「彼は高い」と「高い山」という日本語の表現があります。どちらも「高い」という形容詞を使っていますが、使われ方が異なりますよね。英語の文法でも同様に、形容詞には大きく分けて「限定用法」と「叙述用法」という2つの使い方があります。
この記事では、形容詞の限定用法と叙述用法の違いを初心者にもわかりやすく解説します。それぞれの用法の特徴や使い分け、そして注意すべきポイントを中学英語レベルの例文と共に詳しく見ていきましょう。
形容詞の限定用法と叙述用法とは?基本的な違い

形容詞は名詞の性質や状態を表す品詞です。英語では、形容詞の使われ方によって「限定用法」と「叙述用法」の2つに分類されます。
限定用法は、形容詞が名詞の前(または後ろ)に置かれて、その名詞を直接修飾する使い方です。
一方、叙述用法は、形容詞が「be動詞」などの後に置かれて、主語や目的語の状態を説明する使い方です。
- She is a happy girl.(彼女は幸せな女の子です):限定用法
- She is happy.(彼女は幸せです):叙述用法
どちらも「happy(幸せな)」という形容詞を使っていますが、前者は「girl(女の子)」という名詞を直接修飾しており、後者はbe動詞「is」の後に置かれて、主語「She」の状態を説明しています。
限定用法の特徴と使い方
限定用法は、形容詞が名詞を直接修飾して、その意味を限定する用法です。
名詞の前に置く(前置修飾)
最も一般的な使い方は、形容詞を名詞の前に置いて修飾する方法です。
例文
- I bought a new bag yesterday.(私は昨日新しいバッグを買いました)
- My father has a red car.(私の父は赤い車を持っています)
- We visited a beautiful garden.(私たちは美しい庭園を訪れました)
- She found an interesting book.(彼女は面白い本を見つけました)
複数の形容詞を使う場合は、一般的に次のような順序で並べます。
数量 → 主観的判断 → 大きさ → 新旧 → 色 → 材質
例文
- She has two beautiful small old black cats.
(彼女は2匹の美しい小さな年老いた黒い猫を飼っています)
名詞の後に置く(後置修飾)
特定の場合、形容詞は名詞の後に置かれます。
- 形容詞が他の語句を伴って長い表現になる場合
- I saw a dog sleeping under the tree.(私は木の下で眠っている犬を見ました)
- -thing, -one, -bodyなどの不定代名詞を修飾する場合
- I need something cold to drink.(何か冷たい飲み物が欲しいです)
- Is there anyone interested in science here?(ここに科学に興味のある人はいますか?)
- 特定の形容詞(concerned, involved, present, responsibleなど)
- The people concerned should attend the meeting.(関係者は会議に出席すべきです)
叙述用法の特徴と使い方
叙述用法は、形容詞が補語として使われ、主語や目的語の状態を説明する用法です。
第2文型(SVC)での使い方
主語 + be動詞 + 形容詞(補語)の形で、主語の状態を説明します。
例文
- The weather is nice today.(今日の天気は良いです)
- My brother was tired after the game.(ゲームの後、私の兄は疲れていました)
- These flowers are beautiful.(これらの花は美しいです)
- The test was difficult.(そのテストは難しかったです)
第5文型(SVOC)での使い方
主語 + 動詞 + 目的語 + 形容詞(補語)の形で、目的語の状態を説明します。
例文
- I found the movie interesting.(私はその映画が面白いと思いました)
- They painted the wall blue.(彼らはその壁を青く塗りました)
- My teacher keeps the classroom clean.(私の先生は教室をきれいに保ちます)
- We consider this problem serious.(私たちはこの問題を深刻だと考えています)
限定用法と叙述用法の比較と違い
限定用法と叙述用法の主な違いは、形容詞が文の中でどのような役割を果たすかということです。
文の中での位置と役割
- 限定用法
- 名詞の前(または後ろ)に置かれる
- 名詞を修飾して意味を限定する
- 例:a tall boy(背の高い少年)
- 叙述用法
- be動詞などの後に置かれる
- 主語や目的語の状態を説明する補語として機能する
- 例:The boy is tall.(その少年は背が高いです)
同じ形容詞の使い分け
多くの形容詞は、限定用法と叙述用法の両方で使うことができます。
例文
- The happy children played in the park.(幸せな子どもたちは公園で遊びました)[限定用法]
- The children were happy.(子どもたちは幸せでした)[叙述用法]
- An interesting story was told by my grandfather.(面白い話が祖父によって語られました)[限定用法]
- The story was interesting.(その話は面白かったです)[叙述用法]
限定用法のみで使える形容詞
一部の形容詞は、限定用法でのみ使用されます。
これらの形容詞は名詞を修飾する形でしか使えず、be動詞の後の補語としては使えません。
- daily(毎日の):I read the daily newspaper.(私は毎日の新聞を読みます)
- elder(年上の):My elder sister lives in Tokyo.(私の姉は東京に住んでいます)
- former(以前の):He is our former teacher.(彼は私たちの以前の先生です)
- main(主な):What is the main reason?(主な理由は何ですか?)
- mere(単なる):It was a mere coincidence.(それは単なる偶然でした)
- only(唯一の):She is my only daughter.(彼女は私の唯一の娘です)
- very(まさにその):This is the very book I was looking for.(これはまさに私が探していた本です)
これらの形容詞は次のような文では使えません。
- ❌ The newspaper is daily.
- ❌ My sister is elder.
- ❌ The reason is main.
叙述用法のみで使える形容詞
反対に、一部の形容詞は叙述用法でのみ使用されます。
これらの形容詞はbe動詞などの後にしか置けず、名詞の前には置けません。
- afraid(恐れている):The child is afraid of the dark.(その子は暗闇を恐れています)
- alive(生きている):His grandfather is still alive.(彼の祖父はまだ生きています)
- asleep(眠っている):The baby is asleep now.(赤ちゃんは今眠っています)
- awake(目覚めている):I was awake all night.(私は一晩中起きていました)
- glad(うれしい):I am glad to see you.(あなたに会えてうれしいです)
- alone(一人の):She lives alone in the apartment.(彼女はそのアパートで一人で住んでいます)
これらの形容詞は次のような文では使えません。
- ❌ An afraid child
- ❌ An alive plant
- ❌ An asleep baby
ただし、これらの形容詞を名詞の後ろに置いて後置修飾することは可能です。
例文
- The child afraid of the dark wouldn’t go to bed.(暗闇を恐れているその子は寝ようとしませんでした)
限定用法と叙述用法で意味が異なる形容詞
一部の形容詞は、限定用法と叙述用法で意味が変わります。これらの形容詞は特に注意が必要です。
certain(ある/確かな)
限定用法:ある、とある(不特定の)
- A certain man visited me yesterday.(ある男性が昨日私を訪ねてきました)
叙述用法:確かな、確実な
- It is certain that he will come.(彼が来ることは確かです)
late(故/遅れた)
限定用法:故(亡くなった)
- The late President Kennedy was very popular.(故ケネディ大統領はとても人気がありました)
叙述用法:遅れた
- I’m sorry I am late for class.(授業に遅れてすみません)
present(現在の/出席している)
限定用法:現在の
- What is your present address?(あなたの現住所は何ですか?)
叙述用法:出席している
- All students were present at the meeting.(すべての生徒が会議に出席していました)
poor(哀れな/貧しい)
限定用法:哀れな(同情の意味)
- The poor boy lost his parents.(かわいそうな少年は両親を亡くしました)
叙述用法:貧しい(経済的な意味)
- His family is very poor.(彼の家族はとても貧しいです)
限定用法と叙述用法の日常会話での使い分け例
限定用法と叙述用法の違いを日常的な会話例で見てみましょう。
学校での会話
例文
- Teacher: Who is the tall boy in your class?
(クラスの背の高い男の子は誰ですか?)[限定用法] - Student: That’s Tom. He is tall because he plays basketball.
(それはトムです。彼はバスケットボールをしているので背が高いです)[叙述用法]
買い物での会話
例文
- Customer: I want a blue shirt.(青いシャツが欲しいです)[限定用法]
- Clerk: This one is blue and it’s on sale.(こちらは青色で、セール中です)[叙述用法]
家族での会話
例文
- Mother: Your room is dirty. Please clean it.(あなたの部屋は汚いです。掃除してください)[叙述用法]
- Child: OK, I’ll clean my dirty room now.(わかりました。今、私の汚い部屋を掃除します)[限定用法]
形容詞の限定用法と叙述用法に関する練習問題
以下の問題を解いて、限定用法と叙述用法の理解を深めましょう。各問題では、カッコ内の形容詞を使って、文を完成させてください。
限定用法と叙述用法のどちらが適切か考えながら解いてみましょう。
- 次の文の空欄に「big」を入れてください。
a) She lives in a _______ house.
b) The house is _______. - 次の文の空欄に「elder」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) My _______ brother works in Osaka.
b) My brother is _______ than me. - 次の文の空欄に「asleep」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) The _______ baby looks peaceful.
b) The baby is _______ now. - 「certain」の適切な用法を選んでください。
a) He told us a _______ story. (限定用法: ある話)
b) It is _______ that he will win. (叙述用法: 確かである) - 「late」の適切な用法を選んでください。
a) The _______ President was very popular. (限定用法: 故)
b) I’m sorry I’m _______ for the meeting. (叙述用法: 遅れた) - 「present」の適切な用法を選んでください。
a) What is your _______ address? (限定用法: 現在の)
b) All students were _______ at the ceremony. (叙述用法: 出席している) - 次の文の空欄に「very」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) This is the _______ book I was looking for.
b) The book is _______ interesting. - 次の文の空欄に「alive」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) The _______ fish is swimming in the tank.
b) My grandfather is still _______. - 「poor」の意味の違いを考えて空欄を埋めてください。
a) The _______ boy has no parents. (哀れな)
b) His family is _______. (貧しい) - 次の文の空欄に「main」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) We need to discuss the _______ issue.
b) This issue is _______. - 次の文の空欄に「afraid」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) The _______ child wouldn’t go outside.
b) The child is _______ of dogs. - 次の文の空欄に「mere」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) A _______ coincidence brought us together.
b) The coincidence is _______. - 次の文の空欄に「glad」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) A _______ smile appeared on her face.
b) She was _______ to see her old friend. - 次の文の空欄に「only」を入れてください。限定用法か叙述用法か考えてください。
a) This is my _______ chance.
b) The chance is _______. - 次の文の空欄に「quiet」を入れてください。
a) The _______ students were reading books.
b) The students were _______ during the test. - 次の中から正しい文を選んでください。
a) He is alone in the room.
b) He is an alone person in the room. - 次の中から正しい文を選んでください。
a) The awake baby is crying.
b) The baby is awake and crying. - 次の中から正しい文を選んでください。
a) She looks happy.
b) She looks happily. - 次の中から正しい文を選んでください。
a) The ill student couldn’t come to school.
b) The student is ill and couldn’t come to school. - 次の中から正しい文を選んでください。
a) The old friend I met yesterday is Tom. (昔からの友人)
b) The friend I met yesterday is old. (年老いた友人)
限定用法と叙述用法に関するよくある質問
- 限定用法と叙述用法の基本的な違いは何ですか?
-
限定用法は形容詞が名詞の前(または後ろ)に置かれて名詞を直接修飾する用法で、「青い空」のように名詞の特性を限定します。一方、叙述用法は形容詞がbe動詞などの後に置かれて、主語や目的語の状態を説明する用法で、「空は青い」のように補語として機能します。
- 「The old man」と「The man is old」の違いは何ですか?
-
「The old man」は限定用法で、「その老人」という意味になります。「old」が「man」という名詞を修飾し、どんな人かを限定しています。一方、「The man is old」は叙述用法で、「その人は年をとっている」という意味になります。「old」はbe動詞「is」の後に置かれ、主語「The man」の状態を説明しています。
- 形容詞が限定用法でのみ使えるか、叙述用法でのみ使えるかはどうやって判断すればいいですか?
-
基本的には辞書で確認するのが確実です。多くの辞書では形容詞の用法について「(限定)」や「(叙述)」などの表記があります。また、「afraid」「asleep」など「a」で始まる形容詞は叙述用法のみで使われることが多く、「main」「mere」「only」などは限定用法のみで使われることが多いという傾向があります。
- 形容詞を名詞の後に置く後置修飾の例を教えてください。
-
後置修飾には以下のような例があります。
- something interesting(何か面白いもの):不定代名詞の修飾
- the stars visible in the sky(空に見える星々):形容詞が他の語句を伴う場合
- the people present at the meeting(会議に出席していた人々):特定の形容詞
- 限定用法と叙述用法で意味が変わる形容詞の例をもっと教えてください。
-
他にも以下のような例があります。
- responsible:限定用法「責任ある」、叙述用法「〜の責任がある」
- ill:限定用法「良くない、不適切な」、叙述用法「病気の」
- old:限定用法(「the old friend」)「昔からの友人」、叙述用法「年をとっている」
- big:限定用法(「a big man」)「偉大な人」、叙述用法「大きい」
まとめ

この記事では、形容詞の限定用法と叙述用法について詳しく解説しました。
主なポイントをまとめると、
- 限定用法
- 形容詞が名詞の前(または後ろ)に置かれ、名詞を直接修飾する用法
- 例:a happy girl, the red car
- 名詞の特性を限定する役割を持つ
- 叙述用法
- 形容詞がbe動詞などの後に置かれ、主語や目的語の状態を説明する用法
- 例:She is happy. I found the movie interesting.
- 補語として機能し、主語や目的語の状態を叙述する
- 用法による制限
- 限定用法でのみ使える形容詞:daily, elder, main, only, very など
- 叙述用法でのみ使える形容詞:afraid, alive, asleep, awake, glad など
- 両方の用法で使える形容詞:big, blue, happy, interesting など
- 意味の変化
- 一部の形容詞は限定用法と叙述用法で意味が変わる
- 例:certain(ある/確かな)、late(故/遅れた)、present(現在の/出席している)など
形容詞の限定用法と叙述用法を正しく理解し使い分けることは、英語の文法を習得するうえで非常に重要です。特に、用法によって意味が変わる形容詞には注意が必要です。
この記事で紹介した内容や練習問題を通じて、形容詞の使い方の理解を深め、より自然な英語表現ができるようになることを願っています。