「circa」は英語で使われる前置詞または副詞で、主に年代や日付の前に置かれ「約」や「およそ」を意味します。ラテン語を起源とするこの言葉は、特に歴史的な文脈や学術的な文章でよく使用されます。英語初学者には馴染みが薄いかもしれませんが、歴史書や美術品の説明などでは頻繁に登場する表現です。
この記事では「circa」の意味から使い方、そして実際の例文まで、わかりやすく解説していきます。
circaとは?時間や数字の「約」を表す表現

「circa」はラテン語に由来する英語の表現で、主に年代や日付が正確ではなく、おおよそのものであることを示すために使われます。日本語では「約」「およそ」「〜頃」などと訳されます。
「circa」はフォーマルな表現で、学術的な文章や歴史の記述などでよく見られますが、日常会話ではあまり使用されません。
circaの発音と略語
「circa」の発音は英語では/ˈsɜːrkə/で、カタカナ表記では「サーカ」と発音します。論文や参考文献では、しばしば略語として「c.」「ca.」「cir.」「circ.」などが使われますが、最も一般的なのは「c.」と「ca.」です。
例えば「circa 1500」は「c. 1500」や「ca. 1500」のように表記されることがあります。
circaの語源
「circa」はラテン語の「circum(周り、周囲)」に由来しています。この語源から、おおよその時間や時代を表す意味で使われるようになりました。
英語に取り入れられたのは19世紀中頃で、それ以来、主に歴史的・学術的な文脈で使用されています。
circaの基本的な使い方
「circa」は主に以下のような場面で使用されます。使い方を理解することで、歴史や美術関連の英文をより正確に理解できるようになります。
年代を表す時の使い方
最も一般的な使い方は、年代や時代を示す際に「約」や「頃」という意味で使うことです。特に歴史上の出来事や人物の生没年、美術品や建造物の制作年などを表す時によく用いられます。
例文
- The castle was built circa 1500.(その城は1500年頃に建てられました。)
- He was born circa 1950.(彼は1950年頃に生まれました。)
- The painting dates from circa 1600.(その絵画は1600年頃のものです。)
紀元前の年代を表す時
紀元前の年代と組み合わせる場合は、「circa」の後にBC(Before Christ:紀元前)を付けて使います。考古学や古代史の文献でよく見られる表現です。
例文
- The temple was constructed circa 500 BC.(その寺院は紀元前500年頃に建設されました。)
- Ancient tools were found dating to circa 3000 BC.(紀元前3000年頃の古代の道具が発見されました。)
数値の概算を表す時
年代以外にも、数値の概算を表す際にも使用されることがあります。ただし、この用法は歴史的・学術的な文脈に限られることが多いです。
例文
- The population of the village was circa 2000.(その村の人口は約2000人でした。)
- The manuscript contained circa 100 pages.(その写本はおよそ100ページありました。)
circaと似た表現の違い
「circa」と似た意味を持つ英語表現はいくつかありますが、それぞれ使用場面や文体が異なります。ここでは、「about」「approximately」「around」との違いを解説します。
circaとaboutの違い
「about」は「circa」よりもカジュアルな表現で、日常会話でよく使われます。「circa」が主に歴史的・学術的な文脈で使用されるのに対し、「about」はより幅広い状況で使われます。
例文
- About 50 people came to the party.(パーティーには約50人が来ました。)
- The meeting will start at about 3 oclock.(会議は3時頃に始まります。)
circaとapproximatelyの違い
「approximately」は「circa」と同様にフォーマルな表現ですが、より広範囲の文脈で使用されます。また、「circa」が主に年代に使われるのに対し、「approximately」は様々な数値や測定値に使用されます。
例文
- The experiment took approximately 2 hours.(実験はおよそ2時間かかりました。)
- The distance is approximately 5 kilometers.(距離はおよそ5キロメートルです。)
circaとaroundの違い
「around」は「about」と同様に、カジュアルな表現で日常会話でよく使われます。「circa」が書き言葉や学術的な文脈で使われるのに対し、「around」は話し言葉で頻繁に使用されます。
例文
- I will be there around 7 oclock.(7時頃にそこにいます。)
- There were around 100 students at the school.(その学校には約100人の生徒がいました。)
circaの例文と使い方
ここでは、「circa」を使った実際の例文をいくつか紹介します。中学英語レベルの簡単な表現で、それぞれに日本語訳を付けています。
例文
- The book was written circa 1850.(その本は1850年頃に書かれました。)
- The scientist lived circa 1700 to 1760.(その科学者は1700年頃から1760年頃まで生きていました。)
- These coins are from circa 200 BC.(これらのコインは紀元前200年頃のものです。)
- The old map shows a city from circa 1600.(その古い地図は1600年頃の都市を示しています。)
- The museum has art from circa 18th century.(その博物館には18世紀頃の美術品があります。)
- The ruins date back to circa 1000 BC.(その遺跡は紀元前1000年頃にさかのぼります。)
- The document was created circa 1400.(その文書は1400年頃に作成されました。)
- Dinosaurs lived circa 65 million years ago.(恐竜は約6500万年前に生息していました。)
- The story is set in London, circa 1890.(その物語は1890年頃のロンドンを舞台にしています。)
- The ancient tools were made circa 5000 BC.(その古代の道具は紀元前5000年頃に作られました。)
circaを使う際の文法ルール
「circa」を使う際には、いくつかの文法ルールを覚えておくと便利です。ここでは、位置や略語の使い方などの基本ルールを解説します。
circaの位置
「circa」は通常、年号や数字の直前に置かれます。後ろに置くことはありません。
正しい例: The church was built circa 1600.(その教会は1600年頃に建てられました。)
誤った例: The church was built 1600 circa.
circaの省略形
「circa」は略語として「c.」「ca.」「cir.」「circ.」などが使われますが、最も一般的なのは「c.」と「ca.」です。これらは必ずピリオドを付けて表記します。
例文
- The manuscript dates from c. 1450.(その写本は1450年頃のものです。)
- The statue was created ca. 300 BC.(その彫像は紀元前300年頃に作られました。)
circaとイタリック体
学術論文では、「circa」やその略語をイタリック体で表記することがあります。これは、ラテン語由来の外来語であることを示すためです。ただし、現代では通常の書体で表記することも一般的です。
例文
- The coins were minted circa 150 BC.(そのコインは紀元前150年頃に鋳造されました。)
circaのよくある間違いと注意点
「circa」を使う際によくある間違いや注意すべき点をいくつか紹介します。これらを理解することで、より適切に「circa」を使用できるようになります。
日常会話での使用
「circa」は主に学術的な文脈や歴史的な記述で使われる表現です。日常会話では「about」や「around」を使う方が自然です。「circa」を日常会話で使うと、少し堅苦しい印象を与えることがあります。
例文
- フォーマル: The building was constructed circa 1900.
- カジュアル: The building was built around 1900.
位置に関する誤用
「circa」は本来、年代や数値の概算を表す表現であり、物理的な場所や位置に使うのは適切ではありません。場所を表す場合は「near」や「around」などを使いましょう。
誤った例: The shop is circa the train station.(×)
正しい例: The shop is near the train station.(○)
日付の特定部分への使用
「circa」は通常、年全体に対して使われ、月や日といった特定の日付の部分に使うことは少ないです。より具体的な日付がわかっている場合は、年だけに「circa」を使用するか、別の表現を検討しましょう。
あまり一般的でない例: He was born circa June 1950.
より一般的な例: He was born circa 1950.
非常に近い過去への適用
「circa」は主に歴史的な文脈で、ある程度昔の時代を表す際に使われます。昨日や先週といった非常に近い過去に使うのは一般的ではありません。近い過去を表す場合は「about」や「around」を使いましょう。
誤った例: I saw him circa yesterday.(×)
正しい例: I saw him around yesterday.(○)
c.a.という誤表記
「circa」の略語として「c.a.」と表記することがありますが、これは誤用です。正しくは「c.」または「ca.」です。略語を使う際は正確な表記を心がけましょう。
誤った例: The painting is from c.a. 1700.(×)
正しい例: The painting is from c. 1700.(○)
circaに関する問題
「circa」の理解度を確認するための問題を10問用意しました。それぞれの問題に最も適切な答えを選んでください。
- 「circa」は主にどのような意味で使われますか?
a) 正確に
b) おおよそ
c) 以前に
d) 以降に - 次の中で「circa」の正しい使い方はどれですか?
a) I will arrive circa 5 PM.
b) The temple was built circa 1200.
c) The shop is circa the station.
d) We have circa finished the work. - 「circa」の一般的な略語は次のうちどれですか?
a) cir
b) ci.
c) c.a.
d) c. - 「circa 1500」という表現は何を意味しますか?
a) 1500年より前
b) 1500年より後
c) 1500年頃
d) 1500年ちょうど - 「circa」はどのような文脈で最もよく使われますか?
a) 日常会話
b) ビジネスメール
c) 学術論文や歴史的記述
d) カジュアルなSNS投稿 - 次の中で「circa」の使用が最も適切な文はどれですか?
a) I will meet you circa the library.
b) The dinosaurs went extinct circa 65 million years ago.
c) The bus leaves circa every hour.
d) I have circa 10 dollars in my pocket. - 「circa」の発音に最も近いのは次のうちどれですか?
a) キルカ
b) サーカ
c) シルカ
d) カーサ - 「circa」と最も使い方が近い表現は次のうちどれですか?
a) exactly
b) approximately
c) before
d) after - 「The manuscript was written c. 1450」の「c.」は何の略語ですか?
a) century
b) calendar
c) circa
d) created - 「circa」は次のどの言語に由来しますか?
a) ギリシャ語
b) フランス語
c) ラテン語
d) ドイツ語
「circa」に関するよくある質問
「circa」についてよく寄せられる質問とその回答をまとめました。英語学習者が疑問に思いやすいポイントを中心に解説します。
- 「circa」は日常会話でも使えますか?
-
「circa」は主に学術的な文脈や歴史的な記述で使われる表現です。日常会話では「about」や「around」などのより一般的な表現を使うことをお勧めします。「circa」を日常会話で使うと、少し堅苦しい印象を与えることがあります。
- 「circa」と「c.」「ca.」の違いは何ですか?
-
「c.」と「ca.」は、どちらも「circa」の略語です。使い方に大きな違いはなく、どちらを使っても問題ありません。ただし、学術論文や出版物では、一貫性を保つためにどちらか一方を選んで使用することが多いです。
- 「circa」は数字以外にも使えますか?
-
「circa」は主に年代や数値の概算を表すために使われます。季節や世紀といった時間を表す表現に使用することもありますが、それ以外の文脈で使うことは一般的ではありません。
The painting was created circa 18th century.(その絵画は18世紀頃に作成されました。)
The event happened circa winter of 1900.(その出来事は1900年の冬頃に起こりました。) - 「circa」の前に冠詞(a/the)は必要ですか?
-
「circa」は前置詞または副詞として機能するため、通常は冠詞を必要としません。直接、年代や数値の前に置かれます。
正しい例: The book was written circa 1850.
誤った例: The book was written a circa 1850. - 日本語では「circa」をどう訳せばいいですか?
-
日本語では「circa」を「約」「およそ」「〜頃」「〜ごろ」などと訳します。文脈に応じて、最も自然な表現を選ぶとよいでしょう。
The castle was built circa 1500.(その城は1500年頃に建てられました。)
The population was circa 2000.(人口はおよそ2000人でした。) - 「circa」と「circadian」は関連がありますか?
-
「circa」と「circadian(概日の、約一日の)」は語源的に関連があります。どちらもラテン語の「circum(周り)」に由来しますが、「circadian」は「circa(約)」と「dies(日)」を組み合わせた言葉で、「約一日」を意味します。主に生物学で使われる概日リズム(体内時計による約24時間の周期)を表す用語です。
- 「circa」を使う際の注意点はありますか?
-
「circa」を使う際の主な注意点は以下の通りです。
- 主に学術的・歴史的な文脈で使用する
- 年代や数値の前に置く
- 物理的な場所や位置には使わない
- 非常に近い過去には使わない
- 略語を使う場合は正確な表記(「c.」または「ca.」)を心がける
まとめ

この記事では、英語の表現「circa」について詳しく解説しました。「circa」はラテン語由来の表現で、主に年代や時代が正確ではなく、おおよそのものであることを示すために使われます。
歴史書や美術館の解説文などでよく見かける表現ですが、日常会話ではあまり使われません。今回のポイントは以下になります。
- 「circa」は「約」「およそ」「〜頃」という意味を持つ前置詞または副詞である。
- 主に学術的な文脈や歴史的な記述で使われる。
- 一般的な略語は「c.」「ca.」である。
- 年代や数値の直前に置いて使用する。
- 日常会話では「about」や「around」を使う方が自然である。
- ラテン語の「circum(周り、周囲)」に由来している。
- 発音は英語では /ˈsɜːrkə/(サーカ)となる。
- 物理的な場所や位置に使うのは適切ではない。
- 主に歴史的な年代や時代を表す際に使われる。
- 紀元前の年代とも組み合わせて使うことができる。
「circa」は特に歴史、美術、考古学などの分野でよく使われる表現です。正確な年代が不明な場合や、概算を示したい場合に便利な表現ですが、適切な文脈で使うことが大切です。日常会話では類似の表現を使い分けることで、より自然な英語表現ができるようになるでしょう。
この記事を通じて「circa」の意味や使い方について理解が深まり、英語学習の役に立てば幸いです。歴史や美術に関する英文を読む際に、この知識が活かされることを願っています。