「Hit the hay」や「Hit the sack」という英語表現を聞いたことがありますか?これらは英語圏でよく使われるイディオム(慣用句)で、日常会話でよく登場します。ベッドに入って寝るという単純な行為を表現するのに、なぜ「干し草を打つ」や「袋を打つ」という言葉が使われるのでしょうか。
この記事では、この面白い表現の意味、起源、使い方について詳しく解説し、初心者でも使えるようになるお手伝いをします。
「Hit the hay/sack」の基本的な意味

「Hit the hay」や「Hit the sack」は、シンプルに「寝る」「就寝する」「ベッドに入る」という意味のカジュアルな英語表現です。「I’m going to hit the hay」と言えば、「もう寝るよ」という意味になります。これは直訳すると「干し草を打つ」「袋を打つ」となりますが、実際には寝床に向かうことを表しています。
この表現は特にアメリカ英語でよく使われ、友人や家族との会話など、くだけた状況で用いられます。フォーマルな場面やビジネスの場では使わない方が良いでしょう。
「Hit the hay/sack」の歴史的背景
この表現の起源は19世紀後半から20世紀初頭のアメリカにさかのぼります。当時、多くの人々のベッドマットレスは布袋に干し草やわらを詰めて作られていました。寝る前にマットレスを叩いて平らにしたり、柔らかくしたりする習慣があったことから、「hit the hay(干し草を打つ)」という表現が生まれたと考えられています。
「Hit the sack」も同様の理由から生まれました。「sack」は袋を意味し、干し草を入れた袋がベッドの代わりになっていたのです。これらの表現は特に農村部から都市部への人口移動が盛んだった時期に広まったとされています。
1903年頃から文献に登場し始め、特にスポーツ選手の間で使われた記録が残っています。時代とともに一般的な表現となり、今では英語圏の日常会話に定着しています。
「Hit the hay」と「Hit the sack」の違い
基本的に両表現の意味は同じで、互換的に使われます。わずかな違いとしては、「Hit the hay」の方が歴史的に古く、より田舎くさい印象を与えることがあります。一方「Hit the sack」はやや新しく、都会的なニュアンスがあるかもしれません。
しかし、現代の使用においてはほとんど違いはなく、好みで選んで構いません。
「Hit the hay/sack」の使い方
この表現は主に次のような状況で使われます。
カジュアルな会話での使用
この表現は非常にカジュアルなので、友人や家族との会話、または親しい同僚との会話で使うのが適切です。
フォーマルな場面や、あまり親しくない相手との会話では、「I’m going to bed」や「I’m going to sleep」などのより標準的な表現を使いましょう。
疲れていることを強調したい時
「I can’t wait to hit the hay」(早く寝たくてたまらない)のように、特に疲れていて休息が必要なことを強調したい時によく使います。
長い一日の後や、明日の重要な予定の前夜などに使うと効果的です。
日常の会話の中での使用例
「I’m tired. I think I’ll hit the hay early tonight.」(疲れたな。今夜は早めに寝るよ)のように、就寝の意図を伝える時に使います。
また、「After the party, we all hit the sack around 2 AM.」(パーティーの後、私たちは午前2時頃に全員寝た)のように、過去の出来事を語る際にも使えます。
「Hit the hay/sack」の例文
ここでは中学英語レベルの例文を紹介します。実際の会話で使えるシンプルな例文なので、ぜひ覚えておきましょう。
例文
- I am very tired. I will hit the hay now. (とても疲れています。今から寝ます。)
- What time did you hit the sack last night? (昨夜は何時に寝ましたか?)
- After studying for three hours, I want to hit the hay. (3時間勉強した後は、寝たいです。)
- My father always hits the sack at 10 PM. (父はいつも午後10時に寝ます。)
- We played games all day and hit the hay late. (一日中ゲームをして、遅くに寝ました。)
- I need to hit the sack early because I have a test tomorrow. (明日テストがあるので早く寝る必要があります。)
- She looks tired. Maybe she should hit the hay. (彼女は疲れているように見えます。たぶん寝た方がいいでしょう。)
- After the long trip, we all hit the sack immediately. (長い旅行の後、私たちは全員すぐに寝ました。)
応用例文
少し複雑な状況での使い方の例です。
例文
- I worked overtime today, so I can’t wait to hit the hay when I get home. (今日は残業したので、家に帰ったらすぐに寝るのが待ちきれません。)
- The movie was boring, so I almost hit the hay in the theater. (その映画は退屈だったので、映画館でほとんど寝てしまうところでした。)
- After hiking all day, we hit the sack as soon as we reached the hotel. (一日中ハイキングした後、ホテルに着くとすぐに寝ました。)
「Hit the hay/sack」に似た表現
英語には「寝る」という行為を表す様々な表現があります。これらも併せて覚えておくと会話の幅が広がります。
Catch some Zs
「Zzzz」は漫画などで寝ている時の音を表します。「いくらか睡眠をとる」という意味です。
例文
- I need to catch some Zs before the big day tomorrow. (明日の大事な日の前に少し睡眠をとる必要があります。)
Turn in
「寝るために部屋に戻る」というニュアンスで使われます。
例文
- It’s getting late. I think I’ll turn in. (遅くなってきた。もう寝ようと思う。)
Call it a night
「今日はもう終わりにする」という意味で、特に社交の場から退出して寝る時に使います。
例文
- It’s almost midnight. Let’s call it a night. (もうすぐ深夜だ。今日はこれで終わりにしよう。)
「Hit the hay/sack」に関するよくある質問
- 「Hit the hay/sack」はフォーマルな場面でも使えますか?
-
いいえ、この表現は非常にカジュアルなので、ビジネスの場や公式の場では使うべきではありません。フォーマルな状況では「I’m going to retire for the night」や「I’m going to bed」などの表現が適切です。
- 「Hit the hay/sack」の文法的な使い方に制限はありますか?
-
この表現は通常、「hit the hay/sack」というそのままの形で使われます。時制は変えることができ、「I will hit the hay」(これから寝ます)、「I hit the hay」(寝ます/寝ました)、「I have hit the hay」(寝ました)などと使えます。
- 子供にも理解できる表現ですか?
-
はい、この表現は比較的シンプルで、子供にも理解しやすいです。ただし、直訳すると意味が通じないので、「寝る」という意味だと説明する必要があるでしょう。
- イギリス英語でも使われますか?
-
元々はアメリカの表現ですが、現在ではイギリスを含む多くの英語圏の国々でも使われています。ただし、イギリスではアメリカほど一般的ではない可能性があります。
まとめ

「Hit the hay/sack」について学んだポイントをまとめると、
- 「Hit the hay/sack」は「寝る」「就寝する」という意味のカジュアルな英語表現である。
- この表現の起源は19世紀後半から20世紀初頭のアメリカで、当時の寝具が干し草や麻袋で作られていたことに由来する。
- 主に友人や家族など、カジュアルな状況で使われる表現である。
- フォーマルな場面では避け、より標準的な表現を使うべきである。
- 「Catch some Zs」「Turn in」「Call it a night」など、類似した表現も多く存在する。
- 基本的な英文法に従って時制を変えて使うことができる。
- 元々はアメリカ英語だが、現在では他の英語圏でも広く使われている。
英語の慣用句を学ぶことは、より自然な英語を話すための重要なステップです。「Hit the hay/sack」のような表現を使いこなせるようになれば、英語でのコミュニケーションがより豊かになるでしょう。
ぜひ日常会話の中で試してみてください。