英語を学び始めると、「動名詞」という言葉をよく耳にするようになります。「動名詞って何?」「不定詞との違いは?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。実は動名詞は、英語の文法の中でも特に重要な要素の一つで、使いこなせるようになると表現の幅が大きく広がります。
この記事では、英語初学者の方でも理解できるよう、動名詞の基本から応用まで、具体的な例文を交えてわかりやすく解説していきます。
動名詞をマスターして、より自然な英語表現ができるようになりましょう。
動名詞とは?基本概念を理解しよう

動名詞とは、動詞に「-ing」をつけて名詞として使う文法要素です。例えば、「walk(歩く)」という動詞に「-ing」をつけると「walking(歩くこと)」という動名詞になります。日本語に訳すと「〜すること」という意味になることが多いです。
動名詞の大きな特徴は、動詞としての意味を持ちながら、文の中では名詞として機能することです。これは、「動詞の性質」と「名詞の性質」を同時に持っているということになります。
例文
- Swimming is good for health.(泳ぐことは健康に良い)
- My hobby is reading books.(私の趣味は本を読むことです)
これらの文では、「swimming」「reading」は動詞の意味を保ちながら、文の中では名詞として使われています。
動名詞の4つの基本用法
英語の動名詞には、主に4つの基本的な用法があります。それぞれの用法について、具体的な例文とともに見ていきましょう。
主語としての動名詞
動名詞は文の主語になることができます。「〜することは…」という意味で使われます。
例文
- Studying English is important for us.(英語を勉強することは私たちにとって重要です)
- Walking every day keeps you healthy.(毎日歩くことはあなたを健康に保ちます)
- Reading books improves your knowledge.(本を読むことはあなたの知識を向上させます)
このような文では、動名詞が文の最初に来て、主語の役割を果たしています。
動名詞が主語の場合、動詞は三人称単数(is, keeps, improvesなど)の形になります。
補語としての動名詞
補語とは、「主語=補語」の関係を作る言葉です。
動名詞は「〜することは…です」という形で補語になることができます。
例文
- My dream is traveling around the world.(私の夢は世界中を旅することです)
- Her hobby is painting pictures.(彼女の趣味は絵を描くことです)
- The best exercise is swimming.(最高の運動は泳ぐことです)
これらの文では、動名詞が「is」の後に来て、前の名詞(my dream, her hobby, the best exercise)と同じものを指しています。
動詞の目的語としての動名詞
一部の動詞の後には、目的語として動名詞が来ることがあります。
例文
- I enjoy playing soccer with my friends.(私は友達とサッカーをすることを楽しみます)
- She finished doing her homework.(彼女は宿題をすることを終えました)
- We avoid eating fast food.(私たちはファストフードを食べることを避けます)
特に、enjoy(楽しむ)、finish(終える)、avoid(避ける)などの動詞の後には、動名詞が来ることが多いです。
前置詞の目的語としての動名詞
前置詞(in, on, at, forなど)の後には、必ず名詞(または名詞に相当するもの)が来ます。
動名詞は前置詞の後の目的語になることができます。
例文
- I am interested in learning languages.(私は言語を学ぶことに興味があります)
- She is good at singing songs.(彼女は歌を歌むことが得意です)
- Thank you for helping me.(手伝ってくれてありがとう)
前置詞の後には必ず動名詞が来るというルールを覚えておくと便利です。
「to」の場合、不定詞の一部なのか前置詞なのかで区別する必要がありますが、前置詞の「to」の後には動名詞が来ます。
動名詞だけを目的語にとる動詞一覧
英語には、動名詞だけを目的語にとる動詞がいくつかあります。これらの動詞の後には「to不定詞」ではなく、必ず「動名詞」を使います。
代表的なものを一覧表にしてみました。
動詞 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
enjoy | 楽しむ | I enjoy reading books. |
finish | 終える | She finished studying at 10 p.m. |
avoid | 避ける | We should avoid eating too much sugar. |
stop | やめる | He stopped smoking last year. |
consider | 考慮する | They are considering moving to a new house. |
suggest | 提案する | She suggested going to the park. |
mind | 気にする | Do you mind opening the window? |
practice | 練習する | I practice speaking English every day. |
quit | やめる | My father quit smoking three years ago. |
deny | 否定する | He denied stealing the money. |
これらの動詞を使う際は、後に必ず動名詞を置くようにしましょう。
例えば、「I enjoy to read books」とはせず、「I enjoy reading books」と言います。
動名詞と不定詞の違いと使い分け
英語学習で混乱しやすいのが、動名詞(〜ing)と不定詞(to〜)の使い分けです。
どちらも「〜すること」という意味を持ちますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
基本的な意味の違い
一般的に、動名詞は「実際の経験や習慣的な行為」を表し、不定詞は「未来や可能性、目的」を表します。
- 動名詞:過去から現在までの実際の経験や習慣を表す傾向
- 不定詞:未来志向や目的、可能性を表す傾向
例文
- I enjoy swimming.(私は泳ぐことを楽しみます)- 実際の経験
- I want to swim.(私は泳ぎたいです)- 未来の願望
動詞による使い分け
一部の動詞は、後に来る表現によって意味が変わります。特に代表的なものを紹介します。
動詞 | 動名詞を取る場合 | 不定詞を取る場合 |
---|---|---|
remember | 過去のことを覚えている | これからすることを覚えている |
forget | 過去のことを忘れる | これからすることを忘れる |
stop | 〜することをやめる | 〜するために立ち止まる |
try | 試しに〜してみる | 頑張って〜しようとする |
例文
- I remember meeting her last year.(去年彼女に会ったことを覚えています)
- I remember to call her tomorrow.(明日彼女に電話することを覚えています)
- He stopped smoking.(彼はタバコを吸うのをやめました)
- He stopped to smoke.(彼はタバコを吸うために立ち止まりました)
これらの微妙な違いを理解すると、より正確に英語を使えるようになります。
動名詞の特殊な用法
基本的な用法以外にも、動名詞にはいくつかの特殊な用法があります。
否定形の動名詞
動名詞を否定する場合は、「not」を動名詞の前に置きます。
例文
- I enjoy not working on weekends.(週末に働かないことを楽しんでいます)
- He regrets not studying harder.(彼はもっと一生懸命勉強しなかったことを後悔しています)
- Thank you for not smoking here.(ここでタバコを吸わないでくれてありがとう)
完了形の動名詞
過去の行為を表す場合、「having + 過去分詞」の形を使います。
例文
- She regrets having said that.(彼女はそれを言ったことを後悔しています)
- I appreciate having met you.(あなたに会えたことに感謝しています)
- He denied having seen the movie.(彼はその映画を見たことを否定しました)
受動態の動名詞
動名詞の受動態は「being + 過去分詞」の形になります。
例文
- I don’t like being watched.(見られることが好きではありません)
- She enjoys being praised.(彼女は褒められることを楽しんでいます)
- The thief escaped without being caught.(泥棒は捕まることなく逃げました)
これらの特殊な用法は、より複雑な状況や時制を表現するのに役立ちます。
動名詞を使った慣用表現
動名詞を使った慣用表現も数多くあります。よく使われるものをいくつか紹介します。
慣用表現 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
be worth ~ing | 〜する価値がある | This book is worth reading. |
can’t help ~ing | 〜せずにはいられない | I can’t help laughing at his jokes. |
look forward to ~ing | 〜を楽しみにしている | I’m looking forward to seeing you. |
be busy ~ing | 〜するのに忙しい | She is busy preparing for the test. |
spend time ~ing | 時間を〜することに使う | He spends time playing the guitar. |
have difficulty ~ing | 〜するのに苦労する | I have difficulty speaking English. |
have fun ~ing | 〜して楽しむ | We had fun swimming in the sea. |
keep ~ing | 〜し続ける | Keep studying English every day. |
これらの表現を覚えておくと、より自然な英語表現ができるようになります。
英語の動名詞に関する練習問題20選
英語の動名詞(Gerund)は「動詞+ing」の形で「〜すること」という意味を表し、名詞としての役割を果たします。
以下の問題を解いて動名詞の使い方をマスターしましょう。
- 次の動詞の動名詞形を書きなさい
swim, study, lie, die, make - 次の文の空欄に適切な形(動名詞または不定詞)を入れなさい
I enjoy _____ (read) books. - 次の文の空欄に適切な形(動名詞または不定詞)を入れなさい
I want _____ (go) to Paris someday. - 次の文の誤りを訂正しなさい
I look forward to see you soon. - 次の二つの文の意味の違いを説明しなさい
a. I stopped smoking.
b. I stopped to smoke. - 次の文の空欄に動名詞の否定形を入れなさい
_____ (not / tell) the truth is wrong. - 次の文の空欄に適切な形(動名詞または不定詞)を入れなさい
My teacher made me _____ (do) the homework again. - 次の文の空欄に動名詞の受動態を入れなさい
She doesn’t like _____ (criticize) in public. - 次の文の空欄に適切な形(動名詞または現在分詞)を入れなさい
_____ (swim) is my favorite sport. - 次の文の空欄に動名詞の完了形を入れなさい
He denied _____ (break) the window last night. - 次の文の空欄に動名詞または不定詞を入れなさい。両方が可能な場合は、意味の違いを説明しなさい
I remember _____ (meet) her at the party. - 次の文の空欄に適切な前置詞と動名詞を入れなさい
Are you interested _____ _____ (join) our club? - 次の二つの文の違いを説明しなさい
a. I don’t mind you smoking here.
b. I don’t mind your smoking here. - 次の文を「〜し続ける」という意味の動名詞を使った表現に書き換えなさい
He continued to work despite his illness. - 次の文の下線部を適切な動名詞の形に書き換えなさい
I am responsible for that I take care of my younger sister. - 次の文の空欄に適切な形(動名詞または不定詞)を入れなさい
I can’t help _____ (laugh) when I see that movie. - 次の文を「〜するのは〜だ」という形の強調構文に書き換えなさい
Meeting her changed my life. - 次の文の空欄に適切な動名詞を含む慣用表現を入れなさい
It’s no use _____ (cry) over spilled milk. - 次の文の空欄に適切な形(動名詞または不定詞)を入れなさい
Would you mind _____ (close) the door? - 次の文の空欄に「worth + 動名詞」の形を入れなさい
This book is _____ (read).
これらの問題を通して、英語の動名詞の様々な用法を学ぶことができます。動名詞は主語、目的語、補語として使われるだけでなく、前置詞の後にも使われます。また、不定詞との使い分けや、受動態、完了形、否定形など様々な形があります。
動名詞を正しく使いこなせると、英語での表現の幅が広がります。
動名詞に関するよくある質問
- 動名詞と現在分詞の違いは何ですか?
-
動名詞と現在分詞は形が同じ「動詞+ing」ですが、役割が異なります。動名詞は名詞として機能し、「〜すること」という意味になります。一方、現在分詞は形容詞や動詞の一部として機能し、「〜している」という意味になります。
- Swimming is fun.(泳ぐことは楽しい)- 動名詞(主語)
- The swimming boy is my brother.(泳いでいる少年は私の兄弟です)- 現在分詞(形容詞)
- He is swimming.(彼は泳いでいます)- 現在進行形の一部
- 動名詞の後に目的語を置くことはできますか?
-
はい、動名詞が他動詞から派生した場合、その後に目的語を置くことができます。
- Reading books is my hobby.(本を読むことは私の趣味です)
- I enjoy playing the piano.(私はピアノを弾くことを楽しんでいます)
この場合、「reading」「playing」という動名詞の後に、「books」「the piano」という目的語が来ています。
- 動名詞の意味上の主語はどう表現しますか?
-
動名詞の意味上の主語を明示したい場合は、所有格(my, your, his, herなど)または目的格(me, you, him, herなど)を動名詞の前に置きます。
- I appreciate your helping me.(あなたが私を助けてくれることに感謝します)
- My mother doesn’t like me playing video games.(母は私がビデオゲームをすることを好みません)
一般的には所有格を使いますが、口語では目的格も使われます。
- どうして動詞によって動名詞と不定詞の使い分けがあるのですか?
-
これは英語の歴史的な発展に関係しています。一部の動詞は意味によって異なる構文を好む傾向があります。例えば、実際の経験や習慣を表す場合は動名詞、未来や目的を表す場合は不定詞を使うことが多いです。ただし、これはあくまで傾向であり、各動詞の後にどちらを使うかは基本的に覚える必要があります。
- 動名詞は常に単数扱いですか?
-
はい、動名詞は常に単数扱いとなります。そのため、動名詞が主語の場合、動詞は三人称単数形(is, does, hasなど)になります。
- Swimming is good for health.(泳ぐことは健康に良い)
- Playing games helps me relax.(ゲームをすることは私がリラックスするのを助ける)
まとめ

英語の動名詞は、動詞に「-ing」をつけて名詞として使う文法要素で、日本語では「〜すること」と訳されることが多いです。
動名詞は文の中で以下の役割を果たします。
- 主語として:Swimming is fun.(泳ぐことは楽しい)
- 補語として:My hobby is reading.(私の趣味は読書です)
- 動詞の目的語として:I enjoy cooking.(料理をすることを楽しみます)
- 前置詞の目的語として:Thank you for helping me.(手伝ってくれてありがとう)
動名詞の特徴として、以下のポイントを覚えておきましょう。
- 動詞の意味を保ちながら、名詞として機能する
- 一部の動詞(enjoy, finish, avoidなど)は動名詞だけを目的語にとる
- 前置詞の後には必ず動名詞が来る
- 動名詞と不定詞はどちらも「〜すること」を意味するが、ニュアンスや使い方が異なる
- 動名詞は否定形、完了形、受動態などの特殊な形を持つ
動名詞の使い方をマスターすることで、より自然で正確な英語表現ができるようになります。最初は難しく感じるかもしれませんが、例文を参考にしながら少しずつ使ってみることで、徐々に身についていくでしょう。
英語の文法の中でも特に重要な要素ですので、ぜひ積極的に活用してみてください。