「実は私が昨日あの映画を見たんです」と話すとき、「私が」や「昨日」という部分を強調して伝えたいことがありますよね。英語にも同じように文の特定の部分を強調する表現方法があります。それが「強調構文」です。
英語の文法において、強調構文は特定の語句や要素を際立たせるための重要な表現方法です。この記事では、英語初学者の方でも理解できるように、強調構文の基本から使い方、形式主語構文との見分け方まで、具体的な例文を交えてわかりやすく解説します。
強調構文とは?基本的な意味と形

強調構文とは、文の中の特定の部分を強調するために使われる特別な構文です。基本的な形は「It is/was + 強調したい語句 + that + 残りの文」となります。
例えば、普通の文「I bought a book yesterday.(私は昨日本を買いました)」があったとします。この文の中で「yesterday(昨日)」を強調したい場合、強調構文を使うと「It was yesterday that I bought a book.(私が本を買ったのは昨日です)」となります。
この「It is/was…that…」という特別な形を使うことで、文の中の特定の部分を強調することができるのです。It(それは)と that(~である)の間に強調したい語句を置くイメージです。
強調構文の基本的な形
強調構文の基本形は以下の通りです。
It + be動詞(is/was) + 強調したい語句 + that + 残りの文
be動詞の時制は、元の文の時制に合わせます。過去のことなら「was」、現在のことなら「is」を使います。
例文
- 普通の文:Tom plays soccer every day.
強調構文:It is Tom that plays soccer every day.(サッカーを毎日するのはトムです) - 普通の文:She bought a new bag yesterday.
強調構文:It was yesterday that she bought a new bag.(彼女が新しいバッグを買ったのは昨日です)
強調構文で強調できるもの
強調構文で強調できるのは、主に以下の3つです。
主語を強調する場合
文の主語(誰が・何が)を強調したい場合に使います。
例文
- 普通の文:Ken cleaned the room.
- 強調構文:It was Ken that cleaned the room.(部屋を掃除したのはケンでした)
主語が人の場合は、that の代わりに who を使うこともできます。
例文
- It was Ken who cleaned the room.(部屋を掃除したのはケンでした)
目的語を強調する場合
目的語(何を)を強調したい場合に使います。
例文
- 普通の文:I need a new pencil.
- 強調構文:It is a new pencil that I need.(私が必要としているのは新しい鉛筆です)
目的語がものの場合は、that の代わりに which を使うこともできます。
例文
- It is a new pencil which I need.(私が必要としているのは新しい鉛筆です)
副詞(時・場所など)を強調する場合
時間や場所を表す副詞(いつ・どこで)を強調したい場合に使います。
例文
- 普通の文:We will meet at the park.
- 強調構文:It is at the park that we will meet.(私たちが会うのは公園です)
- 普通の文:I studied English last night.
- 強調構文:It was last night that I studied English.(私が英語を勉強したのは昨夜です)
時を表す副詞の場合は、that の代わりに when を使うこともあります。
例文
- It was last night when I studied English.(私が英語を勉強したのは昨夜でした。)
場所を表す副詞の場合は、that の代わりに where を使うこともあります。
例文
- It is at the park where we will meet.(私たちが会うのは公園です。)
強調構文の作り方ステップバイステップ
強調構文を作るステップを見ていきましょう。
STEP 1: 強調したい部分を特定する
まず、文の中でどの部分を強調したいかを決めます。
例文
- My mother made this cake for my birthday.(母は私の誕生日のためにこのケーキを作りました)
この文で「My mother(私の母)」を強調したい場合は、それを特定します。
STEP 2: 「It is/was」を文頭に置く
強調したい部分に応じて、文頭に「It is」または「It was」を置きます。時制に注意しましょう。
元の文が過去形なら「It was」、現在形なら「It is」です。
例:It was my mother…
STEP 3: 強調したい部分を「It is/was」の後に置く
特定した強調したい部分を「It is/was」の直後に置きます。
例:It was my mother that…
STEP 4: 残りの文を「that」の後に続ける
強調する部分を除いた残りの文を「that」の後に続けます。
例文
- It was my mother that made this cake for my birthday.
(このケーキを私の誕生日のために作ったのは母でした)
強調構文と形式主語構文の見分け方
強調構文は「It is/was…that…」という形をしていますが、同じような形をした「形式主語構文」という別の構文もあります。
両者の見分け方を解説します。
形式主語構文とは
形式主語構文は、長い主語の代わりに「it」を仮の主語として置き、本当の主語を後ろに回す構文です。
例文
- 形式主語構文:It is important that we study English.
(私たちが英語を勉強することは重要です)
この文の本当の主語は「that we study English(私たちが英語を勉強すること)」ですが、長いので「it」を仮の主語として使っています。
見分け方のポイント
- 元の文に戻せるかどうか
- 強調構文:「It is/was…that…」の部分を取り除くと、元の普通の文に戻せる
- 形式主語構文:「It is/was…that…」の部分を取り除くと、元の文に戻らない
- 「It is/was」の後に形容詞があるか
- 強調構文:「It is/was」の後には強調したい名詞や副詞が来る
- 形式主語構文:「It is/was」の後には形容詞(important, necessary など)が来ることが多い
- 強調構文:It was yesterday that I went to the library.
(元の文:I went to the library yesterday.) - 形式主語構文:It is necessary that you finish your homework.
(元の文に戻せない。「That you finish your homework is necessary.」となる)
特別な強調構文のパターン
強調構文にはいくつかの特別なパターンがあります。
否定語を含む強調構文「It is not ~ that…」
否定語を含む強調構文では、否定されるのは強調された部分だけです。
例文
- 普通の文:I didn’t go to the party because I was tired.
- 強調構文:It was not because I was tired that I didn’t go to the party.
(私がパーティーに行かなかったのは、疲れていたからではありません)
「It was not until ~ that…」の形
「~になって初めて…した」という意味を表す重要な表現です。
例文
- 普通の文:I understood the problem after the teacher explained it.
- 強調構文:It was not until the teacher explained it that I understood the problem.
(先生が説明してくれて初めて、私はその問題を理解しました)
疑問詞を強調する形「疑問詞 + is it that…」
疑問詞(what, who, when, where, why, how)を強調する場合は特別な形になります。
例文
- 普通の疑問文:Where did you find the key?
- 強調疑問文:Where was it that you found the key?
(あなたが鍵を見つけたのはどこだったのですか?)
日常会話での強調構文の使い方
強調構文は書き言葉だけでなく、日常会話でもよく使われます。以下のような場面で活用できます。
強い主張をする場面
何かを強く主張したいときに使います。
例文
- It’s you that I love, not her!(私が愛しているのはあなたであって、彼女ではありません!)
情報を明確にする場面
誤解を解くために、情報を明確にしたいときに使います。
例文
- It was last Sunday that we met, not Saturday.
(私たちが会ったのは先週の日曜日で、土曜日ではありません)
驚きや感動を表す場面
驚きや感動を表現したいときにも使えます。
例文
- It was in this small town that the famous singer grew up!
(あの有名な歌手が育ったのは、このような小さな町だったんですよ!)
英語の強調構文に関する練習問題
以下の問題を解いて、強調構文の理解を深めましょう。
- 次の文を強調構文に書き換えて、「Tom」を強調しなさい。
Tom plays baseball every day. - 次の文を強調構文に書き換えて、「in the park」を強調しなさい。
We often play soccer in the park. - 次の文を強調構文に書き換えて、「yesterday」を強調しなさい。
I saw your brother yesterday. - 次の文を強調構文に書き換えて、「the red bag」を強調しなさい。
She bought the red bag at that store. - 次の文を強調構文に書き換えて、「my father」を強調しなさい。
My father made this chair. - 次の文を強調構文に書き換えて、「because it was raining」を強調しなさい。
We couldn’t go out because it was raining. - 次の強調構文を通常の文に書き換えなさい。
It was to the library that I went after school. - 次の強調構文を通常の文に書き換えなさい。
It is my mother who makes breakfast every morning. - 次の強調構文を通常の文に書き換えなさい。
It was this book that he gave me for my birthday. - 次の強調構文を通常の文に書き換えなさい。
It was at 7 o’clock that the meeting started. - 次の文を強調構文に書き換えて、「on the table」を強調しなさい。
I put my bag on the table. - 次の文を強調構文に書き換えて、「English」を強調しなさい。
She studies English every day. - 次の文を強調構文に書き換えて、「Mary」を強調しなさい。
Mary helped me with my homework. - 次の文を強調構文に書き換えて、「for three hours」を強調しなさい。
They waited for the bus for three hours. - 次の強調構文を通常の文に書き換えなさい。
It was because of the rain that the game was canceled. - 次の文を強調構文に書き換えて、「last summer」を強調しなさい。
We visited Tokyo last summer. - 次の文を強調構文に書き換えて、「your advice」を強調しなさい。
I need your advice now. - 次の文を強調構文に書き換えて、「his sister」を強調しなさい。
He called his sister last night. - 次の強調構文を通常の文に書き換えなさい。
It was not until midnight that he came home. - 次の文を強調構文に書き換えて、「by train」を強調しなさい。
We went to Kyoto by train.
強調構文に関するよくある質問
- 強調構文ではどんな要素を強調できますか?
-
強調構文では主に「主語」「目的語」「副詞(時間・場所など)」を強調することができます。動詞や形容詞を直接強調することはできません。
- 強調構文のthatは省略できますか?
-
話し言葉では時々thatが省略されることもありますが、基本的には省略しない方が明確です。書き言葉では特に省略しない方がよいでしょう。
- 強調構文と分裂文は同じものですか?
-
はい、強調構文は英語では「cleft sentence(分裂文)」とも呼ばれます。文を分裂させて特定の部分を強調するという意味です。
- 強調構文では動詞を強調できないのはなぜですか?
-
動詞を強調する場合は、強調構文ではなく助動詞doを使います。例えば「I do like this movie.(私はこの映画が本当に好きです)」のようにします。
- 強調構文の否定形はどう作りますか?
-
強調構文の否定形は、be動詞の後にnotを置きます。例えば「It was not Mary that broke the window.(窓を割ったのはメアリーではありませんでした)」となります。
まとめ

この記事では、英語の強調構文について詳しく解説しました。強調構文は文の特定の部分を強調するために使われる表現で、基本的な形は「It is/was + 強調したい語句 + that + 残りの文」です。
強調構文の主なポイントをまとめると、
- 基本形:「It is/was + 強調したい語句 + that + 残りの文」
- 強調できるもの
- 主語(誰が・何が)
- 目的語(何を)
- 副詞(いつ・どこで)
- that の代わりに使える関係詞
- 人を強調する場合:who
- ものを強調する場合:which
- 時を強調する場合:when
- 場所を強調する場合:where
- 形式主語構文との見分け方
- 強調構文:元の文に戻せる
- 形式主語構文:元の文に戻せない、「It is/was」の後に形容詞が来ることが多い
- 特別な強調構文
- 「It was not until ~ that…」(~になって初めて…した)
- 疑問詞を強調する形「疑問詞 + is it that…」
強調構文を使いこなせると、英語表現の幅が広がり、言いたいことをより効果的に伝えることができます。日常会話や文章の中で、特に強調したい部分がある場合は、ぜひ強調構文を活用してみてください。
練習問題を繰り返し解くことで、強調構文の使い方がより自然に身につくでしょう。英語学習の中で強調構文をマスターして、より豊かな表現ができるようになりましょう!