「from scratch」は英語でよく使われる慣用句の一つで、日本語では主に「ゼロから」「一から」「最初から」などと訳されます。この表現は、何かを最初から、または基本的な要素から始めることを意味し、様々な文脈で使用される便利なフレーズです。
この記事では「from scratch」の基本的な意味から実際の使い方、類似表現との違いまで、例文を交えながら詳しく解説していきます。
「from scratch」の基本的な意味
「from scratch」の基本的な意味は、「何も無いところから始める」「最初から作り上げる」というものです。
この表現は、既存のものや準備されたものを使わずに、全く新しく何かを作り出したり、始めたりする状況を描写するのに使われます。
例文
- She built her successful business from scratch.
(彼女は成功したビジネスをゼロから築き上げました。) - The chef prefers to make all his sauces from scratch.
(そのシェフは全てのソースを一から作ることを好みます。) - We had to rewrite the entire program from scratch after the system crash.
(システムクラッシュの後、プログラム全体をゼロから書き直さなければなりませんでした。)
「from scratch」の語源
「from scratch」という表現の起源は、スポーツ、特に競走の世界にあると言われています。
「scratch」は、競走の出発線を引くために地面に引かれた線を指していました。
「from scratch」で走るということは、有利な位置からではなく、全ての競技者が同じ出発線から始めることを意味していました。
この概念が時間とともに拡大し、現在では何かを最初から始めるという一般的な意味で使われるようになりました。
「from scratch」の文法と使い方
「from scratch」は副詞句として機能し、主に動詞を修飾します。以下のような使い方が一般的です:
動詞 + from scratch
最も一般的な使い方で、何かを作る、始める、開発するなどの動詞と共に使われます。
例文
- We decided to build our website from scratch instead of using a template.
(テンプレートを使う代わりに、ウェブサイトを一から構築することにしました。) - The company developed the new software from scratch.
(その会社は新しいソフトウェアをゼロから開発しました。) - After the fire, they had to rebuild their house from scratch.
(火事の後、彼らは家を一から再建しなければなりませんでした。)
start from scratch
「ゼロから始める」という意味で、特によく使われる表現です。
例文
- When I moved to a new city, I had to start my social life from scratch.
(新しい街に引っ越したとき、社会生活をゼロから始めなければなりませんでした。) - The project was a disaster, so we decided to start from scratch.
(そのプロジェクトは失敗だったので、ゼロからやり直すことにしました。)
名詞 + from scratch
「from scratch」で作られたものを表現する際に使用されます。
例文
- Her specialty is cakes from scratch, not from a mix.
(彼女の専門は、ミックス粉からではなく、一から作るケーキです。) - The restaurant prides itself on meals made from scratch using local ingredients.
(そのレストランは地元の食材を使って一から作られた料理を誇りにしています。)
「from scratch」をよく使うシチュエーション
「from scratch」は様々な場面で使われますが、特に以下のようなシチュエーションでよく見られます。
料理やベーキング
例文
- My grandmother always makes her famous apple pie from scratch.
(祖母は有名なアップルパイを常に一から作ります。) - For the dinner party, I decided to make everything from scratch, including the bread.
(ディナーパーティーのために、パンも含めて全て一から作ることにしました。)
ビジネスや起業
例文
- He started his tech company from scratch in his garage.
(彼はガレージでテクノロジー企業をゼロから始めました。) - Building a brand from scratch requires patience and persistence.
(ブランドをゼロから構築するには忍耐と粘り強さが必要です。)
プログラミングや開発
例文
- Instead of using a framework, we coded the entire application from scratch.
(フレームワークを使う代わりに、アプリケーション全体をゼロからコーディングしました。) - The game developer created all the graphics from scratch.
(そのゲーム開発者はすべてのグラフィックスを一から作成しました。)
学習や技能習得
例文
- After changing careers, I had to learn accounting from scratch.
(キャリアチェンジの後、会計をゼロから学ばなければなりませんでした。) - She taught herself to play the guitar from scratch using online tutorials.
(彼女はオンラインチュートリアルを使ってギターを一から独学しました。)
「from scratch」と類似表現の違い
「from scratch」と似た意味を持つ表現がいくつかありますが、それぞれニュアンスが異なります。
「from the ground up」
「from the ground up」も「ゼロから」という意味ですが、特に建物や組織を構築する際によく使われます。
例文
- We built our house from scratch.
(家を一から建てました。)- 一般的な表現 - We built our house from the ground up.
(家を基礎から建て上げました。)- 建築のプロセスを強調
「from square one」
「from square one」は「最初からやり直す」というニュアンスが強く、特に失敗や後退の後に使われることが多いです。
例文
- We’re developing this product from scratch.
(この製品をゼロから開発しています。)- 新規開発 - After the setback, we had to start from square one.
(挫折の後、最初からやり直さなければなりませんでした。)- 後退後の再開
「from nothing」
「from nothing」は「無から」という意味で、「from scratch」よりも劇的な変化や成功を強調します。
例文
- She built her business from scratch.
(彼女はビジネスをゼロから築き上げました。)- 一般的な表現 - She built her empire from nothing.
(彼女は無から帝国を築き上げました。)- より劇的な成功を強調
「from scratch」を使った会話例
会話例1:料理について
例文
- A: Your cake is delicious! Did you make it yourself?
(このケーキ美味しいね!自分で作ったの?) - B: Yes, I made it from scratch. It took a while, but it was worth it.
(はい、一から作りました。時間はかかりましたが、その価値はありました。) - A: That’s impressive! I usually just use a cake mix.
(すごいね!私はいつもケーキミックスを使うだけだよ。) - B: Making it from scratch allows you to control the ingredients and customize the flavor.
(一から作ることで、材料をコントロールし、味をカスタマイズできるんです。)
会話例2:ビジネスについて
例文
- A: I heard you started your own company. How’s it going?
(自分の会社を始めたって聞いたけど、どう?) - B: It’s challenging but exciting. I’m building everything from scratch.
(大変だけどワクワクします。全てをゼロから構築しているんです。) - A: That must be a lot of work. Why didn’t you buy an existing business?
(それは大変な仕事だろうね。なぜ既存のビジネスを買わなかったの?) - B: I wanted the freedom to create my own vision from scratch, without any pre-existing limitations.
(既存の制限なしに、自分のビジョンをゼロから作り上げる自由が欲しかったんです。)
まとめ:「from scratch」の使い方のポイント

「from scratch」は英語で「ゼロから」「一から」という意味を持つ便利な表現です。
この表現の主なポイントをまとめると、
- 基本的な意味は「何も無いところから始める」「最初から作り上げる」です。
- 主に動詞を修飾する副詞句として使われます。
- 料理、ビジネス、プログラミング、学習など、様々な分野で使用されます。
- 「from the ground up」「from square one」「from nothing」など類似表現とはニュアンスが異なります。
- 創造性、独立性、努力を強調する際によく使われます。
「from scratch」をマスターすれば、英語で新しい始まりや独自の創造プロセスを適切に表現できるようになります。
この記事を参考に、様々な場面で「from scratch」を活用してみてください。