「hard」と「hardly」は綴りが似ているため、英語学習者が混同しやすい単語です。しかし、これらの単語は意味が大きく異なります。「hard」が「一生懸命に」「懸命に」といった肯定的な意味を持つのに対し、「hardly」は「ほとんど~ない」という否定的な意味を持っています。適切に使い分けることで、あなたの英語表現力は大きく向上するでしょう。
この記事では、英語初学者向けに「hard」と「hardly」の違いと使い分けについて詳しく解説していきます。
「hard」と「hardly」の基本的な違い

「hard」と「hardly」は見た目は似ていますが、実は全く異なる意味を持つ単語です。「hard」は形容詞として「硬い」「難しい」という意味があり、副詞として「一生懸命に」「熱心に」という意味で使われます。一方、「hardly」は副詞としてのみ使われ、「ほとんど~ない」という否定的な意味を持っています。
例えば、「I study hard」と言えば「私は一生懸命勉強する」という肯定的な意味になりますが、「I hardly study」と言えば「私はほとんど勉強しない」という否定的な意味になります。たった一文字の違いで意味が真逆になってしまうので、注意が必要です。
初学者の方はこの基本的な違いをしっかり覚えておくことで、会話や文章での誤解を防ぐことができます。
「hard」の意味と使い方
「hard」は、形容詞としても副詞としても使うことができる単語です。使い方によって意味が変わるので、それぞれの用法をしっかり理解しましょう。
形容詞としての「hard」
形容詞としての「hard」には、主に以下のような意味があります。
- 「硬い」(物理的な硬さを表す)
- 「難しい」(困難さを表す)
- 「厳しい」「つらい」(状況や条件について)
形容詞なので、名詞を修飾する形で使われます。
例文
- This stone is very hard.(この石はとても硬いです。)
- Math is hard for me.(数学は私にとって難しいです。)
- He had a hard life in his childhood.(彼は子供の頃、厳しい生活を送りました。)
- This is a hard question to answer.(これは答えるのが難しい質問です。)
副詞としての「hard」
副詞としての「hard」は、主に「一生懸命に」「熱心に」「懸命に」という意味で使われます。動詞を修飾して、その動作がどれだけ熱心に行われたかを表します。
例文
- I study English hard every day.(私は毎日一生懸命英語を勉強します。)
- She works hard to support her family.(彼女は家族を支えるために一生懸命働きます。)
- He tried hard but couldn’t solve the problem.(彼は一生懸命頑張ったが、問題を解決できませんでした。)
- They practiced hard for the game.(彼らは試合のために熱心に練習しました。)
「hard」は形容詞としても副詞としても形が変わらないことに注意してください。多くの形容詞は副詞になると「-ly」が付きますが、「hard」は例外的に形が変わりません。
「hardly」の意味と使い方
「hardly」は副詞としてのみ使われ、「ほとんど~ない」「めったに~ない」という否定的な意味を持っています。「hard」に「-ly」が付いた形ですが、意味は全く異なります。
「ほとんど~ない」という意味
「hardly」は否定の意味を含んでいるため、文中で使うと否定的なニュアンスになります。「not」と一緒に使わないように注意しましょう。
例文
- I hardly have time to read books.(私は本を読む時間がほとんどありません。)
- She hardly ever goes to the movies.(彼女はめったに映画に行きません。)
- We hardly see each other these days.(最近、私たちはほとんど会いません。)
- He hardly spoke during the meeting.(彼は会議中ほとんど話しませんでした。)
「hardly」を使った表現
「hardly」はいくつかの定型表現でよく使われます。代表的なものをいくつか紹介します。
can hardly + 動詞
「~するのがやっとだ」「ほとんど~できない」という意味で使われます。
例文
- I can hardly see without my glasses.(私はメガネなしではほとんど見えません。)
- He can hardly walk after the accident.(事故の後、彼はほとんど歩けません。)
- We can hardly hear you. Please speak louder.(あなたの声がほとんど聞こえません。もっと大きな声で話してください。)
hardly ever
「めったに~ない」「ほとんど決して~ない」という意味で使われます。
例文
- I hardly ever eat fast food.(私はめったにファストフードを食べません。)
- She hardly ever misses her classes.(彼女はめったに授業を休みません。)
- My grandfather hardly ever uses his smartphone.(私の祖父はめったにスマートフォンを使いません。)
hardly…when…
「~するやいなや…」という意味で使われます。2つの出来事が立て続けに起こったことを表します。
例文
- I had hardly finished my homework when my friend called me.(宿題を終えたとたん、友達から電話がありました。)
- He had hardly left the house when it started to rain.(彼が家を出たとたん、雨が降り始めました。)
「hard」と「hardly」の混同しやすいポイント
「hard」と「hardly」は綴りが似ているため、混同しやすい単語です。しかし、意味は全く異なるので、間違えると意図とは逆の意味になってしまうことがあります。以下に、混同しやすいポイントをいくつか紹介します。
意味が真逆になる例
同じ文脈で「hard」と「hardly」を入れ替えると、意味が真逆になることがあります。
例文
- I work hard.(私は一生懸命働きます。)
- I hardly work.(私はほとんど働きません。)
- She studies hard.(彼女は熱心に勉強します。)
- She hardly studies.(彼女はほとんど勉強しません。)
このように、たった一文字の違いで意味が真逆になるので、特に注意が必要です。
副詞としての位置の違い
「hard」と「hardly」は両方とも副詞ですが、文中での位置が異なることがあります。「hard」は通常、動詞の後ろに置かれますが、「hardly」は動詞の前に置かれることが多いです。
例文
- I study hard.(私は一生懸命勉強します。)
- I hardly study.(私はほとんど勉強しません。)
- They work hard.(彼らは一生懸命働きます。)
- They hardly work.(彼らはほとんど働きません。)
「hardly」の類似表現との違い
「hardly」と似た意味を持つ副詞がいくつかあります。それぞれの違いを理解することで、より豊かな英語表現ができるようになります。
hardly, scarcely, barely
「hardly」「scarcely」「barely」はいずれも「ほとんど~ない」という意味で使われますが、微妙なニュアンスの違いがあります。
- hardly:「ほとんど~ない」という一般的な否定
- scarcely:「ほとんど~ない」とやや文語的な表現
- barely:「かろうじて~する」「辛うじて~する」というニュアンス
例文
- I hardly know him.(私は彼をほとんど知りません。)
- I scarcely remember what happened.(私は何が起こったかほとんど覚えていません。)
- I barely passed the exam.(私は試験にかろうじて合格しました。)
seldom, rarely
「seldom」「rarely」は「めったに~ない」「まれに」という頻度の低さを表す副詞です。「hardly ever」と似た意味を持ちます。
- seldom:「めったに~ない」とやや文語的
- rarely:「まれに」「めったに~ない」と一般的
例文
- I seldom go to the beach.(私はめったに海に行きません。)
- She rarely eats meat.(彼女はめったに肉を食べません。)
- We seldom see each other these days.(最近、私たちはめったに会いません。)
「hard」と「hardly」の使い分け練習問題
以下に「hard」と「hardly」の使い分けを練習するための問題を20問用意しました。適切な単語(hard または hardly)を選んで文を完成させてください。
- I study English ( ) every day.
- My grandfather ( ) uses a computer.
- This math problem is very ( ) for me.
- He works ( ) to support his family.
- I ( ) have any free time these days.
- The stone is so ( ) that I can’t break it.
- She tried ( ) but couldn’t solve the problem.
- We ( ) ever go to the movies.
- My brother studies ( ) for the exam.
- I can ( ) hear you. Please speak louder.
- Life was very ( ) during the war.
- She ( ) speaks to her neighbors.
- This chair is too ( ) to sit on comfortably.
- They practiced ( ) for the concert.
- I ( ) recognized him after 20 years.
- The test was very ( ) for everyone.
- He hit the ball so ( ) that it went over the fence.
- My mother ( ) ever gets angry.
- It’s ( ) to believe that he is already 40 years old.
- She exercises ( ) to stay healthy.
「hard」と「hardly」に関するよくある質問
- 「hard」は形容詞と副詞の両方として使えるのですか?
-
はい、「hard」は形容詞としても副詞としても使えます。形容詞の場合は「硬い」「難しい」「厳しい」といった意味になり、副詞の場合は「一生懸命に」「熱心に」といった意味になります。多くの形容詞は副詞になると「-ly」がつきますが、「hard」はそのままの形で副詞としても機能するという特徴があります。
- 「hardly」はどのような時に使うのが適切ですか?
-
「hardly」は「ほとんど~ない」という否定的な意味を表したい時に使います。例えば「I hardly know him(私は彼をほとんど知らない)」のように使います。また、「can hardly」「hardly ever」などの表現もよく使われます。「hardly」は否定の意味を含んでいるため、「not」とは一緒に使わないように注意してください。
- 「hardly ever」と「never」の違いは何ですか?
-
「hardly ever」は「ほとんど~しない」「めったに~しない」という意味で、可能性が非常に低いことを表します。一方、「never」は「決して~しない」という完全な否定を表します。つまり、「hardly ever」は非常に低い頻度を表し、「never」は頻度がゼロであることを表します。
例えば、「I hardly ever eat meat(私はめったに肉を食べない)」は、時々は肉を食べることがあるという意味ですが、「I never eat meat(私は決して肉を食べない)」は、完全に肉を食べないことを意味します。
- 「hardly…when…」構文はどのように使いますか?
-
「hardly…when…」構文は「~するやいなや…」という意味で、ある出来事が起こってすぐに別の出来事が起こったことを表します。通常、過去完了形と過去形を組み合わせて使います。
例:「I had hardly finished my homework when my mother called me to dinner.(宿題を終えたとたん、母が夕食に呼びました。)」
この構文では、最初の出来事(宿題を終えること)が完了してすぐに次の出来事(母に呼ばれること)が起こったことを表しています。
- 「hard」と「hardly」の語源は何ですか?
-
「hard」と「hardly」は元々は関連していましたが、歴史的に意味が変化しました。「hard」は古英語の「heard(hard)」に由来し、「硬い」という意味がありました。一方、「hardly」は「hard」に副詞を形成する接尾辞「-ly」が付いた形で、元々は「厳しく」「激しく」という意味でしたが、時代とともに「ほとんど~ない」という現在の意味に変化しました。
まとめ

この記事では「hard」と「hardly」の意味の違いと使い分けについて解説しました。以下にポイントをまとめます。
- 「hard」は形容詞と副詞の両方として使われる。
- 形容詞としては「硬い」「難しい」「厳しい」などの意味がある。
- 副詞としては「一生懸命に」「熱心に」という意味で使われる。
- 「hardly」は副詞としてのみ使われ、「ほとんど~ない」という否定的な意味を持つ。
- 「hard」と「hardly」は綴りが似ているが、意味が真逆になることがあるので注意が必要。
- 「hardly」に関連する表現として以下がある。
- can hardly + 動詞(ほとんど~できない)
- hardly ever(めったに~ない)
- hardly…when…(~するやいなや…)
- 「hardly」と似た表現には以下がある。
- scarcely(ほとんど~ない、やや文語的)
- barely(かろうじて~する)
- seldom(めったに~ない、やや文語的)
- rarely(まれに、めったに~ない)
「hard」と「hardly」の違いを正しく理解し、適切に使い分けることで、より正確な英語表現ができるようになります。日常会話や作文で積極的に使ってみて、使い方をマスターしましょう。英語学習の旅は一歩一歩の積み重ねです。これからも頑張って学習を続けてください。