英語で「育てる」や「成長する」を表現する時、bring up、grow up、raiseなどの単語・フレーズがあります。日本語では単に「育てる」「成長する」と言えばよいのですが、英語では対象や状況によって使い分ける必要があります。これらの違いを理解せずに使うと、思わぬ誤解を招くことがあるので注意が必要です。
この記事では、これらの表現の違いと正しい使い方を、わかりやすく解説します。
「育てる・成長する」の基本的な違い

「育てる」「成長する」を表す英語表現は、自動詞か他動詞か、また何を対象にするかによって使い分けが必要です。まず基本的な違いを理解しましょう。
自動詞と他動詞の違いを簡単に説明すると、自動詞は「誰が・何が〜する」という主語だけで成立する動詞で、他動詞は「誰が・何が〜を〜する」と目的語を必要とする動詞です。
基本的な違いは以下の通りです。
- grow up(自動詞):「(人が)成長する、大人になる」
- grow(自動詞):「(人・動物・植物が)成長する」
- grow(他動詞):「(植物を)育てる、栽培する」
- bring up(他動詞):「(人を)育てる」(特に親が子を育てる場合)
- raise(他動詞):「(人・動物・植物を)育てる」
それぞれの用法について、より詳しく見ていきましょう。
grow upの意味と使い方
grow upは「成長する」という意味の自動詞です。特に「子どもから大人へと成長する」という意味合いが強いです。
grow upは人にのみ使用し、「大人になる」というニュアンスを含みます。単に「成長する」だけでなく、「精神的・身体的に大人になる過程」を表現します。
例文
- I grew up in Tokyo.(私は東京で育ちました)
- My son is growing up quickly.(息子はあっという間に大きくなっています)
- She grew up in a small village.(彼女は小さな村で育ちました)
- We grew up together.(私たちは一緒に育ちました)
- Children grow up fast.(子どもたちはすぐに大きくなります)
grow upは過去形で「grew up」、進行形で「growing up」となります。
growの意味と使い方
growは自動詞と他動詞の両方で使われる単語です。
自動詞としてのgrow
自動詞のgrowは「成長する」「大きくなる」という意味で、人・動物・植物など広く使えます。単純に「サイズが大きくなる」「数が増える」といった意味でも使います。
例文
- The tree grew very tall.(その木はとても高く育ちました)
- My hair grows quickly.(私の髪は速く伸びます)
- The number of students is growing every year.(生徒の数は毎年増えています)
- Flowers grow well in spring.(花は春によく育ちます)
- The population of this town is growing.(この町の人口は増加しています)
他動詞としてのgrow
他動詞のgrowは「(植物を)育てる、栽培する」という意味です。「人を育てる」という意味では使いません。家庭菜園でも商業農業でも使えます。
例文
- I grow tomatoes in my garden.(私は庭でトマトを育てています)
- My grandfather grows beautiful roses.(私の祖父は美しいバラを育てています)
- Farmers grow rice in this area.(農家はこの地域で米を栽培しています)
- She likes to grow herbs on her balcony.(彼女はバルコニーでハーブを育てるのが好きです)
- We grow vegetables at school.(私たちは学校で野菜を育てています)
bring upの意味と使い方
bring upは他動詞で、「(人を)育てる」という意味です。特に「親が子どもを育てる」というニュアンスが強く、人を対象にしか使いません。植物や動物には使用しません。
「up」は「上へ」というイメージで、子どもが大人へと成長する過程で親が導くというニュアンスが含まれています。
例文
- My grandmother brought me up.(私の祖母が私を育てました)
- They brought up three children.(彼らは3人の子どもを育てました)
- He was brought up by his uncle.(彼は叔父に育てられました)
- Parents should bring up their children with love.(親は愛情を持って子どもを育てるべきです)
- How were you brought up?(あなたはどのように育てられましたか?)
bring upは過去形・過去分詞形で「brought up」となります。受動態の「be brought up(育てられる)」でもよく使われます。
raiseの意味と使い方
raiseは他動詞で、「育てる」という意味では最も汎用性が高いです。人・動物・植物のどれを対象にしても使えます。ただし、動物や植物の場合は「作物を栽培する」「家畜を飼育する」という意味合いが強くなります。
raiseには「上げる」という基本的な意味があり、それが「育て上げる」という意味に発展しています。アメリカ英語ではよく使われます。
例文
- She raised two children alone.(彼女は一人で2人の子どもを育てました)
- Farmers raise cattle in this region.(農家はこの地域で牛を飼育しています)
- They raise wheat and corn.(彼らは小麦とトウモロコシを栽培しています)
- My uncle raises sheep.(私の叔父は羊を飼育しています)
- He was raised in a small town.(彼は小さな町で育てられました)
raiseも受動態の「be raised(育てられる)」でよく使われます。
受動態での「育つ」の表現方法
他動詞の「育てる」を受動態にすると「育てられる→育つ」という意味になります。英語学習者がよく間違えるポイントですので、注意しましょう。
例文
- I was raised in Osaka.(私は大阪で育ちました)
- She was brought up in a wealthy family.(彼女は裕福な家庭で育ちました)
- They were raised by their grandparents.(彼らは祖父母に育てられました)
- Many children are brought up to respect their elders.(多くの子どもたちは年長者を敬うように育てられます)
- He was raised to be independent.(彼は自立するように育てられました)
「育てる」や「成長する」に関連する他の類似表現との違い
「育てる」や「成長する」に関連する他の表現もいくつかあります。これらの違いも理解しておきましょう。
make progress
make progressは「進歩する」「向上する」という意味で、特に技術や能力の向上に使われます。単なる成長ではなく、何かのスキルや学習が進歩したときに使います。
例文
- I’m making progress in English.(英語で進歩しています)
- She has made a lot of progress in piano.(彼女はピアノでたくさん上達しました)
- The students are making good progress.(生徒たちはよく上達しています)
improve
improveも「上達する」「向上する」「改善する」という意味で、技術や能力、状況などが良くなる場合に使います。
例文
- My English is improving.(私の英語は上達しています)
- His health has improved.(彼の健康状態は改善しました)
- She improved her cooking skills.(彼女は料理の腕を上げました)
「bring up」と「grow up」と「raise」の使い分け練習問題
以下の問題を解いて、bring up、grow up、raiseの使い分けを練習しましょう。かっこ内に適切な表現を入れてください。
- I ( ) in Kyoto.
- My mother ( ) three children.
- She ( ) beautiful flowers in her garden.
- He ( ) on a farm.
- They ( ) by their grandmother.
- Farmers ( ) rice in this area.
- Children ( ) so fast.
- My grandfather ( ) me when I was a child.
- We ( ) vegetables in our school garden.
- She ( ) in a small village.
- Parents ( ) their children with love.
- The tree ( ) very tall last year.
- I ( ) by my uncle and aunt.
- He ( ) chickens on his farm.
- We ( ) together in the same neighborhood.
- My aunt ( ) her children to be polite.
- Tomatoes ( ) well in summer.
- She ( ) roses in her backyard.
- I ( ) to respect my elders.
- The children ( ) in a happy environment.
bring up・grow up・raiseに関するよくある質問
- grow upとbring upの違いは何ですか?
-
grow upは自動詞で「(人が)成長する、大人になる」という意味です。「I grew up in Tokyo.(私は東京で育ちました)」のように使います。一方、bring upは他動詞で「(人を)育てる」という意味です。「My grandmother brought me up.(私の祖母が私を育てました)」のように使います。主に親が子を育てるときに使います。
- 植物を育てる場合はどの表現を使えばいいですか?
-
植物を育てる場合は、growまたはraiseを使います。「I grow tomatoes in my garden.(私は庭でトマトを育てています)」「Farmers raise crops.(農家は作物を栽培しています)」などと表現できます。bring upは植物に対しては使いません。
- 動物を育てる場合はどうですか?
-
動物を育てる場合は主にraiseを使います。「They raise cattle on their farm.(彼らは農場で牛を飼育しています)」のように使います。商業目的の飼育に使われることが多いです。ペットは通常「have」や「keep」を使って「I have a dog.(私は犬を飼っています)」のように表現します。
- 「私は日本で育ちました」と言いたい場合はどうすればいいですか?
-
「I grew up in Japan.」「I was raised in Japan.」「I was brought up in Japan.」のいずれも正しい表現です。自分が成長したことを強調するならgrew up、誰かに育てられたことを示すなら受動態のwas raisedやwas brought upを使います。
- grow、grow up、raise、bring upの過去形はどうなりますか?
-
grow→grew、grow up→grew up、raise→raised、bring up→brought upです。過去分詞形はそれぞれgrown、grown up、raised、brought upとなります。
まとめ

この記事では、英語で「育てる」「成長する」を表す表現の違いと使い分けについて解説しました。ポイントをまとめると、
- grow up(自動詞):「(人が)成長する、大人になる」
- 人にのみ使用
- 「子どもから大人へ」というニュアンス
- grow(自動詞):「(人・動物・植物が)成長する」
- 人・動物・植物など広く使える
- サイズの増加や数の増加にも使える
- grow(他動詞):「(植物を)育てる、栽培する」
- 植物にのみ使用
- 人や動物を対象にはしない
- bring up(他動詞):「(人を)育てる」
- 人にのみ使用
- 特に親が子を育てるニュアンス
- 受動態のbe brought upでよく使われる
- raise(他動詞):「(人・動物・植物を)育てる」
- 汎用性が高く、人・動物・植物のどれにも使える
- 動物や植物は主に商業目的の飼育・栽培に使われる
- 受動態のbe raisedでよく使われる
日本語では単に「育てる」「育つ」と言えばよいものが、英語では対象や状況によって使い分ける必要があります。この記事で解説した内容をしっかり理解して、英語で正確に表現できるようになりましょう。特に「自動詞」と「他動詞」の区別、そして何を対象にするかによって使い分けることが重要です。
これらの表現を使い分けることができれば、より自然で正確な英語表現ができるようになります。ぜひ日常会話や英作文で実践してみてください。