「deliver」は英語の動詞で、最も基本的な意味は「配達する」「届ける」ですが、それ以外にも「スピーチをする」「約束を果たす」「出産する」など、様々な意味を持つ多様な使い方ができる単語です。日本語でも「デリバリー」というカタカナ語が使われていますが、英語の「deliver」にはより広い意味があります。
この記事では、初学者の方にも分かりやすく、「deliver」の意味と使い方を例文とともに詳しく解説していきます。
deliverとは?基本的な意味と使い方

「deliver」は、基本的に「何かを目的地や相手に届ける」という意味を持つ動詞です。物理的なものを届ける場合もあれば、メッセージやスピーチ、サービスなど形のないものを届ける場合もあります。日本語でも「デリバリー」という言葉が宅配サービスを意味するように使われていますが、英語の「deliver」はより幅広い場面で使われます。
発音は「ディリヴァー」で、アクセントは二番目の「リ」の部分に置かれます。活用形は以下のようになります。
- 原形:deliver
- 三人称単数現在形:delivers
- 過去形:delivered
- 過去分詞:delivered
- 現在分詞:delivering
「deliver」は他動詞なので、基本的には目的語を伴って使います。ただし、「配達業務を行う」という意味では自動詞としても使用されます。
deliverの語源
「deliver」の語源はラテン語の「deliberare(解放する)」に由来しています。古くは「束縛から解き放つ」という意味でしたが、時代とともに「荷物を届ける」という現代的な意味へと変化してきました。
語源を知ることで、なぜこの単語が「出産する」や「救い出す」といった意味も持つのか理解しやすくなります。
deliverの主な意味と例文での使い方
「deliver」には複数の意味がありますが、ここでは主要なものを例文とともに紹介します。様々な文脈での使い方を知ることで、この単語をより深く理解できるでしょう。
「配達する・届ける」という意味のdeliver
最も基本的で一般的な意味は、「荷物や手紙などを配達する・届ける」というものです。郵便や宅配サービスの文脈でよく使われます。
例文
- The mailman delivers letters every morning.
(郵便配達人は毎朝手紙を配達します。) - We will deliver the package to your house tomorrow.
(明日あなたの家に荷物を届けます。) - This store delivers goods for free.
(この店は商品を無料で配達します。) - Does the restaurant deliver?
(そのレストランは配達をしていますか?)
「演説・スピーチをする」という意味のdeliver
講演やスピーチを行うという意味でも使われます。この場合、聴衆にメッセージを「届ける」というイメージです。
例文
- The president will deliver a speech next week.
(大統領は来週スピーチを行います。) - He delivered a wonderful lecture about science.
(彼は科学についての素晴らしい講義を行いました。) - She delivered a message to the students.
(彼女は学生たちにメッセージを伝えました。) - I am going to deliver a short speech at the party.
(私はパーティーで短いスピーチをする予定です。)
「約束を果たす」という意味のdeliver
約束や義務を果たす、期待に応えるという意味でも使われます。この場合、特に「deliver on」という形でよく使います。
例文
- He always delivers on his promises.
(彼はいつも約束を果たします。) - The team delivered good results.
(チームは良い結果を出しました。) - You must deliver what you promised.
(あなたは約束したことを果たさなければなりません。) - Our company always delivers on time.
(私たちの会社はいつも時間通りに成果を出します。)
「出産する」という意味のdeliver
赤ちゃんを出産するという意味でも使われます。医療の文脈でよく見られる使い方です。
例文
- She delivered a healthy baby boy.
(彼女は健康な男の子を出産しました。) - The doctor helped her deliver the baby.
(医師は彼女の出産を手伝いました。) - She delivered twins last month.
(彼女は先月双子を出産しました。) - Many women prefer to deliver at home.
(多くの女性は自宅で出産することを好みます。)
「救い出す・解放する」という意味のdeliver
苦しみや危険から救い出す、解放するという意味でも使われます。この場合、特に「deliver from」という形でよく使われます。
例文
- The hero delivered the people from danger.
(英雄は人々を危険から救い出しました。) - Religion promises to deliver us from evil.
(宗教は私たちを悪から救うと約束しています。) - His words delivered her from anxiety.
(彼の言葉は彼女を不安から解放しました。) - The medicine delivered him from pain.
(その薬は彼を痛みから解放しました。)
deliverとdeliveryの違いと関係
「deliver」は動詞で、「配達する」「届ける」などの行為を表しますが、「delivery」はその名詞形で、「配達」「配送」「出産」などを意味します。ここでは両者の違いと関係について解説します。
deliveryの意味と使い方
「delivery」は主に以下のような意味で使われます。
配達・配送
- The delivery of the package was delayed.
(荷物の配達は遅れました。) - We offer free delivery service.
(私たちは無料配達サービスを提供しています。)
出産
- She had a normal delivery.
(彼女は正常分娩でした。) - The doctor assisted in the delivery.
(医師が出産を介助しました。)
演説・発表の仕方
- His delivery of the speech was impressive.
(彼のスピーチの話し方は印象的でした。)
日常会話では「delivery」を使った表現もよく使われます。例えば、「delivery service(宅配サービス)」「delivery man(配達人)」「delivery date(配達日)」などです。
これらは「deliver」の動作に関連した名詞表現です。
deliverとdeliveryを使い分ける
動詞と名詞の違いを理解することで、正しく使い分けることができます。
- 「何かを届ける」行為を表現する場合は「deliver」を使います。
- 「配達」というサービスや概念を表現する場合は「delivery」を使います。
例文
- I will deliver the package tomorrow.
(明日その荷物を届けます。) - The delivery will be tomorrow.
(配達は明日です。)
deliverの様々な使い方と表現
「deliver」は様々な文脈で使われ、多くの表現があります。ここでは「deliver」をより深く理解するための様々な使い方を紹介します。
deliverと使われる前置詞の組み合わせ
「deliver」はいくつかの前置詞と組み合わせて使われ、それぞれ少しずつ意味が変わります。
例文
- deliver to(〜に配達する)
Please deliver this package to my office.
(この荷物を私のオフィスに配達してください。) - deliver from(〜から救い出す)
The medicine delivered him from pain.
(その薬は彼を痛みから解放しました。) - deliver on(約束などを果たす)
The company delivered on its promise to reduce prices.
(その会社は価格を下げるという約束を果たしました。) - deliver into(〜に引き渡す)
The criminal was delivered into the hands of the police.
(犯人は警察の手に引き渡されました。)
deliverを使った慣用表現と熟語
「deliver」を使った慣用表現や熟語もたくさんあります。
例文
- deliver a speech/lecture(演説/講義をする)
The professor delivered an interesting lecture yesterday.
(教授は昨日興味深い講義をしました。) - deliver a message(メッセージを伝える)
I will deliver your message to him.
(あなたのメッセージを彼に伝えます。) - deliver the goods(約束を果たす、期待に応える)
Our team always delivers the goods in difficult situations.
(私たちのチームは困難な状況でもいつも期待に応えます。) - deliver a blow(打撃を与える)
The boxer delivered a powerful blow to his opponent.
(そのボクサーは相手に強力な一撃を加えました。) - deliver a verdict(判決を下す)
The jury delivered a guilty verdict.
(陪審員は有罪の判決を下しました。)
これらの表現を覚えておくと、「deliver」をより自然に使いこなせるようになります。
deliverの活用と文法的な特徴
「deliver」の文法的な特徴や活用について詳しく見ていきましょう。
deliverの活用形と使い方
「deliver」の活用形は以下の通りです。
活用形 | 形 | 例文 |
---|---|---|
原形 | deliver | I want to deliver this package.(この荷物を届けたいです。) |
三人称単数現在形 | delivers | He delivers mail every day.(彼は毎日郵便を配達します。) |
過去形 | delivered | She delivered a speech yesterday.(彼女は昨日スピーチをしました。) |
過去分詞 | delivered | The package has been delivered.(荷物は配達されました。) |
現在分詞 | delivering | He is delivering the mail now.(彼は今郵便を配達しています。) |
これらの活用形を正しく使い分けることで、時制や態(能動態・受動態)を適切に表現できます。
deliverの受動態
「deliver」は他動詞なので、受動態で使うことができます。受動態は「be + 過去分詞」の形で作ります。
例文
- The mail is delivered every morning.
(郵便は毎朝配達されます。) - The speech was delivered by the president.
(そのスピーチは大統領によって行われました。) - All packages will be delivered by tomorrow.
(すべての荷物は明日までに配達されるでしょう。)
受動態は行為を受ける側に焦点を当てたい場合に使います。配達サービスの説明などでよく使われます。
deliverのよくある間違いと注意点
「deliver」を使う際によくある間違いや注意点を紹介します。これらを知っておくことで、より正確に「deliver」を使えるようになります。
発音の間違い
「deliver」の正しい発音は「ディリヴァー」で、アクセントは二番目の音節にあります。
「デリバー」と平たく発音したり、一番目の音節にアクセントを置いたりしないように注意しましょう。
前置詞の使い間違い
「deliver」は状況によって異なる前置詞と組み合わせて使います。よくある間違いは以下の通りです。
- ✓ deliver to(〜に配達する)
- ✗ deliver at(この組み合わせはあまり使いません)
- ✓ deliver from(〜から救い出す)
- ✗ deliver of(この意味では使いません)
- ✓ deliver on(約束などを果たす)
- ✗ deliver in(この意味では使いません)
deliverとgiveの混同
「与える」という意味では「give」が一般的ですが、公式な演説やメッセージを「与える」場合は「deliver」を使います。
- ✓ deliver a speech(スピーチをする)
- ✓ give a present(プレゼントを与える)
- ✗ give a speech(口語では使われますが、正式には「deliver a speech」が好まれます)
- ✗ deliver a present(通常使いません)
自動詞と他動詞の使い分け
「deliver」は他動詞として使うのが一般的ですが、「配達業務を行う」という限定的な意味では自動詞としても使えます。
例文
- 他動詞:I will deliver the package tomorrow.(明日その荷物を届けます。)
- 自動詞:This shop doesn’t deliver on Sundays.(この店は日曜日には配達しません。)
deliverと似た意味を持つ単語との違い
「deliver」と似た意味を持つ単語はいくつかありますが、微妙なニュアンスの違いがあります。ここではそれらの違いを解説します。
deliverとsendの違い
「deliver」は「配達する」「届ける」という意味で、荷物や手紙が最終的に受取人に渡されることを強調します。一方、「send」は「送る」という意味で、送り手が荷物や手紙を発送することを強調します。
例文
- deliver:The postman delivers mail to our house every day.
(郵便配達人は毎日私たちの家に郵便物を配達します。) - send:I sent a letter to my friend last week.
(先週友達に手紙を送りました。)
「send」は発送の行為を表し、「deliver」は配達の行為を表します。
deliverとtransportの違い
「deliver」は目的地に荷物などを「届ける」ことを強調しますが、「transport」は物や人を「運ぶ」ことを強調し、必ずしも最終的な配達を含みません。
例文
- deliver:We will deliver your furniture to your new home.
(あなたの家具を新居に届けます。) - transport:We need a truck to transport the furniture.
(家具を運ぶためにトラックが必要です。)
「transport」は移動手段や過程に焦点を当て、「deliver」は最終的な引き渡しに焦点を当てています。
deliverとgiveの違い
「deliver」は「配達する」「届ける」という意味が強く、通常は何らかの移動や運搬が含まれます。一方、「give」は単に「与える」という意味で、直接手渡すことが多いです。
例文
- deliver:The company will deliver the product next week.
(その会社は来週商品を配達するでしょう。) - give:Please give this book to Tom.
(このトムにこの本を渡してください。)
「give」は直接的な受け渡しを、「deliver」は配達過程を経た引き渡しを表すことが多いです。
deliverに関する問題
ここでは、「deliver」の理解度を確認するための問題を10問用意しました。自分の知識をテストしてみましょう。
- “The postman ( ) letters every day.” 空欄に適切な単語を入れなさい。
- “She will ( ) a speech at the ceremony.” 空欄に適切な単語を入れなさい。
- “The doctor helped her ( ) a baby boy.” 空欄に適切な単語を入れなさい。
- “He always ( ) on his promises.” 空欄に適切な単語を入れなさい。
- “Please ( ) this package to my friend.” 空欄に適切な単語を入れなさい。
- 「彼女は昨日赤ちゃんを出産しました」を英語に訳しなさい。
- 「その店は無料で配達します」を英語に訳しなさい。
- 「彼はいつも約束を果たします」を英語に訳しなさい。
- 「大統領は明日スピーチをするでしょう」を英語に訳しなさい。
- 「この薬は彼を痛みから解放しました」を英語に訳しなさい。
「deliver」を日常会話で使う場面と例文
「deliver」は日常会話でもよく使われる単語です。ここでは、日常生活で「deliver」を使う場面と例文を紹介します。
オンラインショッピングでの使用
オンラインショッピングでは配送に関する会話でよく使われます。
例文
- When will my order be delivered?
(注文品はいつ配達されますか?) - Do you deliver to this area?
(この地域に配達してもらえますか?) - Is there an extra charge for delivery?
(配達には追加料金がかかりますか?)
レストランでのデリバリーサービス
レストランのデリバリーサービスについての会話でも使われます。
例文
- Does this restaurant deliver?
(このレストランは配達をしていますか?) - How long will it take to deliver my food?
(食事の配達にどれくらい時間がかかりますか?) - They deliver until 10 p.m.
(彼らは夜10時まで配達しています。)
仕事や学校での使用
仕事や学校での責任や期待に関する会話でも使われます。
例文
- Our team always delivers results on time.
(私たちのチームはいつも時間通りに結果を出します。) - She delivered an excellent presentation yesterday.
(彼女は昨日素晴らしいプレゼンテーションをしました。) - We need to deliver this project by Friday.
(金曜日までにこのプロジェクトを完成させる必要があります。)
「deliver」に関するよくある質問
「deliver」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- deliverとsendの違いは何ですか?
-
「deliver」は「配達する」「届ける」という意味で、荷物や手紙が最終的に受取人に渡されることを強調します。一方、「send」は「送る」という意味で、送り手が荷物や手紙を発送することを強調します。「I sent a letter」(手紙を送りました)は送り手の行為を、「The letter was delivered」(手紙が配達されました)は配達完了を表します。
- deliverの反対語は何ですか?
-
文脈によって異なりますが、「配達する」という意味の反対語としては「受け取る(receive)」や「集める(collect)」などが考えられます。「The postman delivers mail」(郵便配達人は郵便物を配達します)の反対は「I receive mail」(私は郵便物を受け取ります)となります。
- deliverとgiveの違いは何ですか?
-
「deliver」は「配達する」「届ける」という意味が強く、通常は何らかの移動や運搬が含まれます。一方、「give」は単に「与える」という意味で、直接手渡すことが多いです。「I’ll give you the book」(本をあげます)は直接的、「I’ll deliver the book to your house」(あなたの家に本を届けます)は間接的です。
- deliverとtransportの違いは何ですか?
-
「deliver」は目的地に荷物などを「届ける」ことを強調しますが、「transport」は物や人を「運ぶ」ことを強調し、必ずしも最終的な配達を含みません。「We transport goods by truck」(トラックで商品を運びます)は運搬手段に、「We deliver goods to customers」(顧客に商品を届けます)は配達完了に焦点があります。
- deliverを使った文で「宅配してくれますか?」はどう言いますか?
-
「Do you deliver?」または「Does this store deliver?」と言います。レストランやお店で配達サービスがあるか尋ねる時によく使う表現です。
- deliver onとdeliver toの違いは何ですか?
-
「deliver on」は「(約束などを)果たす」という意味で使われます。例えば「deliver on a promise」(約束を果たす)。一方、「deliver to」は「(何かを)〜に配達する」という意味です。例えば「deliver a package to my house」(私の家に荷物を配達する)と使います。
まとめ

今回は英語の動詞「deliver」の意味と使い方について詳しく解説しました。「deliver」は「配達する」という基本的な意味以外にも、「スピーチをする」「約束を果たす」「出産する」「救い出す」など、様々な意味を持つ便利な単語です。
この記事のポイントは以下の通りです。
- 「deliver」は主に「配達する・届ける」という意味の動詞である
- スピーチや講義を「する」という意味もある
- 約束や義務を「果たす」という意味もある
- 赤ちゃんを「出産する」という意味もある
- 苦しみや危険から「救い出す・解放する」という意味もある
- 「delivery」は「deliver」の名詞形で「配達」「出産」などを意味する
- よく使われる前置詞との組み合わせは「deliver to(〜に配達する)」「deliver from(〜から救い出す)」「deliver on(約束を果たす)」などがある
- 「deliver」を使った熟語には「deliver a speech(スピーチをする)」「deliver a message(メッセージを伝える)」「deliver the goods(期待に応える)」などがある
- 「deliver」は「send」「transport」「give」などの類似語と意味やニュアンスが異なる
英語の学習では、一つの単語が持つ複数の意味を理解し、それぞれの文脈で適切に使い分けることが重要です。「deliver」のような多義語については、例文と一緒に意味を覚えることで、実際の会話や文章で正しく使えるようになります。
この記事が皆さんの英語学習の一助となれば幸いです。