外国人観光客の増加に伴い、小売店やレストラン、ホテルなど多くの接客業で英語対応の必要性が高まっています。しかし、「英語が得意ではない」「何を言えばいいかわからない」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。実は接客英語は難しく考える必要はなく、シンプルなフレーズを覚えるだけで十分に対応できます。
この記事では初学者の方でも使いやすい接客英語のフレーズを場面別・業種別に詳しく解説します。
接客英語の基本とポイント

接客の現場で英語を使う際に知っておくべき基本は、完璧な英語力よりも「おもてなしの心」を伝えることです。シンプルな英語でも、笑顔と丁寧な対応があれば、外国人のお客様に好印象を与えることができます。
海外では日本のような「いらっしゃいませ」という習慣がないため、比較的フランクな挨拶でも問題ありません。基本的な挨拶と「How may I help you?(何かお手伝いしましょうか?)」などの簡単な声かけができれば、接客の第一歩としては十分です。
また、文法にこだわりすぎず、キーワードをはっきり発音することを心がけましょう。例えば「Thank you very much for coming!(ご来店ありがとうございます)」のように、感謝の気持ちを伝えるフレーズは多くの場面で活用できます。
来店時の接客フレーズ
お客様が店舗に入ってきた瞬間の対応は、第一印象を左右する大切なポイントです。明るく元気な声で挨拶をすることで、外国人のお客様も安心して店内に入ることができます。
お客様への基本的な挨拶
お客様側
- Hello, do you speak English?(こんにちは、英語を話せますか?)
- We’d like a table for four, please.(4人用のテーブルをお願いします)
- Is there a waiting time?(待ち時間はありますか?)
店員側
- Hello, welcome to our store!(こんにちは、いらっしゃいませ!)
- Good morning/afternoon/evening.(おはようございます/こんにちは/こんばんは)
- Welcome to [店名]. How may I help you?([店名]へようこそ。何かお手伝いできることはありますか?)
- How many people are in your group?(何名様でしょうか?)
- Please let me know if you need anything.(何かお困りごとがありましたら、お声がけください)
予約の確認と席の案内
お客様側
- I have a reservation under the name Smith.(スミスの名前で予約しています)
- We don’t have a reservation. Do you have any tables available?(予約していません。空いているテーブルはありますか?)
- Can we sit by the window?(窓際の席に座れますか?)
店員側
- Do you have a reservation?(ご予約はされていますか?)
- May I ask your name?(お名前をうかがってよろしいですか?)
- I’ll confirm your reservation. Please wait a moment.(ご予約を確認させていただきます。しばらくお待ちください)
- I will take you to your seat.(お席までご案内いたします)
- Please follow me.(こちらへどうぞ)
- Would you like a table or a counter seat?(テーブル席とカウンター席、どちらがよろしいでしょうか?)
- Please have a seat wherever you like.(お好きな席へおかけください)
- I’m sorry, but we are full right now.(申し訳ございません、ただいま満席です)
- It’ll probably be a 30 minute-wait.(30分ほどお待ちいただくと思います)
商品案内の接客フレーズ
お客様が商品について質問したり、迷っていたりする場合に使えるフレーズを紹介します。適切なタイミングで声をかけることで、購入を促すことができます。
お客様のニーズを把握する
お客様側
- I’m looking for a gift for my wife.(妻へのプレゼントを探しています)
- Do you have this in a different color?(これは別の色がありますか?)
- What do you recommend?(おすすめは何ですか?)
- Is this popular in Japan?(これは日本で人気がありますか?)
店員側
- May I help you?(お手伝いしましょうか?)
- How can I help you?(何かお探しですか?)
- Can I help you find something?(何か探すのをお手伝いしましょうか?)
- Are you looking for anything in particular?(欲しいものはお決まりですか?)
- Would you like me to recommend something?(おすすめをご案内しましょうか?)
- What kind of [商品] are you looking for?(どのような[商品]をお探しですか?)
- Would you like to try it on?(ご試着いたしますか?)
商品の説明と提案
お客様側
- How much is this?(これはいくらですか?)
- Is this made in Japan?(これは日本製ですか?)
- Can I try this on?(これを試着できますか?)
- Does this come with a warranty?(これは保証がついていますか?)
店員側
- This is [価格].(これは[価格]です)
- This is very popular with our customers.(これは当店のお客様に大変人気があります)
- I recommend our best-seller.(当店の一番人気商品をおすすめします)
- This might be perfect for you.(これはあなたにぴったりかもしれません)
- This is a limited-time offer.(これは期間限定の商品です)
- We currently have a seasonal special.(現在、季節限定の特別商品がございます)
- Based on your preferences, I suggest this one.(ご希望に基づくと、こちらをおすすめします)
- The fitting room is over there.(試着室はあちらです)
注文時の接客フレーズ
飲食店などでお客様の注文を受ける際に使えるフレーズを紹介します。正確に注文を聞き取り、確認することが重要です。
注文の受け方
お客様側
- I’d like to order.(注文したいです)
- What do you recommend?(おすすめは何ですか?)
- Can I get the menu, please?(メニューをもらえますか?)
- What’s today’s special?(本日のおすすめは何ですか?)
店員側
- Are you ready to order?(ご注文はお決まりですか?)
- May I take your order?(ご注文をお伺いしてもよろしいですか?)
- Would you like something to drink first?(まず何かお飲み物はいかがですか?)
- Today’s special is [料理名].(本日のおすすめは[料理名]です)
- Let me repeat the order.(ご注文内容を繰り返します)
- Is that everything for now?(ご注文は以上でよろしいでしょうか?)
料理の提供と追加注文
お客様側
- Excuse me, we’d like to order more.(すみません、追加で注文したいです)
- Could I have some more water, please?(もう少し水をもらえますか?)
- Is the food coming soon?(料理はもうすぐ来ますか?)
- This is delicious!(これはおいしいです!)
店員側
- Sorry to keep you waiting. Here is your [料理名].(お待たせいたしました。こちらが[料理名]です)
- Enjoy your meal!(ごゆっくりどうぞ)
- It is hot, so please be careful.(熱いのでお気を付けください)
- Have you received all your meals?(ご注文のお食事は全ておそろいですか?)
- How is everything?(お料理のお味はいかがですか?)
- Can I get you anything else?(他に何かご注文はございますか?)
- Would you like another drink?(お次のお飲み物はいかがですか?)
- Would you like some more rice?(ご飯のおかわりはいかがですか?)
会計時の接客フレーズ
会計時にはスムーズな対応が求められます。支払い方法の確認や金額の伝え方など、基本的なフレーズを覚えておきましょう。
お会計の案内
お客様側
- Could we have the bill, please?(お会計をお願いします)
- Can I pay separately?(別々に支払えますか?)
- Does the price include tax?(価格には税金が含まれていますか?)
- Do you accept credit cards?(クレジットカードは使えますか?)
店員側
- I’ll bring the check right now.(お勘定をすぐにお持ちいたします)
- Your total is [金額] yen.(合計で[金額]円です)
- That’s [金額] yen all together.(合計で[金額]円になります)
- How would you like to pay?(お支払方法はいかがいたしますか?)
- We accept credit cards.(クレジットカードが使えます)
- We do not accept credit cards.(クレジットカードは使えません)
- We’re afraid we only accept cash.(申し訳ありませんが、現金のみとなっております)
- Sign here, please.(こちらにサインをお願いいたします)
おつりとレシートの対応
お客様側
- Can I have a receipt, please?(レシートをもらえますか?)
- I think there’s a mistake in the bill.(会計に間違いがあると思います)
- Here’s my card.(こちらが私のカードです)
- I’ll pay in cash.(現金で支払います)
店員側
- Out of [金額] yen.([金額]円お預かりいたします)
- Your change is [金額] yen.(おつりは[金額]円です)
- Here’s your change.(お釣りです)
- Would you like a receipt?(レシートはいりますか?)
- Thank you very much for coming!(ご来店ありがとうございました!)
お見送り時の接客フレーズ
最後の挨拶はお客様の印象に残りやすいポイントです。心のこもった言葉でお見送りすることで、また来たいと思ってもらえる店づくりにつながります。
お礼と再来店の促し
お客様側
- Thank you for your service.(接客ありがとうございました)
- We enjoyed our meal very much.(食事をとても楽しみました)
- We’ll come again.(また来ます)
- Where is the nearest station?(最寄りの駅はどこですか?)
店員側
- Thank you very much!(ありがとうございました!)
- Thank you for coming!(ご来店ありがとうございました!)
- Have a nice day!(良い一日をお過ごしください!)
- Have a nice trip!(ご旅行を楽しんでくださいね!)
- Please come again!(またのお越しをお待ちしております!)
- See you next time!(また次回お会いしましょう!)
- Take care on your way back.(お気をつけてお帰りください)
トラブル対応の接客フレーズ
予期せぬトラブルが発生した際にも、冷静に対応することが大切です。問題解決のためのフレーズを知っておくと安心です。
お詫びと対応の言葉
お客様側
- This isn’t what I ordered.(これは注文したものと違います)
- There’s a problem with this product.(この商品に問題があります)
- How long will it take to fix this?(これを直すのにどれくらい時間がかかりますか?)
- Can I speak to the manager?(マネージャーと話せますか?)
店員側
- We apologize for the inconvenience.(ご迷惑をお掛けし申し訳ございません)
- I’m very sorry about that.(大変申し訳ございません)
- Let me check what happened.(何が起きたか確認させてください)
- I’ll get a new one for you right away.(すぐに新しいものをお持ちします)
- Let me bring you a new one.(新しいものとお取り替えいたします)
- I’m afraid we cannot do that.(申し訳ありませんが、そちらは対応いたしかねます)
- I’m afraid we are out of stock at the moment.(申し訳ありませんが、只今そちらは在庫を切らしております)
- Please wait a moment.(少々お待ちください)
- One moment, please.(少々お待ちください)
- I’ll be with you in a moment.(すぐにお伺いします)
飲食店での接客フレーズ
飲食店特有の接客シーンで使えるフレーズを紹介します。レストランやカフェでのスムーズな接客に役立てましょう。
レストランでの接客
お客様側
- Do you have an English menu?(英語のメニューはありますか?)
- Can you recommend a typical Japanese dish?(典型的な日本料理を勧めてもらえますか?)
- Is this dish spicy?(この料理は辛いですか?)
- I have a food allergy to [アレルゲン].(私は[アレルゲン]のアレルギーがあります)
店員側
- Would you like to see our menu?(メニューをご覧になりますか?)
- Here is our menu.(こちらがメニューです)
- Please take your time.(ごゆっくりどうぞ)
- Do you need a little more time to decide?(まだお決まりではありませんか?)
- For here, or to go?(店内をご利用ですか?お持ち帰りですか?)
- Would you like to try our seasonal special?(季節限定の特別メニューをお試しになりますか?)
- We have vegetarian options as well.(ベジタリアンメニューもございます)
- This dish contains [アレルゲン].(この料理には[アレルゲン]が含まれています)
カフェでの接客
お客様側
- What kind of coffee do you recommend?(どんなコーヒーがおすすめですか?)
- Is this cake homemade?(このケーキは手作りですか?)
- Do you have Wi-Fi?(Wi-Fiはありますか?)
- Can I charge my phone here?(ここで携帯を充電できますか?)
店員側
- Would you like your coffee hot or iced?(コーヒーはホットとアイス、どちらになさいますか?)
- Would you like something to eat with your coffee?(コーヒーと一緒に何か食べ物はいかがですか?)
- Our specialty is [メニュー名].(当店の看板メニューは[メニュー名]です)
- Would you like that for here or to go?(こちらでお召し上がりですか、それともお持ち帰りですか?)
- The Wi-Fi password is [パスワード].(Wi-Fiのパスワードは[パスワード]です)
- There are power outlets near the wall.(壁際にコンセントがあります)
小売店での接客フレーズ
小売店ならではの接客シーンで使えるフレーズを紹介します。アパレルショップや雑貨店などでの対応に活用してください。
アパレルショップでの接客
お客様側
- Do you have this in a smaller/larger size?(これはもっと小さい/大きいサイズがありますか?)
- Where is the fitting room?(試着室はどこですか?)
- Does this come in other colors?(これは他の色もありますか?)
- Is this on sale?(これはセール中ですか?)
店員側
- What size are you looking for?(どのサイズをお探しですか?)
- Would you like to try it on?(試着してみますか?)
- The fitting rooms are over there.(試着室はあちらです)
- This item is 20% off today.(この商品は本日20%オフです)
- This is very popular this season.(これは今シーズンとても人気です)
- We have this in blue, red, and black.(これは青、赤、黒がございます)
- This is made with high-quality material.(これは高品質の素材で作られています)
雑貨店・お土産店での接客
お客様側
- Is this a traditional Japanese item?(これは伝統的な日本の品物ですか?)
- Can you ship this overseas?(これを海外に発送できますか?)
- Is this fragile?(これは壊れやすいですか?)
- Do you offer tax-free shopping?(免税対応していますか?)
店員側
- This is a popular souvenir from Japan.(これは日本の人気のお土産です)
- This is handmade by local artisans.(これは地元の職人による手作り品です)
- We can wrap this as a gift.(ギフトラッピングも承ります)
- Yes, we offer tax-free shopping with purchases over 5,000 yen.(はい、5,000円以上のお買い物で免税対応しております)
- Would you like it gift wrapped?(ギフトラッピングをいたしましょうか?)
- We can ship this to your country.(あなたの国にこれを発送できます)
- Please fill out this form for tax exemption.(免税のためにこの用紙にご記入ください)
接客英語を身につけるコツ
接客英語を効果的に身につけるには、実践的なアプローチが重要です。ここでは初学者でも取り組みやすい学習のコツを紹介します。
基本フレーズの暗記と練習
まずは頻繁に使う基本フレーズを暗記することから始めましょう。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」「少々お待ちください」など、日常的に使うフレーズを優先的に覚えると良いでしょう。
暗記した後は、実際に声に出して練習することが大切です。鏡の前で話す、同僚と練習する、または動画を撮って自分の発音をチェックするなどの方法があります。正しい発音よりも、はっきりと伝わる発声を心がけましょう。
また、シチュエーション別にフレーズをまとめたメモを作成し、すぐに参照できるようにしておくと便利です。特に忙しい時や緊張した時でも対応できるよう、簡単なフレーズ集を手元に置いておくことをおすすめします。
実践での使い方とコミュニケーションのコツ
実際の接客場面では、言葉だけでなく非言語コミュニケーションも大切です。笑顔でアイコンタクトを取りながら話すことで、言葉が完璧でなくても温かいおもてなしの心が伝わります。
また、わからない言葉があった場合は、「Could you speak more slowly, please?(もう少しゆっくり話していただけますか?)」と尋ねたり、メモや図を使って伝えたりする方法も有効です。スマートフォンの翻訳アプリを活用するのも一つの手段です。
さらに、「Thank you for your patience.(お待ちいただきありがとうございます)」など、感謝の言葉を添えることで好印象を与えることができます。小さなミスがあっても、誠意を持って対応すれば多くのお客様は理解してくれるでしょう。
接客英語に関するよくある質問
接客英語について初学者の方からよく寄せられる質問にお答えします。
- 英語が苦手でも使える簡単なフレーズはありますか?
-
はい、あります。「Hello(こんにちは)」「Thank you(ありがとう)」「Please wait a moment(少々お待ちください)」「Sorry(すみません)」など、短いフレーズから始めると良いでしょう。完璧な文法よりも、笑顔とジェスチャーを交えた対応が大切です。
- 外国人のお客様の言っていることが理解できない場合はどうすればいいですか?
-
「I’m sorry, could you please speak slowly?(すみません、もう少しゆっくり話していただけますか?)」と伝えるか、紙に書いてもらう、スマートフォンの翻訳アプリを使うなどの方法があります。理解できないことを恥じる必要はなく、誠実に対応することが大切です。
- 接客英語で最も重要なことは何ですか?
-
最も重要なのは「おもてなしの心」を伝えることです。完璧な英語力よりも、相手を大切にする姿勢が伝わる対応を心がけましょう。基本的な挨拶と感謝の言葉、そして笑顔があれば、言語の壁を越えたコミュニケーションが可能です。
- 英語の発音が不安です。どうすれば改善できますか?
-
まずは基本フレーズをネイティブスピーカーの発音で繰り返し練習しましょう。オンライン動画や英語学習アプリなどを活用すると効果的です。ただし、完璧を目指すよりも、はっきりと聞き取りやすく話すことを優先させましょう。日本語訛りがあっても、丁寧に対応すれば多くの外国人は理解してくれます。
- 専門用語や業界特有の言葉はどう対応すればいいですか?
-
専門用語は簡単な言葉に言い換えるか、視覚的に伝える工夫をしましょう。例えば、メニューの写真を指さしたり、商品を直接見せたりする方法があります。また、主要な専門用語については英語版の説明資料を用意しておくと便利です。
まとめ

この記事では、接客現場で使える英語フレーズを場面別・業種別に紹介してきました。初学者の方でも実践できるよう、基本的で使いやすいフレーズを中心に解説しました。最後に重要なポイントをまとめます。
- 接客英語は完璧である必要はなく、基本的なフレーズと笑顔で十分に対応できる
- 場面別に必要なフレーズを覚え、シチュエーションに合わせた対応ができるようにする
- 「Hello」「Thank you」「Please wait」など、シンプルな表現から始める
- 相手の言葉が理解できない場合は、ゆっくり話してもらうよう依頼する
- 言葉だけでなく、ジェスチャーや図示などの非言語コミュニケーションも活用する
- 困ったときは同僚や翻訳アプリの助けを借りることも大切
- 日々の練習と実践を通じて、自信を持って対応できるようになる
- おもてなしの心を大切に、相手を思いやる接客を心がける
接客英語の習得は一朝一夕にはいきませんが、基本フレーズを覚え、実践を重ねることで徐々に上達します。この記事で紹介したフレーズを参考に、ぜひ外国人のお客様に喜ばれる接客を目指してください。
言葉の壁を越えた心のこもったサービスが、お客様の素晴らしい思い出となり、また日本を訪れたいと思っていただけるきっかけになるでしょう。