの時間を表す使い方
「beyond」は場所だけでなく、時間的な関係を表すためにも使われます。時間を表す「beyond」は、ある時点や期間を超えて続くことを意味します。予定されていた時間や期限を超えるという文脈でよく使われます。
時間的な「beyond」は、「〜を過ぎて」「〜以降に」という意味で使われ、計画や予想を超えて何かが続くようなシチュエーションで使われることが多いです。
例文
- The meeting went beyond 5 o’clock.(会議は5時を過ぎて続きました)
- His influence extended beyond his lifetime.(彼の影響力は彼の生涯を超えて広がりました)
- This tradition dates from beyond the 18th century.(この伝統は18世紀よりも前から続いています)
- The project continued beyond the deadline.(そのプロジェクトは期限を過ぎても続きました)
時間を表す「beyond」は、歴史や伝統について語る際にもよく使われます。特に古代の出来事や記録が残っていない時代について触れる時に役立つ表現です。
beyondとafterの違い
時間表現では「beyond」と「after」が似た意味で使われることがありますが、両者には微妙な違いがあります。
「after」は単に「〜の後に」という時間的な前後関係を表します。一方「beyond」は「〜を超えて」という意味で、単なる時間の前後関係だけでなく、ある基準点や境界線を越えるニュアンスがあります。「beyond」は特に予定や期待を超えた時間を強調する場合に使われます。
例文比較
- We will meet after lunch.(私たちは昼食後に会います)
- The party continued beyond midnight.(パーティーは真夜中を過ぎても続きました)
「after」は日常的な時間の順序を示す場合によく使われますが、「beyond」は期限や予定を超えるという特別な状況を強調したい場合に使われることが多いです。
beyondの程度や限度を超える使い方
「beyond」の重要な用法の一つに、程度や限度を超えることを表す使い方があります。この用法では、能力、理解、想像、期待などの限界を超えていることを表現します。
程度を表す「beyond」は、何かが通常の範囲や限界を超えていることを強調するために使われます。特に「〜の理解を超えている」「〜の能力を超えている」という文脈でよく使われます。
例文
- This question is beyond my understanding.(この質問は私の理解を超えています)
- The results were beyond our expectations.(結果は私たちの期待を超えるものでした)
- Her beauty is beyond description.(彼女の美しさは言葉では表せません)
- The cost was beyond our budget.(その費用は私たちの予算を超えていました)
この用法は、肯定的な表現にも否定的な表現にも使えます。何かが素晴らしすぎて言葉にできないような場合にも、何かが難しすぎて対処できないような場合にも「beyond」を使うことができます。
beyondとover/aboveの違い
程度を表す表現では、「beyond」「over」「above」がしばしば混同されますが、それぞれ微妙にニュアンスが異なります。
「over」と「above」は主に数量的に「〜より多い」「〜を超える」という意味で使われます。一方「beyond」は質的に「〜の範囲・能力を超えている」「〜の理解の範囲外」というニュアンスが強いです。
例文比較
- The temperature is over 30 degrees.(気温は30度を超えています)
- Her score was above average.(彼女の点数は平均以上でした)
- This concept is beyond my comprehension.(この概念は私の理解を超えています)
「beyond」は特に抽象的な概念や能力の限界を表現する場合に適しており、単なる数値的な比較よりも、質的な範囲の超越を示します。
beyondを使った熟語表現
「beyond」を含む熟語表現は英語に数多く存在し、日常会話や文章でよく使われます。これらの表現を知っておくと、英語でのコミュニケーション能力が格段に向上します。
「beyond」を含む熟語は、多くの場合「限界を超える」という「beyond」の基本的な意味から派生しています。以下に代表的な熟語表現をいくつか紹介します。
beyond doubt(疑いの余地がない)
「beyond doubt」は「疑いの余地がなく」「確実に」という意味で、何かが絶対的に確かであることを強調する表現です。
例文
- It is beyond doubt that he is telling the truth.(彼が真実を話していることは間違いありません)
- The evidence proves his innocence beyond doubt.(証拠は彼の無実を疑いの余地なく証明しています)
beyond question(疑問の余地がない)
「beyond question」も「beyond doubt」と似た意味で、「議論の余地なく」「確実に」という意味です。
例文
- His talent is beyond question.(彼の才能は疑問の余地がありません)
- The benefits of exercise are beyond question.(運動の効果は議論の余地がありません)
beyond belief(信じられないほど)
「beyond belief」は「信じられないほど」「驚くべき」という意味で、何かが常識や想像の範囲を超えていることを表します。
例文
- The story was strange beyond belief.(その話は信じられないほど奇妙でした)
- Her performance was amazing beyond belief.(彼女の演技は信じられないほど素晴らしかった)
beyond repair(修理不能)
「beyond repair」は「修理できないほど壊れている」「回復不可能な」という意味で、物が修理できないほど損傷している場合や、関係などが修復不可能な状態を表します。
例文
- The old car is beyond repair.(その古い車は修理不能です)
- Their relationship was damaged beyond repair.(彼らの関係は修復不可能なほど損なわれていました)
beyond compare(比類のない)
「beyond compare」は「比較を超えて」「比類のない」という意味で、何かが非常に優れていて他と比較できないほどであることを表します。
例文
- Her voice is beyond compare.(彼女の声は比類がありません)
- The beauty of this place is beyond compare.(この場所の美しさは比類がありません)
above and beyond(それ以上に、格別に)
「above and beyond」は「義務や期待以上に」「特に努力して」という意味で、何かが通常求められる範囲を超えて行われたことを表します。
例文
- He went above and beyond to help us.(彼は特別に努力して私たちを助けてくれました)
- Her work goes above and beyond what was required.(彼女の仕事は求められていたものを超えています)
これらの熟語表現は、日常会話だけでなく、ビジネス文書や学術論文でもよく使われるので、覚えておくと役立ちます。
beyondのよくある間違いと注意点
「beyond」を使う際によくある間違いや注意すべき点をいくつか紹介します。これらを理解することで、より正確に「beyond」を使いこなせるようになるでしょう。
beyondとpastの混同
「beyond」と「past」はどちらも「〜を過ぎて」という意味を持ちますが、使い方とニュアンスが異なります。
「past」は「〜の傍を通り過ぎて」という意味で、通過の行為そのものを強調します。一方「beyond」は「〜の向こう側に」という位置関係を強調します。
例文比較
- He walked past my house.(彼は私の家の前を通り過ぎました)
- He lives beyond my house.(彼は私の家の向こう側に住んでいます)
「past」は動きや通過を表現する場合に適していますが、「beyond」は位置関係や限界を超えていることを表す場合に適しています。
前置詞としてのbeyondの後には名詞が来る
「beyond」を前置詞として使う場合、その後には必ず名詞(または名詞句)が続く必要があります。動詞をそのまま続けることはできません。
誤った例This issue is beyond solve.
正しい例
This issue is beyond solving.(この問題は解決不可能です)
This issue is beyond our ability to solve.(この問題は私たちの解決能力を超えています)
「beyond」の後に動詞を使いたい場合は、動名詞(〜ing形)にするか、「ability to 〜」「capacity to 〜」などの名詞句を使う必要があります。
beyondは単独でも使える
「beyond」は前置詞としての用法が一般的ですが、副詞として単独で使うこともできます。副詞として使われる場合、「さらに先に」「向こう側に」という意味になります。
例文
- From here and beyond, the road gets steeper.(ここからさらに先は、道がより急になります)
- He looked beyond and saw the mountains.(彼は遠くを見て、山々を見ました)
ただし、副詞としての使用は前置詞ほど一般的ではないため、英語初学者は前置詞としての使い方をまず習得することをお勧めします。
beyondを含む表現の訳し方に注意
「beyond」を含む表現は文脈によって様々な訳し方ができるため、単純に「〜の向こうに」と訳すだけでは不自然になることがあります。特に抽象的な用法では、日本語の自然な表現に置き換える必要があります。
例文
- It’s beyond me.
- 直訳:「それは私の向こうにある」
- 適切な訳:「それは私には理解できない」「それは私の手に負えない」
文脈に応じた適切な訳し方を心がけることで、英語表現の本当の意味を理解できるようになります。
beyondに関する問題
この見出しでは、英単語「beyond」に関連する問題を作成します。「beyond」は「~を超えて」「~の向こうに」「~以上に」といった意味を持つ単語です。
これをテーマにした問題を通じて、英語表現や文法の理解を深めることを目的とします。
- 次の文の空欄に最も適切な単語を選びなさい。
“The view from the mountain extends ______ the horizon.”
a) beyond
b) under
c) between
d) across - 次の文の意味に最も近いものを選びなさい。
“Her skills are beyond comparison.”
a) 彼女のスキルは比較できないほど素晴らしい。
b) 彼女のスキルは比較する価値がない。
c) 彼女のスキルは普通以下である。
d) 彼女のスキルは平均的である。 - 次の文の空欄に適切な単語を入れなさい。
“This problem is ______ my ability to solve.”
a) beyond
b) within
c) under
d) over - 次の文で正しい選択肢を選びなさい。
“The treasure was hidden ______ the old castle.”
a) beyond
b) inside
c) beneath
d) above - 次の文を完成させるために最適な単語を選びなさい。
“The concept goes ______ what we learned in school.”
a) beyond
b) below
c) around
d) through - 次の文で適切な単語を選びなさい。
“His influence extends far ______ his own country.”
a) beyond
b) within
c) across
d) into - 次の文で空欄に入る適切な単語を選びなさい。
“The river flows ______ the valley and into the sea.”
a) through
b) beyond
c) under
d) around - 次の文で正しい選択肢を選びなさい。
“The sun set ______ the mountains, painting the sky orange.”
a) beyond
b) below
c) above
d) around - 次の英文を完成させるために正しい単語を選びなさい。
“Her kindness goes far ______ expectations.”
a) beyond
b) below
c) over
d) under - 次の文で空欄に入る適切な単語を選びなさい。
“The plane flew ______ the clouds, offering a stunning view of the earth below.”
a) above
b) beyond
c) through
d) under
この問題セットでは、「beyond」の意味や使い方だけでなく、それ以外の関連する英単語や表現も学べるよう工夫しました。
beyondに関するよくある質問
「beyond」に関して初学者がよく抱く疑問とその回答をまとめました。
- 「beyond」は副詞としても使えますか?
-
はい、「beyond」は前置詞としての用法が一般的ですが、副詞としても使うことができます。副詞として使う場合は、「さらに先へ」「向こう側に」という意味になります。
- Look beyond and you will see the future.(さらに先を見れば、未来が見えるでしょう)
- We need to think beyond if we want to solve this problem.(この問題を解決したいなら、もっと広い視野で考える必要があります)
ただし、副詞としての用法は前置詞ほど一般的ではありません。
- 「go beyond」はどういう意味ですか?
-
「go beyond」は「〜を超える」「〜以上のことをする」という意味の表現です。物理的な距離を超える場合と、抽象的に期待や義務を超えるという場合があります。
- We need to go beyond traditional methods.(私たちは従来の方法を超える必要があります)
- Her performance went beyond what we expected.(彼女の演技は私たちの期待を超えるものでした)
- Don’t go beyond this point.(この地点を超えて行かないでください)
「go beyond」は特に、目標や基準を超えて努力することを表現する場合によく使われます。
- 「beyond one’s control」の意味は?
-
「beyond one’s control」は「自分の力ではどうにもならない」「制御不能の」という意味です。自分の力や影響力が及ばない状況を表現するときに使われます。
- The weather is beyond our control.(天気は私たちにはコントロールできません)
- The accident was beyond his control.(その事故は彼の力ではどうにもできませんでした)
- Some factors in life are beyond our control.(人生にはコントロールできない要素もあります)
この表現は、責任を負えない状況を説明する際によく使われます。
- 「beyond measure」とはどういう意味ですか?
-
「beyond measure」は「測り知れないほど」「非常に」という意味の表現です。何かの程度が通常の測定基準を超えていることを強調します。
- She was happy beyond measure.(彼女は測り知れないほど幸せでした)
- We are grateful beyond measure for your help.(あなたの助けに計り知れないほど感謝しています)
- His contribution to science is valuable beyond measure.(科学への彼の貢献は計り知れないほど価値があります)
「beyond measure」は、感情や価値の強さを表現する場合によく使われます。
- 「beyond a shadow of doubt」の意味は?
-
「beyond a shadow of doubt」は「まったく疑いの余地なく」「確実に」という意味の表現です。「beyond doubt」よりもさらに強調された表現です。
- He is guilty beyond a shadow of doubt.(彼が有罪であることはまったく疑いの余地がありません)
- The evidence proves beyond a shadow of doubt that she was there.(証拠は彼女がそこにいたことを完全に証明しています)
法廷や公式な議論の場でよく使われる表現です。
まとめ

この記事では、英語の「beyond」の意味と使い方について詳しく解説しました。「beyond」は単純な前置詞ですが、場所、時間、程度など様々な文脈で使われる奥深い表現です。
基本的な意味から熟語表現まで幅広く学ぶことで、英語の表現力が大きく向上するでしょう。以下に「beyond」に関する重要なポイントをまとめます。
- 「beyond」は主に前置詞として使われ、「〜の向こうに」「〜を超えて」の基本的な意味を持つ
- 場所を表す用法では、何かの境界や目印を超えた先にあることを示す
- 時間を表す用法では、ある時点や期限を超えて続くことを表現する
- 程度や限度を表す用法では、能力や理解の範囲を超えていることを示す
- 「beyond doubt」「beyond repair」「above and beyond」など多くの熟語表現がある
- 前置詞としての「beyond」の後には必ず名詞(または名詞句)が来る
- 「beyond」は副詞としても使えるが、前置詞の用法が一般的
- 類似した前置詞(over, above, past)との違いを理解することが重要
「beyond」の様々な使い方をマスターすることで、より正確で豊かな英語表現が可能になります。日常会話はもちろん、ビジネスや学術的な場面でも役立つ表現なので、ぜひ積極的に使ってみてください。
さらに多くの例文に触れることで、自然な使い方が身についていくでしょう。