「bring forward」は英語でよく使われる句動詞(phrasal verb)の一つで、日本語では状況によって「前倒しにする」「繰り上げる」「提案する」「提出する」などと訳されます。
一見シンプルに見えるこの表現ですが、実は複数の異なる意味を持ち、場面によって使い方も変わります。
この記事では「bring forward」の基本的な意味から実際の使い方まで、例文を交えながら詳しく解説していきます。
「bring forward」の基本的な意味
「bring forward」には主に4つの基本的な意味があります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
予定や日程を前倒しにする・繰り上げる
最もよく使われる意味の一つが、「予定されていた時間や日付を早める」というものです。
例文
- We need to bring forward the project deadline due to client requirements.
(クライアントの要件により、プロジェクトの締め切りを前倒しにする必要があります。) - The company decided to bring forward the product launch from December to October.
(その会社は製品発売を12月から10月に前倒しすることを決定しました。) - Can we bring forward tomorrow’s meeting by an hour? I have another appointment in the afternoon.
(明日の会議を1時間早めることはできますか?午後に別の約束があります。)
議題や問題を提起する・提案する
2つ目の意味は、「議題や問題点を会議などで取り上げる・提案する」というものです。
例文
- I’d like to bring forward some concerns about the new marketing strategy.
(新しいマーケティング戦略について懸念を提起したいと思います。) - She brought forward an interesting idea at yesterday’s brainstorming session.
(彼女は昨日のブレインストーミングセッションで面白いアイデアを提案しました。) - The committee member brought forward a motion to change the organization’s structure.
(委員会のメンバーは組織の構造を変更する動議を提出しました。)
証拠や情報を提示する・提出する
3つ目の意味は、「証拠や情報を提示する・公開する」というものです。
例文
- The lawyer brought forward new evidence that changed the course of the trial.
(弁護士は裁判の流れを変えた新しい証拠を提出しました。) - The researchers brought forward their findings at the international conference.
(研究者たちは国際会議で彼らの調査結果を発表しました。) - Can you bring forward any examples to support your argument?
(あなたの主張を裏付ける例を何か提示できますか?)
会計で数字を繰り越す
4つ目の意味は、会計や経理で使われる専門的な用法で、「前のページや期間から数字や残高を繰り越す」というものです。
例文
- We need to bring forward last month’s balance to this month’s account.
(先月の残高を今月の勘定に繰り越す必要があります。) - The accountant brought forward the credit balance of ¥50,000 from the previous fiscal year.
(会計士は前会計年度から5万円の貸方残高を繰り越しました。) - Please make sure to bring forward the correct totals from page 3 to page 4.
(3ページの正確な合計を4ページに繰り越すようにしてください。)
「bring forward」の文法と構造
「bring forward」は文法的にいくつかの形で使うことができます。
基本構造
基本的には「bring + 目的語 + forward」または「bring forward + 目的語」の形で使われます。
例文
- The government brought forward its plans for tax reform.
(政府は税制改革の計画を前倒しにしました。) - We should bring these issues forward at the next team meeting.
(次のチーム会議でこれらの問題を提起すべきです。)
前倒しにする期間や新しい日時の表現
日程を前倒しにする場合、「by + 期間」または「from…to…」、「to + 新しい日時」の形でよく使われます。
例文
- The university brought forward the exam dates by two weeks.
(大学は試験日を2週間前倒しにしました。) - They brought forward the conference from July to May.
(彼らは会議を7月から5月に前倒しました。) - The meeting has been brought forward to 9 AM tomorrow.
(会議は明日の午前9時に前倒しされました。)
受動態での使用
「bring forward」は受動態でもよく使われます。特に公式の通知や発表でこの形が見られます。
例文
- The deadline has been brought forward due to unforeseen circumstances.
(予期せぬ状況により、締め切りが前倒しになりました。) - Several new proposals were brought forward during the discussion.
(議論の中でいくつかの新しい提案が提起されました。) - The launch date has been brought forward to capitalize on the holiday season.
(休暇シーズンを活用するために発売日が前倒しにされました。)
「bring forward」を使った表現・フレーズ
「bring forward」を含むよく使われる表現やフレーズをいくつか紹介します。
「bring forward a proposal/idea/suggestion」(提案・アイデア・提案を提出する)
例文
- The marketing team brought forward a proposal for a new advertising campaign.
(マーケティングチームは新しい広告キャンペーンの提案を出しました。) - He brought forward a suggestion to improve the customer service process.
(彼は顧客サービスプロセスを改善するための提案を出しました。)
「bring forward the date/time」(日付・時間を前倒しする)
例文
- We had to bring forward the date of the wedding because of venue availability.
(会場の都合で結婚式の日を前倒しにしなければなりませんでした。) - The committee decided to bring forward the time of the evening event to 6 PM.
(委員会は夕方のイベントの時間を午後6時に前倒しすることを決定しました。)
「bring forward evidence/information」(証拠・情報を提示する)
例文
- The defense attorney brought forward evidence that proved his client’s innocence.
(弁護人は依頼人の無罪を証明する証拠を提出しました。) - The journalist brought forward information about corruption in the local government.
(そのジャーナリストは地方政府の汚職に関する情報を公開しました。)
「bring forward」と類似表現の違い
「bring forward」と似た意味を持つ表現をいくつか比較してみましょう。
「bring forward」と「move up」
「move up」も予定を早める意味で使われますが、「bring forward」は特にビジネスや公式な文脈でより一般的に使われます。
「move up」はややカジュアルな印象があります。
例文
- The board of directors decided to bring forward the annual meeting.
(取締役会は年次総会を前倒しにすることを決定しました。)- より公式 - Let’s move up our lunch to 12 instead of 1.
(ランチを1時ではなく12時に早めましょう。)- よりカジュアル
「bring forward」と「advance」
「advance」も予定を早める意味を持ちますが、「bring forward」は具体的な予定や日程の変更に焦点を当て、「advance」はより一般的な「前進させる」というニュアンスがあります。
例文
- We need to bring forward the project deadline by a week.
(プロジェクトの締め切りを1週間前倒しにする必要があります。)- 具体的な日程変更 - The company is looking to advance its position in the market.
(その会社は市場での地位を前進させることを目指しています。)- より一般的な前進
「bring forward」と「expedite」
「expedite」はプロセスやタスクを早める・促進するという意味ですが、「bring forward」は特に日程や時間の前倒しに関連します。
例文
- We decided to bring forward the conference from October to September.
(カンファレンスを10月から9月に前倒しすることにしました。)- 日程の前倒し - We need to expedite the approval process for this application.
(このアプリケーションの承認プロセスを早める必要があります。)- プロセスの促進
「bring forward」を使った会話例
会話例1:会議の日程変更について
例文
- A: I just received an email about tomorrow’s team meeting. Has something changed?
(明日のチーム会議についてメールを受け取りました。何か変更があったのですか?) - B: Yes, we’ve had to bring forward the meeting from 2 PM to 10 AM because the CEO needs to attend an emergency board meeting in the afternoon.
(はい、CEOが午後に緊急の取締役会に出席する必要があるため、会議を午後2時から午前10時に前倒しにしました。) - A: I see. Thanks for letting me know. I’ll adjust my schedule accordingly.
(なるほど。教えてくれてありがとう。それに合わせてスケジュールを調整します。)
会話例2:プロジェクトのアイデア提案
例文
- A: During yesterday’s brainstorming session, you mentioned you wanted to bring forward some ideas for the new project?
(昨日のブレインストーミングセッションで、新しいプロジェクトのためのいくつかのアイデアを提案したいと言っていましたね?) - B: Yes, I’d like to bring forward a proposal for redesigning our website to make it more user-friendly.
(はい、ウェブサイトをより使いやすくするためのリデザイン提案を出したいと思います。) - A: That sounds interesting. Please prepare a presentation for next week’s meeting so we can discuss it in detail.
(それは興味深いですね。来週の会議でそれについて詳細に議論できるようにプレゼンテーションを準備してください。)
まとめ:「bring forward」の使い方のポイント

「bring forward」は英語でよく使われる句動詞で、特にビジネスや公式な場面で役立つ表現です。
この表現の主なポイントをまとめると、
- 予定や日程を前倒しにする・早める場合に使われます。
- 議題や問題点を提起・提案する場合に使われます。
- 証拠や情報を提示・提出する場合に使われます。
- 会計で前の期間から数字を繰り越す場合に使われます。
- 「by + 期間」「from…to…」「to + 新しい日時」などの表現と組み合わせて使われることが多いです。
- 「move up」「advance」「expedite」などの類似表現と比べて、より公式で幅広い意味を持ちます。
「bring forward」をマスターすれば、予定変更や提案など、様々な場面で正確に自分の意図を伝えることができるようになります。
ビジネスシーンはもちろん、日常会話でも役立つこの表現を、ぜひ積極的に使ってみてください。