「Fly by the seat of your pants」は英語のイディオム(慣用句)で、「計画なしに直感や経験だけを頼りに行動する」という意味を持っています。日本語では「勘を頼りにする」「成り行きに任せる」などと訳すことができるでしょう。英語を学ぶ際、こういった表現を知っておくと会話の幅が広がります。
この記事では、この表現の意味や由来、使い方について詳しく解説していきます。
「Fly by the seat of your pants」の意味

「Fly by the seat of your pants」は、事前の準備や計画なしに、その場の状況に応じて即興的に行動することを表します。計画を立てずに、自分の感覚や直感、経験だけを頼りに物事を進めていく様子を表現しています。
必ずしもネガティブな意味だけではなく、時には柔軟な対応力や適応力を示す肯定的な意味で使われることもあります。しかし、ビジネスシーンなどでは、準備不足を示す言葉として使われることもあるので、状況に応じて理解する必要があります。
語源となる「seat of your pants」とは
このイディオムの「seat of your pants」は文字通り「ズボンのお尻の部分」を指しています。
つまり、お尻が座席と接する部分からの感覚を意味しています。これが重要なポイントとなります。
「Fly by the seat of your pants」の語源と歴史
このイディオムは1930年代の航空時代に生まれました。当時の飛行機には現代のような精密な計器や航法装置がほとんど搭載されていませんでした。パイロットたちは視界が悪い時や雲の中を飛行する際、飛行機の挙動を自分の体で感じ取って操縦していました。
特に座席に接するお尻の部分から飛行機の傾きや振動を感じ取り、それを頼りに飛行していたのです。つまり、パイロットは文字通り「お尻の感覚」(seat of pants)で飛行機を操縦していました。これが「fly by the seat of your pants」というイディオムの起源なのです。
この表現は1938年頃に米国で広く使われるようになり、特にダグラス・コリガンというパイロットを描写する際に用いられました。その後、航空用語から一般的な表現へと広がり、今では日常生活のあらゆる場面で使われています。
「Fly by the seat of your pants」の日常会話での使い方
現代では、このイディオムは飛行機の操縦に限らず、様々な状況で使われています。特に予期せぬ状況や準備不足の時に、自分の直感や経験を頼りに行動することを表現する際に用いられます。
例文
- I had to fly by the seat of my pants during the presentation because my notes were missing.
(発表の際、メモがなくなってしまったので、勘を頼りに進めるしかなかった。) - She is always flying by the seat of her pants instead of planning ahead.
(彼女はいつも前もって計画を立てるのではなく、その場の勘で行動している。)
ビジネスシーンでの使用例
ビジネスの世界でも、このイディオムはよく使われます。特に予測不可能な状況や急な変更に対応する必要がある時に使われることが多いです。
例文
- When the client changed the requirements at the last minute, we had to fly by the seat of our pants to meet the deadline.
(クライアントが最後の瞬間に要件を変更したので、納期に間に合わせるために即興で対応するしかなかった。)
学校生活での使用例
学生の生活でも、テストや発表など様々な場面でこの表現が当てはまります。
例文
- I forgot to study for the test, so I had to fly by the seat of my pants.
(テストの勉強をするのを忘れていたので、勘を頼りに解くしかなかった。)
「Fly by the seat of your pants」を使った例文
ここでは、中学英語レベルの簡単な例文をいくつか紹介します。
例文
- Tom didn’t prepare for his speech. He flew by the seat of his pants.
(トムはスピーチの準備をしなかった。彼は即興で話した。) - I fly by the seat of my pants when I cook dinner.
(私は夕食を作るとき、レシピを見ずに感覚で料理する。) - The teacher flew by the seat of her pants when the computer broke during class.
(コンピュータが授業中に壊れた時、先生は臨機応変に対応した。) - We had to fly by the seat of our pants on the trip because we lost our map.
(旅行中に地図をなくしたので、私たちは勘を頼りに行動するしかなかった。) - My brother always flies by the seat of his pants. He never plans anything.
(兄はいつも勘に頼って行動している。彼は何も計画しない。)
「Fly by the seat of your pants」と似た表現
英語には「Fly by the seat of your pants」と似た意味を持つ表現がいくつかあります。
Play it by ear
「Play it by ear」は「その場の状況に応じて行動する」「成り行きを見て決める」という意味で、「Fly by the seat of your pants」と非常に近い意味を持ちます。
例文
- Let’s play it by ear and see how the weather is tomorrow.
(明日の天気次第で決めましょう。)
Wing it
「Wing it」も「準備なしで即興でやる」という意味で使われます。
例文
- I didn’t practice my presentation, so I’ll just have to wing it.
(プレゼンの練習をしなかったので、即興でやるしかない。)
「Fly by the seat of your pants」に関するよくある質問
- このイディオムは常にネガティブな意味で使われるのですか?
-
必ずしもネガティブな意味だけではありません。状況に応じた柔軟な対応力や適応力を示す肯定的な意味でも使われますが、ビジネスの場では準備不足を表すネガティブな意味で使われることが多いです。
- 「Fly by the seat of your pants」は日常会話でよく使われますか?
-
はい、特にアメリカ英語では日常会話でもビジネスシーンでもよく使われる表現です。計画性のない行動や即興的な対応を描写する際に便利なイディオムです。
- 「Fly by the seat of your pants」を丁寧な表現に言い換えるとどうなりますか?
-
より丁寧な言い方としては、「rely on intuition」(直感に頼る)や「make decisions based on experience rather than planning」(計画ではなく経験に基づいて決断する)などの表現があります。
- 日本語で完全に同じニュアンスの表現はありますか?
-
完全に同じニュアンスの日本語表現は難しいですが、「勘を頼りに」「成り行き任せ」「臨機応変に」「行き当たりばったり」などが近い意味を持ちます。
まとめ

「Fly by the seat of your pants」についての主なポイントをまとめます。
- 「Fly by the seat of your pants」は「計画なしに直感や経験を頼りに行動する」という意味のイディオムである。
- この表現は1930年代の航空時代に生まれ、初期のパイロットが計器に頼らず体感で飛行機を操縦していたことに由来する。
- ビジネスや学校など様々な場面で使われ、柔軟な対応力を示す肯定的な意味と、準備不足を示すネガティブな意味の両方がある。
- 「Play it by ear」や「Wing it」など、似た意味を持つ英語表現も存在する。
- 日常会話でもよく使われるイディオムで、英語らしい表現を身につけるためには覚えておくと役立つ。
- 日本語では「勘を頼りに」「成り行き任せ」「臨機応変に」などと訳すことができる。
英語のイディオムを学ぶことは、英語をより自然に話すための重要なステップです。「Fly by the seat of your pants」のような表現を知っておくと、英語でのコミュニケーションがより豊かになるでしょう。