英検2級の二次試験(面接試験)は多くの受験者にとって大きなハードルとなっています。筆記試験とは異なり、実際に英語を話す能力が問われるため、特別な準備が必要です。
この記事では、英検2級の二次試験の基本的な流れから具体的な対策方法、面接で使える表現まで詳しく解説します。初めて二次試験に挑戦する方も、再挑戦する方も、この記事を参考に効果的な準備を進めていきましょう。
英検2級の二次試験とは?試験の概要と重要性

英検2級の二次試験は、筆記試験(一次試験)に合格した人だけが受けることができる面接形式の試験です。この試験では、実際のコミュニケーション能力や英語を話す力が評価されます。試験時間は約7分間と短いですが、この短時間の中で英語力を十分に発揮することが求められます。
英検2級は高校卒業レベル、あるいはTOEICでいうと600点程度に相当するとされており、多くの大学入試や就職活動でも評価される重要な資格です。二次試験に合格することで、「読む・書く・聞く・話す」の4技能すべてにおいて一定レベルの英語力があることを証明できます。
二次試験の内容は大きく分けて「音読問題」「質疑応答」「イラスト描写問題」の3つのパートから構成されています。それぞれのパートでは異なる能力が測られるため、バランスの良い準備が必要となります。
英検2級二次試験の特徴と出題形式
二次試験の特徴は、実際の面接官と対面して行われる点です。試験会場では、面接官と受験者が1対1で向き合い、英語でのやり取りが行われます。面接官は受験者の英語力を様々な角度から評価します。
出題形式は以下の通りです。
- パッセージの音読(約30秒)
- 音読したパッセージについての質疑応答(約1分)
- 与えられたイラストについての描写と質疑応答(約2分30秒)
- 自分の意見を述べる(約2分30秒)
この流れに沿って試験が進行するため、各パートに対する対策を練ることが重要です。
英検2級の二次試験の流れと内容
英検2級の二次試験は、事前の準備から試験終了まで、一定の流れで進行します。まずは試験当日の流れを把握しておきましょう。
試験当日は、受付を済ませた後、待合室で待機します。名前を呼ばれたら試験室に入り、面接官の前に座ります。挨拶を交わした後、試験が始まります。
最初のパートは「音読問題」です。面接官から短い英文(約100〜150語程度)が書かれたカードを渡されます。約30秒間の準備時間があり、その後、英文を声に出して読みます。ここでは発音やイントネーション、流暢さが評価されます。
次のパートは「質疑応答」です。先ほど音読した英文の内容について、面接官から2〜3つの質問が出されます。内容理解力と適切に回答する能力が問われます。
最後のパートは「イラスト描写問題」です。1つのイラストについて説明し、その後、イラストに関連したトピックについて自分の意見を述べます。ここでは、状況を適切に描写する能力や、論理的に意見を述べる能力が評価されます。
英検2級二次試験の時間配分と進行
二次試験全体の時間は約7分間ですが、各パートの時間配分は以下のようになっています。
- 音読問題:準備時間30秒、音読時間約30〜40秒
- 質疑応答:約1分
- イラスト描写と意見陳述:約4〜5分(準備時間含む)
時間は短いですが、この限られた時間内で自分の英語力を最大限に発揮することが重要です。
特にイラスト描写と意見陳述のパートでは、準備時間が約1分間与えられますが、その間にイラストの説明と自分の意見をまとめる必要があります。
英検2級の二次試験の評価基準
英検2級の二次試験では、どのような点が評価されるのでしょうか。評価基準を理解しておくことで、効果的な対策を立てることができます。
評価基準は大きく分けて「発音・アクセント」「文法・語彙」「内容」「コミュニケーション能力」の4つの観点から判断されます。それぞれの観点について見ていきましょう。
「発音・アクセント」では、単語の発音が正確であるか、文全体のイントネーションが自然であるかが評価されます。完璧なネイティブ発音である必要はありませんが、意思疎通に支障がない程度の発音が求められます。
「文法・語彙」では、文法的に正しい英語を使えているか、適切な語彙を用いて表現できているかが評価されます。2級レベルの文法や単語を使いこなすことが期待されています。
「内容」では、質問に対して的確に回答できているか、イラストを適切に描写できているか、自分の意見を論理的に述べられているかが評価されます。
「コミュニケーション能力」では、自然なコミュニケーションが取れているか、会話が途切れずに進むかなどが評価されます。
英検2級二次試験で求められる英語力
英検2級レベルでは、日常生活で遭遇する様々な場面で英語を使いこなせることが期待されています。具体的には以下のような英語力が求められます。
- 日常的な話題について会話ができる
- 簡単な意見交換ができる
- 自分の考えを論理的に述べることができる
- 基本的な文法を正確に使える
- 2級レベルの語彙(約5000語程度)を使いこなせる
これらの能力を身につけるためには、単に英単語や文法を覚えるだけでなく、実際に英語を話す練習を重ねることが重要です。
英検2級の二次試験の対策方法
英検2級の二次試験に向けた効果的な対策方法を紹介します。計画的に準備を進めることで、本番で実力を発揮できるようになります。
まず、過去問を活用することが重要です。過去に出題されたパッセージやイラストを使って練習することで、出題傾向や難易度を把握できます。英検公式サイトや参考書で過去問を入手し、定期的に練習しましょう。
次に、音読練習を日常的に行うことをおすすめします。英語のニュースや記事、教科書の英文など、様々な英文を声に出して読む習慣をつけることで、発音やイントネーションが自然に身につきます。可能であれば録音して自分の発音をチェックするとより効果的です。
また、イラスト描写の練習も重要です。身の回りにある写真や絵を見て、英語で説明する練習をしましょう。最初は簡単な描写から始め、徐々に詳細な説明ができるように練習します。描写する際のポイントは「誰が」「どこで」「何をしている」かを明確にすることです。
意見陳述の練習としては、日常的なトピックについて英語で意見を述べる練習をしましょう。賛成・反対の理由や具体例を交えて説明できるようになることが目標です。
英検2級二次試験のための勉強スケジュール
効率的に準備を進めるためには、計画的な勉強スケジュールを立てることが大切です。以下に、試験日の3か月前からの勉強スケジュール例を示します。
- 基礎固め:文法の総復習
- 語彙の強化:2級レベルの単語を毎日30個ずつ覚える
- 音読練習:毎日10分間、様々な英文を音読する
- 過去問演習:週に2回、過去問を使って面接の流れを確認
- 音読スピードアップ:自然なスピードでスムーズに読めるよう練習
- イラスト描写練習:日常的な場面を描いた絵を説明する練習
- 模擬面接練習:できれば英会話教室や知人と実際の面接形式で練習
- 時間意識:制限時間内に回答できるよう意識して練習
- リラックス法:緊張を和らげるための呼吸法などを身につける
このスケジュールはあくまで目安です。自分の英語力や生活スタイルに合わせて調整しましょう。
英検2級の二次試験で使える表現集
英検2級の二次試験で使える便利な表現を場面別にまとめました。これらの表現を事前に練習しておくことで、本番での対応力が向上します。
英検2級二次試験の挨拶と基本表現
試験の始まりと終わりには、適切な挨拶を交わすことが大切です。以下の表現を参考にしてください。
【試験開始時】
- Good morning. / Good afternoon.(おはようございます。/こんにちは。)
- Nice to meet you.(はじめまして。)
- I’m glad to be here today.(今日はよろしくお願いします。)
【試験終了時】
- Thank you for your time.(お時間をいただきありがとうございました。)
- It was nice talking with you.(お話できて良かったです。)
- Have a good day.(良い一日をお過ごしください。)
英検2級二次試験のイラスト描写で使える表現
イラスト描写問題では、場面を適切に説明するための表現が必要です。以下の表現を活用しましょう。
【場所の説明】
- This picture shows a classroom.(この絵は教室を示しています。)
- The scene is set in a park on a sunny day.(場面は晴れた日の公園です。)
- This is taking place at a restaurant.(これはレストランで起きています。)
【人物の説明】
- There are three people in this picture.(この絵には3人の人がいます。)
- A woman with long hair is talking on the phone.(長い髪の女性が電話で話しています。)
- The man in a suit seems to be a businessman.(スーツを着た男性はビジネスマンのようです。)
【行動の説明】
- They are having a meeting.(彼らは会議をしています。)
- The children are playing soccer in the field.(子どもたちは野原でサッカーをしています。)
- She is reading a book while drinking coffee.(彼女はコーヒーを飲みながら本を読んでいます。)
英検2級二次試験の意見陳述で使える表現
自分の意見を述べる際に役立つ表現です。意見を伝える際は、理由や例も添えるとより説得力が増します。
【意見を述べる】
- In my opinion, social media has both positive and negative effects.(私の意見では、ソーシャルメディアには良い面と悪い面の両方があります。)
- I believe that exercise is essential for a healthy life.(運動は健康的な生活に不可欠だと思います。)
- From my point of view, learning English is very important in today’s global society.(私の観点からは、今日のグローバル社会で英語を学ぶことはとても重要です。)
【理由を述べる】
- The reason is that it helps us communicate with people from different countries.(理由は、それが異なる国の人々とコミュニケーションするのに役立つからです。)
- This is because technology makes our lives more convenient.(これは、テクノロジーが私たちの生活をより便利にするからです。)
- One reason is that traditional culture is disappearing in many countries.(一つの理由は、多くの国で伝統文化が消えつつあることです。)
【例を挙げる】
- For example, I use the internet to study English every day.(例えば、私は毎日インターネットを使って英語を勉強しています。)
- For instance, my friend learned English by watching movies.(例えば、私の友人は映画を見ることで英語を学びました。)
- A good example is how smartphones have changed the way we communicate.(良い例は、スマートフォンが私たちのコミュニケーション方法をどのように変えたかです。)
英検2級の二次試験の裏ワザ
ここでは、英検2級の二次試験で少しでも有利に試験を進めるためのコツや裏ワザを紹介します。これらの方法を知っておくことで、限られた試験時間を最大限に活用できるでしょう。
まず、音読問題では、準備時間の30秒を有効活用することが重要です。この短い時間で、すべての単語を読もうとするよりも、難しい単語や読み方に自信がない単語にマークをつけ、重点的に確認しましょう。また、文の区切りや強調すべき部分を把握することで、より自然な音読ができます。
質疑応答では、質問をしっかり聞き取ることが最も重要です。質問の意図を理解できなかった場合は、Could you repeat the question, please? や I’m sorry, I didn’t catch that. と言って、遠慮せずに聞き直しましょう。聞き直すことは減点対象ではありません。
イラスト描写問題では、パターン化された表現を使うことで、スムーズに描写できます。This picture shows… や In this picture, I can see… といった定型表現から始めると良いでしょう。また、イラストの細部にまで言及することで、より詳細な描写ができます。
意見陳述では、Yes/No で終わらせず、必ず理由や例を添えることが大切です。I think… because… のような構文を使って、自分の意見を論理的に展開しましょう。
英検2級二次試験で緊張を和らげる方法
試験当日は緊張するものですが、その緊張を和らげるためのテクニックも紹介します。
試験前の深呼吸は、緊張を和らげる最も簡単な方法です。鼻から息を吸って5秒間保ち、口からゆっくりと息を吐く、という動作を3回繰り返すだけでも効果があります。
また、ポジティブなセルフトークも効果的です。試験前に「私はできる」「今までしっかり準備してきた」などと自分に言い聞かせることで、自信を持つことができます。
視線も重要です。面接官の目を見ながら話すことで、自信があるという印象を与えられます。ずっと目を合わせ続ける必要はなく、時々目を合わせるようにするとよいでしょう。
さらに、試験会場に早めに到着することも緊張を和らげるのに役立ちます。急いで会場に到着すると、さらに緊張が高まってしまいます。余裕を持って行動することを心がけましょう。
英検2級の二次試験のよくある間違いと注意点
英検2級の二次試験では、多くの受験者が同じような間違いを犯しています。これらの間違いを事前に知り、注意することで、より良い結果を出せるでしょう。
まず、音読問題での一般的な間違いとしては、単語の発音ミスが挙げられます。特に日本人が苦手とする「th」「r」「l」などの発音に注意が必要です。また、文末のイントネーションが下がってしまう傾向があるため、疑問文では上げるように意識しましょう。
質疑応答では、質問の意図を正確に捉えられないことがよくあります。例えば、Why で始まる質問に対して、Yes/No で答えてしまうといった間違いです。質問のタイプ(What, Why, How など)を素早く見極め、適切な形式で回答することが重要です。
イラスト描写問題では、単に見えるものを列挙するだけでなく、「どこで」「誰が」「何をしている」のかという基本的な情報を伝えることが大切です。また、時制を間違える(現在進行形を使うべきところで現在形を使うなど)ミスも多いので注意しましょう。
意見陳述では、自分の意見を明確に示さないというミスがよく見られます。Yes, I agree. や No, I don’t think so. だけでなく、なぜそう思うのかという理由も必ず述べるようにしましょう。
英検2級二次試験の回答例と改善ポイント
実際の試験でよく見られる回答例と、それをどう改善できるかを紹介します。
【イラスト描写の例】
×:There are people. They are talking.
(改善ポイント:情報が少なすぎる。場所や人物の詳細、何について話しているかなどを加える。)
○:This picture shows an office scene. There are three people having a meeting. A man in a suit is explaining something while pointing at a document, and two women are listening to him carefully.
(改善例:場所、人数、具体的な行動が含まれている。)
【意見陳述の例】
×:Yes, I like sports.
(改善ポイント:単なる好き嫌いを述べるだけでなく、理由や具体例を加える。)
○:Yes, I think sports are very important in our lives. There are three reasons for this. First, playing sports helps us stay healthy. Second, through sports, we can learn teamwork and discipline. Finally, sports can be a good way to relieve stress. For example, I play basketball twice a week, and it helps me relax after studying.
(改善例:理由を複数挙げ、具体例も加えている。)
これらの例から分かるように、単純な回答よりも、詳細な情報や理由を含む回答のほうが評価が高くなります。
英検2級の二次試験に関するよくある質問
英検2級の二次試験について、受験者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 二次試験の合格率はどのくらいですか?
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英検2級の二次試験の合格率は、一般的に70〜80%程度といわれています。一次試験よりも合格率は高いですが、準備不足だと不合格になる可能性もあります。しっかりと対策を立てて臨みましょう。
- 面接官の質問が聞き取れなかった場合はどうすればいいですか?
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質問が聞き取れなかった場合は、遠慮せずに聞き直しましょう。Could you repeat the question, please? や I’m sorry, I didn’t understand. Could you say that again? などと言って、もう一度質問してもらうことができます。これは減点対象にはなりません。
- 英語が途中で出てこなくなった場合はどうすればいいですか?
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言葉に詰まったり、英語が出てこなくなったりした場合は、Let me think about it for a moment. や I’m trying to find the right words. などと言って、時間を稼ぐことができます。沈黙が続くよりも、何かしら言葉を発することが大切です。
- イラスト描写問題ではどのような点に気をつければいいですか?
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イラスト描写では、まず全体の状況を説明し(場所や人数など)、次に具体的な行動や様子を描写するとよいでしょう。時制に注意し、基本的には現在進行形を使って描写します。また、単に見えるものを列挙するだけでなく、関連性や状況の解釈も加えるとより良い回答になります。
- 試験当日に持っていくものは何ですか?
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試験当日は、受験票、身分証明書(学生証や運転免許証など)、筆記用具を必ず持参してください。また、時計(スマートフォンは不可)があると、試験中の時間管理に役立ちます。
- リスニング力を高めるためにはどうすればいいですか?
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リスニング力を高めるには、日常的に英語を聞く環境を作ることが大切です。英語のニュース、ポッドキャスト、映画、ドラマなどを活用しましょう。特に、英検2級レベルのリスニング教材を使った練習が効果的です。また、ディクテーション(聞いた英文を書き取る練習)も有効な方法です。
- 二次試験では、文法的に完璧な英語を話す必要がありますか?
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完璧な文法で話す必要はありませんが、基本的な文法は守ることが望ましいです。コミュニケーションを妨げるような大きな間違いは避けるべきですが、小さなミスは評価に大きく影響しません。流暢さや内容の適切さも重要な評価ポイントです。
まとめ

英検2級の二次試験は、事前の準備と戦略的なアプローチで十分に対応可能です。この記事では、試験の流れから具体的な対策方法、使える表現まで幅広く解説しました。
最後に、重要なポイントをまとめておきます。
- 英検2級の二次試験は「音読問題」「質疑応答」「イラスト描写問題」の3つのパートで構成されています。
- 試験時間は約7分間と短いですが、この時間内で自分の英語力を最大限に発揮することが重要です。
- 評価基準は「発音・アクセント」「文法・語彙」「内容」「コミュニケーション能力」の4つの観点から判断されます。
- 効果的な対策としては、過去問演習、音読練習、イラスト描写練習、意見陳述練習などがあります。
- 試験で使える定型表現を事前に準備しておくことで、スムーズに対応できます。
- 緊張を和らげるためのテクニックを身につけておくことも大切です。
英検2級の二次試験は、英語でのコミュニケーション能力を測る重要な試験です。この記事で紹介した対策を実践し、自信を持って試験に臨んでください。