英語を学習し始めたばかりの方にとって、「good」と「well」の使い分けは混乱しやすいポイントのひとつです。どちらも日本語では「良い」や「上手」という意味で訳されるため、似たような場面で使われると思うかもしれませんが、実は役割が大きく異なります。
この記事では、「good」と「well」の基本的な違いから応用まで、わかりやすく解説していきます。正しい使い分けができるようになれば、英語表現の幅が広がり、より自然な英語が話せるようになるでしょう。
「good」と「well」の基本的な違い

「good」と「well」の最も大きな違いは、品詞(単語の種類)にあります。「good」は基本的に形容詞、「well」は基本的に副詞として使われます。
形容詞は名詞(人やものの名前)を修飾し、その性質や状態を表します。一方、副詞は動詞(行動や状態を表す言葉)や形容詞、他の副詞を修飾します。
例えば、「good book(良い本)」では「good」が名詞「book」を修飾しています。これに対して、「speak well(上手に話す)」では「well」が動詞「speak」をどのように行うかを表しています。
つまり、単純に覚えるなら、
- 「good」→形容詞→名詞を修飾する(何かが良い)
- 「well」→副詞→動詞を修飾する(何かを上手にする)
この基本的な違いを理解すれば、多くの場面で正しい使い分けができるようになります。
「good」の使い方と例文
「good」は形容詞として、主に以下のような使われ方をします。
名詞の前で使う場合
名詞の前に置いて「良い〇〇」という意味を表します。
例文
- This is a good book.(これは良い本です。)
- He is a good student.(彼は良い生徒です。)
- We had a good time at the party.(私たちはパーティーで楽しい時間を過ごしました。)
- My mother makes good cakes.(私の母は美味しいケーキを作ります。)
- I have a good idea.(良いアイデアがあります。)
be動詞の後ろで使う場合
be動詞(am, is, are, was, wereなど)の後ろに置いて、主語の状態が良いことを表します。
例文
- The movie was good.(その映画は良かったです。)
- These apples are good.(これらのリンゴは美味しいです。)
- The weather is good today.(今日の天気は良いです。)
- Your test results are good.(あなたのテスト結果は良いです。)
- Is the food good?(食べ物は美味しいですか?)
感覚動詞の後ろで使う場合
taste(味がする)、smell(匂いがする)、feel(感じる)、look(見える)、sound(聞こえる)などの感覚動詞の後ろには形容詞の「good」を使います。
例文
- This soup tastes good.(このスープは美味しい。)
- The flowers smell good.(この花はいい香りがします。)
- I feel good today.(今日は気分が良いです。)
- You look good in that dress.(あなたはそのドレスが似合っています。)
- This song sounds good.(この曲は良い音がします。)
「well」の使い方と例文
「well」は主に副詞として使われますが、形容詞として使われることもあります。
副詞としての「well」
動詞を修飾して「上手に」「良く」という意味を表します。
例文
- She speaks English well.(彼女は英語を上手に話します。)
- He plays soccer well.(彼はサッカーを上手にプレーします。)
- The children behaved well at the museum.(子供たちは博物館で行儀よく振る舞いました。)
- I slept well last night.(昨夜はよく眠れました。)
- They work well together.(彼らは一緒に上手く働きます。)
形容詞としての「well」
「well」が形容詞として使われる場合は、「健康な」「元気な」という意味になります。特に体調について話すときに使われます。
例文
- I am not well today.(今日は体調が良くありません。)
- She isn’t well enough to go to school.(彼女は学校に行けるほど元気ではありません。)
- Are you well?(元気ですか?)
- My grandfather is well for his age.(私の祖父は年齢の割には元気です。)
- She wasn’t well last week.(彼女は先週体調が良くありませんでした。)
「good」と「well」の例外的な使い方
基本的なルールを押さえたところで、注意が必要な例外的な使い方も見ていきましょう。
カジュアルな「I’m doing good」
文法的には「How are you doing?(調子はどう?)」という質問に対しては「I’m doing well.(元気にしています)」と答えるのが正しいとされています。これは「doing」という動詞を修飾するため、副詞の「well」を使うというルールに従っています。
しかし、アメリカ英語のカジュアルな会話では「I’m doing good.」という表現もよく使われます。これは文法的には厳密には誤りですが、日常会話ではとても一般的になっています。
例文
- “How are you doing?” “I’m doing good, thanks!”(「調子はどう?」「元気だよ、ありがとう!」)
「I’m good」と「I’m well」の違い
「How are you?(調子はどう?)」という質問に対して、「I’m good.」と「I’m well.」はどちらも使えますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
「I’m good.」は一般的な状態が良いという意味で、より日常的な表現です。一方、「I’m well.」は特に健康状態が良いというニュアンスがあり、やや堅い印象を与えることがあります。
例文
- “How are you?” “I’m good, thanks.”(「調子はどう?」「元気だよ、ありがとう。」)
- “How are you feeling after your cold?” “I’m well now, thank you.”(「風邪の後、調子はどう?」「今は元気になりました、ありがとう。」)
「good」と「well」の比較級と最上級
「good」と「well」は比較級(より〜)と最上級(最も〜)の形が通常のルールとは異なる不規則変化をします。両方とも同じ形になります。
比較級と最上級の形
- good(良い)→ better(より良い)→ best(最も良い)
- well(上手に)→ better(より上手に)→ best(最も上手に)
例文
- This book is good, but that one is better.(この本は良いですが、あちらの方がより良いです。)
- This is the best movie I have ever seen.(これは私が今まで見た中で最高の映画です。)
- She plays the piano well, but her sister plays better.(彼女はピアノを上手に弾きますが、彼女の姉はより上手に弾きます。)
- He speaks English the best in our class.(彼は私たちのクラスで最も上手に英語を話します。)
「like」と組み合わせた表現
「〜が好き」という意味の「like」と組み合わせた表現も覚えておくと便利です。
例文
- I like this book better than that one.(私はあの本よりもこの本の方が好きです。)
- I like ice cream the best of all desserts.(私はすべてのデザートの中でアイスクリームが一番好きです。)
「good」と「well」を使った日常表現
「good」と「well」はさまざまな日常表現でも使われています。覚えておくと便利な表現をいくつか紹介します。
「good」を使った表現
- Good morning/afternoon/evening(おはようございます/こんにちは/こんばんは)
- Good job!(よくやった!)
- Good luck!(幸運を祈ります!)
- Have a good day!(良い一日を!)
- Good for you!(それはあなたにとって良いことだ!)
例文
- Good morning, everyone.(おはようございます、みなさん。)
- You did a good job on your test.(テストでよくやりましたね。)
「well」を使った表現
- Well done!(よくやった!)
- As well as(〜と同様に)
- Well, …(えーと、…)(会話の切り出し)
- It’s just as well that…(〜で良かった)
- May as well(〜した方がいい)
例文
- “I finished my homework.” “Well done!”(「宿題を終えました。」「よくやった!」)
- She can speak French as well as English.(彼女は英語と同様にフランス語も話せます。)
「good」と「well」の使い分け練習問題
以下の問題で「good」と「well」の使い分けを練習してみましょう。各文の空欄に「good」または「well」を入れてください。
- He plays soccer _______.
- This is a _______ book.
- She speaks English _______.
- The food tastes _______.
- My friend is not feeling _______ today.
- You did a _______ job on your test.
- The children behaved _______ at the party.
- He has a _______ sense of humor.
- The movie was really _______.
- She sings very _______.
- I slept _______ last night.
- That’s a _______ idea!
- The team played _______ yesterday.
- My grandmother is _______ for her age.
- The cake smells _______.
- He draws very _______.
- We had a _______ time at the park.
- She dances _______.
- This is a _______ example.
- I know him very _______.
「good」と「well」に関するよくある質問
- 「I’m good」と「I’m fine」の違いは何ですか?
-
「I’m good」と「I’m fine」はどちらも「元気です」という意味で使われますが、「I’m fine」はより堅い表現で、特に問題がないという意味合いが強いです。一方、「I’m good」はより日常的でカジュアルな表現で、積極的に状態が良いというニュアンスがあります。例えば、医者に体調を聞かれた場合は「I’m fine」と答えることが多いでしょう。
- 「feel good」と「feel well」の違いは何ですか?
-
「feel good」は全体的に気分が良い状態を表し、「feel well」は主に健康状態が良いというニュアンスがあります。「I don’t feel well」と言えば「体調が悪い」という意味になり、「I don’t feel good about this situation」と言えば「この状況に対して不安を感じる」という意味になります。
- 「You did good」と「You did well」のどちらが正しいですか?
-
文法的には「You did well」が正しいです。「do」という動詞を修飾するには副詞の「well」を使うべきだからです。しかし、カジュアルな会話では「You did good」もよく使われます。フォーマルな状況や試験などでは「You did well」を使うことをお勧めします。
- 「It tastes good」と「It tastes well」のどちらが正しいですか?
-
正しいのは「It tastes good」です。「taste」は状態動詞で、その後には形容詞が来ます。「well」を使うと、「それが味を上手に感じている」という不自然な意味になってしまいます。同様に、「look」「smell」「sound」「feel」などの感覚動詞の後にも形容詞「good」を使います。
- 「good」と「well」の両方とも「better」「best」になるのはなぜですか?
-
これは英語の歴史的な発展に関係しています。元々は別々の単語でしたが、時間が経つにつれて比較級と最上級の形が同じになりました。これを不規則変化と呼び、他にも「bad」(悪い)→「worse」(より悪い)→「worst」(最も悪い)のような例があります。
まとめ

この記事では、「good」と「well」の違いと使い分けについて詳しく解説しました。重要なポイントをまとめると、
- 「good」は主に形容詞で、名詞を修飾したり、be動詞の後に置かれたりします。
- 「well」は主に副詞で、動詞や形容詞、他の副詞を修飾します。
- 「well」は「健康な」「元気な」という意味では形容詞としても使われます。
- 「good」と「well」の比較級はどちらも「better」、最上級は「best」です。
- 感覚動詞(taste, look, smell, sound, feel)の後には形容詞「good」を使います。
- 「I’m good」は一般的な状態が良いことを、「I’m well」は特に健康状態が良いことを強調します。
- 日常会話では「I’m doing good」のように、本来「well」を使うべき場面でも「good」が使われることがあります。
「good」と「well」の違いを理解し、適切に使い分けることで、より自然で正確な英語表現ができるようになります。この記事で紹介した例文や練習問題を参考にして、ぜひ実際に使ってみてください。英語の表現力がさらに向上するでしょう。