英語学習を始めたばかりの方にとって、前置詞「by」と「with」の使い分けは頭を悩ませる問題の一つです。どちらも日本語では「〜で」と訳されることが多いため、どんな場面でどちらを使うべきか迷ってしまいます。
「by」と「with」の違いを明確に理解することで、自然な英語表現ができるようになります。
この記事では、初学者の方でも理解できるよう、具体例を交えながら詳しく解説していきます。
「by」と「with」の基本的な意味

前置詞「by」と「with」はそれぞれ異なる基本的な意味を持っています。これを理解することが使い分けの第一歩となります。
「by」の基本的な意味は「〜のそばに」「〜によって」です。何かに近接している、または何かによって行為が達成されるというイメージを持ちます。
例えば「I stood by the door(私はドアのそばに立っていました)」という表現では、ドアの近くにいるという位置関係を表しています。
一方、「with」の基本的な意味は「〜と一緒に」「〜を伴って」です。何かが他のものと共に存在している、または何かを用いて行為を行うイメージです。
例えば「I went to the park with my friend(私は友達と公園に行きました)」では、友達と共に行動したことを表しています。
「by」の主な使い方と例文
「by」は主にどのような場面で使われるのでしょうか。具体的な用法と例文を見ていきましょう。
交通手段を表す場合
「by」は電車、バス、車、飛行機など、移動するための乗り物を示す時によく使われます。
例文
- I go to school by bus every morning.(私は毎朝バスで学校に行きます。)
- My father goes to work by car.(父は車で仕事に行きます。)
- We traveled to Kyoto by train.(私たちは電車で京都に旅行しました。)
注意点として、「by」の後の交通手段には通常、冠詞(a/an/the)をつけません。
連絡手段を表す場合
「by」は電話、メール、手紙など、情報を伝える手段を表す時にも使われます。
例文
- I sent a message by email.(私はメールでメッセージを送りました。)
- She contacted me by phone.(彼女は電話で私に連絡しました。)
- He received the news by letter.(彼は手紙でそのニュースを受け取りました。)
ここでも、「by」の後に来る手段には通常、冠詞をつけません。
動名詞と一緒に使う場合
「by」は動名詞(〜ing形)と一緒に使って、「〜することによって」という方法を表すことができます。
例文
- You can improve your English by reading books.(本を読むことで英語を上達させることができます。)
- I save money by walking to school.(学校に歩いて行くことでお金を節約しています。)
- She keeps healthy by swimming every day.(彼女は毎日泳ぐことで健康を保っています。)
受動態で行為者を示す場合
受動態の文で、行為を行った人や物を示す際にも「by」が使われます。
例文
- This book was written by a famous writer.(この本は有名な作家によって書かれました。)
- The window was broken by the strong wind.(窓は強風によって壊されました。)
- The song is loved by many people.(その歌は多くの人に愛されています。)
「with」の主な使い方と例文
次に、「with」の主な使い方を例文と共に見ていきましょう。
道具を表す場合
「with」は行為を行うための道具や物を表す時によく使われます。
例文
- I cut the paper with scissors.(私ははさみで紙を切りました。)
- She wrote her name with a blue pen.(彼女は青いペンで名前を書きました。)
- He opened the box with a key.(彼は鍵で箱を開けました。)
これらの例では、はさみ、ペン、鍵といった具体的な道具を使って行為を行っています。
体の一部を使う場合
体の一部を使った動作を表す時にも「with」を使います。
例文
- She pointed at the picture with her finger.(彼女は指で絵を指しました。)
- He kicked the ball with his right foot.(彼は右足でボールを蹴りました。)
- I touched the cat with my hand.(私は手で猫に触りました。)
付随するものを表す場合
「with」は何かに付随するものや特徴を表すこともあります。
例文
- I like coffee with milk.(私はミルク入りのコーヒーが好きです。)
- She bought a bag with many pockets.(彼女はたくさんのポケットが付いたバッグを買いました。)
- He wore a shirt with blue stripes.(彼は青い縞模様のシャツを着ていました。)
「by」と「with」の使い分けのポイント
「by」と「with」の基本的な使い方を理解したところで、両者の使い分けのポイントをいくつか確認しましょう。
手段か道具か
最も一般的な使い分けのポイントは、表したいものが「手段」なのか「道具」なのかという点です。
- 「by」:交通手段や連絡手段など、何かを成し遂げるための方法や過程を表します。
- 「with」:行為を行うために直接使用する物や道具を表します。
例文
- I go to school by bus.(私はバスで学校に行きます。)→ バスは交通手段
- I cut the bread with a knife.(私はナイフでパンを切ります。)→ ナイフは道具
他の選択肢があるかないか
もう一つの視点は、頭の中に他の選択肢があるかないかという点です。
- 「by」:他の選択肢が頭の中にある場合に使います。
- 「with」:他の選択肢が頭の中にない場合に使います。
例えば、「I went to Tokyo by train.(私は電車で東京に行きました。)」と言う場合、「電車で行くか、バスで行くか、飛行機で行くか」など、他の選択肢も考えられます。
一方、「I wrote a letter with a pen.(私はペンで手紙を書きました。)」と言う場合、「ペンで書く」ということだけを考えていて、他の選択肢は特に頭にありません。
抽象的か具体的か
「by」と「with」の使い分けには、表したいものが抽象的か具体的かという点も関係しています。
- 「by」:より抽象的な手段や方法を表す際に使います。
- 「with」:より具体的な道具や物を表す際に使います。
例文
- We solved the problem by talking about it.(私たちはそれについて話し合うことで問題を解決しました。)→ 「話し合うこと」は抽象的な方法
- She fixed the toy with tape.(彼女はテープでおもちゃを修理しました。)→ 「テープ」は具体的な物
主従関係の有無
最後のポイントは、主従関係の有無です。
- 「with」:使用者(人)が主で、道具が従という主従関係があります。使用者が道具をコントロールしています。
- 「by」:この主従関係が明確ではありません。むしろ、手段の機能や働きが重視されます。
例文
- She caught the butterfly with a net.(彼女は網で蝶を捕まえました。)→ 彼女が網をコントロールしている
- The message was sent by email.(そのメッセージはメールで送られました。)→ メールの機能や働きが重視されている
「by」と「with」の使い分け練習問題
「by」と「with」の使い分けを練習するために、以下の問題に挑戦してみましょう。
括弧内に適切な前置詞(by または with)を入れてください。
- I go to school ( ) bus every day.
- She cut the paper ( ) scissors.
- He sent the message ( ) email.
- They opened the box ( ) a key.
- The window was broken ( ) a baseball.
- We traveled to Osaka ( ) train.
- She stirred the coffee ( ) a spoon.
- He learns English ( ) watching movies.
- The letter was written ( ) a famous writer.
- I took a picture ( ) my camera.
- She contacted me ( ) phone yesterday.
- He fixed the bicycle ( ) tools.
- The boy pointed at the bird ( ) his finger.
- We arrived at the hotel ( ) taxi.
- She cleaned the floor ( ) a broom.
- The problem was solved ( ) discussing it.
- He paid for the dinner ( ) credit card.
- The student improved his grades ( ) studying hard.
- I ate rice ( ) chopsticks.
- The package was delivered ( ) mail.
「by」と「with」に関連する表現の違い
「by」と「with」に関連するいくつかの表現の違いについても理解しておきましょう。
「by hand」と「with hands」の違い
「by hand」は「手作業で」「機械ではなく手で」という意味で、作業の方法や過程を表します。
一方、「with hands」は「手を使って」という意味で、具体的に手という体の一部を道具として使っていることを表します。
例文
- This cake was made by hand.(このケーキは手作りです。)
- She picked up the flowers with her hands.(彼女は手で花を摘みました。)
「by car」と「in a car」の違い
「by car」は交通手段としての車を表し、「どのように移動したか」という点に焦点を当てています。
一方、「in a car」は車の中にいる状態を表し、「どこにいるか」という点に焦点を当てています。
例文
- I go to work by car.(私は車で仕事に行きます。)→ 交通手段
- I was sitting in a car when it started to rain.(雨が降り始めた時、私は車の中に座っていました。)→ 場所
「by bike」と「on a bike」の違い
「by bike」は交通手段としての自転車を表し、「どのように移動したか」という点に焦点を当てています。
一方、「on a bike」は自転車に乗っている状態を表し、「どのように位置しているか」という点に焦点を当てています。
例文
- I go to school by bike.(私は自転車で学校に行きます。)→ 交通手段
- The boy fell while riding on a bike.(少年は自転車に乗っている間に転びました。)→ 状態
「by chance」と「with luck」の違い
「by chance」は「偶然に」「たまたま」という意味で、何かが起こる方法や過程を表します。
一方、「with luck」は「運良く」「幸運にも」という意味で、幸運という抽象的な概念が伴っていることを表します。
例文
- I met my old friend by chance at the station.(私は偶然駅で古い友人に会いました。)
- With luck, we’ll finish this work by tomorrow.(運が良ければ、この仕事を明日までに終えるでしょう。)
「by」と「with」の使い分けに関するよくある質問
「by」と「with」の使い分けについて、よくある質問にお答えします。
- 「I wrote this letter by pen」は正しいですか?
-
いいえ、正しくありません。「pen」は具体的な道具なので、「with a pen」と言います。
正しくは「I wrote this letter with a pen.(私はこの手紙をペンで書きました。)」です。
- 「She went to school with bus」は正しいですか?
-
いいえ、正しくありません。「bus」は交通手段なので、「by bus」と言います。
正しくは「She went to school by bus.(彼女はバスで学校に行きました。)」です。
- 「by myself」と「with myself」はどう違いますか?
-
「by myself」は「一人で」「自分だけで」という意味で、誰の助けも借りずに何かをすることを表します。
一方、「with myself」という表現はあまり使われませんが、使うとすれば「自分自身と一緒に」というやや不自然な意味になります。
- I made this cake by myself.(私は一人でこのケーキを作りました。)
- 「by the way」と「with that said」はどう違いますか?
-
「by the way」は「ところで」という意味で、会話の流れを変えるために使います。
一方、「with that said」は「そう言ったものの」「それはそうとして」という意味で、前に述べたことに関連した別の観点を導入する時に使います。
- I’ll see you tomorrow. By the way, did you finish your homework?(明日会いましょう。ところで、宿題は終わりましたか?)
- The movie wasn’t very good. With that said, the acting was excellent.(その映画はあまり良くなかった。それはそうとして、演技は素晴らしかった。)
まとめ

この記事では、前置詞「by」と「with」の意味の違いと使い分けについて解説しました。
ポイントをまとめると以下のようになります。
- 「by」のコアイメージは「〜のそばに」「〜によって」で、手段や方法を表します。
- 「with」のコアイメージは「〜と一緒に」「〜を伴って」で、道具や付随するものを表します。
- 「by」は主に交通手段、連絡手段、方法(動名詞と共に)、受動態の行為者を示す際に使います。
- 「with」は主に道具、体の一部、付随するものを表す際に使います。
- 使い分けのポイントは、「手段か道具か」「他の選択肢があるかないか」「抽象的か具体的か」「主従関係」などです。
- 関連表現として、「by hand」と「with hands」、「by car」と「in a car」、「by bike」と「on a bike」、「by chance」と「with luck」などの違いも押さえておくと役立ちます。
「by」と「with」の使い分けは、最初は難しく感じるかもしれませんが、それぞれの前置詞が持つコアイメージを理解し、多くの例文に触れることで徐々に感覚をつかむことができます。
この記事で紹介した練習問題を繰り返し解くことで、確実に使い分けられるようになるでしょう。
英語の前置詞は日本語と一対一で対応していないので、「〜で」と言いたい時にどの前置詞を使うべきか迷うことは自然なことです。
しかし、それぞれの前置詞の持つイメージを理解することで、適切な使い分けができるようになります。「by」と「with」の違いを意識しながら、日々の英語学習に取り組んでみてください。

