英語学習で悩ましいのが似た意味を持つ単語の使い分けです。「fast」と「quick」はどちらも日本語で「速い」と訳されますが、実際の使い方には明確な違いがあります。
この記事では、英語初心者でも理解できるよう、これらの単語の違いと正しい使い分け方を詳しく解説します。適切な例文と共に学ぶことで、自然な英語表現ができるようになりましょう。
「fast」と「quick」の基本的な違い

英語では「速い」を表す言葉として「fast」と「quick」がよく使われますが、これらには明確な使い分けがあります。
「fast」は主に「一定期間続く速さ」や「持続的な速度」を表します。例えば、走ったり、車で移動したりする際の速さを表現するのに適しています。速度そのものに焦点が当てられており、継続的な動きや状態を表現する場合に使います。
一方、「quick」は「瞬間的な速さ」や「素早さ」を表します。短時間で行われる行動や反応の速さを表現するときに適しています。行動が迅速であるだけでなく、短時間で完了することも示唆します。
言い換えると、
- 「fast」は「スピードが速い」「継続的に速い」
- 「quick」は「すばやい」「瞬発的に速い」
この基本的な違いを理解することで、それぞれの単語をより適切に使い分けることができるようになります。
「fast」の意味と使い方
「fast」は主に物理的な速度や継続的な動きを表現するときに使われる単語です。時間や距離を伴う動作の速さを表すのに適しています。
「fast」の基本的な意味
「fast」は「速い」「急速な」「すばしこい」という意味を持っています。人や物の動きが一定期間にわたって速いことを表します。長距離を短時間で移動するような状況や、一貫して高速なペースを維持することを表現するのに使います。
「fast」を使った例文
例文
- My brother runs very fast. (私の兄はとても速く走ります。)
- This train goes fast. (この電車は速く走ります。)
- Don’t drive too fast on this road. (この道ではあまり速く運転しないでください。)
- Time passes fast when I’m with my friends. (友達と一緒にいるとき、時間は速く過ぎます。)
- She speaks English fast. (彼女は英語を速く話します。)
- My watch is five minutes fast. (私の時計は5分進んでいます。)
「fast」が使われる一般的な状況
「fast」は以下のような状況でよく使われます。
物理的な移動の速さを表すとき
- The car was going too fast. (その車は速すぎる速度で走っていました。)
- He walked fast to catch the bus. (彼はバスに間に合うように速く歩きました。)
時間の経過や成長の速さを表すとき
- Children grow up fast. (子供たちは速く成長します。)
- The years go by fast. (年月は速く過ぎていきます。)
話したり読んだりする速さを表すとき
- She reads fast. (彼女は速く読みます。)
- He talks so fast I can’t understand him. (彼はとても速く話すので、私には理解できません。)
定期的に繰り返される動作の速さを表すとき
- Her heart beats fast when she exercises. (彼女は運動すると心臓の鼓動が速くなります。)
- He types fast on the keyboard. (彼はキーボードで速くタイプします。)
「fast」は形容詞としても副詞としても同じ形で使うことができます。これは英語の中でも珍しい特徴の一つです。
「quick」の意味と使い方
「quick」は主に動作の瞬発力や迅速さを表現するときに使われる単語です。即時性や素早い反応を表すのに適しています。
「quick」の基本的な意味
「quick」は「すばやい」「迅速な」「機敏な」という意味を持っています。短時間での行動や反応の素早さを表します。瞬間的に何かを行ったり、短い時間で完了する行動を表現するのに使います。
「quick」を使った例文
「quick」は形容詞ですが、副詞として使う場合は「quickly」となります。
例文
- She is a quick learner. (彼女は学びが早い人です。)
- Please give me a quick answer. (すぐに答えてください。)
- We need a quick solution to this problem. (この問題に対する迅速な解決策が必要です。)
- The cat has quick reflexes. (その猫は反射神経が速いです。)
- He quickly finished his homework. (彼はすばやく宿題を終えました。)
- She quickly understood the situation. (彼女はすばやく状況を理解しました。)
「quick」が使われる一般的な状況
「quick」は以下のような状況でよく使われます。
反応や理解の速さを表すとき
- He has a quick mind. (彼は頭の回転が速いです。)
- She is quick to understand new ideas. (彼女は新しいアイデアをすぐに理解します。)
短時間で完了する行動を表すとき
- I took a quick shower. (私は手早くシャワーを浴びました。)
- Let’s have a quick lunch. (手早く昼食を取りましょう。)
即時の行動を促すとき
- Be quick! We’ll miss the train. (急いで!電車に乗り遅れますよ。)
- Quick, catch the ball! (早く、ボールを取って!)
突発的な動きや反応を表すとき
- The snake made a quick movement. (蛇がすばやく動きました。)
- She gave a quick nod of agreement. (彼女はすばやくうなずいて同意しました。)
「quick」は形容詞として名詞を修飾しますが、副詞としては「quickly」の形になることに注意しましょう。
「fast」と「quick」の具体的な使い分け
「fast」と「quick」の基本的な違いを理解したところで、具体的な使い分け方を見ていきましょう。
継続的な速さと瞬間的な速さ
一番の違いは、動作が継続するか瞬間的かという点です。
例文
- 継続的な速さ(fast)
- He runs fast every morning. (彼は毎朝速く走ります。)
- The train travels fast between cities. (電車は都市間を速く移動します。)
- 瞬間的な速さ(quick/quickly)
- She made a quick decision. (彼女はすばやく決断しました。)
- He quickly grabbed his bag and left. (彼はすばやくバッグをつかんで出て行きました。)
反応と理解の速さ
人の反応や理解の速さを表現する場合は、通常「quick」を使います。
例文
- She is quick to learn new things. (彼女は新しいことを素早く学びます。)
- He gave a quick response to my question. (彼は私の質問にすばやく答えました。)
- My sister has a quick mind. (私の姉は頭の回転が速いです。)
時間の経過と成長の速さ
時間の経過や成長の速さを表現する場合は、通常「fast」を使います。
例文
- Time goes by fast when you’re having fun. (楽しんでいるときは時間が速く過ぎます。)
- My daughter is growing up fast. (娘は速く成長しています。)
- The flowers grow fast in spring. (花は春に速く成長します。)
日常生活での使い分け
日常生活でよく使われる表現での使い分けを見てみましょう。
例文
- スポーツや移動(fast)
- She swims fast. (彼女は速く泳ぎます。)
- This bus goes fast. (このバスは速く走ります。)
- 食事や休憩(quick)
- Let’s have a quick breakfast. (手早く朝食を取りましょう。)
- I need a quick rest before continuing. (続ける前に少し休憩が必要です。)
- 話し方や読み方(fast)
- He speaks too fast for me. (彼は私には速すぎる話し方をします。)
- She reads fast and remembers everything. (彼女は速く読み、すべてを覚えています。)
- 反応や動作(quick/quickly)
- The cat was quick to catch the mouse. (猫はすばやくネズミを捕まえました。)
- He quickly solved the math problem. (彼はすばやく数学の問題を解きました。)
「fast」と「quick」以外の「速い」を表す英語表現
英語には「fast」と「quick」以外にも「速い」を表現する単語がいくつかあります。ここでは、代表的な類似表現を紹介します。
「prompt」:遅滞なく迅速に
「prompt」は「迅速な」「即時の」という意味で、特に対応や反応が遅れることなく行われる場合に使います。ビジネスシーンでよく使われる表現です。
例文
- Thank you for your prompt reply. (迅速なご返信ありがとうございます。)
- Prompt action is necessary in emergencies. (緊急時には迅速な行動が必要です。)
- The doctor gave prompt attention to the injured child. (医師は怪我をした子どもにすぐに対応しました。)
「rapid」:急速な変化
「rapid」は「急速な」「急激な」という意味で、特に変化や成長が速いことを表します。科学や経済などの分野でよく使われます。
例文
- There has been rapid growth in this area. (この地域では急速な成長がありました。)
- Technology is changing at a rapid pace. (技術は急速なペースで変化しています。)
- The river flows rapidly after heavy rain. (大雨の後、川は急速に流れます。)
「speedy」:迅速な
「speedy」は「迅速な」「素早い」という意味で、「quick」に近いですが、より高速であることを強調します。
例文
- We wish you a speedy recovery. (早期回復をお祈りします。)
- The problem was solved in a speedy manner. (問題は迅速に解決されました。)
- Thank you for the speedy delivery of my order. (注文品の迅速な配達ありがとうございます。)
「swift」:敏速で滑らかな
「swift」は「素早い」「敏速な」という意味で、スムーズで滑らかな動きを表します。文学的な表現や公式な場面でよく使われます。
例文
- The bird made a swift movement to catch the insect. (鳥は昆虫を捕まえるために素早く動きました。)
- Justice was swift in this case. (この事件では正義が速やかに行われました。)
- The company took swift action to address customer complaints. (会社は顧客の苦情に対処するために迅速な行動を取りました。)
「fast」と「quick」の使い分け練習問題
以下の文章の括弧に「fast」または「quick」(必要に応じて「quickly」)のどちらが適切か考えてみましょう。
- He runs very ( ) in the morning.
- She gave a ( ) answer to my question.
- The train is moving ( ).
- Please be ( ) and finish your homework.
- Children grow up ( ).
- I need a ( ) shower before going out.
- My watch is five minutes ( ).
- She has a ( ) mind and learns easily.
- The car was going too ( ) on the highway.
- He made a ( ) decision without thinking.
- Time passes ( ) when you’re enjoying yourself.
- The teacher wants a ( ) response from students.
- The cheetah is the ( )est animal on land.
- We need a ( ) solution to this problem.
- My grandmother walks very ( ) these days.
- The cook prepared a ( ) lunch for us.
- He speaks English very ( ).
- She is ( ) to understand new concepts.
- The Internet connection is not ( ) enough for streaming.
- Let’s take a ( ) break and continue later.
「fast」と「quick」に関するよくある質問
- 「fast」と「quick」は互換性がありますか?
-
一部の状況では「fast」と「quick」は互換的に使えることもありますが、多くの場合は特有のニュアンスがあります。例えば「He runs fast/quickly」はどちらも使えますが、「fast」の方がスピード自体に焦点を当て、「quickly」は行動の迅速さを強調します。
- 「fast」は副詞としても形容詞としても同じ形ですか?
-
はい、「fast」は珍しい例で、形容詞としても副詞としても同じ形で使われます。「fastly」という形は存在しません。
- He is a fast runner.(形容詞)
- He runs fast.(副詞)
- 「quick」と「quickly」の違いは何ですか?
-
「quick」は形容詞で名詞を修飾し、「quickly」はその副詞形で動詞や形容詞、他の副詞を修飾します。
- She is a quick thinker.(彼女は頭の回転が速い人です。)
- She thinks quickly.(彼女は素早く考えます。)
- 「fast food」の「fast」はどういう意味ですか?
-
「fast food」の「fast」は食事そのものが速いのではなく、提供が迅速であることを意味しています。短時間で調理され、すぐに提供される食事のことを指します。
- 「Be quick」と「Be fast」の違いは何ですか?
-
「Be quick」は「急いで」「すぐに行動して」という意味で、即時の行動を促します。「Be fast」は「速く行動して」「スピードを上げて」という意味で、行動の速度に焦点を当てています。緊急時には通常「Be quick」の方がよく使われます。
まとめ

この記事では、「fast」と「quick」の意味の違いと使い分けについて詳しく解説しました。主なポイントをまとめると、
- 「fast」は持続的な速さや一定期間続く速度を表します。
- 「quick」は瞬間的な速さや短時間で行われる行動を表します。
- 「fast」は副詞としても形容詞としても同じ形で使いますが、「quick」の副詞形は「quickly」になります。
- 移動や成長の速さを表現する場合は「fast」を使います。
- 反応や理解の速さ、短時間の活動を表現する場合は「quick」を使います。
- 他にも「prompt」(遅滞なく)、「rapid」(急速に)、「speedy」(迅速に)、「swift」(敏速に)など、「速い」を表す様々な表現があります。
- 文脈によっては「fast」と「quick」が互換的に使える場合もありますが、それぞれに特有のニュアンスがあります。
- 「fast」と「quick」の適切な使い分けは、より自然で正確な英語表現につながります。
英語学習では、似た意味を持つ単語の微妙な違いを理解することが重要です。この記事で学んだ「fast」と「quick」の違いを意識して、日々の英語学習に役立てていただければ幸いです。