英語学習において「高い」を意味する形容詞は複数存在し、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。「high」「expensive」「costly」「valuable」はいずれも「高い」という意味を持ちますが、使用する場面や伝えたい内容によって使い分ける必要があります。
本記事では、これら4つの形容詞の意味の違いと適切な使い分け方を、わかりやすい例文とともに解説します。これらの単語を正確に使いこなせるようになれば、英語表現の幅が広がるでしょう。
「high」「expensive」「costly」「valuable」の基本的な違い

これら4つの形容詞は「高い」という概念に関連していますが、それぞれが表す「高さ」は異なります。
「high」は最も基本的な「高い」を表す形容詞で、物理的な高さ、程度、レベル、価格などさまざまな「高さ」を表現します。建物や山の高さ、温度、得点、地位など幅広い対象に使用できます。
「expensive」は主に「値段が高い」「高価な」という意味で使われ、商品やサービスの金銭的コストが高いことを表します。買い物やレストランでの支払いなど、お金に直接関係する場面でよく使われます。
「costly」は「expensive」と似ていますが、単なる金銭的コストだけでなく、時間、労力、感情面などを含む「代償が大きい」というニュアンスがあります。何かの結果として損失や犠牲を伴う場合によく使われます。
「valuable」は「価値がある」「貴重な」という意味で、単に金銭的価値が高いだけでなく、重要性や有用性といった価値を強調します。実用的価値と精神的・感情的価値の両方を表現できます。
それでは、それぞれの単語について詳しく見ていきましょう。
「high」の意味と使い方
「high」は英語で最も基本的な形容詞のひとつであり、様々な文脈で「高い」ことを表現できます。物理的な高さから抽象的な概念まで、多岐にわたる場面で使用されます。
例文
- My brother is very high.(私の兄はとても背が高いです。)
- The temperature is high in summer.(夏は気温が高いです。)
- She got a high score on the test.(彼女はテストで高得点を取りました。)
- This shop has high prices.(このお店は価格が高いです。)
- He has a high position in the company.(彼は会社で高い地位についています。)
「high」は文脈によって様々な「高さ」を表すことができる汎用性の高い単語です。ただし、商品やサービスの価格について話す場合は、「expensive」の方がより一般的です。
「high」が表す様々な意味
「high」は文脈によって異なる種類の「高さ」を表現することができます。以下にいくつかの用法を紹介します。
例文
- 物理的な高さ
例文:The mountain is very high.(その山はとても高いです。) - 数値や程度の高さ
例文:My father has high blood pressure.(父は高血圧です。) - 地位や位置の高さ
例文:She is in high school now.(彼女は今高校生です。) - 価格や費用の高さ
例文:Housing costs are high in Tokyo.(東京の住宅費は高いです。) - 質や基準の高さ
例文:This restaurant serves high quality food.(このレストランは高品質の食事を提供しています。)
「high」を使った表現
「high」は多くのフレーズや表現で使われています。以下にいくつかの一般的な表現を紹介します。
- high school(高校)
- high season(繁忙期)
- high time(そろそろ~すべき時)
- high hopes(大きな期待)
- high and low(あちこち、至る所)
例文
- I studied English in high school.(私は高校で英語を勉強しました。)
- Hotel prices are higher during the high season.(ホテルの価格は繁忙期の間はより高くなります。)
- It’s high time we left.(そろそろ私たちは出発すべき時です。)
- I have high hopes for your success.(あなたの成功に大きな期待を持っています。)
「expensive」の意味と使い方
「expensive」は「値段が高い」「高価な」という意味で使われ、主に金銭的なコストが高いことを表現します。買い物や価格について話す際に最もよく使われる単語です。
例文
- This watch is very expensive.(この時計はとても高価です。)
- The restaurant was too expensive for us.(そのレストランは私たちには高すぎました。)
- Living in New York is expensive.(ニューヨークでの生活は費用がかかります。)
- I can’t buy this car because it’s too expensive.(この車は高すぎて買えません。)
- She only buys expensive clothes.(彼女は高価な服しか買いません。)
「expensive」は商品やサービスの価格について話す際の標準的な表現で、金銭的なコストに焦点を当てています。日常会話で「これは高い」と言いたい場合、多くの場合「expensive」が適切です。
「expensive」と「cheap」の対比
「expensive」の反対語は「cheap」(安い)です。価格を表現する際、この対比はよく使われます。
例文
- This bag is expensive, but that one is cheap.(このバッグは高価ですが、あちらは安いです。)
- I don’t like cheap toys. They break easily.(私は安いおもちゃが好きではありません。すぐに壊れます。)
- Is this hotel expensive or cheap?(このホテルは高いですか、安いですか?)
- Sometimes cheap things are expensive in the long run.(時には安いものが長い目で見ると高くつくこともあります。)
「expensive」を使った表現
「expensive」を含むよく使われる表現をいくつか紹介します。
- too expensive(高すぎる)
- very expensive(とても高価な)
- the most expensive(最も高価な)
- expensive taste(高価な嗜好)
- expensive hobby(金のかかる趣味)
例文
- The tickets were too expensive for us to buy.(チケットは私たちが買うには高すぎました。)
- This is the most expensive restaurant in town.(これは町で最も高価なレストランです。)
- My brother has expensive taste in clothes.(私の兄は服に関して高価な嗜好を持っています。)
- Golf is an expensive hobby.(ゴルフは金のかかる趣味です。)
「costly」の意味と使い方
「costly」は「高くつく」「代償が大きい」という意味を持ち、単なる金銭的コストだけでなく、時間、労力、感情的なダメージなど、より広い意味での「コスト」や「代償」を表現します。何かの結果として損失や犠牲を伴う場合によく使われます。
例文
- The mistake was costly for the company.(その間違いは会社にとって代償が大きかった。)
- War is costly in terms of human lives.(戦争は人命という点で代償が大きい。)
- Delays can be costly in business.(ビジネスでは遅延が高くつくことがある。)
- Smoking is a costly habit for your health.(喫煙はあなたの健康にとって代償の大きい習慣です。)
- His decision proved to be costly in the end.(彼の決断は結局高くつくことが証明されました。)
「costly」は「expensive」に比べてやや硬い表現で、しばしばネガティブな結果や影響を強調する際に使われます。
「costly」と「expensive」の違い
「costly」と「expensive」はどちらも「高価な」という意味を持ちますが、使い方とニュアンスに違いがあります。
「expensive」は主に商品やサービスの価格が高いことを表し、比較的中立的な表現です。一方、「costly」は単なる金銭的コストだけでなく、時間や労力のコスト、または何らかの犠牲や損失を伴うことを強調します。「costly」は結果として生じる負担や代償に焦点を当てることが多いです。
例文で比較
- This is an expensive car.(これは高価な車です。)← 単に価格が高いことを示す
- The car repair was costly.(車の修理は高くついた。)← 金銭だけでなく、時間や手間など様々なコストがかかったことを示唆
「costly」を使った表現
「costly」を含むよく使われる表現をいくつか紹介します。
- costly mistake(高くつく間違い)
- costly error(代償の大きい誤り)
- costly decision(高くつく決断)
- costly delay(損失の大きい遅延)
- costly victory(犠牲の大きい勝利)
例文
- That was a costly mistake that we can’t afford to repeat.(あれは繰り返す余裕のない高くつく間違いでした。)
- The delay in production was costly for the company.(生産の遅れは会社にとって損失が大きかった。)
- It was a costly victory, with many injuries to our team.(多くのチームメンバーが怪我をするという犠牲の大きい勝利でした。)
「valuable」の意味と使い方
「valuable」は「価値がある」「貴重な」という意味を持ち、単に金銭的価値だけでなく、有用性や重要性など、より広い意味での価値を表現します。「expensive」が単に価格の高さを表すのに対し、「valuable」は対象の価値や意義を強調します。
例文
- This is a valuable painting.(これは価値のある絵画です。)
- He gave me valuable advice.(彼は私に貴重なアドバイスをくれました。)
- Time is valuable.(時間は貴重です。)
- She has valuable skills for this job.(彼女はこの仕事に価値あるスキルを持っています。)
- The experience was very valuable to me.(その経験は私にとってとても価値あるものでした。)
「valuable」は物理的なものだけでなく、アドバイス、経験、時間、スキルなど抽象的なものにも使用できます。金銭的価値よりも、実用的・精神的価値を強調する場合に適しています。
「valuable」と「priceless」の違い
「valuable」(価値がある)と「priceless」(値段がつけられないほど価値がある)は似ていますが、重要な違いがあります。
「valuable」は価値があるものを表しますが、通常はその価値を何らかの形で測ることができます。一方、「priceless」はお金では測れないほど貴重で価値が高いことを強調し、感情的・精神的な価値が非常に高いものに使われます。
例文で比較
- This is a valuable antique.(これは価値のある骨董品です。)← 高い価値がある
- My grandmother’s ring is priceless to me.(祖母の指輪は私にとってかけがえのないものです。)← 金銭的価値を超えた感情的価値がある
「valuable」を使った表現
「valuable」を含むよく使われる表現をいくつか紹介します。
- valuable lesson(貴重な教訓)
- valuable experience(価値ある経験)
- valuable information(価値ある情報)
- valuable asset(貴重な資産)
- valuable resource(価値ある資源)
例文
- I learned a valuable lesson from that mistake.(私はその間違いから貴重な教訓を学びました。)
- Working abroad was a valuable experience for me.(海外で働くことは私にとって価値ある経験でした。)
- The teacher gave us valuable information about the exam.(先生は試験について価値ある情報を私たちに与えてくれました。)
- Good health is our most valuable asset.(良い健康は私たちの最も貴重な資産です。)
「high」「expensive」「costly」「valuable」の使い分けポイント
「high」「expensive」「costly」「valuable」の使い分けについて、主なポイントをまとめます。
「high」は最も汎用性が高く、物理的な高さから抽象的な程度まで、様々な「高さ」を表現できます。基本的には「高い」という物理的・概念的な状態を表します。
「expensive」は主に金銭的コストに焦点を当て、商品やサービスの「値段が高い」という事実を表現します。日常会話で価格について話す際によく使われます。
「costly」は金銭的コストだけでなく、時間や労力のコスト、代償や損失といった広い意味でのコストを表現します。結果として生じる負担や犠牲を強調する場合に適しています。
「valuable」は金銭的価値だけでなく、物事の「価値」や「重要性」に焦点を当てます。有用性や意義を強調したい場合に使用します。
場面別の適切な単語選び
以下に、場面別の適切な単語選びの例を示します。
物の高さや位置について話す場合
- 「high」が適切です。
- 例:The shelf is too high for me to reach.(その棚は私が届くには高すぎます。)
商品の価格について話す場合
- 「expensive」が最も一般的です。
- 例:This camera is very expensive.(このカメラはとても高価です。)
何かの行動や決断の結果について話す場合
- 「costly」が適切です。
- 例:His mistake was costly for the team.(彼のミスはチームにとって代償が大きかった。)
物やアドバイスの重要性や有用性について話す場合
- 「valuable」を使います。
- 例:Your feedback is very valuable to us.(あなたのフィードバックは私たちにとってとても価値があります。)
これらの単語は時に重複する意味を持ちますが、伝えたいニュアンスによって最適な選択肢が変わります。状況や文脈に応じて、最も適切な単語を選ぶことが重要です。
「high」「expensive」「costly」「valuable」の使い分け練習問題
以下の問題で、括弧内に「high」「expensive」「costly」「valuable」のいずれかを入れてください。最も適切な単語を選びましょう。
- The mountain is very ( ) and difficult to climb.
- This diamond ring is very ( ).
- His advice was ( ) for my career.
- The mistake was ( ) and caused us to lose the game.
- The ( ) price of the ticket surprised me.
- She has a ( ) position in the company.
- These old coins are very ( ) to collectors.
- The war was ( ) in terms of human lives.
- The temperature is ( ) today.
- This is a ( ) lesson that I will never forget.
- The ( ) quality of this product makes it worth buying.
- The ( ) hotel was beyond our budget.
- The delay proved to be ( ) for the company.
- He has ( ) expectations for his students.
- Time is a ( ) resource.
- The ( ) blood pressure is dangerous for your health.
- That was a ( ) experience that helped me grow.
- The restaurant serves ( ) food at reasonable prices.
- The ( ) mistake cost him his job.
- She collects ( ) antiques from around the world.
「high」「expensive」「costly」「valuable」に関するよくある質問
- 「high price」と「expensive price」はどちらが正しいですか?
-
「high price」が正しい表現です。「price」(価格)は「high」(高い)や「low」(低い)などの形容詞で修飾されます。「expensive」は物やサービス自体を形容する単語なので、「expensive item」(高価な品物)のように使います。「expensive price」は冗長な表現となり、一般的には使われません。
- 「valuable」と「precious」の違いは何ですか?
-
どちらも「価値がある」という意味を持ちますが、「valuable」は実用的価値や金銭的価値を含む広い意味での価値を表し、「precious」はより感情的な愛着や希少性からくる価値を強調します。「valuable information」(価値ある情報)は実用的価値を、「precious memories」(大切な思い出)は感情的価値を表します。
- 「コストパフォーマンスが高い」は英語でどう表現しますか?
-
「コストパフォーマンスが高い」は「good value for money」や「cost-effective」と表現します。また「worth the price」(値段の価値がある)という表現も使えます。例えば「This camera is expensive, but it’s good value for money.」(このカメラは高価ですが、コストパフォーマンスが高いです。)
- 「costly」には必ずネガティブな意味がありますか?
-
「costly」は必ずしもネガティブな意味だけではありませんが、多くの場合、何らかの損失や犠牲を伴うニュアンスがあります。「a costly victory」(犠牲の大きい勝利)のように、結果としては良くても代償が大きかったことを表現できます。
- 「high」と「tall」の違いは何ですか?
-
「high」は物の上端から下端までの垂直距離や物の位置の高さを表し、幅広い対象に使われます。一方、「tall」は主に人や細長いものの高さを表現する際に使用します。例えば「a high mountain」(高い山)、「a tall person」(背の高い人)のように使い分けます。
まとめ

今回は「high」「expensive」「costly」「valuable」の意味の違いと使い分けについて解説しました。主なポイントは以下の通りです。
- 「high」は物理的な高さや程度、量を表す基本的な単語で、様々な場面で使用される。
- 「expensive」は主に金銭的コストが高いことを表し、物やサービスの価格が高いことを表現する。
- 「costly」は金銭的コストだけでなく、時間や労力のコスト、代償や損失を含む広い意味で使われる。
- 「valuable」は単に高価というだけでなく、価値や重要性があることを強調する単語である。
- 物理的な高さや程度を表す場合は「high」を使う。
- 単純に価格が高いことを表す場合は「expensive」が最適。
- コストや代償、犠牲を強調したい場合は「costly」が適切。
- 価値や重要性を強調したい場合は「valuable」を使用する。
- これらの単語は文脈や状況に応じて適切に使い分けることが重要。
これらの単語の使い分けをマスターすれば、より正確で豊かな英語表現ができるようになります。日常会話や文章の中で、状況に応じて適切な単語を選択してみてください。