「Born with a silver spoon in your mouth」は英語でよく使われるイディオム(慣用句)です。直訳すると「銀のスプーンをくわえて生まれる」という意味ですが、実際には「裕福な家庭に生まれる」「恵まれた環境で育つ」という意味を持っています。このイディオムは、生まれながらにして経済的・社会的に恵まれた立場にある人を表現するときに使われます。
本記事では、このイディオムの意味や使い方、由来などを英語初学者向けに詳しく解説します。
「Born with a silver spoon in your mouth」の基本的な意味

「Born with a silver spoon in your mouth」は、生まれた時から裕福で恵まれた環境にあり、苦労せずに様々な特権や機会を得られる人を表現するイディオムです。お金持ちの家庭に生まれ、質の高い教育を受け、何不自由なく育った人を指して使われます。
このイディオムは単に経済的な豊かさだけでなく、社会的地位や特権も含意しています。親の地位や名声のおかげで、自分自身の努力なしに得られる利益や機会がある状況を表す場合もあります。
イディオムの由来
このイディオムの起源は中世ヨーロッパにまでさかのぼります。当時、銀製のスプーンは富と社会的地位の象徴でした。裕福な家庭では、生まれた子どもに銀のスプーンを贈る習慣があり、それが「銀のスプーンをくわえて生まれる」という表現の元になったといわれています。
貴族や富裕層の子どもたちは銀製の食器を使う一方、一般庶民は木製や鉄製の食器を使っていました。このような階級の違いを表す表現として、このイディオムが広まったという説もあります。
日本語の類似表現
日本語では「お坊ちゃま育ち」「お嬢様育ち」「温室育ち」などが似た意味を持つ表現として挙げられます。
これらはいずれも、恵まれた環境で育ち、苦労知らずの人を指す言葉です。
「Born with a silver spoon in your mouth」の使い方と例文
このイディオムは主に「be born with a silver spoon in one’s mouth」の形で使われます。
過去形の「was/were born with a silver spoon in one’s mouth」の形でもよく使われます。
基本的な使い方のパターン
基本的な使い方は以下のとおりです。
- be born with a silver spoon in one’s mouth
- was/were born with a silver spoon in one’s mouth
「one’s」の部分には、状況に応じて his, her, your, my などの所有格が入ります。
初心者向け簡単例文
以下に、中学英語レベルの簡単な例文を紹介します。
例文
- Tom was born with a silver spoon in his mouth. His parents are very rich.(トムは裕福な家庭に生まれました。彼の両親はとても金持ちです)
- I was not born with a silver spoon in my mouth. I had to work hard for everything.(私は裕福な家庭に生まれませんでした。私はすべてのために一生懸命働かなければなりませんでした)
- She was born with a silver spoon in her mouth and went to the best schools.(彼女は恵まれた環境で育ち、最高の学校に通いました)
- Were you born with a silver spoon in your mouth?(あなたは裕福な家庭の出身ですか?)
- They were not born with silver spoons in their mouths, but they worked hard and became successful.(彼らは裕福な家庭に生まれませんでしたが、一生懸命働いて成功しました)
日常会話での使用例
日常会話では、以下のような使われ方をします。
例文
- A: Why does Jack always get what he wants?(なぜジャックはいつも欲しいものを手に入れるの?)
- B: Well, he was born with a silver spoon in his mouth. His family is very wealthy.(そりゃあ、彼は裕福な家庭に生まれたからさ。彼の家族はとても裕福だよ)
例文
- A: Mary never had to worry about paying for college.(メアリーは大学の学費のことで心配したことがないね)
- B: That is because she was born with a silver spoon in her mouth.(それは彼女が恵まれた家庭に生まれたからだよ)
「Born with a silver spoon in your mouth」の類義表現と対義表現
英語には「Born with a silver spoon in your mouth」と似た意味や反対の意味を持つ表現がいくつかあります。
類義表現
例文
- Born into wealth(裕福に生まれる) より直接的な表現で、裕福な家庭に生まれたことを表します。
- 例:He was born into wealth and never knew what it was like to struggle.(彼は裕福な家庭に生まれ、苦労がどういうものか知りませんでした)
- Have it made(成功が約束されている) すでに成功が保証されている状況を指します。
- 例:With her family connections, she has it made.(彼女は家族のコネクションがあるので、成功は約束されています)
- Born with a golden spoon(金のスプーンをくわえて生まれる)
- 「Born with a silver spoon」のバリエーションで、より裕福であることを強調します。
対義表現
例文
- Self-made man/woman(自力で成功した人) 恵まれた環境ではなく、自分の努力で成功を収めた人を指します。
- 例:He is a self-made man who started with nothing.(彼は何もないところから始めた、自力で成功した人です)
- Born on the wrong side of the tracks(恵まれない環境に生まれる) 貧しい地域や恵まれない環境に生まれたことを示す表現です。
- 例:She was born on the wrong side of the tracks but worked her way up.(彼女は恵まれない環境に生まれましたが、努力して成功しました)
「Born with a silver spoon in your mouth」に関するよくある質問
- 「Born with a silver spoon in your mouth」は否定的な意味で使われますか?
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このイディオムは状況によって中立的にも否定的にも使われます。単に「彼は裕福な家庭に生まれた」と事実を述べる場合は中立的です。しかし、「彼は銀のスプーンをくわえて生まれたから、苦労を知らない」というように特権に甘えていることを批判する文脈では否定的なニュアンスを帯びることがあります。
- このイディオムは現代でもよく使われますか?
-
はい、このイディオムは現代の英語でも頻繁に使われています。特に社会的格差や経済的不平等について議論する際によく登場します。ニュースや雑誌、SNSなどでも見かけることがあります。
- 「silver spoon」だけでも同じ意味になりますか?
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「silver spoon」だけでも、文脈によっては「裕福な出自」を表すことがあります。例えば、「He comes from a silver spoon background」(彼は裕福な家庭の出身です)というように使われることもあります。ただし、完全なイディオムとしては「born with a silver spoon in one’s mouth」の形で使われるのが一般的です。
- 日本語で同じような意味の表現はありますか?
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日本語では「お坊ちゃま育ち」「お嬢様育ち」「温室育ち」などが似た意味を持ちます。また、「箱入り娘」という表現も、大切に守られて育てられた人という意味で部分的に似ています。
まとめ

「Born with a silver spoon in your mouth」についての重要なポイントを以下にまとめます。
- このイディオムは「裕福な家庭に生まれる」「恵まれた環境で育つ」という意味です。
- 中世ヨーロッパの貴族文化に由来し、銀のスプーンが富と地位の象徴だったことから生まれました。
- 基本的な形は「be born with a silver spoon in one’s mouth」です。
- 状況によって中立的にも否定的にも使うことができます。
- 類似表現には「born into wealth」「have it made」などがあります。
- 反対の意味を持つ表現には「self-made man/woman」「born on the wrong side of the tracks」などがあります。
- 日本語では「お坊ちゃま育ち」「温室育ち」などが似た意味を持ちます。
- 現代の英語でも社会的格差や特権について語る際によく使われる表現です。
このイディオムを理解することで、英語の表現力が豊かになり、ネイティブスピーカーとのコミュニケーションがより円滑になるでしょう。
日常会話や英語のメディアでこの表現を見かけたら、その意味を理解できるようになりましょう。