「distraught」は英語の形容詞で、極度の悲しみや心配で取り乱している状態や、精神的に非常に動揺している様子を表す言葉です。日本語では「取り乱した」「動揺した」「打ちひしがれた」などと訳されます。
今回は、この感情を表す重要な形容詞について、初学者でも理解できるよう詳しく解説していきます。
distraughtとは?意味と基本的な使い方

「distraught」は、深い悲しみや強い不安、極度のショックなどによって正常な思考ができないほど取り乱している精神状態を表す形容詞です。単なる心配や軽い動揺ではなく、非常に強い感情的な混乱状態を指します。特に大切な人を失った時や重大な問題に直面した時などに感じる深い動揺を表現する際に使われます。
この単語は主に叙述用法(be動詞の後ろに置かれる形)で使われることが多く、「be distraught with〜(〜で取り乱している)」や「be distraught over〜(〜について取り乱している)」といった形で使われます。また、名詞を修飾する限定用法としても「distraught parents(取り乱した両親)」のように使うことができます。
「distraught」の発音は「ディストロート」に近い音で、アメリカ英語では /dɪˈstrɑːt/、イギリス英語では /dɪˈstrɔːt/ と発音します。英語学習者にとっては少し発音が難しい単語かもしれませんが、感情表現の幅を広げるために覚えておくと役立つでしょう。
distraughtの語源と背景
「distraught」という単語は、ラテン語の「distractus(引き離された、分散された)」を語源とし、中世英語を経て現代に至っています。元々は「distract(気をそらす)」の過去分詞形の古い形で、心や注意が分散された状態を表していました。
時代とともに意味が特化し、現在では主に強い感情による精神的混乱を表すようになりました。
distraughtの例文と解説
「distraught」の使い方をより深く理解するために、いくつかの例文を見ていきましょう。中学英語レベルの簡単な文で説明していきます。
基本的な使い方の例文
例文
- She was distraught after hearing the bad news.(彼女は悪いニュースを聞いた後、取り乱していました。)
- The mother was distraught when her child went missing.(母親は子供がいなくなった時、動揺していました。)
- He looked distraught and could not speak.(彼は取り乱した様子で、話すことができませんでした。)
- They were distraught with grief.(彼らは悲しみで打ちひしがれていました。)
- I was distraught when I lost my wallet.(財布をなくした時、私は取り乱しました。)
withやoverなどの前置詞との組み合わせ
「distraught」は特定の前置詞と組み合わせて使うことで、何が原因で取り乱しているのかを示すことができます。
例文
- She was distraught with worry about her sick child.(彼女は病気の子供のことが心配で取り乱していました。)
- He was distraught over the death of his friend.(彼は友人の死について打ちひしがれていました。)
- The family was distraught at the news.(その家族はそのニュースに動揺していました。)
- They were distraught about the accident.(彼らはその事故について取り乱していました。)
人を修飾する使い方
「distraught」は人の状態を表す形容詞として、名詞を直接修飾することもできます。
例文
- The distraught parents waited for news about their child.(取り乱した両親は子供についてのニュースを待っていました。)
- A distraught woman called the police.(動揺した女性が警察に電話しました。)
- The distraught family could not sleep that night.(取り乱した家族はその夜眠れませんでした。)
- Distraught students gathered outside the school.(動揺した生徒たちが学校の外に集まりました。)
distraughtの類義語と違い
「distraught」に似た意味を持つ英単語はいくつかありますが、それぞれニュアンスが異なります。ここでは主な類義語とその違いについて解説します。
troubled(悩んでいる、心配している)との違い
「troubled」は一般的な心配や悩みを表す言葉で、「distraught」よりも感情の強さが弱いです。
例文
- He is troubled by the news.(彼はそのニュースで心配している。)
- He is distraught by the news.(彼はそのニュースで取り乱している。)
上記の例を比較すると、「troubled」は心配している状態ですが、「distraught」は正常な判断ができないほど強く動揺している状態を表しています。
upset(動揺した、取り乱した)との違い
「upset」も動揺を表す言葉ですが、「distraught」よりも日常的で一般的に使われる表現です。
例文
- She was upset when she heard the news.(彼女はニュースを聞いて動揺した。)
- She was distraught when she heard the news.(彼女はニュースを聞いて非常に取り乱した。)
「upset」は日常的な動揺を表しますが、「distraught」はより深刻で強い動揺を表します。
distressed(苦悩している、悲嘆に暮れている)との違い
「distressed」は精神的・感情的な苦痛を表しますが、「distraught」ほど混乱した状態を意味するわけではありません。
例文
- He was distressed by her words.(彼は彼女の言葉に苦悩していた。)
- He was distraught by her words.(彼は彼女の言葉に完全に取り乱していた。)
「distressed」は苦痛を感じている状態を表しますが、「distraught」は思考能力にまで影響するほどの強い感情的混乱を表します。
類義語の比較表
以下の表は、「distraught」とその類義語の感情の強さと使用状況の比較です。
単語 | 感情の強さ | 使用頻度 | 主な意味 |
---|---|---|---|
distraught | 非常に強い | やや少ない | 深い悲しみや不安で取り乱した状態 |
troubled | 中程度 | 一般的 | 心配や悩みを抱えている状態 |
upset | 中〜強 | 非常に一般的 | 動揺した、気を悪くした状態 |
distressed | 強い | 一般的 | 苦悩している、悲嘆に暮れている状態 |
devastated | 非常に強い | 一般的 | 打ちのめされた、壊滅的な打撃を受けた状態 |
distraughtのよくある間違いと注意点
「distraught」を使う際によくある間違いや注意すべき点について説明します。
発音の間違い
多くの英語学習者が「distraught」の発音を間違えます。「dis-TROT」ではなく、「di-STRAWT」(アメリカ英語)または「di-STROT」(イギリス英語)と発音します。
特に「au」の音に注意が必要です。
前置詞の選択ミス
「distraught」の後にくる前置詞を間違えることがあります。一般的に以下のように使います。
例文
- distraught with grief/worry(悲しみ/心配で取り乱した)
- distraught over/about something(何かについて取り乱した)
- distraught at the news(ニュースに取り乱した)
間違った例:She was distraught from the accident.(×)
正しい例:She was distraught about the accident.(〇)
日常会話での使用頻度
「distraught」は日常会話ではあまり頻繁に使われる単語ではなく、より文学的または公式な場面で使用されることが多いです。
日常会話では同じような意味を持つ「very upset」や「really worried」などの表現がより一般的です。
感情の度合いを誤解する
「distraught」は非常に強い感情的混乱を表すため、軽い心配や悩みを表現する場合には使用するべきではありません。感情の度合いを誤解すると、表現が大げさになってしまいます。
間違った例:I was distraught when I missed the bus.(バスに乗り遅れた時、取り乱した。)(×)
正しい例:I was upset when I missed the bus.(バスに乗り遅れた時、イライラした。)(〇)
他の形容詞との混同
「distraught」は「distracted(気が散った)」や「destroyed(破壊された)」と混同されることがあります。これらは全く異なる意味を持つので注意が必要です。
- 「distracted」:注意が散漫になっている、集中力が欠けている
- 「destroyed」:破壊された、壊された
- 「distraught」:(感情的に)取り乱している、動揺している
distraughtに関する問題
以下に「distraught」の理解度をチェックするための問題を10問用意しました。各問題を解いた後で解答と解説を確認してください。
- After hearing the tragic news, she was so ______ that she couldn’t speak.
- He looked completely ______ when he realized his wallet was missing.
- When the team won the championship, the fans were ______ with joy.
- She was ______ when her best friend moved to another country.
- The child was ______ after getting lost in the crowd, crying for his parents.
- He felt ______ when he received a promotion at work.
- The mother was ______ when her child was late coming home.
- The students were ______ after passing their difficult exams.
- The man was ______ after losing his job unexpectedly.
- She was ______ when she saw her favorite celebrity in person.
この問題を通して、「distraught」と他の感情を表す英単語の違いを理解できたでしょうか?状況に応じて適切な単語を選べるようにしていきましょう。
「distraught」に関するよくある質問
- 「distraught」と「distressed」はどう違いますか?
-
「distraught」と「distressed」はどちらも精神的な苦痛や動揺を表す形容詞ですが、「distraught」のほうがより強い感情的混乱を表します。「distraught」は正常な判断ができないほど取り乱している状態で、「distressed」は苦悩や悲嘆を感じているものの、まだ機能的な状態を表すことが多いです。
- 「distraught」はどのような状況で使いますか?
-
「distraught」は主に以下のような状況で使われます。
- 愛する人の死や重大な喪失を経験した時
- 子供や大切な人が行方不明になった時
- 大きな事故や災害の後
- 深刻な病気の診断を受けた時
- 重大な危機に直面している時
- 「distraught」の発音のコツはありますか?
-
「distraught」の発音のコツは、「di」を「ディ」、「straught」を「ストロート」(アメリカ英語)または「ストロート」(イギリス英語)と発音することです。アクセントは後ろの音節「straught」にあります。「au」の音は特に注意が必要で、「オー」または「ア」に近い音になります。
- 「distraught」の反対語は何ですか?
-
「distraught」の反対語としては、「calm(落ち着いた)」、「composed(冷静な)」、「collected(冷静沈着な)」などが挙げられます。これらの言葉は精神的に安定している状態を表します。
- 「distraught」は日常会話でよく使われますか?
-
「distraught」は日常の軽い会話ではあまり使われず、より深刻な状況や公式な場面、ニュース報道、文学作品などでよく使われます。日常会話では同じような意味を持つ「very upset」、「really worried」、「freaking out」などの表現がより一般的です。
まとめ

「distraught」は英語の形容詞で、深い悲しみや強い不安によって正常な思考ができないほど取り乱している状態を表す言葉です。この記事では、「distraught」の意味や使い方、例文、類義語との違い、よくある間違いなどについて詳しく解説してきました。
英語の感情表現を豊かにするためにも、この言葉の正確な使い方を理解しておくことは重要です。以下に、この記事のポイントをまとめます。
- 「distraught」は「取り乱した」「動揺した」「打ちひしがれた」などの意味を持つ形容詞。
- 主に「be distraught with/over/about/at」の形で使われる。
- 単なる心配や軽い動揺ではなく、非常に強い感情的混乱状態を表す。
- 発音は「ディストロート」で、アクセントは後ろの音節にある。
- 類似した表現に「troubled」「upset」「distressed」があるが、「distraught」はより感情が強い。
- 日常会話ではあまり使われず、より公式な場面や深刻な状況で使用される。
- 前置詞の選択に注意が必要(with grief, over/about something, at the news)。
「distraught」のような感情を表す単語を適切に使うことで、英語でのコミュニケーションがより豊かになります。感情の度合いや状況に合わせて、適切な表現を選べるようになりましょう。また、このような具体的な感情表現を知ることで、英語の文学作品やニュースなどの理解も深まります。
英語学習の中で、こうした表現の微妙なニュアンスを理解することは、高度なコミュニケーション能力の獲得につながるでしょう。