「不可能だ」「無理だ」「ありえない」という意味を表す英単語は複数あり、それぞれニュアンスや使用場面が異なります。日本語では「不可能」という一言で済ませることが多いですが、英語では状況や文脈によって最適な表現が変わってきます。
この記事では、物事が実現できないことを表す様々な英単語の違いや使い分け方について、例文を交えながら詳しく解説します。英語初心者でも理解しやすいように、発音や使用上の注意点も含めて説明していきます。
「不可能」を表す英単語

「不可能」という概念を表す英単語は以下のようなものがあります。
「不可能」を表す英単語
- impossible(インポッシブル):不可能な、あり得ない
- unfeasible(アンフィーザブル):実現不可能な、実行困難な
- impracticable(インプラクティカブル):実行不可能な、実用的でない
- unthinkable(アンシンカブル):考えられない、想像を絶する
- unreasonable(アンリーズナブル):無理な、不合理な
- hopeless(ホープレス):望みのない、見込みのない
- out of the question(アウト・オブ・ザ・クエスチョン):論外の、まったく不可能な
- beyond possibility(ビヨンド・ポシビリティ):可能性を超えた
- inconceivable(インコンシーバブル):想像できない、考えられない
- There’s no way(ゼアズ・ノー・ウェイ):絶対にありえない、絶対に~ない
「不可能」を表す英単語の発音・意味・特徴と使い分け【例文あり】
「不可能」を表す英単語にはそれぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。ここでは、それぞれの単語の特徴や使い分け方について詳しく見ていきましょう。
impossible(インポッシブル)
意味と特徴
「impossible」は最も一般的に使われる「不可能」を表す形容詞です。物理的、論理的、または現実的な制約により達成できない状況を指します。「in-」(否定)と「possible」(可能な)を組み合わせた単語で、「可能ではない」という意味です。フォーマルな場面からカジュアルな会話まで幅広く使用できます。
使い分けのポイント
「impossible」は物事が絶対に実現できない場合に使用します。単独で「That’s impossible.」(それは不可能だ)のように使ったり、「It is impossible to…」(~することは不可能だ)という形で使われることが多いです。また、「Mission Impossible」(不可能な任務)のように名詞と組み合わせて使うこともあります。
例文
- It is impossible to visit ten countries in one day.(一日で10カ国を訪問することは不可能です。)
- This math problem seems impossible to solve.(この数学の問題は解くことが不可能に思えます。)
- She said it is impossible for her to come to the party.(彼女はパーティーに来ることは不可能だと言いました。)
unfeasible(アンフィーザブル)
意味と特徴
「unfeasible」は「実現不可能な」「実行困難な」という意味を持ちます。「un-」(否定)と「feasible」(実行可能な)を組み合わせた単語です。主に現実的な制約(資源、時間、技術など)により実現が困難な場合に使われます。「impossible」よりも具体的な状況を指すことが多いです。
使い分けのポイント
「unfeasible」は特に計画やプロジェクト、提案について話す際によく使われます。「impossible」が絶対的な不可能性を示すのに対し、「unfeasible」は現状では困難だがいつか可能になるかもしれないというニュアンスを含みます。ビジネスやプロジェクト管理の文脈でよく使用されます。
例文
- The plan is unfeasible due to our limited budget.(予算が限られているため、その計画は実現不可能です。)
- Building a house in one week is unfeasible.(一週間で家を建てることは実現不可能です。)
- Her proposal seems unfeasible at this moment.(彼女の提案は現時点では実現不可能に思えます。)
impracticable(インプラクティカブル)
意味と特徴
「impracticable」は「実行不可能な」「実用的でない」という意味を持ちます。「im-」(否定)と「practicable」(実行可能な)を組み合わせた単語です。理論的には可能かもしれないが、実際に実行するのは非常に困難または現実的でない場合に使われます。
使い分けのポイント
「impracticable」は特に方法や手段について言及する際に使われます。「unfeasible」が計画や提案に焦点を当てるのに対し、「impracticable」は実行方法の現実性や実用性に焦点を当てます。やや堅い表現で、フォーマルな文脈で使われることが多いです。
例文
- Your suggestion is impracticable in our current situation.(あなたの提案は現状では実行不可能です。)
- It is impracticable to interview all 500 students in one day.(一日で500人の学生全員に面接することは実行不可能です。)
- The old method became impracticable with new technology.(その古い方法は新しい技術では実用的ではなくなりました。)
unthinkable(アンシンカブル)
意味と特徴
「unthinkable」は「考えられない」「想像を絶する」という意味を持ちます。「un-」(否定)と「thinkable」(考えられる)を組み合わせた単語です。単に物理的に不可能というよりも、社会的、道徳的、または常識的に受け入れられない場合によく使われます。
使い分けのポイント
「unthinkable」は特に驚きや衝撃を表現する際に使われます。「10年前ではunthinkable」(10年前では考えられなかった)のように、時代や状況の変化による対比を示す場合もあります。また、社会規範や倫理に反する行為を描写する際にも使われます。
例文
- Leaving a child alone at home is unthinkable.(子供を家に一人で残すなんて考えられません。)
- It was unthinkable for her to tell a lie.(彼女が嘘をつくなんて考えられませんでした。)
- Using a smartphone was unthinkable twenty years ago.(20年前はスマートフォンを使うことは考えられませんでした。)
unreasonable(アンリーズナブル)
意味と特徴
「unreasonable」は「無理な」「不合理な」「理不尽な」という意味を持ちます。「un-」(否定)と「reasonable」(合理的な)を組み合わせた単語です。主に要求や期待が現実的でなく、論理的に無理がある場合に使われます。
使い分けのポイント
「unreasonable」は特に人間関係や交渉の文脈でよく使われます。要求や期待、行動が常識的でない、または公平でないと感じる場合に使用します。「impossible」が物理的な不可能性を示すのに対し、「unreasonable」は倫理的または社会的な観点からの不適切さを示すことが多いです。
例文
- His demand for a 50% raise is unreasonable.(彼の50%の昇給要求は無理があります。)
- It is unreasonable to expect perfect results every time.(毎回完璧な結果を期待するのは無理があります。)
- The teacher gave us an unreasonable amount of homework.(その先生は無理な量の宿題を出しました。)
hopeless(ホープレス)
意味と特徴
「hopeless」は「望みのない」「見込みのない」という意味を持ちます。「hope」(希望)と「-less」(〜がない)を組み合わせた単語です。何かが成功する見込みがほとんどなく、努力しても無駄だと思われる状況を描写します。
使い分けのポイント
「hopeless」は特に状況や試み、場合によっては人物の能力について述べる際に使われます。完全に不可能というよりも、成功の可能性が極めて低いという意味合いが強いです。感情的なニュアンスを含み、諦めや失望の気持ちを表現することができます。
例文
- The situation seems hopeless, but we must try.(状況は望みがないように思えますが、試さなければなりません。)
- It is hopeless to teach him how to cook.(彼に料理を教えるのは望みがありません。)
- She made a hopeless attempt to solve the problem.(彼女はその問題を解決しようと望みのない試みをしました。)
out of the question(アウト・オブ・ザ・クエスチョン)
意味と特徴
「out of the question」は「論外の」「まったく不可能な」という意味を持つ熟語です。選択肢として考慮することすらできないほど不可能または不適切なことを指します。決定的な拒否や否定を表現する強い表現です。
使い分けのポイント
「out of the question」は特に提案や要求に対する強い拒否を表現する際に使われます。「That’s impossible」よりも強い表現で、提案されたことについて議論する余地すらないことを示します。フォーマルな場面でもカジュアルな会話でも使用できます。
例文
- Buying a new car this year is out of the question.(今年新しい車を買うことは論外です。)
- Swimming in this weather is out of the question.(この天気で泳ぐなんて論外です。)
- Lending him money again is out of the question.(彼にまたお金を貸すことは論外です。)
beyond possibility(ビヨンド・ポシビリティ)
意味と特徴
「beyond possibility」は「可能性を超えた」「不可能な領域の」という意味を持つ表現です。何かが可能性の範囲を完全に超えていることを示し、通常の手段では達成できない状況を描写します。
使い分けのポイント
「beyond possibility」はやや文学的または形式的な表現で、通常の会話よりも書き言葉で使われることが多いです。「impossible」よりも詩的な表現で、特に何かの可能性について理論的または哲学的に議論する際に使用されます。
例文
- Time travel seems beyond possibility with our current technology.(現在の技術では時間旅行は可能性を超えているようです。)
- Completing the project in one day is beyond possibility.(一日でそのプロジェクトを完成させることは可能性を超えています。)
- Understanding the entire universe is beyond possibility for humans.(宇宙全体を理解することは人間にとって可能性を超えています。)
inconceivable(インコンシーバブル)
意味と特徴
「inconceivable」は「想像できない」「考えられない」という意味を持ちます。「in-」(否定)と「conceivable」(想像できる)を組み合わせた単語です。何かが人間の想像力や理解力を超えている場合に使われます。
使い分けのポイント
「inconceivable」は特に驚きや信じられない状況を強調する際に使われます。「unthinkable」と似ていますが、「inconceivable」は想像力や概念化の限界に焦点を当てます。やや堅い表現で、フォーマルな文脈や文学的な表現でよく使われます。
例文
- It is inconceivable that he would betray his friends.(彼が友人を裏切るなんて想像できません。)
- The size of the universe is inconceivable to the human mind.(宇宙の大きさは人間の心では想像できません。)
- It was inconceivable to me that I could fail the test.(テストに失敗するなんて私には考えられませんでした。)
There’s no way(ゼアズ・ノー・ウェイ)
意味と特徴
「There’s no way」は「絶対にありえない」「絶対に~ない」という意味を持つ口語表現です。何かが現実的でない、不可能だ、信じられないというニュアンスを伝えるためによく使われます。
使い分けのポイント
「There’s no way」はカジュアルで口語的な表現で、友人との会話や非公式な状況でよく使われます。「There’s no way + 主語 + 動詞」という形で使われ、強い否定や不信を表します。フォーマルな文書や公式の場では避け、代わりに「impossible」や「out of the question」などを使用するとよいでしょう。
例文
- There’s no way I can finish this homework tonight.(今夜この宿題を終わらせるなんて絶対に無理です。)
- There’s no way he will win the race.(彼がレースに勝つなんてありえません。)
- There’s no way I’m going to that party.(私はそのパーティーに絶対に行きません。)
「不可能」を表す英単語の比較表
下記の表は、「不可能」を表す英単語の特徴を比較したものです。
英単語 | 使用頻度 | 使用レベル | 主な使用場面 | ニュアンス |
---|---|---|---|---|
impossible | 非常に高い | 一般的 | あらゆる場面 | 絶対的な不可能性 |
unfeasible | 中程度 | やや専門的 | ビジネス、計画 | 実現が困難な状況 |
impracticable | やや低い | 専門的 | 方法、手段の検討 | 実行上の困難さ |
unthinkable | 中程度 | 一般的 | 社会規範、倫理 | 社会的・道徳的に受け入れられない |
unreasonable | 高い | 一般的 | 人間関係、交渉 | 論理的に無理がある |
hopeless | 高い | 一般的 | 見込みの評価 | 成功の可能性が極めて低い |
out of the question | 中程度 | やや形式的 | 提案への拒否 | 選択肢として考慮できない |
beyond possibility | 低い | 文学的 | 理論的議論 | 可能性の範囲を超えている |
inconceivable | やや低い | やや形式的 | 驚き、信じられない状況 | 想像力を超えている |
There’s no way | 高い | 口語的 | カジュアルな会話 | 強い否定や不信 |
「不可能」を表す英単語の使い分け練習問題
以下の練習問題を通じて、「不可能」を表す英単語の適切な使い分けを学びましょう。各文の空欄に最も適切な単語を入れてください。
- It is __ to visit all countries in the world in one week.
- Her demand for a 200% salary increase is completely __.
- With our current technology, living on Mars is still __.
- __ that he would cheat in the exam, he’s always been honest.
- The project seemed __, but we managed to complete it.
- Driving without a license is __ in this country.
- __ he will agree to our proposal after what happened last time.
- The method is theoretically sound but __ in real-world situations.
- Understanding quantum physics fully is __ for most people.
- Getting tickets for the sold-out concert is __ now.
- Running a marathon without any training is __.
- It’s __ to imagine how the universe began.
- Saving enough money in just one month is __ for me.
- __ for us to meet the deadline without working overtime.
- The task seemed __ at first, but became easier with practice.
- Living without water is __ for humans.
- His plan to climb Mount Everest in winter is completely __.
- It’s __ that she didn’t know about the meeting.
- Finishing this book in one hour is __.
- __ we can solve this problem without help.
「不可能」を表す英単語に関するよくある質問
- 「impossible」と「unfeasible」の違いは何ですか?
-
「impossible」は絶対的な不可能性を表し、物理的・論理的に実現できないことを意味します。一方、「unfeasible」はより具体的な状況において、現実的な制約(資金、時間、資源など)により実現が困難なことを意味します。「impossible」が「絶対に不可能」というニュアンスなのに対し、「unfeasible」は「現状では実現困難だが、将来的には可能かもしれない」というニュアンスを含みます。
- フォーマルな場面で使うべき「不可能」を表す表現は?
-
フォーマルな場面では、「impossible」「unfeasible」「impracticable」「out of the question」などが適切です。特にビジネスや学術的な文脈では、「unfeasible」や「impracticable」が専門的なニュアンスを持ち、適切に使い分けることで洗練された表現になります。一方、「There’s no way」のようなカジュアルな表現はフォーマルな場面では避けるべきです。
- 「There’s no way」は失礼な表現ですか?
-
「There’s no way」自体は失礼な表現ではありませんが、カジュアルで強い否定を表す表現です。親しい間柄や非公式な場面では問題ありませんが、ビジネスシーンや目上の人との会話では、より丁寧な「I’m afraid that’s not possible」「Unfortunately, that would be impossible」などの表現を使う方が適切です。
- 「不可能」を柔らかく伝えるにはどうすればいいですか?
-
「不可能」を直接的に伝えるのではなく、「I’m afraid that might be difficult」(申し訳ありませんが、それは難しいかもしれません)、「That would be challenging under the current circumstances」(現状ではそれは困難でしょう)、「I don’t think that’s feasible at this moment」(現時点ではそれは実現可能だとは思いません)などの表現を使うことで、柔らかく伝えることができます。また、代替案を提示することも効果的です。
- 「impossible」の反対語は何ですか?
-
「impossible」の反対語は「possible」(可能な)です。また、状況によっては「feasible」(実現可能な)、「practicable」(実行可能な)、「conceivable」(想像できる)、「thinkable」(考えられる)なども反対の意味として使えます。それぞれの「不可能」を表す単語に対応する反対語があります。
まとめ

英語で「不可能」を表現する方法は多岐にわたり、状況や文脈によって適切な単語が異なります。「impossible」は最も一般的で広く使われる表現ですが、「unfeasible」「impracticable」などはより専門的なニュアンスを持ちます。また、「unthinkable」「inconceivable」は想像や考えの範囲を超えることを強調し、「There’s no way」はカジュアルな会話で強い否定を表します。
これらの表現を適切に使い分けることで、英語でより正確に「不可能」のニュアンスを伝えることができます。また、フォーマルな場面とカジュアルな場面で使い分けることも重要です。
これらの表現を適切に使いこなせるようになれば、英語でのコミュニケーション能力が向上し、より豊かな表現ができるようになります。
練習問題を繰り返し解くことで、これらの表現の使い分けに慣れていきましょう。