日本語では「育てる」や「成長する」という言葉で一括りにされるシーンでも、英語では状況や対象によって様々な表現が使い分けられています。子どもの成長、植物の育成、能力の向上など、それぞれのシチュエーションに合わせた最適な英単語を知ることで、より自然な英語表現が可能になります。
この記事では、「育てる・成長する」に関連する英単語を詳しく解説し、それぞれの違いや使い分けのポイントを例文とともに紹介します。中学英語レベルの例文も豊富に用意しているので、英語初学者でも理解しやすい内容となっています。
「育てる・成長する」を表す英単語

「育てる・成長する」を表す英単語は多岐にわたります。それぞれの単語には微妙なニュアンスや使い分けがありますが、まずは基本的な意味を簡単にご紹介します。
「育てる・成長する」を表す英単語
- grow(成長する、育つ)
- grow up(大人になる、成長する)
- raise(育てる、飼育する)
- bring up(育てる、しつける)
- develop(発達する、発展する)
- mature(成熟する)
- improve(上達する、向上する)
- progress(進歩する)
- expand(拡大する)
- advance(前進する、進歩する)
- rear(育てる、飼育する)
- glow up(垢抜ける、素敵に変身する)
これらの英単語は「育てる・成長する」というテーマに関連していますが、使用する状況や対象によって使い分ける必要があります。以下、それぞれの単語について詳しく見ていきましょう。
「育てる・成長する」を表す英単語の発音・意味・特徴と使い分け【例文あり】
「育てる・成長する」を表す英単語はそれぞれ異なるニュアンスを持っています。ここでは、各単語の発音、意味、特徴、そして使い分けのポイントを例文とともに解説します。
grow(グロウ)
意味と特徴
growは「成長する」「育つ」を意味する基本的な動詞です。植物や子ども、経済などの物理的な成長や規模の拡大を表します。名詞形はgrowthです。子どもから大人への成長を表すときは「grow up」という形で使われることが多いです。
使い分けのポイント
growは主に自然な成長・発達を表現するときに使います。植物が育つ、子どもが大きくなるなど、自然の過程としての成長に適しています。また経済成長など規模の拡大を表す場合にも適しています。
例文
- Plants grow well in the sunshine.(植物は日光の下でよく育ちます。)
- My brother grows tomatoes in his garden.(兄は庭でトマトを育てています。)
- The number of students is growing every year.(生徒の数は毎年増えています。)
grow up(グロウ アップ)
意味と特徴
grow upは「大人になる」「成長する」を意味するフレーズで、特に子どもが身体的・精神的に成長して大人になることを表します。過去形はgrew up、過去分詞形はgrown upとなります。
使い分けのポイント
grow upは、子どもから大人への成長過程を表現する時に使います。単にgrowとだけ言うと物理的な大きさの変化を意味することが多いのに対し、grow upは大人になるプロセス全体を示します。
例文
- I grew up in a small town.(私は小さな町で育ちました。)
- Children grow up so fast these days.(最近の子どもたちはとても早く成長します。)
- She wants to be a doctor when she grows up.(彼女は大きくなったら医者になりたいと思っています。)
raise(レイズ)
意味と特徴
raiseは「育てる」「養育する」「飼育する」を意味する他動詞です。子どもや動物を育てる場合に使われます。また、「上げる」「引き上げる」という意味もあります。
使い分けのポイント
raiseは主に親が子どもを育てる場合や、農家が動物を飼育する場合に使います。教育や価値観を身につけさせる意味合いが含まれます。物理的に何かを上げる意味でも使われるので文脈に注意が必要です。
例文
- They raised three children.(彼らは3人の子どもを育てました。)
- My uncle raises cows on his farm.(叔父は農場で牛を育てています。)
- She was raised by her grandmother.(彼女は祖母に育てられました。)
bring up(ブリング アップ)
意味と特徴
bring upは「育てる」「しつける」を意味するフレーズです。子どもの教育や躾に焦点を当てた表現です。過去形・過去分詞形はbrought upとなります。
使い分けのポイント
bring upはraiseと似ていますが、より教育面や道徳的な指導の側面が強調される傾向があります。子どもにマナーや価値観を教え込むプロセスを表現する場合に適しています。
例文
- My parents brought me up to be honest.(両親は私を正直であるように育てました。)
- She was brought up in the countryside.(彼女は田舎で育てられました。)
- How do you bring up children in today’s world?(今日の世界で子どもをどのように育てていますか?)
develop(ディベロップ)
意味と特徴
developは「発達する」「発展する」「開発する」を意味する動詞です。能力やスキルの発達、地域や国の発展など、質的な向上を表します。名詞形はdevelopmentです。
使い分けのポイント
developは特に技術や能力、地域などの質的な発展・進化を表現する時に適しています。子どもの発達段階を表す場合にも使えます(child development)。また、写真を現像する意味もあるため、文脈に注意しましょう。
例文
- Students develop their skills through practice.(学生たちは練習を通じてスキルを発達させます。)
- This country is developing rapidly.(この国は急速に発展しています。)
- He wants to develop a new app.(彼は新しいアプリを開発したいと思っています。)
mature(マチュア)
意味と特徴
matureは「成熟する」「大人になる」を意味する動詞です。身体的な成熟だけでなく、精神的な成熟も表します。また、形容詞として「成熟した」「大人の」という意味でも使われます。名詞形はmaturityです。
使い分けのポイント
matureは単なる成長ではなく、十分に発達して完成された状態に達することを表現します。特に精神的な成熟や、果物が熟すような自然なプロセスを表す場合に適しています。
例文
- Teenagers need time to mature.(十代の若者は成熟するのに時間が必要です。)
- The fruit will mature in a few days.(果物は数日で熟します。)
- She is very mature for her age.(彼女は年齢の割にとても成熟しています。)
improve(インプルーブ)
意味と特徴
improveは「上達する」「向上する」「改善する」を意味する動詞です。以前より良くなることを表します。名詞形はimprovementです。
使い分けのポイント
improveは現状よりも良くなることを表現します。スキルの向上や状況の改善など、ポジティブな変化を示す場合に適しています。成長の中でも特に「より良くなる」という側面に焦点を当てます。
例文
- My English is improving gradually.(私の英語は徐々に上達しています。)
- She improved her test scores this term.(彼女は今学期テストの点数を向上させました。)
- We need to improve our methods.(私たちは方法を改善する必要があります。)
progress(プログレス)
意味と特徴
progressは「進歩する」「前進する」を意味する動詞です。より一般的には名詞として「進歩」「進展」という意味で使われます。目標に向かって着実に前進する様子を表します。
使い分けのポイント
progressは特に目標や計画に向かって着実に前進することを表現します。継続的な改善と前進のプロセスを強調する場合に適しています。「make progress」(進歩する)という形でよく使われます。
例文
- We are progressing well with our project.(私たちはプロジェクトで順調に進歩しています。)
- She has made great progress in her studies.(彼女は勉強で大きな進歩を遂げました。)
- The construction is progressing faster than expected.(建設は予想より速く進んでいます。)
expand(エクスパンド)
意味と特徴
expandは「拡大する」「広がる」を意味する動詞です。物理的な拡大だけでなく、事業や知識の範囲が広がることも表します。名詞形はexpansionです。
使い分けのポイント
expandは特に規模や範囲が広がることを表現します。事業拡大、知識の幅を広げる、市場の拡大など、量的な成長に焦点を当てる場合に適しています。
例文
- Our company is expanding to other countries.(私たちの会社は他の国々に拡大しています。)
- His knowledge continues to expand.(彼の知識は拡大し続けています。)
- The balloon expands when you blow air into it.(風船は空気を入れると膨らみます。)
advance(アドバンス)
意味と特徴
advanceは「前進する」「進歩する」を意味する動詞です。前に進むこと、進歩することを表します。名詞としては「前進」「進歩」の意味があります。
使い分けのポイント
advanceはprogressと似ていますが、より積極的・意図的な前進を強調します。科学技術の進歩や、キャリアの前進など、前向きな発展を表現する場合に適しています。
例文
- Medical science has advanced greatly.(医学は大きく進歩しました。)
- She has advanced to a higher position.(彼女はより高い地位に進みました。)
- We should advance our plans for the future.(私たちは将来の計画を進めるべきです。)
rear(リア)
意味と特徴
rearは「育てる」「飼育する」を意味する動詞です。子どもや動物を育てることを表します。「後ろ」という意味もあるので注意が必要です。
使い分けのポイント
rearはraiseと同様に子どもや動物を育てる意味がありますが、やや古風な表現です。特に動物の繁殖や飼育に関してよく使われます。
例文
- They rear cattle on their farm.(彼らは農場で牛を飼育しています。)
- She was reared in a small village.(彼女は小さな村で育てられました。)
- It’s difficult to rear children in today’s society.(今日の社会で子どもを育てるのは難しいです。)
glow up(グロウ アップ)
意味と特徴
glow upは比較的新しいスラング表現で、「垢抜ける」「見違えるように素敵になる」を意味します。外見や生活が劇的に良い方向に変化することを表します。
使い分けのポイント
glow upはSNSなどで人気の表現で、特に外見や印象が劇的に良くなることを指します。物理的な成長というより、スタイルやファッション、自信などが向上する場合に使います。若者言葉なので、フォーマルな場面では使わないよう注意しましょう。
例文
- She really glowed up after high school.(彼女は高校卒業後、本当に垢抜けました。)
- His glow up surprised everyone.(彼の変身は皆を驚かせました。)
- Many celebrities have impressive glow ups.(多くの有名人は印象的な変身を遂げています。)
「育てる・成長する」を表す英単語の比較表
以下の表に、「育てる・成長する」を表す英単語の主な特徴と使い分けをまとめました。
英単語 | 主な対象 | 特徴 | 使用場面 |
---|---|---|---|
grow | 植物、人、規模など | 自然な成長過程 | 「植物が育つ」「子どもが大きくなる」 |
grow up | 人(子ども) | 子どもが大人になる過程 | 「大人になる」「育つ環境」 |
raise | 子ども、動物 | 教育・養育の側面 | 「子どもを育てる」「家畜を飼育する」 |
bring up | 子ども | 教育・しつけの側面が強い | 「子どもをしつける」「価値観を教える」 |
develop | 能力、地域、製品など | 質的な発展・進化 | 「スキルを伸ばす」「国が発展する」 |
mature | 人、果物など | 成熟・完成に到達 | 「精神的に成熟する」「果物が熟す」 |
improve | 能力、状況など | より良くなる変化 | 「能力を向上させる」「状況を改善する」 |
progress | 計画、学習など | 目標に向かった前進 | 「学習が進む」「計画が進展する」 |
expand | 事業、知識、規模など | 範囲・規模の拡大 | 「事業を拡大する」「知識を広げる」 |
advance | 科学、キャリアなど | 意図的・積極的な前進 | 「科学が進歩する」「キャリアを前進させる」 |
rear | 子ども、動物 | 飼育・養育(やや古風) | 「家畜を飼育する」「子を養育する」 |
glow up | 人(外見) | 劇的な外見の向上(スラング) | 「見た目が垢抜ける」「イメージチェンジする」 |
「育てる・成長する」を表す英単語の使い分け練習問題
次の日本語を英語に訳してください。適切な「育てる・成長する」を表す英単語を選んで使いましょう。
- 彼女は3人の子どもを育てました。
- 私は小さな町で育ちました。
- トマトはたくさんの日光があると良く育ちます。
- 彼は子どもたちに正直であることの大切さを教えながら育てています。
- 私の英語力は少しずつ向上しています。
- 彼らは農場で牛を飼育しています。
- この国は急速に発展しています。
- 私たちの会社は海外に事業を拡大しています。
- 科学技術は日々進歩しています。
- 彼女は高校卒業後、見違えるようにおしゃれになりました。
- 子どもたちは親の期待に応えて成長します。
- 彼の知識は日々広がっています。
- このプロジェクトは順調に進んでいます。
- 彼女は祖母に育てられました。
- 彼はリンゴの木を庭で育てています。
- 赤ちゃんは日々成長しています。
- 彼女は若いのに非常に成熟しています。
- この植物はどのくらいの速さで育ちますか?
- 私たちは子どもたちが健全に育つ環境を作る必要があります。
- 彼は自分のスキルを向上させるために毎日練習しています。
「育てる・成長する」を表す英単語に関するよくある質問
- 「grow」と「raise」の違いは何ですか?
-
growは「成長する」という自動詞で、主に植物や人が自然に大きくなることを表します。「Plants grow in the garden.(植物は庭で育ちます)」のように使います。一方、raiseは「育てる」という他動詞で、誰かが意図的に世話をして育てることを表します。「Parents raise their children.(親は子どもを育てます)」のように使います。growは自然な成長過程、raiseは意図的な養育を強調する点が異なります。
- 子供の教育について話す時は、どの単語が適切ですか?
-
子どもの教育について話す場合は、「raise」や「bring up」が適切です。特に「bring up」は教育やしつけの側面を強調したい場合に使われます。例えば「I want to bring up my children to be kind and respectful.(私は子どもたちを親切で礼儀正しい人間に育てたいです)」のように使います。また、子どもの発達段階について話す場合は「develop」も使えます。
- 「mature」と「grow up」はどう違いますか?
-
「grow up」は主に子どもが大人になる過程を表す一般的な表現です。「He grew up in New York.(彼はニューヨークで育ちました)」のように使います。一方、「mature」は単なる年齢の増加だけでなく、特に精神的・感情的な成熟に焦点を当てた表現です。「As he matured, he became more patient.(彼は成熟するにつれ、より忍耐強くなりました)」のように使います。
- 植物を育てる場合、最適な英単語は何ですか?
-
植物を育てる場合は、一般的に「grow」を使います。「I grow vegetables in my garden.(私は庭で野菜を育てています)」のように使います。植物は自然に成長するものなので、自然な成長を表す「grow」が最も適しています。ただし、農業などの文脈では「cultivate(栽培する)」という表現も使われます。
- 「improve」と「progress」の違いは何ですか?
-
「improve」は「向上する」「改善する」という意味で、質が良くなることを強調します。「My English has improved.(私の英語は上達しました)」のように使います。一方、「progress」は「進歩する」「前進する」という意味で、目標に向かって着実に進むことを強調します。「The project is progressing well.(プロジェクトは順調に進んでいます)」のように使います。improveは質的な向上、progressは目標に向けた前進という違いがあります。
- 「glow up」はフォーマルな場面でも使えますか?
-
「glow up」は主にSNSで広まった比較的新しいスラング表現で、誰かが見た目や印象が劇的に良くなることを表します。フォーマルな文書やビジネスの場では避けた方が良いでしょう。代わりに「transform」「improve one’s appearance」などの表現を使うことをお勧めします。
- 「develop」と「advance」の使い分けはどうすればよいですか?
-
「develop」は「発展する」「発達する」という意味で、技術やスキル、地域などが質的に発展する場合に使います。「Children develop different skills at different rates.(子どもたちは様々なスキルを異なるペースで発達させます)」のように使います。一方、「advance」は「前進する」「進歩する」という意味で、より積極的・意図的な前進や科学技術の進歩に使います。「Medicine has advanced greatly in recent years.(医学は近年大きく進歩しました)」のように使います。
まとめ

この記事では、英語で「育てる・成長する」を表す様々な表現について解説しました。成長の対象や状況によって、適切な単語は異なります。植物や子どもの自然な成長には「grow」、子どもを育てる場合は「raise」や「bring up」、スキルや能力の向上には「improve」や「develop」など、それぞれのニュアンスを理解して適切に使い分けることが大切です。
また、最近のSNSでよく見られる「glow up」のようなトレンド表現も覚えておくと、現代の英語をより深く理解できるようになります。
これらの表現を状況に応じて適切に使い分けることで、より自然で豊かな英語表現が可能になります。日常会話や英作文の際に、今回学んだ表現を積極的に活用してみてください。