英語を学び始めると、「~できない」という表現で「can’t」と「cannot」の2つに出会います。この2つは基本的に同じ意味ですが、使う場面やニュアンスに違いがあります。
本記事では英語初学者のために、この違いと使い分けを詳しく解説します。例文や練習問題も交えながら、正しい使い方をマスターしましょう。
「can’t」と「cannot」の基本的な違い

「can’t」と「cannot」はどちらも英語で「~できない」という否定の意味を表します。基本的な違いは、「can’t」は「cannot」の短縮形(縮約形)であるということです。つまり意味は同じですが、使われる場面が異なります。
「cannot」は主に書き言葉やフォーマルな場面で使用されます。例えば、公式文書、ビジネスメール、学術論文などでよく見かけるでしょう。一方、「can’t」は日常会話やカジュアルな文章で多く使われます。友人との会話やSNSでのメッセージなどでは「can’t」が一般的です。
発音も異なり、「cannot」は「キャンノット」、「can’t」はアメリカ英語では「キャント」、イギリス英語では「カーント」に近い発音になります。
「can’t」の使い方とニュアンス
「can’t」は日常会話や友達との対話など、カジュアルな状況で頻繁に使用される表現です。フォーマルさを必要としない場面では「cannot」よりも「can’t」の方が自然に聞こえます。
「can’t」を使う場面
「can’t」は主に以下のような場面で使われます。
- 友人や家族との日常会話
- カジュアルなメールやメッセージ
- ブログやSNSなどの非公式な文章
- テレビやラジオなどの話し言葉
- 歌詞やカジュアルな物語の中
「can’t」の例文
次の例文を見て「can’t」の使い方を確認しましょう。
例文
- I can’t swim very well.(私はあまり上手に泳げません。)
- She can’t come to school today because she is sick.(彼女は病気なので今日学校に来られません。)
- We can’t play soccer in the rain.(雨の中ではサッカーができません。)
- Can’t you see that bird on the tree?(あの木の上の鳥が見えませんか?)
- My brother can’t ride a bicycle yet.(私の弟はまだ自転車に乗れません。)
会話では「can’t」が自然に使われているのがわかりますね。発音も「cannot」よりも簡単で、会話がスムーズに進みます。
「cannot」の使い方とニュアンス
「cannot」はフォーマルな場面や書き言葉で使われる表現です。正式な文書では短縮形を避けるのが一般的なルールとされています。
「cannot」を使う場面
「cannot」は主に以下のような場面で使われます。
- ビジネス文書や公式メール
- 学術論文や研究報告書
- 法律文書や契約書
- 新聞記事や公式発表
- 学校の試験や課題提出物
「cannot」の例文
「cannot」の使い方を例文で確認しましょう。
例文
- Students cannot use calculators during the math test.(数学のテスト中、生徒は電卓を使用できません。)
- The company cannot accept late applications.(会社は遅れた申請を受け付けることができません。)
- I cannot understand this difficult English book.(私はこの難しい英語の本を理解できません。)
- She cannot play the piano without her glasses.(彼女は眼鏡なしではピアノを弾くことができません。)
- We cannot go to the park if it rains tomorrow.(明日雨が降れば公園に行くことができません。)
これらの例文は比較的フォーマルな状況や書き言葉で使われる表現です。
「can not」と「cannot」の違い
英語には「cannot」(一語)の他に、「can not」(二語)という表記も存在します。この違いについても理解しておきましょう。
「cannot」は一般的な表記で、「can」と「not」が一つの単語になったものです。一方、「can not」は二つの単語が離れて書かれています。
「can not」は以下のような特別な場合に使われることがあります。
例文
- 「not」が別の語句を修飾する場合
- You can not only speak English but also French.(あなたは英語だけでなくフランス語も話せます。)
- 否定の意味を特に強調したい場合
- I can not go to the party.(私はそのパーティーには絶対に行けません。)
しかし、日常的には「cannot」または「can’t」が使われることが一般的で、「can not」の使用頻度は低いです。統計によると、「cannot」は「can not」の約15倍使われているとされています。
「can’t」と「cannot」の実用例文
ここでは、日常生活のさまざまな場面で使える「can’t」と「cannot」の例文を紹介します。すべて中学英語レベルの簡単な文章なので、初学者の方も安心して学習できます。
学校生活での例文
例文
- I can’t answer this difficult question.(私はこの難しい質問に答えられません。)
- We cannot enter the library during lunchtime.(昼食時間中は図書館に入ることができません。)
- She can’t find her textbook.(彼女は教科書を見つけることができません。)
- Students cannot use their smartphones in class.(生徒は授業中にスマートフォンを使うことができません。)
- I can’t finish my homework before dinner.(私は夕食前に宿題を終わらせることができません。)
日常生活での例文
例文
- I cannot eat spicy food.(私は辛い食べ物を食べられません。)
- He can’t wake up early in the morning.(彼は朝早く起きることができません。)
- We can’t go to the beach today because it’s raining.(今日は雨が降っているので、ビーチに行くことができません。)
- She cannot drive a car yet.(彼女はまだ車を運転することができません。)
- They can’t find their house key.(彼らは家の鍵を見つけることができません。)
能力を表す例文
例文
- I can’t speak French at all.(私はフランス語をまったく話せません。)
- He cannot swim across the pool.(彼はプールを泳いで横断することができません。)
- My little sister can’t count to 100 yet.(私の妹はまだ100まで数えることができません。)
- We cannot solve this math problem.(私たちはこの数学の問題を解くことができません。)
- She can’t run fast because of her leg injury.(彼女は足のケガのため速く走ることができません。)
「can’t」と「cannot」の適切な使い分け方
「can’t」と「cannot」をどのように使い分ければよいのでしょうか。ここでは具体的な使い分けのポイントを解説します。
フォーマル度による使い分け
状況のフォーマル度に応じて使い分けるのが基本です。
- フォーマルな状況(ビジネス、学校の提出物、公式文書)→「cannot」
- カジュアルな状況(友人との会話、日常的なメール、SNS)→「can’t」
書き言葉と話し言葉の違い
- 書き言葉(特に公式な文書)→「cannot」
- 話し言葉→「can’t」
日本語でも「できません」と「できないよ」のように、フォーマル度によって表現が変わるのと同じです。
実際の使用例
例文
- ビジネスメール:We cannot accept your proposal at this time.(現時点ではあなたの提案を受け入れることができません。)
- 友人へのメッセージ:I can’t meet you today. I’m busy.(今日は会えないよ。忙しいんだ。)
- 学術論文:The researcher cannot conclude that the treatment is effective.(研究者はその治療が効果的だと結論づけることはできない。)
- 日常会話:She can’t cook very well.(彼女はあまり料理が上手ではない。)
「can’t」と「cannot」の使い分け練習問題
ここでは「can’t」と「cannot」の使い分けを練習するための問題を20問用意しました。各問題の状況に応じて、適切な方を選んでみましょう。
- I ________ swim very well. (友達との会話で)
- The company ________ accept late applications. (会社の規則として)
- We ________ go to the park tomorrow. (友達との会話で)
- Students ________ use calculators during this exam. (試験の指示書で)
- She ________ come to the party because she is sick. (友人に説明する時)
- I ________ understand why he did that. (カジュアルな会話で)
- The government ________ ignore this serious problem. (新聞記事で)
- He ________ speak Japanese at all. (友人について話す時)
- We ________ allow pets in this building. (アパートの規則で)
- I ________ believe it’s already December! (驚きを表す会話で)
- Passengers ________ smoke on the airplane. (航空会社の規則で)
- Sorry, I ________ help you now. I’m busy. (友人との会話で)
- The school ________ permit students to leave early. (学校の方針として)
- You ________ see Mt. Fuji from here on a clear day. (観光客に説明する時)
- I ________ remember his name. (日常会話で)
- This product ________ be sold to customers under 18. (商品の注意書きで)
- She ________ play the piano very well. (友人について話す時)
- We ________ guarantee delivery before Christmas. (会社の公式声明で)
- I ________ find my bag anywhere. (困っている状況で友人に話す時)
- The court ________ ignore the evidence presented. (法律文書で)
「can’t」と「cannot」に関するよくある質問
ここでは、「can’t」と「cannot」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 「can’t」と「cannot」の発音の違いは何ですか?
-
「cannot」は「キャンノット」と発音します。一方、「can’t」はアメリカ英語では「キャント」、イギリス英語では「カーント」と発音します。イギリス英語では「a」の音が長く伸びるのが特徴です。
- ビジネスメールでは「can’t」と「cannot」のどちらを使うべきですか?
-
ビジネスメールなどのフォーマルな文書では、基本的に「cannot」を使用することが推奨されます。ただし、親しい同僚へのカジュアルなメールであれば「can’t」も問題ありません。相手との関係性や会社の文化によっても異なるので、状況に応じて判断しましょう。
- 学校の試験や提出物では「can’t」と「cannot」のどちらを使うべきですか?
-
学術的な文章や試験の解答では、「cannot」を使用するのが一般的です。フォーマルな文書では短縮形を避けるのが基本ルールとされています。ただし、創作文や会話文を書く場合は、キャラクターや状況に応じて「can’t」を使うこともあります。
- 「cannot」は日常会話でも使えますか?
-
文法的には問題ありませんが、日常会話で「cannot」を使うと少し堅苦しく聞こえることがあります。特に友人との気軽な会話では「can’t」の方が自然です。ただし、強調したい場合や公式な発言をする場合には「cannot」が使われることもあります。
- 「can not」(二語)は正しい表現ですか?
-
「can not」(二語)も文法的には正しい表現です。しかし、一般的には「cannot」(一語)または「can’t」が使われます。「can not」は特に「not」を強調したい場合や、「not only…but also…」のような構文で使われることがあります。
- 子供に英語を教える場合、「can’t」と「cannot」のどちらから教えるべきですか?
-
子供に英語を教える場合は、まず日常会話でよく使われる「can’t」から教えるのが効果的です。子供は実際の会話で使う表現から学ぶことが多いため、「can’t」を先に導入し、後から「cannot」はより正式な表現であると説明するとよいでしょう。
まとめ

この記事では、「can’t」と「cannot」の意味の違いと適切な使い分けについて解説しました。重要なポイントを以下にまとめます。
- 「can’t」と「cannot」はどちらも「~できない」という意味を表す。
- 「can’t」は「cannot」の短縮形で、主に話し言葉やカジュアルな文章で使われる。
- 「cannot」は主にフォーマルな文書や公式な場面で使われる。
- 「can not」(二語)は特定の状況でのみ使われ、一般的には使用頻度が低い。
- 友人との会話やSNSでは「can’t」、ビジネス文書や学術論文では「cannot」を使うのが基本。
- 発音は「cannot」が「キャンノット」、「can’t」が「キャント」または「カーント」。
- 文の意味は同じだが、使用される状況やフォーマル度によって使い分ける。
- 英語の試験や正式な文書では、短縮形よりも完全形を使用することが推奨される。
「can’t」と「cannot」の違いを理解することで、状況に応じた適切な英語表現ができるようになります。どちらも基本的な表現なので、しっかりと使い分けられるようにしましょう。