英語を勉強し始めると必ず出会うのが「命令文」です。日本語では「~しなさい」「~してください」「~するな」という表現ですが、英語ではどのように表現するのでしょうか。命令文は一見シンプルですが、実は様々な使い方があり、表現の幅も広いのです。
この記事では、英語初学者の方でも理解できるよう、命令文の基本から応用まで、具体的な例文を交えて分かりやすく解説します。英語の文法の基礎となる命令文をマスターして、会話やライティングの幅を広げましょう。
命令文とは?基本概念を理解しよう

命令文とは、相手に「~しなさい」「~してください」「~するな」などと指示や依頼、禁止を伝える文のことです。英語の命令文の大きな特徴は、「主語がない」ということです。なぜ主語がないのかというと、命令文は常に目の前にいる相手(you)に対して話しかけるものだからです。そのため、あえて「you」という主語を省略するのです。
また、命令文では動詞は常に原形(基本形)を使います。「goes」「went」「is going」ではなく、必ず「go」という原形を使うのが特徴です。これは命令が「これから行う行動」を指示するものだからです。
例えば、友達に「窓を開けて」と言いたい場合、日本語ならそのまま「窓を開けて」と言えますが、英語では「Open the window.」となります。このように動詞の原形から始まるのが命令文の基本です。
肯定命令文の作り方と基本パターン
肯定命令文は「~しなさい」「~して」という指示を表す文です。作り方はとても簡単で、「動詞の原形 + …」という形で作ります。
文の先頭に動詞の原形を置くだけで、命令文になります。
一般動詞を使った命令文
一般動詞(run, eat, study など)を使った命令文は、その動詞の原形を文頭に置くだけです。
例文
- Clean your room.(部屋を掃除しなさい)
- Drink more water.(もっと水を飲みなさい)
- Wait for me here.(ここで私を待っていなさい)
- Read this book.(この本を読みなさい)
- Come to my house tomorrow.(明日私の家に来なさい)
be動詞を使った命令文
be動詞の命令文を作る場合は、be動詞の原形「be」を文頭に置きます。
例文
- Be quiet.(静かにしなさい)
- Be careful.(気をつけなさい)
- Be kind to others.(他の人に親切にしなさい)
- Be on time.(時間通りにしなさい)
- Be happy.(幸せになりなさい)
命令文に主語を加える場合
基本的に命令文には主語はありませんが、特に誰に向けた命令かを明確にしたい場合や、感情を強調したい場合には、あえて主語「You」を入れることもあります。
例文
- You be quiet!(あなた、静かにしなさい!)
- John, come here.(ジョン、こちらに来なさい)
- Mary, listen to me.(メアリー、私の話を聞きなさい)
このように名前を呼んで命令する場合は、名前の後にカンマ(,)を入れるのが正しい英語の文法です。
否定命令文の作り方と使い方
否定命令文は「~するな」「~しないで」という禁止や制止を表します。
否定命令文を作るには、「Don’t(Do not) + 動詞の原形 + …」の形を使います。
一般動詞の否定命令文
一般動詞の否定命令文は、文頭に「Don’t」または「Do not」を置き、その後に動詞の原形を続けます。
例文
- Don’t run in the hallway.(廊下を走るな)
- Don’t talk during class.(授業中に話さないで)
- Don’t forget your homework.(宿題を忘れないで)
- Don’t touch this button.(このボタンに触れないで)
- Don’t play with fire.(火で遊ぶな)
be動詞の否定命令文
be動詞の否定命令文も同様に「Don’t be + …」の形で作ります。
例文
- Don’t be late.(遅れるな)
- Don’t be sad.(悲しまないで)
- Don’t be afraid.(恐れないで)
- Don’t be noisy.(うるさくするな)
- Don’t be rude to your teacher.(先生に無礼にするな)
強い禁止を表す否定命令文
特に強い禁止や警告を表現したい場合は、「Don’t」の代わりに「Never」を使うこともあります。
例文
- Never touch my things without permission.(許可なく私の物に絶対に触れるな)
- Never lie to your parents.(両親に絶対に嘘をつくな)
- Never give up on your dreams.(夢を絶対にあきらめるな)
「Never」を使った表現は、「Don’t」よりも強い禁止を表すので、使う場面や相手に注意する必要があります。
丁寧な命令文の作り方(Pleaseの使い方)
命令文はそのままでは少し強い表現になるため、丁寧に何かをお願いしたい場合は「Please」を加えます。
「Please」は文頭または文末(カンマの後)に置くことができます。
文頭にPlease
文頭に「Please」を置くと、「~してください」という丁寧なお願いになります。
例文
- Please open the window.(窓を開けてください)
- Please help me with this problem.(この問題を手伝ってください)
- Please be quiet in the library.(図書館では静かにしてください)
- Please wait for five minutes.(5分待ってください)
- Please come to my birthday party.(私の誕生日パーティーに来てください)
文末にPlease
文末に「Please」を置く場合は、カンマ(,)の後に「please」を付けます。
例文
- Close the door, please.(ドアを閉めてください)
- Pass me the salt, please.(塩を取ってください)
- Be on time tomorrow, please.(明日は時間通りにしてください)
- Send me an email, please.(メールを送ってください)
- Call me later, please.(後で電話してください)
否定命令文でのPleaseの使い方
否定命令文でも「Please」を使って丁寧に表現することができます。
例文
- Please don’t make noise.(騒がないでください)
- Please don’t forget to turn off the lights.(電気を消すのを忘れないでください)
- Don’t be late, please.(遅れないでください)
- Don’t worry, please.(心配しないでください)
- Don’t touch that vase, please.(その花瓶に触らないでください)
特殊な命令表現と応用
命令文には基本形だけでなく、様々な応用表現があります。ここでは特によく使われる表現を紹介します。
Let’s を使った表現(勧誘)
「Let’s + 動詞の原形」の形で、「~しましょう」という勧誘や提案を表すことができます。
これは相手と一緒に何かをすることを提案する表現です。
例文
- Let’s go to the park.(公園に行きましょう)
- Let’s play soccer after school.(放課後サッカーをしましょう)
- Let’s study together for the test.(テストのために一緒に勉強しましょう)
- Let’s have lunch now.(今昼食を食べましょう)
- Let’s not waste time.(時間を無駄にしないようにしましょう)
命令文 + and の使い方
「命令文 + and + 結果」の形で、「~すれば、~になる」という条件と結果を表すことができます。
例文
- Study hard, and you will pass the exam.(一生懸命勉強すれば、試験に合格するでしょう)
- Eat vegetables every day, and you will be healthy.(毎日野菜を食べれば、健康になるでしょう)
- Practice English every day, and your skills will improve.(毎日英語を練習すれば、スキルが向上するでしょう)
- Wake up early, and you will have time for breakfast.(早起きすれば、朝食の時間がありますよ)
- Be kind to others, and they will be kind to you.(他人に親切にすれば、彼らもあなたに親切にしてくれるでしょう)
命令文 + or の使い方
「命令文 + or + 結果」の形で、「~しないと、~になる」という警告や忠告を表すことができます。
例文
- Hurry up, or we will miss the bus.(急ぎなさい、さもないとバスに乗り遅れるよ)
- Study for the test, or you will fail.(テストのために勉強しなさい、さもないと落第するよ)
- Clean your room, or you can’t go out.(部屋を掃除しなさい、さもないと外出できないよ)
- Be quiet, or the teacher will get angry.(静かにしなさい、さもないと先生が怒るよ)
- Finish your homework, or you can’t watch TV.(宿題を終わらせなさい、さもないとテレビを見ることができないよ)
命令文が使われる実生活の場面
命令文は日常生活の様々な場面で使われています。ここでは、実生活でよく見かける命令文の例を紹介します。
標識や注意書き
公共の場所や建物内の標識や注意書きでは、簡潔な命令文がよく使われています。
例文
- Keep off the grass.(芝生に入るな)
- No smoking.(禁煙)
- Turn off your cell phone.(携帯電話の電源を切ってください)
- Please wait here.(ここでお待ちください)
- Exit this way.(この方向に出口があります)
料理のレシピ
料理のレシピでは、手順を説明するために命令文が使われます。
例文
- Mix the flour and sugar.(小麦粉と砂糖を混ぜなさい)
- Add two eggs.(卵を2個加えなさい)
- Stir well.(よくかき混ぜなさい)
- Bake for 20 minutes.(20分間焼きなさい)
- Serve hot.(熱いうちに出しなさい)
応急処置やマニュアル
応急処置やマニュアルでも、簡潔な指示を与えるために命令文が使われます。
例文
- Call an ambulance.(救急車を呼びなさい)
- Press here firmly.(ここをしっかり押さえなさい)
- Don’t move the injured person.(けが人を動かさないで)
- Follow these steps.(これらの手順に従いなさい)
- Read the instructions carefully.(説明書をよく読みなさい)
英語の命令文に関する練習問題20選
英語の命令文をマスターするための問題を解いてみましょう。
以下の問題で様々なタイプの命令文の理解度をチェックしてください。
- 次の文を命令文に書き換えなさい
You open the window. - 次の肯定命令文を否定命令文に書き換えなさい
Go to bed now. - 次の命令文をPlease を使って丁寧な表現に書き換えなさい
Close the door. - 次の語句を並べ替えて、命令文を作りなさい
quietly / the / library / in / speak - 「一緒にテニスをしましょう」という勧誘の命令文を英語で書きなさい。
- 次の文を「〜しないでください」という丁寧な否定命令文に書き換えなさい
Touch this button. - 「ここで写真を撮るな」という強い禁止を表す命令文を英語で書きなさい。
- 次の命令文の後に「さもないと〜」という結果を表す表現を加えなさい
Hurry up (miss the bus). - 次の命令文の後に「そうすれば〜」という結果を表す表現を加えなさい
Study hard (pass the test). - 次の日本語を英語の命令文に訳しなさい
「静かにしてください」 - 次の命令文を「Let’s not〜」を使った表現に書き換えなさい
Don’t waste time. - 料理のレシピで使われる命令文を3つ英語で書きなさい。
- 「あなた」を強調した命令文に書き換えなさい
Be quiet. - 次の日本語を英語の命令文に訳しなさい
「右に曲がってください」 - 次の文を命令文に書き換えなさい
You should clean your room. - 公共の場所でよく見かける命令文の標識を3つ英語で書きなさい。
- 救急時に使う命令文を2つ英語で書きなさい。
- 次の肯定命令文を否定命令文に書き換えなさい
Be late for school. - 次の命令文の主語(対象)を明確にしなさい
Wait here. (to John) - 次の日本語を英語の命令文(「〜しましょう」)に訳しなさい
「休憩しましょう」
これらの練習問題を通して、命令文の基本的な使い方から様々な表現方法まで学ぶことができます。命令文は日常の中で指示を出したり、依頼をしたり、アドバイスを与えたりする際によく使われる表現です。
丁寧な表現方法も含めて、様々な場面で使いこなせるようにしましょう。
命令文に関するよくある質問
- 命令文はどんな時に使いますか?
-
命令文は相手に指示、依頼、禁止、アドバイスなどを伝えたい時に使います。例えば、友達に指示を出す時(「Come here.」)、何かをお願いする時(「Please help me.」)、警告する時(「Don’t touch that.」)などです。また、レシピや説明書、標識なども命令文の形で書かれることが多いです。
- 命令文は失礼にならないですか?
-
命令文はそのままだと少し強い表現になることがあります。特に目上の人や初対面の人に使うと失礼に感じられることもあります。丁寧に表現したい場合は「Please」を付けたり、「Could you…?」「Would you…?」のような疑問文を使ったりするとよいでしょう。状況と相手によって使い分けることが大切です。
- 「Don’t」と「Never」の違いは何ですか?
-
どちらも否定の命令を表しますが、「Never」は「Don’t」よりも強い禁止を表します。「Don’t run in the hallway.」(廊下を走らないで)は普通の禁止ですが、「Never tell lies.」(絶対に嘘をつくな)はより強い禁止や警告を表します。「Never」は「決して~するな」という強い意味を持ちます。
- 命令文に「You」をつけることがありますが、どういう意味ですか?
-
通常、命令文には主語(You)はありませんが、特に誰に対する指示かを明確にしたり、感情を強調したりする場合に「You」を付けることがあります。例えば「You be quiet!」(あなた、静かにしなさい!)は「Be quiet!」よりも強い感情が込められています。一般的には友人間や感情的な場面で使われることが多く、丁寧な表現ではありません。
- 「Let’s」を使った表現は命令文ですか?
-
「Let’s + 動詞の原形」の形は厳密には命令文の一種ですが、一般的には「勧誘文」と呼ばれることもあります。これは相手と一緒に何かをすることを提案する表現で、「~しましょう」と訳されます。例えば「Let’s go to the park.」(公園に行きましょう)は、話し手も一緒に行動することを提案しています。
まとめ

英語の命令文は、日常会話や文章の中でとても頻繁に使われる重要な文法要素です。
この記事では以下のポイントを解説しました。
- 基本の形: 命令文は主語がなく、動詞の原形から始まります。
- Open the door.(ドアを開けなさい)
- Be quiet.(静かにしなさい)
- 否定の命令文: 「Don’t + 動詞の原形」で「~するな」「~しないで」という禁止を表します。
- Don’t run in the hallway.(廊下を走るな)
- Don’t be late.(遅れるな)
- 丁寧な命令文: 「Please」を付けることで丁寧な依頼になります。
- Please help me.(手伝ってください)
- Close the window, please.(窓を閉めてください)
- 特殊な表現:
- 「Let’s + 動詞の原形」で「~しましょう」という勧誘を表します。
- Let’s go to the park.(公園に行きましょう)
- 「命令文 + and + 結果」で「~すれば、~になる」という条件を表します。
- Study hard, and you will pass.(一生懸命勉強すれば、合格するよ)
- 「命令文 + or + 結果」で「~しないと、~になる」という警告を表します。
- Hurry up, or we will be late.(急ぎなさい、さもないと遅れるよ)
- 「Let’s + 動詞の原形」で「~しましょう」という勧誘を表します。
命令文は英語で相手に何かを指示したり、お願いしたりする基本的な表現方法です。様々な場面で活用できるので、ぜひマスターしてみてください。
英語の文法の基礎をしっかり固めることで、より自然な英語表現ができるようになります。