英語速読のやり方と練習のコツや頭に入らないときの対処法を徹底解説

英語の学習において「もっと速く英文を読めるようになりたい」「試験時間内に問題を解ききれない」「英語の長文を読んでいて頭が真っ白になる」といった悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。英語の速読力を身につけることは、英語力全体の向上に大きく貢献するだけでなく、試験でのタイムマネジメントや大量の英文情報を効率よく処理する能力にも直結します。

本記事では、英語初学者の方でも実践できる速読のやり方、効果的な練習方法とトレーニングのコツ、そして内容が頭に入らないときの対処法について詳しく解説していきます。

英語速読とは？初心者が知っておくべき基礎知識

英語速読とは、単に英文を速く読むだけでなく、内容を正確に理解しながら効率的に読み進める技術のことです。日本語と英語では語順が大きく異なるため、日本語を読む感覚のまま英語を読もうとすると時間がかかり、内容理解も難しくなります。

英語速読の目的は、読むスピードを上げながらも理解度を維持し、効率よく情報を得ることにあります。これは特に試験や大量の英文資料に取り組む必要がある場合に非常に役立つスキルです。

英語初学者にとって速読は難しいと感じるかもしれませんが、適切な方法で段階的にトレーニングを積むことで、誰でも速読力を向上させることができます。速読は一朝一夕で身につくものではありませんが、継続的な努力によって確実に成果が表れる技術なのです。

英語速読のメリットと重要性

英語の速読力を身につけることには、以下のようなメリットがあります。

特に受験や資格試験を控えている方にとって、速読力は点数を大きく左右する要素となります。時間をかければ解ける問題も、時間切れになれば得点できないからです。速読ができる人が高得点を取れる理由は、時間をかければ必ず解ける問題をしっかりと得点できているからなのです。

英語速読の目標設定：WPMについて

英語速読のスキルを測る指標として、WPM（Words Per Minute：1分間に読める単語数）があります。例えば、1分間に100単語読めた場合のWPMは100wpmとなります。

速読の練習をする際は、「なんとなく前より速く読めるようになった」という感覚的な判断ではなく、WPMという客観的な指標を使って自分の進歩を測定することが大切です。WPMは次の式で計算できます。

単語数÷秒数×60

初学者の目標として、まずは1分間に120単語（120wpm）を読めるレベルを目指すと良いでしょう。ただし、速度だけでなく理解度も重要なので、内容がきちんと頭に入っているかも確認しながら練習を進めることが大切です。

英語速読ができない2つの主な原因

英語の速読がうまくできない原因は、大きく分けて2つあります。自分がどちらのタイプに当てはまるかを把握することで、効果的なトレーニング方法を選ぶことができます。

基礎的な英語力の不足

速読ができない最も基本的な原因は、単純に基礎的な英語力が不足していることです。これは「ゆっくりでも英文が理解できていない」状態を指します。

このタイプの人には、以下のような特徴があります。

当然のことながら、ゆっくり読んでも理解できないものを速く読むことはできません。まずは基礎的な英語力を向上させることが先決です。基本的な単語や文法を学び直し、時間をかけて英文を読む練習から始めましょう。

返り読みの習慣

もう一つの主な原因は、「返り読み」の習慣です。返り読みとは、同じ文章を行ったり来たりして読むことで、一度で内容を理解できない場合に陥りがちな読み方です。

このタイプの人には、以下のような特徴があります。

英語と日本語は語順が異なるため、日本語に訳しながら読む方法では、一度最後まで読んだ後で、後ろから読み直して日本語を組み立てる必要があります。これは同じ英文を二度読むことになり、大きな時間のロスとなります。

速読のためには、英文を前から順に理解する習慣をつけ、返り読みを減らすことが重要です。

英語速読を身につけるための5つの効果的なトレーニング方法

英語速読のスキルを効果的に身につけるためには、適切なトレーニング方法を継続的に実践することが大切です。ここでは、初学者でも実践しやすい5つのトレーニング方法を紹介します。

精読法で基礎を固める

精読とは、英文を正確に、時間をかけて理解する学習法です。一見すると速読と真逆のトレーニング法に思えますが、英文と丁寧に向き合い、単語や文法、内容を正しく理解する能力を養うことが速読の基礎となります。

精読トレーニングでは、以下のポイントに注意しながら英文を読みます。

初めは時間がかかりますが、正確さを重視し、完璧に理解できることを目指しましょう。精読を続けることで、英文の構造を把握する力が身につき、次第に読むスピードも向上していきます。

スラッシュリーディングで区切りを意識する

スラッシュリーディングとは、英文に区切り（スラッシュ）を入れながら読む方法です。長く複雑な文でも、意味のまとまりごとに区切ることで、読みやすくなり、読むスピードと正確性が向上します。

例えば、「The girl who is swimming in the river is my sister.」という文では、以下のように区切りを入れます。

The girl / who is swimming / in the river / is my sister.

このように区切ることで、それぞれのかたまりごとに意味を理解できるようになります。日本語と異なる英語の語順を理解し、英語の順序のまま意味を把握する力が養われます。また、完璧に日本語に訳さなくても内容を理解できるようになるため、速読にもつながります。

音読トレーニングで速度を上げる

音読は速読力を向上させる最も効果的なトレーニング方法の一つです。声に出して英文を読むことで、目と耳の両方を使って英語を理解する能力が身につきます。

音読を継続することで、英語の自然なリズムや語順に慣れ、英文を英語のまま理解する力が身につきます。これにより、日本語に訳す手間が省け、読むスピードは大幅に向上します。

多読トレーニングで読解力を強化する

多読とは、大量の英文を読むトレーニング方法です。自分のレベルに合った英文をたくさん読むことで、自然と速読力が向上します。

多読を続けることで、英文に触れる量が増え、自然と語彙力や文法の理解が深まります。また、英語の表現パターンに慣れることで、内容を予測しながら読む能力も身につきます。

時間を計測して読むトレーニング

速読のトレーニングとして、時間を設定して英文を読む方法は非常に効果的です。時間を意識することで、自然と読むスピードが上がります。

最初は理解度が下がるかもしれませんが、繰り返し練習することで、速く読みながらも内容を理解できるようになります。少しずつ制限時間を短くしていくことで、速読力は着実に向上していきます。

英語速読のコツ：効率よく内容を理解するために

英語速読を効果的に行うためのコツをいくつか紹介します。これらのコツを意識することで、より効率的に速読のスキルを身につけることができます。

前から順に読む習慣をつける

速読の鉄則は、英文を前から順に読んで理解することです。日本語訳を作るために後ろから訳す習慣があると、どうしても二度読みすることになり、時間のロスが生じます。

例えば「He went to school by his bicycle two days ago.」という文を読むとき、従来の方法では「彼は二日前に自転車で学校へ行った」と後ろから訳すことが多いでしょう。しかし速読では「彼は学校に行った 彼の自転車で 二日前に」というように、前から順に意味を取っていきます。

この読み方は最初は違和感があるかもしれませんが、綺麗な日本語訳を作ることが目的ではなく、英文の内容を理解することが目的だということを意識しましょう。前から順に読む習慣がつくと、読解スピードは飛躍的に向上します。

チャンク（意味のかたまり）で読む

英文を一語一語読むのではなく、意味のまとまり（チャンク）ごとに読むことで、読解スピードと理解度が向上します。

例えば「I am honored to be with you today at your commencement from one of the finest universities in the world.」という文では、以下のようにチャンクで区切って読みます。

I am honored / to be with you today / at your commencement / from one of the finest universities / in the world.

このように区切ることで、一つのチャンクごとに意味を把握でき、英文全体の理解がスムーズになります。普段から英文を読むときは、どこで区切れるかを意識しながら読む習慣をつけましょう。

語彙力を増やす重要性

速読には十分な語彙力が欠かせません。知らない単語や曖昧な理解の単語があると、そこで読むスピードが落ちてしまいます。

語彙力を増やすために、

特に、自分が興味のある分野や目的に合った単語を優先的に学ぶと効率的です。例えば、ビジネス英語を目指すなら、ビジネス関連の単語を集中的に学ぶといった具合です。

制限時間を設けて読む練習

速読のトレーニングとして、時間を決めて時間内に読む方法は非常に有効です。時間を設定することで、早く読む意識が自然と生まれます。

始めは無理のない時間設定から始め、徐々に制限時間を短くしていきましょう。例えば、最初は1分間に100単語を目標にし、慣れてきたら120単語、150単語と目標を上げていくといった具合です。

時間を意識しながら読むことで、不必要に立ち止まって考え込む習慣が改善され、英文を流れるように読む能力が身につきます。

英語速読しても頭に入らないときの対処法

英語の速読をしても内容が頭に入らないという悩みは多くの学習者が経験します。ここでは、そのような状況に陥る原因と対処法について解説します。

原因1：急ぎすぎている

英文が頭に入ってこない最大の原因は、急ぎすぎることです。速く読もうとするあまり、目だけが英文を追っているだけの状態になってしまいます。

速読は速度だけを追求するものではありません。内容を理解しながら効率よく読むことが目的です。無理に速く読もうとするのではなく、理解度とのバランスを取りながら読むスピードを上げていきましょう。

原因2：語彙力の不足

英文の中に知らない単語が多いと、意味を理解できないまま目で英文を追うだけの作業になってしまいます。

速読をする前に、その文章で使われている単語をある程度理解できていることが前提です。基礎的な語彙力の強化を並行して行いましょう。

原因3：文法理解の不足

文法の知識が不十分だと、単語の意味は分かっても文全体の意味を理解できないことがあります。

文法が分からないと、単語だけで内容を推測する必要があり、文章全体の意味を曖昧にしか理解できません。英文法の基礎をしっかり固めることが、速読上達の近道です。

原因4：背景知識の不足

英文の背景となる文化や専門知識が不足していると、文脈を理解するのが難しくなります。

例えば、アメリカの文化に関する文章を読む場合、アメリカの文化や歴史について基本的な知識があると、内容理解が格段に容易になります。様々なトピックに興味を持ち、知識の幅を広げることも速読力向上に役立ちます。

原因5：速度のみを重視しすぎている

速読において、スピードだけを重視すると内容理解が疎かになります。

速読の真の目的は、内容を理解しながら効率的に読むことです。単に目を素早く動かすだけでは意味がありません。最初はゆっくりでも確実に内容を理解することを優先し、徐々にスピードを上げていく方法が効果的です。

英語速読の効果的な実践方法

ここでは、実際の試験や長文読解の場面で活用できる、より具体的な英語速読の実践方法について解説します。

長文の最初をゆっくり読む

長文を読む際は、最初の数行を特に丁寧に読むことが重要です。出だしの5単語程度を、意味を噛みしめながらゆっくりと読みましょう。

このように始めることで、

いきなり速読モードで英文に突入すると、頭が追いつかず内容が入ってこなくなります。最初の部分をゆっくり読むことで、パニック状態に陥るのを防ぎ、集中して読み進められるようになります。

段落の第一文を丁寧に読む

各段落の第一文目は特に丁寧に読むようにしましょう。多くの場合、段落の最初の一文にはその段落のテーマや筆者の主張が集約されています。

第一文をしっかり理解することで、その段落で何が言われているのかの見通しが立ち、残りの部分をより速く読むことができます。結果的に、全体としての読解スピードが向上します。

選択肢やリード文を丁寧に読む

試験などで英文を読む場合、設問や選択肢のリード文を丁寧に読むことも重要です。何が問われているのかを正確に理解してから本文を読むことで、必要な情報に焦点を当てて読むことができます。

選択肢を丁寧に読むことで、

点数がなかなか上がらない人の多くは、そもそも選択肢を読んでいないか、誤読しているケースが多いと言われています。本文だけでなく、選択肢こそゆっくり丁寧に読む習慣をつけましょう。

メリハリをつけた読み方をする

英文の全てを同じペースで丁寧に読む必要はありません。重要な部分はじっくりと、それ以外の部分は速く読むというメリハリをつけた読み方が効果的です。

英文全てを丁寧に読みすぎると、情報量が多すぎて頭が混乱し、かえって内容が入ってこなくなる可能性があります。重要度に応じて読むスピードを調整することで、効率よく内容を理解しながら読み進めることができます。

英語速読に役立つおすすめのトレーニング教材と参考書

英語速読のスキルを効果的に身につけるために、適切な参考書や教材を活用することも重要です。ここでは、特に初学者におすすめの教材を紹介します。

初心者向け速読参考書

初めて速読に取り組む方には、段階的に学べる参考書が適しています。「英文速読トレーニング ソクトレ150【はじめて編】」などの教材は、300字程度の長文を2分間で読み、150wpmを目指すトレーニングが収録されており、初学者でも無理なく取り組めます。

これらの参考書の特徴は、文章の単語数が明記されていることで、自分のWPMを正確に測定できる点です。また、理解度を確認するための設問も用意されているため、単に速く読むだけでなく、内容をしっかり理解しているかどうかもチェックできます。

語彙力と速読力を同時に鍛える教材

速読力と語彙力を同時に鍛えられる単語帳も効果的です。単語の意味を覚えるだけでなく、その単語が使われる例文も同時に読むことで、文脈の中での単語の使い方や意味合いも理解できます。

このタイプの教材では、一般的な単語帳よりも長めの例文が収録されていることが多く、速読のトレーニングにも活用できます。また、頻出語彙を効率よく学べるため、速読の際の障害となる「知らない単語で止まる」という状況を減らすことができます。

オンラインでの速読トレーニング

デジタルツールを活用した速読トレーニングも効果的です。タイマー機能付きの速読アプリや、WPMを自動計算してくれるウェブサイトなどを利用すれば、より効率的に練習できます。

また、オンラインの英語ニュースサイトやブログなども、実践的な速読トレーニングの教材として活用できます。実際の英文に触れながら速読の練習ができるため、より実践的なスキルが身につきます。

どの教材を選ぶにしても、継続して使い続けることが最も重要です。自分のレベルや興味に合った教材を選び、毎日少しずつでも練習を続けることで、確実に速読力は向上していきます。

英語速読に関するよくある質問

ここでは、英語速読に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

英語速読と精読はどちらを優先すべきですか？

両方とも大切ですが、最初は精読を優先することをおすすめします。基礎的な英語力がない状態で速読のみを追求しても、内容理解が不十分になってしまいます。まずは精読で英文構造や語彙を丁寧に学び、基礎力がついてきたら徐々に速読の練習を増やしていくとよいでしょう。

速読のためにはどのくらいの単語数を知っておくべきですか？

一般的には、基本的な2000〜3000語程度の語彙があれば、多くの一般的な文章は読めるようになります。ただし、専門分野の文章になると、その分野特有の単語も必要になります。まずは基本的な語彙から着実に増やしていきましょう。

英語速読のトレーニングはどのくらいの頻度で行うべきですか？

毎日少しずつ継続することが最も効果的です。1日30分程度でも、毎日続けることで確実に力がつきます。週に1〜2回まとめて長時間するよりも、短時間でも毎日継続する方が上達は早いでしょう。

英語のニュース記事は速読の練習に適していますか？

ニュース記事は速読の練習に適したテキストの一つです。比較的短く、明確な構成で書かれているため読みやすい傾向にあります。ただし、専門用語や背景知識が必要な場合もあるので、自分の興味や知識に合ったトピックから始めるとよいでしょう。

英語を読むとき、頭の中で音読しながら読んでいますが、これは速読の妨げになりますか？

頭の中で音読（サブボーカリゼーション）しながら読むと、読むスピードは話すスピードに制限されるため、速読の妨げになることがあります。速読を極めたい場合は、この習慣を減らすトレーニングも効果的です。ただし、最初からこれを意識しすぎる必要はなく、徐々に改善していけばよいでしょう。

英語速読のトレーニングは、リスニング力の向上にも役立ちますか？

はい、英語速読のトレーニングはリスニング力向上にも間接的に役立ちます。速読により英語の語順や表現パターンに慣れることで、聞き取りの際の予測能力が高まります。また、語彙力の向上もリスニングに直接役立ちます。音読を取り入れた速読トレーニングは、特にリスニング力向上との相乗効果が期待できます。

まとめ

本記事では、英語速読のやり方、効果的なトレーニング方法、そして頭に入らないときの対処法について詳しく解説してきました。最後に、ポイントをまとめておきます。

英語速読は一朝一夕で身につくものではありませんが、適切な方法で継続的にトレーニングを重ねることで、必ず上達します。自分のペースで焦らず、着実に練習を積み重ねていきましょう。速読力が向上すれば、英語学習全体がより効率的かつ楽しいものになるはずです。