英語の助動詞「can」は、英語学習において最初に出会う重要な表現の一つです。基本的に「~できる」という意味を持ち、様々な場面で使われる便利な助動詞です。初めて英語を学ぶ方にとって、この「can」の使い方をマスターすることは英会話の基礎を築く重要なステップとなります。
本記事では、「can」の意味と使い方を中学英語レベルの例文を交えながら、初学者にも分かりやすく解説していきます。助動詞「can」の基本から応用まで、しっかりと理解して英語学習に役立てましょう。
canとは?基本的な助動詞の役割

「can」は英語の助動詞の一つです。助動詞とは、主となる動詞の意味を補助する働きを持つ単語です。「can」は主に「能力」「可能性」「許可」という三つの基本的な意味を持っています。
「can」の大きな特徴として、この助動詞の後には必ず動詞の原形が来るという点があります。例えば「I can swim.(私は泳げます)」という文では、「can」の後に動詞「swim」の原形が使われています。また、「can」は他の助動詞と同様に、三人称単数形でも変化しません。つまり、「he can」「she can」のように、主語が変わっても形は変わらないのです。
「can」は英語の中で最も頻繁に使われる助動詞の一つであり、日常会話や文章で頻繁に登場します。その基本的な意味を理解することで、英語でのコミュニケーション能力が大きく向上するでしょう。
canの基本的な使い方と例文
「can」には主に3つの基本的な使い方があります。それぞれの使い方について、わかりやすい例文とともに詳しく見ていきましょう。
能力を表す使い方
最も基本的な「can」の使い方は、「~することができる」という能力を表現する方法です。これは自分や他の人が持っている技能や能力を説明するときに使います。
例文
- I can swim.(私は泳ぐことができます。)
- She can play the piano very well.(彼女はピアノをとても上手に弾くことができます。)
- They can speak English.(彼らは英語を話すことができます。)
- My brother can run fast.(私の兄は速く走ることができます。)
- Can you ride a bicycle?(あなたは自転車に乗れますか?)
能力を表す「can」は、学校や職場、日常生活での自分の能力を説明するときによく使います。例えば、履歴書や自己紹介で自分のスキルを伝える際にとても役立ちます。
可能性を表す使い方
「can」の二つ目の使い方は、「~することが可能である」という状況的な可能性を表現する方法です。これは物理的な可能性や状況によって何かができるかどうかを説明するときに使います。
例文
- You can see Mt. Fuji from here.(ここから富士山が見えます。)
- We can go to the park tomorrow.(明日公園に行くことができます。)
- I can meet you at the station.(駅であなたに会うことができます。)
- She can come to the party tonight.(彼女は今夜パーティーに来ることができます。)
- Can you help me with my homework?(私の宿題を手伝ってくれますか?)
可能性を表す「can」は、予定や計画について話すとき、または何かが可能かどうかを尋ねるときによく使われます。この用法では、状況や環境によって実現可能かどうかを示しています。
許可を表す使い方
「can」の三つ目の使い方は、「~してもよい」という許可を表現する方法です。これは誰かに何かをする許可を与えたり、許可を求めたりするときに使います。
例文
- You can use my pencil.(私の鉛筆を使ってもいいですよ。)
- Can I open the window?(窓を開けてもいいですか?)
- Students can leave after they finish the test.(生徒たちはテストが終わったら帰ってもいいです。)
- You can eat in this room.(この部屋で食事をしてもいいですよ。)
- Can we play soccer in the gym?(体育館でサッカーをしてもいいですか?)
許可を表す「can」は、特に質問形式で使われることが多く、丁寧に許可を求めるための一般的な表現です。ただし、より丁寧に許可を求める場合は、後で説明する「could」や「may」を使うこともあります。
canの否定形と疑問形の作り方
助動詞「can」を使った文章の否定形と疑問形の作り方を理解することは、基本的な英会話のために欠かせません。ここでは、その作り方と例文を見ていきましょう。
否定形: cannot / can’t
「can」の否定形は「cannot」または短縮形の「can’t」です。意味は「~することができない」となります。否定形を作るには、「can」の後に「not」を付けるだけです。
例文
- I cannot swim.(私は泳ぐことができません。)
- She can’t play the guitar.(彼女はギターを弾くことができません。)
- They cannot speak Japanese.(彼らは日本語を話すことができません。)
- We can’t go to the movie tonight.(私たちは今夜映画に行くことができません。)
- He cannot run as fast as his brother.(彼は兄ほど速く走ることができません。)
日常会話では「cannot」よりも短縮形の「can’t」の方がよく使われます。発音する際は、「キャント」のように「t」の音をはっきりと発音することが大切です。
疑問形: Can…?
「can」の疑問形は、文の先頭に「can」を持ってくるだけで簡単に作ることができます。基本的な語順は「Can + 主語 + 動詞の原形 + …?」です。
例文
- Can you swim?(あなたは泳げますか?)
- Can she play the piano?(彼女はピアノを弾けますか?)
- Can they speak English?(彼らは英語を話せますか?)
- Can we go to the park tomorrow?(明日公園に行けますか?)
- Can I use your dictionary?(あなたの辞書を使ってもいいですか?)
「can」の疑問文に対する答え方も覚えておきましょう。肯定的な返答は「Yes, I can.」「Yes, she can.」などとなり、否定的な返答は「No, I can’t.」「No, she can’t.」などとなります。
必要に応じて、追加情報を加えることもできます。
例文
- Can you play the guitar?(ギターを弾けますか?)
- Yes, I can. I’ve been playing for five years.(はい、弾けます。5年間弾いています。)
canの過去形couldの使い方
「can」の過去形は「could」です。「could」は「~することができた」という過去の能力や可能性を表すだけでなく、より丁寧な表現としても使われます。
過去の能力や可能性を表す使い方
「could」を使って、過去に持っていた能力や可能性について話すことができます。
例文
- When I was young, I could run very fast.(若い頃、私はとても速く走ることができました。)
- She could play the piano when she was a child.(彼女は子供の頃、ピアノを弾くことができました。)
- They could not speak English ten years ago.(彼らは10年前、英語を話すことができませんでした。)
- We could see the stars last night.(昨夜、私たちは星を見ることができました。)
- I could not find my key yesterday.(昨日、私は鍵を見つけることができませんでした。)
過去の能力を表す「could」は、現在はその能力があるかどうかについては言及していません。
例えば、「When I was young, I could run very fast.」という文は、現在速く走れるかどうかについては何も述べていません。
丁寧な依頼や許可を表す使い方
「could」はまた、現在の状況で丁寧な依頼や許可を求める表現としても使われます。この場合、「could」は「can」よりも丁寧なニュアンスを持ちます。
例文
- Could you help me with this bag?(このバッグを手伝っていただけますか?)
- Could I use your phone?(あなたの電話を使わせていただけますか?)
- Could you tell me the way to the station?(駅への道を教えていただけますか?)
- Could we leave early today?(今日早く帰らせていただけますか?)
- Could you speak more slowly, please?(もう少しゆっくり話していただけますか?)
丁寧な依頼を表す「could」は、特に初対面の人や目上の人に対して使うことが多いです。「can」よりも遠慮がちでフォーマルな印象を与えます。
canとbe able toの違い
「can」と「be able to」はどちらも「~することができる」という意味で使われますが、使い方やニュアンスにいくつかの違いがあります。ここでは、その違いについて説明します。
「can」は助動詞であるため、文法的にはいくつかの制限があります。例えば、「can」は他の助動詞と一緒に使うことができません。また、未来形や完了形としてそのままでは使えません。
一方、「be able to」は「be + 形容詞 + to不定詞」の形をしているため、より柔軟に使うことができます。未来形や完了形、また他の助動詞と組み合わせて使うことも可能です。
例文
- I will be able to drive next year.(来年には運転できるようになるでしょう。)
- She has been able to speak English since she was ten.(彼女は10歳の頃から英語を話すことができています。)
- You might be able to finish the work today.(あなたは今日その仕事を終えられるかもしれません。)
また、「be able to」は特に具体的な状況での成功や達成を表現するのに適しています。一方、「can」は一般的な能力や可能性を表すのに使われることが多いです。
例文
- After practicing for six months, I was able to swim across the river.(6ヶ月練習した後、私は川を泳いで渡ることができました。)
- Despite the difficulty, they were able to solve the problem.(難しさにもかかわらず、彼らはその問題を解決することができました。)
日常会話では「can」の方がよく使われますが、より正確に、あるいは特定の状況を表現したい場合には「be able to」が適しています。
英語の知識が深まるにつれて、これらの違いを理解し、適切に使い分けることができるようになるでしょう。
canのよくある間違いと注意点
英語学習者が「can」を使用する際によく見られる間違いと、注意すべきポイントをいくつか紹介します。
これらを意識して学習することで、より自然な英語表現ができるようになるでしょう。
動詞の形の間違い
「can」の後には必ず動詞の原形が来ます。しかし、初学者はよく「to + 動詞」や「動詞 + ing」の形を誤って使ってしまいます。
【誤】 I can to swim.
【正】 I can swim.(私は泳ぐことができます。)
【誤】 She can playing the piano.
【正】 She can play the piano.(彼女はピアノを弾くことができます。)
三人称単数形での変化の間違い
「can」は助動詞なので、三人称単数形(he, she, it)の場合でも形が変わりません。「cans」と変化させる誤りがよく見られます。
【誤】 He cans speak English.
【正】 He can speak English.(彼は英語を話すことができます。)
未来表現での使い方の間違い
「will can」という表現は英語では使えません。未来の能力を表す場合は、「will be able to」を使います。
【誤】 I will can drive next year.
【正】 I will be able to drive next year.(来年は運転できるようになるでしょう。)
過去の単発的な出来事での「could」の使用
過去のある特定の時点で成功した単発的な行為(achievement)を表す場合、「could」ではなく「was able to」や「managed to」を使うのが一般的です。
【誤】 Yesterday, I could solve the difficult math problem.
【正】 Yesterday, I was able to solve the difficult math problem.(昨日、私はその難しい数学の問題を解くことができました。)
「can」と「may」の混同
「can」と「may」はどちらも許可を表すことができますが、「may」の方がより丁寧で正式な表現です。特にフォーマルな状況では「may」を使うことが適切な場合があります。
例文
- Can I leave now?(今、帰ってもいいですか?)- カジュアルな状況
- May I leave now?(今、帰ってもよろしいでしょうか?)- フォーマルな状況
「cannot」と「can not」の違い
「cannot」は一語として書くのが標準的ですが、「can not」と分けて書く場合もあります。ただし、「can not」と分けて書く場合は、「can」と「not」に強調が置かれることが多いです。
一般的には「cannot」または短縮形の「can’t」を使うのが自然です。
例文
- I cannot swim.(私は泳げません。)
- I can’t swim.(私は泳げません。)
これらの間違いや注意点を理解して、「can」を正しく使えるようになりましょう。
英語学習において、細かいポイントに気をつけることで、より自然で正確な表現ができるようになります。
canに関する問題
ここでは、「can」の使い方に関する問題を10問用意しました。「can」を適切な形にしてください。
- ( ) you speak English?
- I ( ) play the guitar, but I ( ) play the piano.
- She ( ) run very fast when she was young.
- ( ) I use your pen, please?
- My brother ( ) swim across this river last summer.
- You ( ) smoke in this building. It’s prohibited.
- ( ) you help me with my homework tomorrow?
- I ( ) see Mt. Fuji from my window on clear days.
- They ( ) finish the project by next week.
- My grandmother ( ) walk without a cane now.
「can」に関するよくある質問
ここでは、「can」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。英語学習において疑問に思うことがあれば、参考にしてください。
- 「can」と「could」の違いは何ですか?
-
「can」は現在の能力や可能性を表し、「could」は過去の能力や可能性、あるいは現在の丁寧な依頼や仮定を表します。
- I can swim now.(今、私は泳げます。)- 現在の能力
- I could swim when I was a child.(子供の頃、私は泳げました。)- 過去の能力
- Could you help me with this?(これを手伝っていただけますか?)- 丁寧な依頼
- 「can」の発音はどうすればいいですか?
-
「can」の発音は通常、弱形と強形の2種類があります。文の中で強調されない場合は弱形の「kən」(「カン」より弱い音)、強調される場合は強形の「kæn」(「キャン」に近い音)と発音されます。
- 「can not」と「cannot」どちらが正しいですか?
-
どちらも文法的には正しいですが、「cannot」と一語で書くのが一般的です。日常的には短縮形の「can’t」がよく使われます。
- 「could」を使った仮定法の表現はどのように使いますか?
-
「could」は仮定法で「もし~できるとしたら」という意味で使うことができます。
- If I had more time, I could learn French.(もっと時間があれば、フランス語を学ぶことができるのに。)
- 「can」を使った依頼と「could」を使った依頼の違いは何ですか?
-
「can」を使った依頼は一般的でカジュアルな表現ですが、「could」を使うとより丁寧な依頼になります。目上の人や初対面の人には「could」を使うのが適切です。
- Can you open the window?(窓を開けてくれますか?)- カジュアル
- Could you open the window?(窓を開けていただけますか?)- より丁寧
- 「can」の後に来る動詞の形は?
-
「can」の後には必ず動詞の原形(不定詞のto無しの形)が来ます。「to + 動詞」や「動詞 + ing」は使えません。
- I can swim.(私は泳げます。)- 正しい
- I can to swim. – 間違い
- I can swimming. – 間違い
- 未来の能力はどのように表現しますか?
-
未来の能力を表現するには、「will be able to」を使います。「will can」という表現は英語では使えません。
- I will be able to drive after I get my license.(免許を取った後、私は運転できるようになるでしょう。)
- 「can」の使い方で日本人がよく間違えるポイントは何ですか?
-
日本人英語学習者によくある間違いとしては、「can」の後にto不定詞を使ってしまう(I can to speak)、三人称単数形で変化させてしまう(She cans)、未来形で「will can」を使ってしまうなどがあります。
- 「can」の意味に近い他の表現はありますか?
-
「can」の意味に近い表現としては、「be able to」(能力)、「be allowed to」(許可)、「have the opportunity to」(機会)などがあります。状況や文脈に応じて使い分けることができます。
- 「can」を使った慣用表現にはどのようなものがありますか?
-
「can」を使った慣用表現にはいくつかあります。例えば、
- as much as one can(できる限り)
- can’t help doing(~せずにいられない)
- can’t stand(~に耐えられない)
- can do with(~があるといい)
- I can’t help laughing at his jokes.(彼のジョークを聞くと笑わずにはいられません。)
- I can’t stand the noise.(その騒音に耐えられません。)
まとめ

この記事では、英語の助動詞「can」の意味と使い方について詳しく解説してきました。「can」は英語学習の初期段階で学ぶ重要な単語で、日常会話でも頻繁に使われます。
ここで、記事の重要なポイントをまとめてみましょう。
- 「can」は主に「能力」「可能性」「許可」を表す助動詞である
- 「can」の後には必ず動詞の原形が来る
- 「can」の否定形は「cannot」または「can’t」
- 「can」の疑問形は文頭に「can」を置いて作る
- 「can」の過去形「could」は過去の能力や丁寧な依頼を表す
- 「be able to」は「can」より文法的に柔軟に使える
- 未来の能力は「will be able to」で表現する
- 過去の単発的な成功は「was/were able to」が適切
- 「can」と「may」はどちらも許可を表すが、「may」の方が丁寧
- 「can」を使う際の一般的な間違いとして、動詞の形の間違いや三人称単数形での変化などがある
「can」の使い方をマスターすることで、英語での表現の幅が大きく広がります。基本的な意味から応用まで、しっかりと理解して実際の会話や文章で使ってみましょう。また、「can」に関連する「could」や「be able to」なども合わせて学習することで、より豊かな英語表現ができるようになります。
英語学習の道のりは長いですが、一つひとつの文法項目をしっかりと理解していくことで、着実に上達していくことができるでしょう。