英語を勉強し始めたばかりの方にとって、「切る」という動作を表す英単語「cut」と「chop」の違いは分かりにくいものです。どちらも「切る」という意味がありますが、使い方やニュアンスには明確な違いがあります。
この記事では、「cut」と「chop」の意味の違いや使い分けについて、分かりやすく解説していきます。実用的な例文も多数紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください。
「cut」と「chop」の基本的な違い

まず、「cut」と「chop」の基本的な違いについて解説します。
「cut」は英語で「切る」を表現する最も一般的な動詞です。ハサミや包丁、ナイフなどの鋭い刃物で何かを切断する際に広く使われます。切る方向や力の入れ方に特に制限はなく、様々な切り方を表現できます。
一方、「chop」はより具体的で、下向きに力を入れて繰り返し切る動作を表します。特に食材を細かく切り刻んだり、斧で木を切り倒したりする場合によく使われます。「chop」には力強さや繰り返しのニュアンスが含まれています。
例えば、紙をハサミで切る場合は「cut」、包丁で野菜を細かく刻む場合は「chop」を使うのが自然です。
例文
- I cut the paper with scissors.(私はハサミで紙を切りました。)
- She chopped the onion for dinner.(彼女は夕食用の玉ねぎを刻みました。)
この基本的な違いを理解することで、適切な場面で正しい動詞を選べるようになります。
「cut」の意味と使い方
「cut」は非常に汎用性の高い動詞で、様々な状況で使われます。ここでは「cut」の具体的な意味と使い方を見ていきましょう。
「cut」の基本的な意味は「切る」ですが、切り方や目的によって幅広く応用できます。ハサミ、ナイフ、包丁など様々な道具を使った切断行為に使えるのが特徴です。
「cut」の基本的な使い方
「cut」の基本的な使い方をいくつかの例文で見てみましょう。
例文
- Please cut this string for me.(この紐を切ってください。)
- I cut my finger while cooking.(料理中に指を切ってしまいました。)
- He cuts his hair once a month.(彼は月に一度髪を切ります。)
- She cut the cake into eight pieces.(彼女はケーキを8つに切りました。)
これらの例からわかるように、「cut」は単純な切断から、分割、形を整えるなど、様々な「切る」行為に使えます。
「cut」と前置詞の組み合わせ
「cut」は様々な前置詞と組み合わせることで、異なる意味を持つ表現になります。
cut into:(~に)切る
- Cut the potato into small pieces.(ジャガイモを小さく切ってください。)
cut up:(細かく)切り分ける
- She cut up the vegetables for the soup.(彼女はスープ用に野菜を切り分けました。)
cut off:(切り)離す、切断する
- The doctor cut off the bandage.(医師は包帯を切り離しました。)
cut down:(木などを)切り倒す、(量などを)減らす
- They cut down the old tree.(彼らは古い木を切り倒しました。)
- We need to cut down our expenses.(私たちは出費を減らす必要があります。)
cut out:(切り)抜く、除外する
- The children cut out paper dolls.(子どもたちは紙人形を切り抜きました。)
- You should cut out sugar from your diet.(あなたは食事から砂糖を除外すべきです。)
「cut」の応用表現
「cut」は日常会話でよく使われる慣用表現も多くあります。
cut in line:(列に)割り込む
- Don’t cut in line, please wait your turn.(列に割り込まないで、順番を待ってください。)
cut it out:やめる
- Cut it out! I’m trying to study.(やめて!勉強しようとしているんだ。)
cut corners:手抜きをする
- Don’t cut corners on this project.(このプロジェクトで手抜きはしないでください。)
cut to the chase:要点に入る
- Let’s cut to the chase and discuss the main issue.(要点に入って主な問題を話し合いましょう。)
「chop」の意味と使い方
次に「chop」の意味と使い方について詳しく見ていきましょう。
「chop」は主に食材や木材などを小さく切り刻む動作を表します。力強く下向きに切る動作で、特に料理の文脈でよく使われる単語です。
「chop」の基本的な使い方
「chop」の基本的な使い方をいくつかの例文で確認しましょう。
例文
- She chopped the carrots for the stew.(彼女はシチュー用のニンジンを刻みました。)
- The chef chopped garlic very finely.(シェフはニンニクを非常に細かく刻みました。)
- He chopped wood for the fireplace.(彼は暖炉用の薪を切りました。)
- Please chop these herbs for the sauce.(このハーブをソース用に刻んでください。)
これらの例では、「chop」が繰り返し力を入れて切る動作を表していることがわかります。
「chop」と前置詞の組み合わせ
「chop」も様々な前置詞と組み合わせて使われます。
chop up:細かく刻む
- Chop up the vegetables before cooking.(調理前に野菜を細かく刻んでください。)
chop down:(木などを)切り倒す
- The workers chopped down several trees.(作業員は数本の木を切り倒しました。)
chop off:切り落とす
- She accidentally chopped off the tip of her finger.(彼女は誤って指先を切り落としてしまいました。)
「chop」の応用表現
「chop」にも特有の慣用表現があります。
chop and change:頻繁に変更する、優柔不断である
- He’s always chopping and changing his plans.(彼はいつも計画をコロコロ変更します。)
chop logic:こじつけの論理を展開する
- Stop chopping logic and face the facts.(こじつけの議論をやめて、事実に向き合いなさい。)
karate chop:空手チョップ
- He demonstrated a karate chop that broke the board.(彼は板を割る空手チョップを披露しました。)
「cut」と「chop」の使い分けのポイント
「cut」と「chop」の違いをさらに明確にするために、使い分けのポイントをまとめてみましょう。
動作の違い
「cut」は方向や力に関係なく、様々な切り方を表します。一回の動作で切ることも、繊細な切断も表現できます。
「chop」は下向きで力強い動作を表し、往々にして繰り返し切る動作を意味します。包丁で食材を連続的に叩くように切るイメージです。
対象物による使い分け
「cut」は紙、布、髪、果物、野菜など、ほぼすべての対象に使えます。
例文
- Cut the paper in half.(紙を半分に切ってください。)
- She cut the cloth for the dress.(彼女はドレス用の布を切りました。)
「chop」は主に食材(特に野菜や肉)や木材を切る場合に使われます。
例文
- Chop the potatoes into cubes.(ジャガイモを角切りにしてください。)
- He chopped firewood all morning.(彼は午前中ずっと薪を切っていました。)
目的による使い分け
「cut」は分割、形を整える、切断などの幅広い目的に使われます。
例文
- Cut the pizza into eight slices.(ピザを8切れに切ってください。)
- I need to cut my nails.(爪を切る必要があります。)
「chop」は物を小さく切り刻むことが主な目的です。
例文
- Chop the onions finely for the sauce.(ソース用の玉ねぎを細かく刻んでください。)
- He chopped the meat into small pieces.(彼は肉を小さく切り刻みました。)
道具による使い分け
「cut」はハサミ、ナイフ、包丁など様々な道具を使った切断に使えます。
例文
- Cut the paper with scissors.(ハサミで紙を切ってください。)
- She cut the bread with a knife.(彼女はナイフでパンを切りました。)
「chop」は主に包丁や斧など、下向きに力を入れて使う道具に関連します。
例文
- Chop the vegetables with a cleaver.(包丁で野菜を刻んでください。)
- He chopped wood with an axe.(彼は斧で薪を切りました。)
これらのポイントを意識すると、「cut」と「chop」を適切に使い分けられるようになるでしょう。
「cut」と「chop」以外の「切る」を表す英単語との違い
英語には「切る」を表す様々な単語があります。「cut」と「chop」以外の代表的な動詞についても理解しておくと、表現の幅が広がります。
slice(薄く切る)
「slice」は食べ物などを薄く均一に切ることを表します。特にパン、肉、果物、野菜などを薄切りにする場合に使います。
例文
- Please slice the bread thinly.(パンを薄く切ってください。)
- He sliced the tomatoes for the salad.(彼はサラダ用にトマトをスライスしました。)
- Can you slice this ham for me?(このハムを切ってもらえますか?)
「cut」が一般的な切断を表すのに対し、「slice」は特に薄く、均一に切ることを強調します。
dice(さいの目に切る)
「dice」は食材をサイコロのような小さな立方体に切ることを表します。料理の文脈でよく使われます。
例文
- Dice the carrots for the soup.(スープ用にニンジンをさいの目に切ってください。)
- She diced the potatoes into small cubes.(彼女はジャガイモを小さな立方体に切りました。)
- The recipe calls for diced onions.(そのレシピではさいの目に切った玉ねぎが必要です。)
「chop」が不規則に細かく切ることを表すのに対し、「dice」はより均一な形状(立方体)を強調します。
mince(細かく刻む)
「mince」は食材を非常に細かく切り刻むことを表します。特に肉やハーブなどを細かく刻む場合に使います。
例文
- Mince the garlic before adding it to the pan.(ニンニクを細かく刻んでからフライパンに加えてください。)
- She minced herbs for the sauce.(彼女はソース用のハーブを細かく刻みました。)
- The recipe requires minced meat.(そのレシピではひき肉が必要です。)
「chop」よりもさらに細かく刻むイメージです。「mince」で刻むと、ほぼペースト状になることもあります。
slash(さっと切る、切り裂く)
「slash」は鋭い刃物で素早く力強く切ることを表します。しばしば暴力的なニュアンスがあります。
例文
- The vandals slashed the car tires.(破壊者たちは車のタイヤを切り裂きました。)
- He slashed through the ropes with a knife.(彼はナイフでロープを素早く切りました。)
- The price has been slashed by 50%.(価格が50%切り下げられました。)
「cut」が中立的な切断を表すのに対し、「slash」はより激しい、素早い切断を表します。
これらの「切る」を表す様々な動詞を状況に応じて使い分けることで、より正確で豊かな英語表現が可能になります。
「cut」と「chop」の使い分け練習問題
ここでは「cut」と「chop」の使い分けを学ぶための練習問題を20問用意しました。それぞれの文の空欄に「cut」または「chop」の適切な形(現在形、過去形、過去分詞、進行形など)を入れてみましょう。
- Please _ the paper along the dotted line.
- She _ vegetables for the salad.
- The barber _ my hair too short.
- He _ wood for the fireplace all day.
- I accidentally _ my finger with a knife.
- The chef _ the onions very finely.
- Can you _ this cake into eight pieces?
- The farmer _ down the old apple tree.
- She _ out pictures from the magazine.
- Please _ these carrots into small pieces.
- The tailor _ the fabric for the dress.
- He _ up the chicken for the curry.
- I need to _ back on sugar in my diet.
- The butcher _ the meat with a cleaver.
- She _ her long hair last weekend.
- Please _ the herbs for the sauce.
- He _ his finger on the broken glass.
- The chef _ the garlic before adding it to the oil.
- Can you help me _ these papers in half?
- The lumberjack _ down several trees yesterday.
「cut」と「chop」に関するよくある質問
- 「cut」と「chop」の基本的な違いは何ですか?
-
「cut」は様々な方向や力で何かを切る一般的な動作を表します。一方、「chop」は下向きの力強い動作で、物を小さく切り刻む場合に使います。「cut」はハサミやナイフなど様々な道具で切る動作に使え、「chop」は主に包丁や斧などで切る場合に使われます。
- 料理で「chop」と「dice」の違いは何ですか?
-
「chop」は食材を不規則に小さく切ることを意味し、形状に厳密さは求められません。一方、「dice」は食材をサイコロのような均一な小さな立方体に切ることを意味します。「dice」のほうがより規則的で正確な切り方です。
- 「cut」と「slice」はどう違いますか?
-
「cut」は一般的な切断を表しますが、「slice」は特に薄く均一に切ることを強調します。パンやチーズ、果物などを薄く切る場合は「slice」がよく使われます。「cut」はより汎用的で、「slice」はより具体的な切り方を示します。
- 「cut down」と「chop down」に違いはありますか?
-
どちらも「切り倒す」という意味で使われますが、微妙なニュアンスの違いがあります。「chop down」は斧などを使って力強く繰り返し打ちつけて切り倒すイメージがあります。「cut down」はより一般的で、様々な方法で切り倒すことを表します。また、「cut down」には「減らす」という比喩的な意味もあります。
- 「cut」と「chop」の過去形と過去分詞は何ですか?
-
「cut」は特殊な動詞で、現在形・過去形・過去分詞がすべて同じ「cut」です。
- 現在形:I cut the bread.(私はパンを切ります。)
- 過去形:I cut the bread yesterday.(私は昨日パンを切りました。)
- 過去分詞:I have cut the bread.(私はパンを切りました。)
「chop」は規則動詞で、過去形と過去分詞は「chopped」になります。
- 現在形:I chop the vegetables.(私は野菜を刻みます。)
- 過去形:I chopped the vegetables yesterday.(私は昨日野菜を刻みました。)
- 過去分詞:I have chopped the vegetables.(私は野菜を刻みました。)
- 「mince」と「chop」の違いは何ですか?
-
「mince」は食材を非常に細かく切り刻むことを意味し、結果としてほぼペースト状になることもあります。「chop」は「mince」ほど細かくない、一般的な切り刻みを指します。にんにくやハーブをみじん切りにする場合は「mince」、野菜を一般的に刻む場合は「chop」が適しています。
- 「cut」と「chop」を使った慣用表現にはどのようなものがありますか?
-
「cut」を使った慣用表現。
- cut in line(列に割り込む)
- cut it out(やめる)
- cut corners(手抜きをする)
- cut to the chase(要点に入る)
- cut back(削減する)
「chop」を使った慣用表現。
- chop and change(頻繁に変更する)
- chop logic(こじつけの論理を展開する)
- karate chop(空手チョップ)
まとめ

この記事では、「cut」と「chop」の意味の違いと使い分けについて詳しく解説しました。ポイントをまとめると次のようになります。
- 「cut」は一般的な切断行為を表す最も基本的な動詞で、様々な道具や方向での切断に使える。
- 「chop」は力強く下向きの動作で、主に食材や木材を小さく切り刻むことを表す。
- 「cut」は紙、布、髪など様々な対象に使えるが、「chop」は主に食材や木材に使われる。
- 「cut」は分割や形を整えるなど幅広い目的に使え、「chop」は物を小さく切り刻むことが主な目的。
- 「cut」はハサミ、ナイフ、包丁など様々な道具での切断に使え、「chop」は主に包丁や斧など下向きに力を入れて使う道具に関連する。
- 「cut」は比喩的な表現(費用削減など)にも使われるが、「chop」はより具体的な物理的切断に限られる傾向がある。
- 他の「切る」を表す動詞(slice, dice, mince, slash)もそれぞれ特有のニュアンスがあり、状況に応じて使い分けることで、より正確な英語表現ができる。
これらの知識を身につけることで、英語での「切る」という動作をより精確に表現できるようになるでしょう。日常会話や料理の場面などで、ぜひ適切な動詞を使い分けてみてください。