英語を学習していると、「起こる」という意味を持つ単語がいくつかあることに気づくでしょう。特に「happen」と「occur」は、どちらも「起こる」という意味を持ちながら、使われる場面や文脈によってニュアンスが異なります。
この記事では、英語初学者のために「happen」と「occur」の意味の違いと適切な使い分け方を詳しく解説します。例文も交えながら、これらの単語を正しく使いこなせるようになりましょう。
「happen」と「occur」の基本的な違い

「happen」と「occur」は両方とも「起こる」という意味ですが、使用される状況やニュアンスに重要な違いがあります。
「happen」はカジュアルな表現で、日常会話でよく使われます。特に予想していなかったことや偶然のことが起きた場合、また何が起きたのかはっきりわからない場合によく使われます。日本語の「ハプニング」という言葉からも想像できるように、予期せぬ出来事を表現するときに適しています。
一方「occur」は、「happen」よりもフォーマルな響きがあり、ニュースや論文、報告書などでよく使われる表現です。主に、起こったことが明確である場合に用いられます。また、「occur」は主語が明確な場合に使われることが多いという特徴もあります。
簡単にまとめると、
- 「happen」:カジュアルで日常会話向き、予想外の出来事、主語が不明確な場合に使用
- 「occur」:フォーマルで書き言葉向き、事実としての出来事、主語が明確な場合に使用
「happen」の意味と使い方
「happen」は「(予想していなかったことが)起こる」という意味の動詞です。日常会話で頻繁に使われる表現で、特に意外性や偶然性を含む出来事を表現するのに適しています。
「happen」の基本的な使い方
「happen」は以下のような状況でよく使われます。
- 予想外の出来事や偶然の出来事が起きた場合
- 何が起きたのかわからない、主語が不明確な場合
- 日常会話の中で「起こる」を表現する場合
- 「~に起こる」という意味で「happen to + 人/物」の形で使われる場合
「happen」を使った例文
例文
- What happened to you yesterday?(昨日あなたに何があったの?)
- The accident happened at 10 am.(事故は午前10時に起こりました。)
- I don’t know what happened to my book.(私の本に何が起きたのかわかりません。)
- These things happen to everyone.(こういうことは誰にでも起こります。)
- Something strange happened in our classroom.(私たちの教室で何か変なことが起こりました。)
「happen to + 動詞」の使い方
「happen to + 動詞の原形」という形で「偶然~する」という意味になります。
例文
- I happened to meet my old friend at the station.(駅で偶然古い友達に会いました。)
- We happened to arrive at the same time.(私たちは偶然同時に到着しました。)
- If you happen to see Tom, please tell him to call me.(もしトムに会ったら、私に電話するよう伝えてください。)
「occur」の意味と使い方
「occur」も「起こる」という意味ですが、「happen」よりもフォーマルな表現です。ニュース、学術論文、報告書など、より公式な文脈で使用されることが多いです。
「occur」の基本的な使い方
「occur」は以下のような状況でよく使われます。
- 公式な文脈での出来事の発生
- 何が起きたのかが明確である場合
- 事実としての出来事を客観的に述べる場合
- 定期的に起こる予定されたイベントを表現する場合
「occur」を使った例文
例文
- The earthquake occurred at 3 am.(地震は午前3時に発生しました。)
- The accident occurred on Main Street.(事故はメインストリートで発生しました。)
- Changes occur slowly in this ecosystem.(この生態系では変化がゆっくりと起こります。)
- The meeting occurs every Monday.(会議は毎週月曜日に行われます。)
- Problems often occur when people don’t follow the rules.(人々がルールに従わないとよく問題が発生します。)
「It occurred to + 人」の特別な使い方
「occur」には「It occurred to + 人 + that節」という特別な表現があり、「(考えなどが)~の心に浮かぶ」という意味になります。
例文
- It occurred to me that I had forgotten my keys.(鍵を忘れたことに気づきました。)
- It suddenly occurred to her that she knew the answer.(彼女は突然答えを知っていることに気づきました。)
- It never occurred to him that he might be wrong.(彼は自分が間違っているかもしれないとは思いもしませんでした。)
「happen」と「occur」の使い方の比較
「happen」と「occur」の違いをより理解するために、いくつかの状況での使い分けを見てみましょう。
日常会話での使い分け
日常会話では通常「happen」が使われます。「occur」を使うと非常に堅苦しい印象を与えることがあります。
例文
- What happened at school today?(今日学校で何があったの?)
- I don’t know what happened to my pen.(私のペンがどうなったのかわかりません。)
フォーマルな状況での使い分け
ニュースや報告書など、正式な状況では「occur」がよく使われます。
例文
- The incident occurred at approximately 9 pm.(事件は午後9時頃に発生しました。)
- Several changes occurred in the company policy.(会社の方針にいくつかの変更がありました。)
主語の明確さによる使い分け
「何が起きたのか」が明確でない場合は「happen」を使い、明確な場合は「occur」を使うことが多いです。
例文
- Something happened, but I’m not sure what it was.(何かが起きましたが、それが何だったのかはわかりません。)
- The earthquake occurred due to tectonic plate movement.(地震は地殻プレートの動きにより発生しました。)
同じ文での使い分け例
以下の例文は、同じ文の中で「happen」と「occur」を使い分ける良い例です。
例文
- The car accident occurred at night, but she doesn’t know what happened.(車の事故は夜に発生しましたが、彼女は何が起きたのかわかりません。)
この文では、「事故が発生した」という明確な事実には「occurred」を使い、「何が起きたのか」という不明確な状況には「happened」を使っています。
「happen」と「occur」に関連する表現
「起こる」という意味を持つ表現は他にもいくつかあります。ここでは「happen」と「occur」以外の関連表現も見ていきましょう。
take place
「take place」は「(計画されたことが)起こる、行われる」という意味です。特に予定されていたイベントや会議などが実施される場合に使われます。
例文
- The wedding will take place next Saturday.(結婚式は次の土曜日に行われます。)
- The meeting took place in the conference room.(会議は会議室で行われました。)
- When will the sports festival take place?(スポーツ大会はいつ行われますか?)
「happen」と「occur」が予期せぬ出来事によく使われるのに対し、「take place」は予定されていた出来事に使われる点が異なります。
break out
「break out」は「(戦争・火事・病気などが)突然発生する、勃発する」という意味で、特に悪いことや危険なことが突然起こる場合に使われます。
例文
- Fire broke out in the building last night.(昨夜、建物で火災が発生しました。)
- War broke out between the two countries in 2010.(2010年に両国間で戦争が勃発しました。)
- A new disease broke out in the city.(新しい病気が市内で発生しました。)
come about
「come about」は「(原因や理由があって)起こる、生じる」という意味で、何らかの原因や背景によって物事が起こる場合に使われます。
例文
- How did this situation come about?(この状況はどのようにして生じたのですか?)
- Peace came about after many years of talks.(平和は何年もの話し合いの末に実現しました。)
- The changes came about gradually.(変化は徐々に生じました。)
result from
「result from」は「(~の結果として)起こる」という意味で、原因と結果の関係が明確な場合に使われます。
例文
- The accident resulted from poor road conditions.(その事故は悪い道路状況から生じました。)
- Many health problems result from stress.(多くの健康問題はストレスから生じます。)
- His success resulted from hard work.(彼の成功は努力の結果でした。)
「happen」と「occur」の使い分け練習問題
それでは、「happen」と「occur」の使い分けを練習してみましょう。以下の問題では、括弧内に「happen」か「occur」のどちらかを適切な形で入れてください。
- What ( ) to you yesterday?
- The earthquake ( ) at 3:00 AM.
- I don’t know what ( ) to my book.
- The accident ( ) on Main Street.
- It ( ) to me that I might be wrong.
- Strange things ( ) in that old house.
- The meeting ( ) every Monday.
- I ( ) to see my friend at the mall.
- The fire ( ) due to an electrical fault.
- Accidents ( ) when people are not careful.
- The event ( ) as planned.
- It suddenly ( ) to her that she knew the answer.
- What ( ) next was unexpected.
- The change ( ) gradually over time.
- Something strange ( ) last night.
- The explosion ( ) in the factory.
- I wonder what ( ) to make him so angry.
- The incident ( ) during the school trip.
- These problems ( ) frequently in old buildings.
- It ( ) that I had left my keys at home.
「happen」と「occur」に関するよくある質問
- 「happen」と「occur」は互換的に使えますか?
-
状況によります。多くの場合、特に書き言葉では互換的に使える場合もありますが、一般的に「happen」はカジュアルな表現で、「occur」はフォーマルな表現です。また、「何が起きたのかわからない」という場合には「happen」が適しており、「何が起きたのか明確」な場合には「occur」が適していることが多いです。
例えば、「What happened?」(何が起きたの?)という質問は日常会話でよく使われますが、「What occurred?」と言うと非常に形式的で不自然に聞こえることがあります。
- 「It happened to me」と「It occurred to me」の違いは何ですか?
-
これらは全く異なる意味を持ちます。「It happened to me」は「それが私に起こった」という意味で、何かの出来事が自分に起きたことを表します。例えば、「The same thing happened to me last year.」(同じことが去年私にも起こりました。)
一方、「It occurred to me」は「(考えが)私の心に浮かんだ」という意味で、何かのアイデアや考えが思い浮かんだことを表します。例えば、「It occurred to me that I had seen him before.」(彼に前に会ったことがあると気づきました。)
- 「happen」と「occur」は受け身形で使えますか?
-
いいえ、通常は受け身形では使いません。両方とも自動詞として使われることが多く、「was happened」や「was occurred」とは言いません。代わりに能動態で表現するか、別の表現を使います。
例えば、「The accident was happened yesterday.」ではなく、「The accident happened yesterday.」(事故は昨日起こりました。)と言います。
- どのような場合に「occur」を使うべきですか?
-
ニュース、報告書、学術論文などのフォーマルな文脈で、または明確な事実として何が起きたかを述べる場合に「occur」を使うことが適切です。また、「It occurred to me」のように「考えが浮かぶ」という意味で使う場合もあります。
例えば、ニュース記事では「The earthquake occurred at 2:30 AM.」(地震は午前2時30分に発生しました。)のように「occur」が使われます。
- どのような場合に「happen」を使うべきですか?
-
日常会話で「起こる」ことを表現する場合や、何が起きたのかわからない状況、予想外のことが起きた場合には「happen」を使うことが適切です。また、「happen to + 動詞」で「偶然~する」という表現もよく使われます。
例えば、「What happened to your car?」(あなたの車はどうしたの?)、「I don’t know what happened.」(何が起きたのかわかりません。)、「I happened to meet an old friend yesterday.」(昨日偶然古い友人に会いました。)などの表現があります。
- 「happen」と「occur」以外で「起こる」を表す英語表現はありますか?
-
はい、いくつかあります。先に説明した「take place」「break out」「come about」「result from」の他にも、「arise」(生じる、起こる)、「transpire」(明らかになる、起こる)、「ensue」(続いて起こる)などがあります。それぞれ微妙にニュアンスが異なるので、英語の学習が進むにつれて少しずつ理解を深めていくとよいでしょう。
まとめ

この記事では、「happen」と「occur」の意味の違いと使い分けについて解説しました。ポイントをまとめると、
- 「happen」はカジュアルな表現で、日常会話でよく使われる。
- 「occur」はフォーマルな表現で、ニュースや学術的な文脈でよく使われる。
- 「happen」は予想外のことや、何が起きたのかわからない状況でよく使われる。
- 「occur」は明確な事実として何が起きたかを述べる場合に適している。
- 「It occurred to me」は「(考えが)心に浮かぶ」という独特の表現がある。
- 両方とも通常は受け身形では使わない。
- 類似表現として「take place」(予定されたことが起こる)、「break out」(悪いことが突然起こる)、「come about」(原因や理由があって起こる)、「result from」(~の結果として起こる)などがある。
- 「happen to + 動詞」で「偶然~する」という表現になる。
- 日常会話では基本的に「happen」を選ぶとよい。
- 報告書やニュースなどのフォーマルな場面では「occur」を選ぶとよい。
- 「What happened?」(何が起きたの?)は、「What occurred?」とは言わない。
- 具体的な出来事(地震、事故など)が起きた時間や場所を述べる場合は「occur」を使うことが多い。
「happen」と「occur」の違いを理解し、適切に使い分けることで、より自然な英語表現ができるようになります。初学者の方も、この記事で紹介した基本的な違いを覚えておくことで、英語での表現の幅が広がるでしょう。
これらの単語を意識して英語を読んだり聞いたりすると、より理解が深まります。ぜひ実際の英語の中で見つけて、使い方を確認してみてください。