英会話の中でネイティブスピーカーがよく使うイディオムの一つに「Hear it on the grapevine」があります。このフレーズは日常会話でよく耳にするものですが、初めて聞く方には少し分かりにくいかもしれません。
今回はこの表現の意味や使い方について、初心者の方にも理解しやすいように例文を交えながら詳しく解説していきます。
「Hear it on the grapevine」とは?

「Hear it on the grapevine」は、直訳すると「ブドウのつるを通して聞く」という意味になります。しかし実際には「人づてに聞く」「噂で聞く」「風の便りで聞く」といった意味で使われる英語のイディオムです。誰から聞いたのか具体的な情報源が明確でない状態で、間接的に情報を得たときに使われる表現です。
このフレーズは日常会話で頻繁に使われ、友人との会話からビジネスシーンまで幅広く活用されています。特に「I heard it on the grapevine that…(~という噂を耳にしたんだけど)」というような形で使われることが多いです。
「Hear it on the grapevine」の意味と由来
この表現の「grapevine(ブドウのつる)」は、情報が人から人へと伝わっていく様子を、ブドウのつるが絡み合いながら伸びていく様子に例えたものです。
一人から別の人へ、そしてさらに別の人へと情報が広がっていく様子をうまく表現しています。
「Hear it on the grapevine」の直訳
直訳すると「ブドウのつるを通して聞く」となりますが、これは情報が人から人へと伝わっていく様子を比喩的に表現したものです。
日本語では「人づてに聞く」「噂で聞く」などと表現すると近い意味になります。
「on」と「through」の違い
このイディオムは「hear it on the grapevine」と「hear it through the grapevine」のどちらの形でも使われます。また、「over the grapevine」や「via the grapevine」という言い方もあります。
これらはほぼ同じ意味で使われますので、どれを使っても間違いではありません。状況や好みによって使い分けると良いでしょう。
「Hear it on the grapevine」の使い方
このイディオムは、直接的な情報源が不明確な時や、噂として伝わってきた情報について話す時に使います。
特に「I heard (it) on/through the grapevine that…(~という噂を耳にした)」という形で使われることが多いです。
日常会話での使い方
友人との会話や日常的なコミュニケーションの中で、誰かについての噂や情報を間接的に聞いた際に使います。
例えば、友人の転職や引っ越し、恋愛関係などの噂を耳にした時などに使うことができます。
ビジネスシーンでの使い方
職場での会話でも使われる表現です。
会社の方針変更や人事異動、企業の合併などの情報をどこからともなく耳にした時などに「I heard through the grapevine that our company is…(私たちの会社が~するという噂を耳にした)」のように使います。
「Hear it on the grapevine」を使った例文
ここでは、中学英語レベルの簡単な例文をいくつかご紹介します。
実際の会話の中でどのように使われるのかをイメージしながら読んでみてください。
中学英語レベルでの例文
例文
- I heard on the grapevine that you got a new job.
(あなたが新しい仕事を得たという噂を聞いたよ。) - She heard through the grapevine that her friend is moving to Tokyo.
(彼女は友達が東京に引っ越すという噂を耳にした。) - We heard on the grapevine that the school will close next week.
(学校が来週閉まるという噂を私たちは耳にした。) - Did you hear through the grapevine about the new student?
(新しい生徒についての噂を聞いた?) - They heard on the grapevine that there will be a surprise test tomorrow.
(彼らは明日抜き打ちテストがあるという噂を耳にした。)
応用例文
例文
- Tom: I heard on the grapevine that you are getting married next month. Is it true?
(来月結婚するという噂を聞いたけど、本当?)
Mary: Yes, it is true. Who told you that?
(うん、本当よ。誰がそれを教えてくれたの?)
Tom: I just heard it from someone at work.
(職場の誰かから聞いただけだよ。) - Mike: I heard through the grapevine that our teacher is leaving.
(先生が辞めるという噂を聞いたよ。)
Jane: Really? I didn’t know that.
(本当?知らなかった。)
Mike: Yeah, but I’m not sure if it’s true.
(うん、でも本当かどうかわからないけどね。)
「Hear it on the grapevine」の類似表現
「人づてに聞く」という意味を表す他の英語表現もいくつか存在します。ここでは類似の表現をご紹介します。
「Hear it on the grapevine」と似た意味を持つ表現には以下のようなものがあります。
- I heard a rumor that…
(~という噂を聞いた。) - Word has it that…
(~という噂がある。) - I heard from someone that…
(誰かから~と聞いた。) - It’s going around that…
(~という噂が広まっている。)
これらの表現も「間接的に情報を得た」というニュアンスを持っていますが、「Hear it on the grapevine」ほど広く使われているものではありません。状況に応じて使い分けると良いでしょう。
「Hear it on the grapevine」に関するよくある質問
- 「Hear it on the grapevine」の由来は何ですか?
-
このイディオムの正確な起源については諸説ありますが、アメリカ南北戦争時代に遡るとされています。当時、情報を伝える電信線が木にかけられてブドウのつるのように見えたことから、この表現が生まれたとも言われています。また、情報がブドウのつるのように人から人へと伝わっていく様子を表現したものとも考えられています。
- 「Hear it on the grapevine」は否定的な意味で使われますか?
-
必ずしも否定的な意味で使われるわけではありません。ただ、情報源が明確でない噂や伝聞を意味するため、信頼性が低い情報を表す場合もあります。良いニュースでも悪いニュースでも使うことができます。
- 「Hear it on the grapevine」の代わりに使える表現はありますか?
-
「I heard a rumor that…(~という噂を聞いた)」「Word has it that…(~という噂がある)」「I heard from someone that…(誰かから~と聞いた)」などが類似の表現として使えます。
- 英語のイディオムはどうやって覚えたらいいですか?
-
イディオムは文脈の中で理解し、実際に使ってみることが大切です。映画やドラマ、歌などの中でどのように使われているかを観察すると良いでしょう。「Hear it on the grapevine」については、マーヴィン・ゲイの同名の有名な曲もあるので、歌詞と一緒に覚えるのも効果的です。
まとめ

「Hear it on the grapevine」について、意味や使い方、例文などを詳しく解説してきました。最後に重要なポイントをまとめておきましょう。
- 「Hear it on the grapevine」は「人づてに聞く」「噂で聞く」という意味のイディオム。
- 直訳すると「ブドウのつるを通して聞く」となる。
- 「on」「through」「over」「via」などの前置詞と組み合わせて使われる。
- 情報源が明確でない間接的な情報を表現する時に使う。
- 日常会話からビジネスシーンまで幅広く使われる。
- 類似表現には「I heard a rumor that…」「Word has it that…」などがある。
英語学習では、こうしたイディオムを知っておくと、ネイティブとの会話がより自然になります。ぜひ日常会話の中で使ってみてください。