「Cut to the chase」という英語表現を聞いたことがありますか?ビジネスシーンや日常会話でよく使われるこの表現は、効率的なコミュニケーションを図りたいときに非常に役立ちます。
この記事では、「Cut to the chase」の意味や使い方、そして実際の例文を通して、英語初学者にも分かりやすく解説していきます。
「Cut to the chase」の基本的な意味

「Cut to the chase」は、「前置きや無駄な説明を省いて本題に入る」「要点だけを述べる」という意味を持つ英語のイディオムです。長い説明や回りくどい話を省略して、直接核心に触れることを表します。日本語では「単刀直入に言う」「本題に入る」といった意味合いに近いでしょう。
特にビジネスの場や時間が限られた状況で、効率的に会話を進めたいときによく使われる表現です。相手が長々と話している場合や、話が脱線してしまった場合に、「Cut to the chase」と言うことで、要点に戻るよう促すことができます。
語源と由来
この表現の面白いところは、その語源にあります。「Cut to the chase」は、もともと1920年代のハリウッド映画業界から生まれた言葉です。
当時の無声映画、特に喜劇映画では、クライマックスとして「追跡シーン(chase scene)」が盛り上がりのポイントでした。しかし、そこに至るまでに長い会話シーンや冗長な展開がしばしばあり、映画監督がそれらの冗長な部分をカットして、観客が最も期待する追跡シーンに早く移るよう指示したことから、この表現が生まれたと言われています。
つまり、「無駄な部分をカットして、面白い追跡シーンに移れ」という意味から、「余計な説明を省いて要点に入る」という現代の意味に進化してきたのです。
「Cut to the chase」の使用場面
この表現はさまざまな場面で使われますが、特にどのような状況で使われるのか見ていきましょう。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスの世界では時間が非常に貴重です。会議や商談の場で、参加者が長い説明や関係のない話題に脱線してしまうことがあります。そのような場合、「Cut to the chase」と言うことで、議論を効率的に進め、核心的な問題に焦点を当てるよう促すことができます。
たとえば、プレゼンテーションで発表者が長い前置きをしている場合、時間を節約するために「Let’s cut to the chase and discuss the main issues」(要点に入って主な問題について話し合いましょう)と言うことができます。
日常会話での使い方
日常会話においても、この表現は便利です。友人が遠回しに何かを伝えようとしているとき、あるいは重要な情報を知りたいけれど相手が本題に入らない場合に使えます。
例えば、友人から「実は大事な話があるんだけど…」と言われて、その後長い前置きが始まったら、「Cut to the chase. What happened?」(要点だけ言って。何があったの?)と聞くことができます。
「Cut to the chase」の例文と解説
実際の会話の中での使用例を見ていきましょう。
ビジネスシーンでの例文
例文
- We have a tight schedule today, so let’s cut to the chase. What are the key issues we need to address?
(今日はスケジュールがタイトなので、要点に入りましょう。取り組むべき主要な問題は何ですか?) - I appreciate all the background information, but can we cut to the chase? What’s your proposal?
(背景情報はありがたいですが、要点に入れませんか?あなたの提案は何ですか?) - The CEO doesn’t have much time, so cut to the chase when you present your ideas.
(CEOはあまり時間がないので、アイデアを発表するときは要点だけを話してください。) - Let’s cut to the chase and discuss the budget issue directly.
(要点に入って、予算の問題について直接話し合いましょう。)
カジュアルな場面での例文
例文
- You’ve been talking for 10 minutes now. Cut to the chase. Are you coming to the party or not?
(もう10分も話してるよ。要点だけ言って。パーティーに来るの?来ないの?) - I know you’re nervous, but just cut to the chase and ask her out.
(緊張してるのは分かるけど、要点だけ言って彼女をデートに誘えばいいよ。) - Cut to the chase. Did you get the job or not?
(単刀直入に言って。仕事は手に入れた?それとも違う?) - I don’t need all the details right now. Cut to the chase. Is everything okay?
(今は詳細全部は必要ないよ。要点だけ言って。大丈夫なの?)
「Cut to the chase」に類似する英語表現
「Cut to the chase」と似た意味を持つ表現がいくつかあります。状況に応じて使い分けると良いでしょう。
「Get to the point」との違い
「Get to the point」は、「Cut to the chase」とほぼ同じ意味を持ちますが、若干ニュアンスが異なります。「Get to the point」は比較的穏やかな表現で、相手に本題に入るよう促すフレーズです。
一方、「Cut to the chase」はやや直接的で、時間を節約したい、または効率性を強調したい場合により適しています。
例文
- Can you get to the point? What exactly are you trying to say?
(要点を言ってくれませんか?具体的に何を言おうとしているのですか?)
その他の類似表現
- Stop beating around the bush
「遠回しな言い方をやめて」という意味で、直接的な表現を求める場合に使います。 - Skip the preliminaries
「前置きを省いて」という意味で、フォーマルな状況で使われることが多いです。 - Get down to business
「本題に入る」という意味で、特にビジネスの文脈でよく使われます。
例文
- Stop beating around the bush and tell me what you want.
(遠回しな言い方をやめて、何が欲しいのか言ってください。) - Let’s skip the preliminaries and focus on the main issues.
(前置きを省いて、主な問題に集中しましょう。) - We’ve spent enough time chatting, let’s get down to business.
(おしゃべりは十分したので、本題に入りましょう。)
「Cut to the chase」に関するよくある質問
- 「Cut to the chase」は失礼な表現ですか?
-
状況と言い方によります。ビジネスの場では、時間を節約するために使われることが多く、適切に使えば失礼にはなりません。ただし、言い方や口調によっては相手に対して急かしているような印象を与える可能性があるため、丁寧な口調で使うことが大切です。
- 日本語で「Cut to the chase」に相当する表現は?
-
「単刀直入に言うと」「本題に入ると」「要するに」「ずばり言うと」などが日本語での類似表現です。状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
- 「Cut to the chase」は正式な文書で使えますか?
-
この表現はカジュアルな会話やビジネス会話で主に使われるイディオムであり、正式な文書では避けるのが一般的です。正式な文書では「To summarize」(要約すると)や「In conclusion」(結論としては)などのより形式的な表現を使うことをお勧めします。
- 初めて会った人に「Cut to the chase」と言っても良いですか?
-
初対面の人には、この表現は少し直接的すぎる可能性があります。特に目上の人や、あまり親しくない人に対しては、より丁寧な表現(「Would you mind getting to the main point?」など)を使うほうが良いでしょう。
まとめ

「Cut to the chase」は、効率的なコミュニケーションのための非常に便利な英語表現です。この記事のポイントをまとめると、
- 「Cut to the chase」は、「前置きや無駄な説明を省いて本題に入る」という意味を持つイディオム。
- この表現は1920年代のハリウッド映画業界から生まれた。
- ビジネスシーンや時間が限られた状況で特に有用。
- 言い方によっては相手に急かしている印象を与える可能性があるため、状況に応じた使い方が重要。
- 「Get to the point」や「Stop beating around the bush」などの類似表現もある。
- カジュアルな会話やビジネス会話で主に使われ、正式な文書では避けるのが一般的。
「Cut to the chase」をマスターして、より効率的で明確なコミュニケーションを心がけましょう。特にビジネスの場面では、無駄を省いた簡潔な表現が高く評価されます。
この表現を適切に使いこなすことで、あなたの英語力と伝達能力が向上することでしょう。