英語には「get through」という表現があります。この「get through」は日常会話でよく使われる句動詞(phrasal verb)の一つで、様々な意味を持っています。日本語では「通り抜ける」「乗り切る」「連絡が取れる」「終わらせる」など、場面によって異なる訳し方をします。
英語初学者にとって、このような句動詞は少し難しく感じるかもしれませんが、基本的な意味と使い方を覚えておくと、日常会話やリーディングの理解が格段に向上します。
この記事では「get through」の意味と使い方を詳しく解説し、わかりやすい例文をたくさん紹介します。
「get through」の基本的な意味

「get through」という表現には、主に5つの基本的な意味があります。それぞれの意味を簡単に説明していきましょう。
- 通り抜ける・突破する:物理的な障害や場所を通過する意味です。
例:We got through the crowd to reach the stage.(私たちは群衆を通り抜けてステージに到達しました。) - 終わらせる・完了する:タスクや期間を最後まで終える意味です。
例:I finally got through my homework.(ようやく宿題を終わらせました。) - 連絡が取れる:電話やメールなどで相手と話ができる意味です。
例:I tried to call my friend, but I couldn’t get through.(友達に電話をかけようとしましたが、つながりませんでした。) - 困難を乗り越える:問題や困難な状況を生き抜く、乗り切るという意味です。
例:It was a difficult time, but we got through it together.(それは困難な時期でしたが、私たちは一緒に乗り越えました。) - 理解してもらう・伝わる:メッセージや考えが相手に伝わるという意味です。
例:I tried to get through to him that studying is important.(勉強が大切だということを彼に理解してもらおうとしました。)
これらの意味は状況によって使い分けられますが、共通しているのは「ある障害や状況を通過する」というイメージです。物理的な障害を通り抜けるだけでなく、時間や困難、コミュニケーションの壁を越えるという意味でも使われます。
「get through」の詳しい使い方
「get through」の基本的な意味を理解したところで、それぞれの使い方をもっと詳しく見ていきましょう。
物理的に通り抜ける・突破する
この使い方は最も基本的で、物理的な障害や場所を通過することを表します。
例文
- We couldn’t get through the door because it was locked.(ドアが鍵がかかっていたので、通り抜けることができませんでした。)
- The car got through the narrow street.(その車は狭い通りを通り抜けました。)
- It’s difficult to get through this forest.(この森を通り抜けるのは難しいです。)
- She got through the security check without any problems.(彼女は何の問題もなくセキュリティチェックを通過しました。)
この意味で使う場合、多くは「get through + 場所/障害物」の形になります。
タスクや期間を終える・完了する
この使い方は、タスクや期間を最後まで終えることを表します。特に時間がかかるものや困難なタスクについて使われることが多いです。
例文
- I got through all my homework last night.(昨夜、宿題を全部終わらせました。)
- We got through the winter without getting sick.(病気にならずに冬を乗り切りました。)
- He got through the exam with a good score.(彼は良い点数で試験をやり遂げました。)
- How did you get through the long meeting?(どうやってその長い会議を乗り切りましたか?)
この使い方では、「get through + タスク/期間」の形になります。
電話で連絡が取れる
この意味は特に電話やその他の通信手段を使って、相手と連絡が取れることを表します。
例文
- I tried to call him, but I couldn’t get through.(彼に電話をかけようとしましたが、つながりませんでした。)
- Did you get through to your mother?(お母さんに電話はつながりましたか?)
- It’s hard to get through to this company’s customer service.(この会社のカスタマーサービスにつながるのは難しいです。)
- I finally got through after trying for an hour.(1時間試した後、ようやくつながりました。)
この使い方では、「get through (to + 人/場所)」の形で使われます。
困難を乗り越える
この使い方は、困難な状況や問題を生き抜く、克服するという意味です。
例文
- We will get through this difficult time together.(私たちはこの困難な時期を一緒に乗り越えるでしょう。)
- She got through her illness with the support of her family.(彼女は家族のサポートで病気を乗り越えました。)
- How did you get through your first day at school?(学校の初日をどうやって乗り切りましたか?)
- They got through the financial crisis by working hard.(彼らは一生懸命働くことで経済危機を乗り越えました。)
この使い方では、「get through + 困難な状況」または「get through + it(それを)」の形になります。
メッセージや考えが伝わる
この意味は、自分のメッセージや考えが相手に理解されること、または相手の考えを理解することを表します。
例文
- I can’t get through to my son about the importance of studying.(息子に勉強の重要性を理解させることができません。)
- The teacher tried to get through to the students.(先生は生徒たちに理解してもらおうと努めました。)
- Sometimes it’s hard to get through to people who have different opinions.(異なる意見を持つ人々に理解してもらうのは時々難しいです。)
- She finally got through to her parents about her career choice.(彼女はついに自分の職業選択について両親に理解してもらいました。)
この使い方では、「get through to + 人」の形で使われます。
「get through」の文法と構造
「get through」を正しく使うためには、その文法構造を理解することが重要です。ここでは、「get through」がどのような形で文の中で使われるかを見ていきましょう。
基本的な文型
「get through」は主に以下のような文型で使われます。
- 主語 + get through + 場所/障害物(通り抜ける)
例:We got through the crowd.(私たちは群衆を通り抜けました。) - 主語 + get through + タスク/期間(終わらせる・乗り切る)
例:I got through my exams.(試験を終えました。) - 主語 + get through (to + 人/場所)(連絡が取れる)
例:I couldn’t get through to the office.(オフィスに電話がつながりませんでした。) - 主語 + get through + 困難な状況/it(乗り越える)
例:We will get through this together.(一緒にこれを乗り越えましょう。) - 主語 + get through to + 人(理解してもらう)
例:I tried to get through to him.(彼に理解してもらおうとしました。)
「get through」の時制による変化
「get through」は様々な時制で使うことができます。
現在形
例文
- I usually get through my homework quickly.(通常、宿題をすぐに終わらせます。)
- She never gets through to her brother on the phone.(彼女は電話で兄とつながることはほとんどありません。)
過去形
例文
- We got through the difficult meeting yesterday.(昨日、難しい会議を乗り切りました。)
- He finally got through to his friend after trying for hours.(何時間も試した後、ついに友達に電話がつながりました。)
未来形
例文
- I will get through this book by next week.(来週までにこの本を読み終えるつもりです。)
- They will get through their problems soon.(彼らはすぐに問題を乗り越えるでしょう。)
現在完了形
例文
- I have gotten through all my tasks for today.(今日のタスクをすべて終えました。)
- She has never gotten through to her boss about her ideas.(彼女は自分のアイデアについて上司に理解してもらったことがありません。)
「get through」と類似表現の違い
英語には「get through」と似た意味を持つ表現がいくつかあります。それぞれの違いを理解することで、より適切に使い分けることができます。
「get through」と「go through」
「go through」も「通過する」「経験する」という意味がありますが、「get through」は障害を克服するニュアンスが強く、「go through」は過程や経験を強調します。
例文
- We got through the difficult exam.(私たちは難しい試験を乗り切りました。)- 克服のニュアンス
- We went through the difficult exam.(私たちは難しい試験を経験しました。)- 経験のニュアンス
「get through」と「finish」
「finish」も「終える」という意味がありますが、「get through」は困難や長い過程を経て終えるというニュアンスがあります。
例文
- I finished my homework.(宿題を終えました。)- 単純に完了
- I got through my homework.(宿題をやり遂げました。)- 苦労して完了
「get through」と「survive」
「survive」(生き残る)も困難を乗り越えるという意味で使われますが、「get through」よりも深刻な状況や生死に関わるような場面で使われることが多いです。
例文
- We got through the winter.(私たちは冬を乗り切りました。)- 一般的な困難
- We survived the terrible earthquake.(私たちは恐ろしい地震を生き延びました。)- より深刻な状況
「get through to」と「convince」
「get through to」(理解してもらう)は「convince」(説得する)と似ていますが、「get through to」はコミュニケーションの壁を突破して理解してもらうというニュアンスがあります。
例文
- I tried to get through to him about the dangers of smoking.(喫煙の危険性について彼に理解してもらおうとしました。)- 理解の障壁を突破
- I tried to convince him to stop smoking.(彼に禁煙するよう説得しようとしました。)- 単に説得
「get through」の実用例文
「get through」の使い方をより深く理解するために、様々な状況での例文を見てみましょう。
学校生活での例文
例文
- I need to get through this history test.(この歴史のテストをなんとか乗り切る必要があります。)
- She got through her presentation without any mistakes.(彼女はミスなしでプレゼンテーションをやり遂げました。)
- We got through the school trip safely.(私たちは修学旅行を無事に終えました。)
- The teacher is trying to get through to the students about the importance of studying.(先生は勉強の重要性について生徒たちに理解してもらおうとしています。)
- I got through all my assignments before the deadline.(締め切り前にすべての課題を終えました。)
日常生活での例文
例文
- We got through the busy street to reach the station.(駅に着くために混雑した通りを通り抜けました。)
- How do you get through the morning without coffee?(どうやってコーヒーなしで朝を乗り切りますか?)
- I couldn’t get through to the customer service department.(カスタマーサービス部門に電話がつながりませんでした。)
- They got through a difficult time in their relationship.(彼らは関係の中で困難な時期を乗り越えました。)
- Please help me get through this task.(このタスクを終わらせるのを手伝ってください。)
職場での例文
例文
- We need to get through this project by next week.(来週までにこのプロジェクトを終わらせる必要があります。)
- I finally got through to my boss about my new idea.(ついに新しいアイデアについて上司に理解してもらいました。)
- She got through the job interview successfully.(彼女は就職面接をうまく乗り切りました。)
- How do you get through a long day at work?(どうやって職場での長い一日を乗り切りますか?)
- We got through the meeting faster than expected.(予想よりも早く会議を終えました。)
「get through」をよく使うシチュエーション
「get through」はどのような場面でよく使われるのでしょうか?代表的なシチュエーションを見ていきましょう。
電話をかける場面
電話が相手につながらない時や、ようやくつながった時に「get through」がよく使われます。
例文
- I’ve been trying to get through to you all day.(一日中あなたに電話をかけようとしていました。)
- The line is busy. I can’t get through.(回線が混み合っています。つながりません。)
- Did you get through to the hotel to make a reservation?(予約するためにホテルに電話はつながりましたか?)
- I finally got through after trying for an hour.(1時間試した後、ようやくつながりました。)
困難な状況を乗り越える場面
試験や病気、人間関係などの困難な状況を乗り越える際に「get through」が使われます。
例文
- You will get through this difficult time.(あなたはこの困難な時期を乗り越えるでしょう。)
- How did you get through your first year of high school?(高校1年生をどうやって乗り切りましたか?)
- We got through the financial problems together.(私たちは一緒に経済的問題を乗り越えました。)
- She got through cancer treatment with a positive attitude.(彼女は前向きな姿勢でがん治療を乗り越えました。)
理解してもらおうとする場面
相手に何かを理解してもらいたい時や、コミュニケーションの壁を突破しようとする時に「get through to」が使われます。
例文
- I can’t get through to my teenager about the dangers of social media.(ソーシャルメディアの危険性について、10代の子どもに理解させることができません。)
- The coach is trying to get through to the team about teamwork.(コーチはチームワークについてチームに理解してもらおうとしています。)
- Sometimes it’s hard to get through to people who are stubborn.(頑固な人々に理解してもらうのは時に難しいです。)
- She finally got through to her parents about her dream.(彼女はついに自分の夢について両親に理解してもらいました。)
「get through」を使った会話例
実際の会話の中で「get through」がどのように使われるか、いくつかの例を見てみましょう。
会話例1:学校での会話
例文
- A: How was your math test yesterday?(昨日の数学のテストはどうでしたか?)
- B: It was really difficult, but I think I got through it somehow.(とても難しかったですが、何とか乗り切ったと思います。)
- A: Good job! I’m still worried about the English test next week.(よくやりました!来週の英語のテストがまだ心配です。)
- B: Don’t worry, we’ll study together. You’ll get through it.(心配しないで、一緒に勉強しましょう。あなたは乗り切れますよ。)
会話例2:電話での会話
例文
- A: I’ve been trying to call you all morning!(朝からずっとあなたに電話をかけようとしていました!)
- B: Really? I’m sorry. My phone was off. Did you get through eventually?(本当ですか?ごめんなさい。電話の電源が切れていました。最終的につながりましたか?)
- A: No, this is the first time I’ve gotten through to you.(いいえ、これがあなたにつながった初めてです。)
- B: I see. What did you want to talk about?(なるほど。何について話したかったのですか?)
会話例3:困難な時期についての会話
例文
- A: How are you doing after losing your job?(仕事を失った後、どうしていますか?)
- B: It’s been tough, but I’m getting through it day by day.(大変でしたが、日々乗り越えています。)
- A: I’m glad to hear that. Is there anything I can do to help?(それを聞いて安心しました。手伝えることはありますか?)
- B: Just talking about it helps. Thanks for being there for me while I get through this difficult time.(話すだけでも助かります。この困難な時期を乗り越える間、そばにいてくれてありがとう。)
「get through」に関するよくある質問
ここでは、「get through」に関するよくある質問に答えていきます。
- 「get through」と「get over」の違いは何ですか?
-
「get through」は主に困難な状況や期間を「乗り切る」「通り抜ける」ことを意味し、その過程に焦点があります。一方、「get over」は困難や問題を「克服する」「立ち直る」ことを意味し、その後の回復に焦点があります。
- I’m trying to get through this difficult period.(この困難な時期を乗り切ろうとしています。)- 進行中の過程
- I’m still trying to get over my cold.(まだ風邪から回復しようとしています。)- 回復過程
- 「get through to someone」は具体的にどういう意味ですか?
-
「get through to someone」は「誰かに理解してもらう」「誰かの心に届く」という意味です。特に、それまで理解してもらえなかったことや、コミュニケーションの壁があった場合に使われます。
- I’ve been trying to get through to my son about the importance of education.(息子に教育の重要性を理解してもらおうとしています。)
- The counselor finally got through to the troubled teen.(カウンセラーはついに問題を抱えた10代の若者の心に届きました。)
- 「get through」の発音のコツはありますか?
-
「get through」は「ゲット・スルー」と発音します。「th」の音は舌を前歯の裏に軽く当てて息を出す音で、日本語にはない音です。練習のコツは、舌を前歯の間から少し出して「スー」と言うように意識することです。また、「get」と「through」をつなげて発音すると自然に聞こえます。
- 「get through」は形式的な文書でも使えますか?
-
「get through」はカジュアルからセミフォーマルな場面でよく使われます。非常に形式的な文書や学術論文では、より正式な表現(例:「complete」「overcome」「establish communication with」など)を使う方が適切です。
- We managed to get through the project on time.(時間内にプロジェクトを終えることができました。)- カジュアル
- We successfully completed the project within the designated timeframe.(指定された期間内にプロジェクトを無事完了しました。)- フォーマル
- 「get through」の否定形はどのように使いますか?
-
「get through」の否定形は、助動詞の後または動詞「get」の前に「not」を置いて作ります。
- I couldn’t get through to him on the phone.(電話で彼につながりませんでした。)
- She didn’t get through the exam.(彼女は試験に合格しませんでした。)
- We will not get through this project by Friday.(金曜日までにこのプロジェクトを終えることはできないでしょう。)
まとめ

「get through」は英語の日常会話でよく使われる便利な表現です。
この記事では、その5つの主要な意味と使い方を解説しました。
- 通り抜ける・突破する(物理的な意味)
例:We got through the crowd.(私たちは群衆を通り抜けました。) - 終わらせる・完了する(タスクや期間について)
例:I got through my homework.(宿題を終わらせました。) - 連絡が取れる(特に電話で)
例:I couldn’t get through to him.(彼に電話がつながりませんでした。) - 困難を乗り越える
例:We got through a difficult time.(私たちは困難な時期を乗り越えました。) - 理解してもらう・伝わる
例:I tried to get through to her about the problem.(問題について彼女に理解してもらおうとしました。)
文法的には、「get through + 場所/障害物/タスク/期間」「get through to + 人」などの形で使われます。また、様々な時制で使うことができます。
「get through」は特に電話をかける場面、困難な状況を乗り越える場面、相手に理解してもらおうとする場面でよく使われます。「go through」「finish」「survive」「convince」などの類似表現とは微妙なニュアンスの違いがあるので、文脈に応じて適切に使い分けることが重要です。
この表現をマスターすれば、英語での日常会話やコミュニケーションの幅が広がります。様々な状況で「get through」を使って、自分の考えや状況をより正確に表現してみましょう。