日本語の「心」という言葉は、感情、思考、精神など多くの意味を含む奥深い言葉です。英語に訳す際にも、文脈や表現したい内容によって様々な単語を使い分ける必要があります。「心から感謝します」と「心配しています」では、同じ「心」という言葉を使っていても、英語では異なる単語を使うことが多いのです。
この記事では、「心」を表す英単語の違いや特徴、適切な使い分け方について、初心者にもわかりやすく解説します。日常会話からビジネスシーンまで役立つ表現を豊富な例文とともに紹介しますので、英語での表現の幅を広げるためにぜひ参考にしてください。
「心」を表す英単語

日本語の「心」は英語では複数の単語で表現されます。状況や表現したいニュアンスによって使い分けることが重要です。
ここでは主な「心」を表す英単語とその意味を紹介します。
「心」を表す英単語
- heart(ハート):感情、情緒、愛情などを感じる心
- mind(マインド):思考、理性、知性に関わる心
- spirit(スピリット):精神、気力、魂を表す心
- soul(ソウル):魂、内面的な本質を表す心
- psyche(サイキ):人間の精神全体、意識と無意識を含む心
- feeling(フィーリング):感覚、感情を表す心
- emotion(イモーション):強い感情、情動を表す心
- sentiment(センチメント):感傷、意見、態度などを表す心
- will(ウィル):意志、意思を表す心的側面
これらの単語は、日本語では同じ「心」という言葉で表されることが多いですが、英語ではそれぞれ独自のニュアンスがあります。適切な場面で適切な単語を選ぶことで、より正確に自分の思いを表現することができます。
「心」を表す英単語の発音・意味・特徴と使い分け【例文あり】
「心」を表す英単語には様々なものがありますが、それぞれに固有の意味やニュアンスがあります。ここでは、主要な単語について詳しく解説し、その使い分け方と実際の例文を紹介します。
heart(ハート)
意味と特徴
heartは主に感情や情緒を表す「心」です。特に愛情や思いやり、優しさといった温かい感情を表現する際によく使われます。物理的な心臓を表す意味もあり、「胸に手を当てて」という表現では実際に身体の部位としての心臓を指すこともあります。また、「心から」「心の底から」という表現でも頻繁に使用されます。
使い分けのポイント
感情や情緒に関連する「心」を表現する場合にheartを使います。特に愛情、優しさ、思いやりといったポジティブな感情を表現する際に適しています。「心臓」という臓器を指す場合もheartを使います。「心を込めて」「心からの」という意味を表現したい場合は、”from the heart”や”with all my heart”などの表現を用います。
例文
- I thank you from the bottom of my heart.(心の底からあなたに感謝します。)
- He has a kind heart.(彼は優しい心を持っています。)
- My heart was filled with joy when I saw her.(彼女を見たとき、私の心は喜びでいっぱいになりました。)
mind(マインド)
意味と特徴
mindは主に思考や理性、知性に関わる「心」を表します。考えや意見、記憶や意識なども含みます。「心配する」「気にする」という意味でも使われ、”Keep in mind”(心に留めておく)のような表現もあります。mindは理性的な部分を表す単語で、感情よりも知的な面を強調する傾向があります。
使い分けのポイント
思考、意識、記憶、意見などに関連する「心」を表現する場合にmindを使います。「考える」「気にする」「心配する」といった意味合いでも用いられます。決断や判断に関わる心の働きを表現する場合にも適しています。「心を変える」という表現は”change one’s mind”となります。
例文
- What’s on your mind?(何を考えているの?)
- I can’t get her out of my mind.(彼女のことが頭から離れません。)
- Keep in mind that the test is next week.(テストが来週あることを心に留めておいてください。)
spirit(スピリット)
意味と特徴
spiritは精神や気力、活力を表す「心」です。物質的な身体に対する非物質的な部分を指し、「精神」「魂」といった意味合いがあります。また、勇気や意欲、気概といった積極的な心の状態を表すこともあります。チームスピリットや闘争心などを表現する際にも使われます。
使い分けのポイント
精神性や活力、エネルギーに関連する「心」を表現する場合にspiritを使います。特に「不屈の精神」「前向きな気持ち」など、困難に立ち向かう強さや活力を表現する際に適しています。また、宗教的な文脈では「霊」「魂」という意味でも使われます。
例文
- She has a strong spirit.(彼女は強い精神を持っています。)
- Don’t lose your spirit.(気力を失わないでください。)
- The team played with great spirit.(チームは素晴らしい気概でプレーしました。)
soul(ソウル)
意味と特徴
soulは魂や内面的な本質を表す「心」です。人間の最も深い部分、本質的な自己を指します。宗教的な文脈では死後も存在し続ける不滅の魂を意味することもあります。また、深い感情や情熱を表現する際にも使われます。音楽のジャンル「ソウルミュージック」も、この深い感情表現に由来しています。
使い分けのポイント
人間の内面的な本質や深い部分を表現する場合にsoulを使います。特に「魂の叫び」「魂の触れ合い」など、深い感情や本質的なつながりを表現する際に適しています。「心の友」は”soul mate”(ソウルメイト)という表現があります。
例文
- Music touches my soul.(音楽は私の魂に触れます。)
- She sings with her soul.(彼女は魂を込めて歌います。)
- He is my soul mate.(彼は私の心の友です。)
psyche(サイキ)
意味と特徴
psycheは心理学的な意味での「心」、つまり人間の精神全体を表します。意識と無意識の両方を含み、思考、感情、意志などすべての精神活動を包括する概念です。古代ギリシャ語に由来し、もともとは「生命」「魂」を意味していました。現代では主に専門的な文脈で使われることが多い単語です。
使い分けのポイント
心理学や専門的な文脈で、人間の精神全体について語る場合にpsycheを使います。一般的な会話よりも、学術的な場面や専門書などで目にすることが多い単語です。「人間の心理」「精神構造」などを表現する際に使われます。
例文
- The book explores the human psyche.(その本は人間の精神を探求しています。)
- Trauma can damage a child’s psyche.(トラウマは子どもの精神を傷つけることがあります。)
- The artist tried to express the complexity of the human psyche.(その芸術家は人間の精神の複雑さを表現しようとしました。)
feeling(フィーリング)
意味と特徴
feelingは感覚や感情を表す「心」です。身体的な感覚から情緒的な感情まで幅広く使われます。「気持ち」「感じ」という意味でも頻繁に使用されます。また、「感触」「手触り」など物理的な感覚を表すこともあります。
使い分けのポイント
感覚や感情に関連する「心」を表現する場合にfeelingを使います。心の状態よりも、一時的な感情や感覚を表現することが多いです。「気持ち」「感じ」という意味で使うことが一般的です。複数形(feelings)で「感情」「気持ち」という意味になります。
例文
- I have a good feeling about this.(これについていい感じがします。)
- He hurt my feelings.(彼は私の気持ちを傷つけました。)
- What are your feelings about the new project?(新しいプロジェクトについてどう感じていますか?)
emotion(イモーション)
意味と特徴
emotionは強い感情や情動を表す「心」です。喜び、悲しみ、怒り、恐れなど、強く表れる感情状態を指します。感情の動きや変化を強調するニュアンスがあります。「感動」「情」という意味合いもあります。
使い分けのポイント
強い感情や情動を表現する場合にemotionを使います。feelingよりも強く、明確な感情状態を表す傾向があります。「感情的になる」という表現は”get emotional”となります。感情の種類や性質について語る場合にも適しています。
例文
- She couldn’t control her emotions.(彼女は感情をコントロールできませんでした。)
- Love is a strong emotion.(愛は強い感情です。)
- His voice was filled with emotion.(彼の声は感情に満ちていました。)
sentiment(センチメント)
意味と特徴
sentimentは感傷や意見、態度などを表す「心」です。特に感情に基づいた思いや考えを指します。「世論」「総意」という意味で使われることもあります。また、「感傷的な気持ち」「郷愁」といったニュアンスもあります。
使い分けのポイント
感情に基づいた思いや意見を表現する場合にsentimentを使います。特に集団の意見や態度を表す場合にも適しています。感傷的な気持ちや郷愁を表現する際にも使われます。
例文
- Public sentiment is against the new law.(世論は新しい法律に反対しています。)
- She kept the letter out of sentiment.(彼女は感傷から手紙を取っておきました。)
- I share your sentiment about the situation.(その状況についてあなたの気持ちに共感します。)
will(ウィル)
意味と特徴
willは意志や意思を表す「心」の側面です。決意や決断力、意思の強さを表します。また、遺言書を意味する名詞としても使われます。助動詞としての用法が最も一般的ですが、名詞として「意志」を表す場合もあります。
使い分けのポイント
意志や決意に関連する「心」を表現する場合にwillを使います。「意志の強さ」「決意」を表現する際に適しています。”strong will”(強い意志)、”free will”(自由意志)などの表現があります。
例文
- He has a strong will.(彼は強い意志を持っています。)
- Where there is a will, there is a way.(意志あるところに道は開ける。)
- She lost her will to fight.(彼女は戦う意志を失いました。)
これらの「心」を表す英単語は、日本語の「心」が持つ多様な側面をそれぞれ表現しています。状況やニュアンスに応じて適切な単語を選ぶことで、より正確に自分の思いを伝えることができます。
「心」を表す英単語の比較表
以下の表は、「心」を表す主な英単語の特徴や使い分けをまとめたものです。
英単語 | 主な意味 | 特徴 | 使われる文脈の例 |
---|---|---|---|
heart | 感情、情緒、愛情 | 温かい感情や愛情を表す | 「心からの感謝」「優しい心」 |
mind | 思考、理性、知性 | 知的な思考や意識を表す | 「心配する」「考える」「決心する」 |
spirit | 精神、気力、活力 | 非物質的な精神や活力を表す | 「不屈の精神」「前向きな気持ち」 |
soul | 魂、内面的な本質 | 人間の本質的な部分を表す | 「魂の叫び」「心の友」 |
psyche | 精神全体、心理 | 心理学的な意味での精神を表す | 「人間の心理」「精神構造」 |
feeling | 感覚、感情 | 一時的な感覚や感情を表す | 「いい感じ」「気持ち」 |
emotion | 強い感情、情動 | 明確で強い感情状態を表す | 「感情的になる」「感動」 |
sentiment | 感傷、意見、態度 | 感情に基づいた思いや意見を表す | 「世論」「郷愁」 |
will | 意志、意思 | 決意や意思の強さを表す | 「強い意志」「決意」 |
この表を参考に、伝えたいニュアンスに最も適した単語を選ぶことができます。例えば、愛情や思いやりを表現したい場合は「heart」、思考や意識に関することなら「mind」、精神力や活力なら「spirit」というように、状況に応じて使い分けることが大切です。
「心」を表す英単語の使い分け練習問題
以下の練習問題を通して、「心」を表す英単語の適切な使い分けを学びましょう。各文の空欄に最も適した英単語を入れてください。
- She has a kind __ and always helps others.
- I can’t make up my __ about which college to attend.
- His __ was filled with sadness when he heard the news.
- The team played with great __ and energy.
- Music can touch your __ deeply.
- What’s on your __ today?
- The human __ is complex and mysterious.
- He lost his __ to continue after many failures.
- Public __ is against the new policy.
- I had a strange __ when I entered the room.
- She couldn’t control her strong __ during the speech.
- His __ is unbreakable even in difficult times.
- Where there is a __, there is a way.
- I thank you from the bottom of my __.
- The book explores the depths of the human __.
- She spoke from her __, and everyone was moved.
- Keep in __ that the deadline is next Friday.
- The artist expresses the __ of the nation in his paintings.
- He hurt my __ with his harsh words.
- Her __ mate is her childhood friend.
「心」を表す英単語に関するよくある質問
- 「心配する」は英語で何と言いますか?
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「心配する」は英語では主に”worry about”や”be concerned about”と表現します。「心」という言葉が含まれていますが、英語では「mind」を直接使った表現ではなく、”worry”という動詞を使います。例えば、「彼のことを心配しています」は”I am worried about him.”となります。
- 「心から感謝します」は英語で何と言いますか?
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「心から感謝します」は英語では”I thank you from the bottom of my heart”や”I sincerely thank you”と表現します。「心」の部分には「heart」を使うのが一般的です。より簡潔に言うなら”Thank you very much”や”Thank you sincerely”も使えます。
- 「心強い」は英語で何と言いますか?
-
「心強い」は英語では”reassuring”や”encouraging”などと表現します。直訳ではなく、意味を捉えた表現となります。例えば、「あなたのサポートは心強いです」は”Your support is reassuring”や”Your support is encouraging”となります。
- 「心を開く」を英語で表現するには?
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「心を開く」は英語では”open one’s heart”または”open up”と表現します。例えば、「彼女に心を開く」は”open your heart to her”や”open up to her”となります。人に対して自分の気持ちや考えを素直に表現することを意味します。
- 「心が広い」は英語でどう表現しますか?
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「心が広い」は英語では”open-minded”(偏見がなく新しい考えに開かれている)や”big-hearted”(寛大で思いやりがある)などと表現します。文脈によって最適な表現が変わります。例えば、「彼は心が広い人です」は”He is an open-minded person”や”He is big-hearted”となります。
- 「精神的な」と「心理的な」の英語での違いは何ですか?
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「精神的な」は英語では主に”spiritual”や”mental”と表現し、「心理的な」は”psychological”と表現します。”Spiritual”は魂や宗教的な側面も含む精神性を、”mental”は心の健康や機能に関する側面を、”psychological”は心理学的な側面や心の仕組みに関する意味合いがあります。
- 「無心に」は英語でどう表現しますか?
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「無心に」は英語では状況によって”wholeheartedly”(全身全霊で)、”mindlessly”(考えずに)、”absent-mindedly”(ぼんやりと)などと表現します。例えば、「無心に取り組む」は”work on it wholeheartedly”、「無心に空を見つめる」は”stare at the sky absent-mindedly”となります。
- 「心を鬼にする」を英語で表現するには?
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「心を鬼にする」は英語では直訳はありませんが、”steel oneself”(自分を奮い立たせる)や”harden one’s heart”(心を硬くする)などと表現できます。例えば、「心を鬼にして彼を叱った」は”I steeled myself and scolded him”となります。
- 「心が通じ合う」は英語で何と言いますか?
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「心が通じ合う」は英語では”understand each other”や”connect with each other”、より強い表現では”be in perfect harmony”や”be on the same wavelength”などと表現します。例えば、「私たちは心が通じ合っている」は”We understand each other perfectly”や”We are on the same wavelength”となります。
- 「心臓」と「心(感情)」を英語で区別するには?
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英語では両方とも”heart”を使いますが、区別が必要な場合は、「心臓」は医学的な文脈で”heart organ”や”physical heart”と表現することもあります。一方、感情としての「心」は”feelings”や”emotions”という単語を使って表現することもできます。多くの場合、文脈から判断されます。
まとめ

日本語の「心」という言葉は非常に多義的で、英語に訳す際には状況やニュアンスに応じて様々な単語を使い分ける必要があります。この記事では、「心」を表す主要な英単語として、heart(感情・情緒)、mind(思考・理性)、spirit(精神・気力)、soul(魂・本質)、psyche(精神全体)、feeling(感覚・感情)、emotion(強い感情)、sentiment(感傷・意見)、will(意志・意思)について詳しく解説しました。
それぞれの単語には固有のニュアンスや使用される文脈があり、適切に使い分けることで、より正確に自分の思いを表現することができます。例えば、感情や愛情に関する「心」はheartを、思考や意識に関する「心」はmindを、精神力や活力を表す「心」はspiritを使うなど、表現したい内容に合わせて選ぶことが大切です。
また、「心から感謝します」「心配しています」「心を開く」など、日本語で「心」を含む様々な表現も、英語では異なる言い回しになることがあります。このような表現を適切に使いこなせるようになることで、英語でのコミュニケーション能力がさらに向上するでしょう。