「各々の」「すべての」を意味する「each」と「every」。どちらも似たような意味を持つ英語表現ですが、実は使い方やニュアンスに微妙な違いがあります。英語を勉強し始めた人が「each」と「every」をどう使い分ければいいのか迷うのは当然のことです。
この記事では、英語の文法における「each」と「every」の違いと使い分けについて、中学英語レベルの例文を交えながら分かりやすく解説します。これらの表現を正しく使いこなせるようになれば、より自然な英語表現ができるようになるでしょう。
「each」と「every」の基本的な違い

「each」も「every」も基本的には「それぞれの」や「すべての」という意味を持ちますが、捉え方に大きな違いがあります。
- 「each」:個々のもの、一つ一つに焦点を当てる
- 「every」:全体として、すべてのものに焦点を当てる
この基本的な違いを理解するために、簡単な例文を見てみましょう。
例文
- Each student has a textbook.(各生徒は教科書を持っています)
※ここでは「一人一人の生徒」に焦点を当てています。 - Every student must wear a uniform.(すべての生徒は制服を着なければなりません)
※ここでは「生徒全体」に焦点を当てています。
どちらの文も似たような意味を持ちますが、「each」は個々の生徒一人一人に注目し、「every」は生徒全体を一つのグループとして捉えています。
この微妙な違いが、使い分けの基本となります。
「each」の使い方と特徴
「each」は個々のもの、一つ一つに焦点を当てる表現です。
ここでは「each」の主な使い方と特徴について見ていきましょう。
「each」は限られた数の集団に使う
「each」は通常、数が限られている、または特定できる集団に対して使います。
特に2つや3つなど、少数の集団に使われることが多いです。
例文
- Each of my brothers lives in a different city.(私の兄弟はそれぞれ別の都市に住んでいます)
- There are three rooms, and each room has a window.(3つの部屋があり、各部屋には窓があります)
- Each of the two teams has six players.(二つのチームにはそれぞれ6人の選手がいます)
「each」は単独で使える
「each」は単独で使うことができ、その場合は「それぞれ」という意味の副詞や代名詞として機能します。
例文
- The tickets cost 500 yen each.(チケットはそれぞれ500円です)
- We each have different opinions.(私たちはそれぞれ異なる意見を持っています)
- Please take one apple each.(それぞれリンゴを1つずつ取ってください)
「each of + 複数名詞/代名詞」の形
「each of」の後には複数名詞または複数代名詞が続きます。この場合、後ろの動詞は単数形になります。
例文
- Each of the students has a pencil.(生徒たちはそれぞれ鉛筆を持っています)
- Each of them is from a different country.(彼らはそれぞれ異なる国の出身です)
- Each of these books costs 1,000 yen.(これらの本はそれぞれ1,000円します)
「each」は文の後ろに置くこともできる
「each」は文の後ろに置いて、「それぞれ」という意味を強調することもできます。
例文
- The children have a notebook each.(子どもたちはそれぞれノートを持っています)
- They gave us a present each.(彼らは私たちにそれぞれプレゼントをくれました)
- We paid 1,000 yen each.(私たちはそれぞれ1,000円支払いました)
「every」の使い方と特徴
「every」は全体として、すべてのものに焦点を当てる表現です。
ここでは「every」の主な使い方と特徴について見ていきましょう。
「every」はより大きな集団や一般的な集団に使う
「every」は通常、より大きな集団や一般的な集団を指す場合に使います。
3つ以上のものに対して使われることが多いです。
例文
- Every student in our school wears a uniform.(私たちの学校のすべての生徒は制服を着ています)
- Every house in this street has a garden.(この通りのすべての家には庭があります)
- Every child loves ice cream.(どの子どもも(一般的に)アイスクリームが好きです)
「every」は常に名詞の前に置く
「every」は必ず名詞の前に置かれ、単独で使うことはできません。また、「every」の後には常に単数名詞が来ます。
例文
- Every day is different.(毎日が違います)
- Every student must do homework.(すべての生徒は宿題をしなければなりません)
- I check my email every morning.(毎朝メールをチェックします)
「every」は時間や頻度を表す表現でよく使われる
「every」は「毎〜」という時間や頻度を表す表現でよく使われます。
例文
- I go to school every day.(私は毎日学校に行きます)
- We have English class every Monday.(毎週月曜日に英語の授業があります)
- She visits her grandmother every month.(彼女は毎月祖母を訪ねます)
「every + 数字 + 複数名詞」の形
「every + 数字 + 複数名詞」の形で「〜ごとに」という意味を表すことができます。
例文
- The bus comes every fifteen minutes.(バスは15分ごとに来ます)
- She takes medicine every six hours.(彼女は6時間ごとに薬を飲みます)
- We have a test every two weeks.(2週間ごとにテストがあります)
「each」と「every」の文法的な違い
「each」と「every」には文法的にもいくつかの違いがあります。ここでは主な違いを見ていきましょう。
単数・複数の扱い
「each」も「every」も、後ろに来る名詞は単数形を取り、動詞も単数形になります。
例文
- Each student has a book.(各生徒は本を持っています)
- Every student has a book.(すべての生徒は本を持っています)
しかし、「each of + 複数名詞」の形では、名詞は複数形になります。
例文
- Each of the students has a book.(生徒たちはそれぞれ本を持っています)
代名詞としての使い方
「each」は代名詞として単独で使えますが、「every」は単独では使えません。
例文
- Each has its own charm.(それぞれに独自の魅力があります)
- I gave them a present, and each was happy.(彼らにプレゼントをあげたら、それぞれが喜びました)
「every」を代名詞として使いたい場合は、「everyone」「everybody」などの複合語を使います。
例文
- Everyone is here.(全員ここにいます)
- Everybody likes music.(みんな音楽が好きです)
前置詞との組み合わせ
「each」は「each of」の形で使えますが、「every」には同様の用法がありません。
例文
- Each of us has a role.(私たちにはそれぞれ役割があります)
- Each of the books is interesting.(それらの本はどれも面白いです)
「every」の場合は、「every one of」という形になります。
例文
- Every one of us must try our best.(私たち一人一人が最善を尽くさなければなりません)
- I’ve read every one of these books.(これらの本をすべて読みました)
「each」と「every」のニュアンスの違い
「each」と「every」には、使い方だけでなくニュアンスにも違いがあります。
個別性と全体性
最も大きな違いは、「each」が個別性を強調するのに対し、「every」が全体性を強調することです。
例文
- Each child received a different gift.(各子どもは異なるプレゼントを受け取りました)
※子どもたち一人一人が異なるプレゼントを受け取ったことを強調しています。 - Every child should have the right to education.(すべての子どもが教育を受ける権利を持つべきです)
※子どもたち全体として、例外なく教育を受ける権利があることを強調しています。
例外の可能性
「each」は個々に焦点を当てるため、例外の可能性を残す場合があります。
一方、「every」は全体を一括りにするため、例外がないことを強調します。
例文
- Each student may choose a different topic.(各生徒は異なるトピックを選んでもよいです)
※個々の生徒が異なる選択をする可能性を示しています。 - Every student must follow the school rules.(すべての生徒は学校のルールに従わなければなりません)
※例外なくすべての生徒が従う必要があることを強調しています。
「each」と「every」の使い分け例
ここでは具体的な状況での「each」と「every」の使い分けを見ていきましょう。
学校生活
例文
- Each student in our class has a different task for the festival.
(私たちのクラスの各生徒は、学園祭のために異なる役割を持っています) - Every student must wear a school uniform.
(すべての生徒は学校の制服を着なければなりません)
家庭生活
例文
- Each member of my family has different hobbies.(私の家族のそれぞれは異なる趣味を持っています)
- Every member of my family helps with housework.(私の家族全員が家事を手伝います)
買い物
例文
- These apples cost 100 yen each.(これらのリンゴはそれぞれ100円です)
- Every customer receives a free sample.(すべてのお客様に無料サンプルをさしあげます)
「each」と「every」両方使える場合の違い
同じ状況でも「each」と「every」で意味やニュアンスが変わることがあります。
例文
- I check my email each day.(私は日々(個別に)メールをチェックします)
- I check my email every day.(私は毎日(例外なく)メールをチェックします)
「each day」は個々の日に焦点を当て、「every day」は習慣や規則性を強調しています。
例文
- Each child in the class received a certificate.(クラスの各子どもが証明書を受け取りました)
- Every child in the class received a certificate.(クラスのすべての子どもが証明書を受け取りました)
「each child」は一人一人の子どもを個別に見ており、「every child」はクラスの子ども全体を一つのグループとして見ています。
「each」と「every」に関連する重要な表現
「each」と「every」から派生する重要な表現をいくつか見ていきましょう。
「each other」と「one another」
「each other」と「one another」はどちらも「お互いに」という意味を持ち、二人以上の間での相互的な関係を表します。
例文
- My sister and I help each other with homework.(私と姉は宿題をお互いに助け合います)
- The students in our class respect one another.(私たちのクラスの生徒たちはお互いを尊重しています)
「everyone」「everybody」「everything」「everywhere」
「every」から派生する複合語には以下のようなものがあります。
- everyone / everybody(みんな、すべての人)
- everything(すべてのもの)
- everywhere(どこでも、あらゆる場所)
例文
- Everyone enjoyed the party.(みんなパーティーを楽しみました)
- Everybody likes her.(みんな彼女が好きです)
- She knows everything about computers.(彼女はコンピュータについてすべてを知っています)
- I’ve looked everywhere for my keys.(鍵をあらゆる場所で探しました)
これらの表現は、「every」と同様に全体性や包括性を強調します。
「each and every」
「each and every」は「それぞれすべての」という意味で、両方の語を使うことで強調効果があります。
例文
- I check each and every detail.
(一つ一つすべての詳細をチェックします) - Each and every student must submit the assignment.
(一人残らずすべての生徒が課題を提出しなければなりません)
英語の「each」と「every」に関する練習問題
以下の問題を解いて、「each」と「every」の使い分けを練習しましょう。
- There are ten students, and _____ student has a book.
- _____ of my parents works at a hospital.
- I go to the gym _____ day.
- The teacher gave _____ child a different task.
- _____ member of the team must wear a uniform.
- These pencils cost 50 yen _____.
- _____ of us has a different opinion.
- I check my email _____ morning.
- The students sit at their desks, _____ with a computer.
- _____ person in the world has unique fingerprints.
- We _____ have our own responsibilities.
- _____ house on this street has a garden.
- You should brush your teeth _____ day.
- The train comes _____ thirty minutes.
- _____ of the three options has advantages and disadvantages.
- I want to visit _____ country in Europe.
- The children gave _____ other presents.
- _____ child receives a present on their birthday.
- There are two doors, and _____ leads to a different room.
- I have five shirts, and I like _____ one of them.
「each」と「every」に関するよくある質問
ここでは「each」と「every」に関するよくある質問に答えていきます。
- 「each」と「every」はどのような場合に置き換え可能ですか?
-
多くの場合、「each」と「every」は置き換え可能ですが、ニュアンスが変わります。「each」は個々のものに焦点を当て、「every」は全体として捉えます。例えば、「Each student has a book.(各生徒は本を持っています)」と「Every student has a book.(すべての生徒は本を持っています)」はどちらも正しいですが、前者は個々の生徒に、後者は生徒全体に焦点を当てています。
- 「each」と「every」の後の名詞は単数形ですか複数形ですか?
-
どちらも基本的に単数形の名詞を取ります。「Each student…(各生徒は…)」「Every day…(毎日…)」のように使います。ただし、「Each of the students…(生徒たちのそれぞれは…)」のように「each of」の後には複数名詞が来ます。
- 「each」は単独で使えますが、「every」は単独で使えないのはなぜですか?
-
「each」は代名詞としても機能しますが、「every」は常に形容詞として名詞を修飾する役割を持つためです。「every」を代名詞的に使いたい場合は、「everyone」「everybody」などの複合語を使います。
- 「each day」と「every day」の違いは何ですか?
-
「each day」は個々の日に焦点を当て、「every day」は習慣や規則性を強調します。実際の使用では「every day」の方が一般的で、「毎日」という習慣的な意味合いが強いです。
- 「each of」と「every one of」の違いは何ですか?
-
「each of」は集団の中の個々のメンバーに焦点を当て、「every one of」はその集団のメンバー全員を強調します。「Each of the students has a different opinion.(生徒たちはそれぞれ異なる意見を持っています)」と「Every one of the students must take the test.(生徒は一人残らず全員テストを受けなければなりません)」のような違いがあります。
まとめ

この記事では、英語の「each」と「every」の違いと使い分けについて解説しました。
主なポイントをまとめると、
- 基本的な違い
- 「each」:個々のもの、一つ一つに焦点を当てる
- 「every」:全体として、すべてのものに焦点を当てる
- 「each」の特徴
- 限られた数の集団に使う
- 単独で使える(代名詞・副詞として)
- 「each of + 複数名詞/代名詞」の形がある
- 文の後ろに置くこともできる
- 「every」の特徴
- より大きな集団や一般的な集団に使う
- 常に名詞の前に置く(単独では使えない)
- 時間や頻度を表す表現でよく使われる
- 「every + 数字 + 複数名詞」で「〜ごとに」を表す
- 文法的な違い
- どちらも後ろの名詞は単数形
- 「each」は代名詞として使えるが、「every」は使えない
- 「each of」の形があるが、「every」には同様の用法がない
- ニュアンスの違い
- 「each」は個別性を強調
- 「every」は全体性を強調
- 「each」は例外の可能性を残す場合がある
- 「every」は例外がないことを強調
「each」と「every」の使い分けは、英語を学ぶ上で重要なポイントの一つです。この記事で解説した内容を理解し、例文や練習問題を通して使い分けの感覚を身につけることで、より自然な英語表現ができるようになるでしょう。
どちらも「それぞれの」「すべての」という似た意味を持ちますが、視点や強調点が異なります。状況や伝えたいニュアンスに応じて、適切な方を選ぶことが大切です。