「in favor of」は英語学習者が頻繁に出会う表現でありながら、その多様な使い方を理解している人は多くありません。統計データによると、この表現は英語ネイティブスピーカーが日常会話で最も頻繁に使用する約300のフレーズの一つとされています。
本記事では、「in favor of」の基本的な意味から実践的な使い方まで、初学者にもわかりやすく解説します。例文も豊富に用意しましたので、この表現をマスターして英語力を一段階上げましょう。
「in favor of」とは?

「in favor of」は英語の群前置詞(複数の単語からなる前置詞句)で、主に「〜に賛成して」「〜の味方をして」「〜に有利に」といった意味で使われます。この表現は政治的な議論から日常会話、ビジネスシーンまで幅広く活用される超実用的な表現です。
発音は「イン フェイヴァ オヴ」(/ɪn/ /féɪvər/ /əv/)となります。イギリス英語では「in favour of」とスペルが異なる場合がありますが、意味や用法に違いはありません。
この表現は様々な状況で用いられますが、主に「賛成・支持」「有利・利益」「選択・好み」の3つの意味合いで使われることが多いです。これらの使い方を詳しく見ていきましょう。
「in favor of」の主な意味と用法
「in favor of」には大きく分けて次の3つの主要な意味があります。それぞれの意味と用法を詳しく解説していきます。
「〜に賛成して」「〜を支持して」の意味での使い方
最も一般的な意味は「〜に賛成する」「〜を支持する」という意味です。何かの提案や意見、考えなどに対して賛成や支持を表明する際に使われます。
例文
- I am in favor of having longer summer vacation.(私は夏休みを長くすることに賛成です。)
- Most students are in favor of the new school rule.(ほとんどの生徒は新しい校則に賛成しています。)
- Are you in favor of this plan? Please raise your hand.(このプランに賛成ですか?手を挙げてください。)
- My father is not in favor of my studying abroad.(父は私が留学することに賛成していません。)
- Our teacher is in favor of using computers in class.(先生は授業でコンピューターを使うことに賛成です。)
この用法では、「in favor of + 名詞」または「in favor of + 動名詞」の形で使われることが多いです。公式な会議や討論の場では「All those in favor of the motion, please say “aye.”(この動議に賛成の方は「賛成」と言ってください)」のように使われることもあります。
「〜に有利になるように」「〜の利益になる」の意味での使い方
2つ目の主要な意味は、「〜に有利になるように」「〜の利益になる」です。特に法的な判断や決定が誰かに有利な形で下される場合によく使われます。
例文
- The judge decided in favor of the small company.(裁判官はその小さな会社に有利な判決を下しました。)
- The game ended in favor of our team.(試合は私たちのチームの勝利に終わりました。)
- The weather changed in favor of the farmers.(天気は農家に有利な方向に変わった。)
- The rules work in favor of bigger players.(ルールは大きな選手に有利に働いています。)
- The teacher often grades in favor of students who try hard.(先生はよく頑張る生徒に有利に成績をつけます。)
この用法は特に裁判や競争の文脈でよく使われます。「decide in favor of」(〜に有利な判決を下す)、「rule in favor of」(〜に有利な裁定を下す)といった表現がよく見られます。
「〜の方を選択して」「〜に味方して」の意味での使い方
3つ目の主要な意味は「〜の方を選んで」「〜に味方して」です。二つ以上の選択肢がある中で、特定のものを選ぶ場合に使います。
例文
- He gave up soccer in favor of baseball.(彼はサッカーをやめて野球の方を選びました。)
- She rejected the job offer in favor of continuing her studies.(彼女は就職の申し出を断り、勉強を続ける方を選びました。)
- I put off my trip in favor of helping my friend.(私は友達を助けるために旅行を延期しました。)
- My sister chose the red dress in favor of the blue one.(姉は青いドレスではなく赤いドレスを選びました。)
- We decided to walk in favor of taking the bus.(私たちはバスに乗るのではなく歩くことにしました。)
この用法では、何かを断念して別の何かを選ぶという含みがあります。「abandon A in favor of B」(AをやめてBを選ぶ)、「reject A in favor of B」(Aを拒否してBを選ぶ)といった表現パターンがよく使われます。
「in favor of」を使った日常会話表現
「in favor of」は日常の会話でも頻繁に使われます。以下に日常会話でよく使われる表現をいくつか紹介します。
意見を求める表現
例文
- Are you in favor of eating out tonight?(今晩外食することに賛成ですか?)
- Who is in favor of going to the beach this weekend?(今週末ビーチに行くことに賛成の人は誰ですか?)
- Is everyone in favor of this idea?(みんなこのアイデアに賛成ですか?)
- Are you in favor of starting the meeting earlier?(会議を早く始めることに賛成ですか?)
- How many people are in favor of the new rule?(新しいルールに賛成の人は何人いますか?)
決定や選択を表す表現
例文
- I’m in favor of pizza over hamburgers.(ハンバーガーよりピザの方が好きです。)
- We decided in favor of taking the train.(私たちは電車に乗ることに決めました。)
- My parents were not in favor of my playing video games.(両親は私がビデオゲームをすることに賛成ではありませんでした。)
- Most of my friends are in favor of watching action movies.(友達のほとんどはアクション映画を見ることに賛成です。)
- The committee voted in favor of building a new park.(委員会は新しい公園を建設することに賛成票を投じました。)
「in favor of」の類似表現と違い
「in favor of」に似た表現はいくつかありますが、微妙なニュアンスの違いがあります。ここでは主な類似表現との違いを解説します。
「in support of」との違い
「in support of」も「〜を支持して」という意味ですが、「in favor of」よりも積極的な支援や援助のニュアンスが強いです。
例文
- I am in favor of the new policy.(私は新しい方針に賛成です。)
- I am in support of the new policy.(私は新しい方針を支援します。)
1つ目の例では単に賛成の意を表しているのに対し、2つ目の例ではより積極的に支援するというニュアンスが含まれています。
「for」との違い
単純な「for」も「〜に賛成」の意味で使えますが、「in favor of」より形式ばっていない表現です。
例文
- I am for the idea of free education.(私は無償教育のアイデアに賛成です。)
- I am in favor of the idea of free education.(私は無償教育のアイデアに賛成です。)
「for」はカジュアルな会話で使われることが多く、「in favor of」はより正式な場面で使われる傾向があります。
「pro」との違い
「pro」は接頭辞や形容詞として「〜に賛成」の意味で使われますが、「in favor of」は前置詞句です。
例文
- He is pro-environment.(彼は環境保護派です。)
- He is in favor of protecting the environment.(彼は環境を保護することに賛成です。)
「pro」は簡潔で、特定の立場や見解を表す際によく使われます。一方、「in favor of」はより詳細な文脈や説明を提供する際に適しています。
「in favor of」に関するよくある質問
- 「in favor of」と「for」の違いは?
-
「in favor of」と「for」はどちらも「〜に賛成」という意味で使えますが、「in favor of」はより正式で明確な表現です。「for」はカジュアルな会話で使われることが多く、「in favor of」は公式な場面や書面でよく使われます。
- I’m for the idea.(そのアイデアに賛成です。)- カジュアル
- I’m in favor of the idea.(そのアイデアに賛成です。)- より正式
- 「in favor of」の反対の表現は?
-
「in favor of」の反対の表現は「against」や「opposed to」です。
- I am in favor of the proposal.(私はその提案に賛成です。)
- I am against the proposal.(私はその提案に反対です。)
- I am opposed to the proposal.(私はその提案に反対です。)
「against」はよりシンプルな表現で、「opposed to」はより強い反対の意味合いを含むことがあります。
- 「in favor of」は会議やディスカッションでどう使われる?
-
会議やディスカッションでは、「in favor of」は特に投票や意見表明の場面でよく使われます。
- All those in favor of the motion, please raise your hand.(この動議に賛成の方は挙手願います。)
- The board voted 7 to 3 in favor of the new policy.(取締役会は7対3で新政策に賛成しました。)
- Would anyone like to speak in favor of this proposal?(この提案に賛成の立場で発言したい方はいますか?)
- 「in favor of」と「in support of」の違いは?
-
「in favor of」は主に「賛成する」という意味で、意見や立場を表すのに使われます。「in support of」は「支援する」というより積極的な行動や援助のニュアンスを含みます。
- I am in favor of the charity event.(私はそのチャリティイベントに賛成です。)- 意見
- I am marching in support of the charity event.(私はそのチャリティイベントを支援するためにマーチに参加しています。)- 行動
まとめ

「in favor of」は英語の重要な表現で、主に以下の3つの意味で使われます。
- 「〜に賛成して」「〜を支持して」- 何かの提案や意見に賛成する場合
- 「〜に有利になるように」「〜の利益になる」- 特に判決や裁定が誰かに有利になる場合
- 「〜の方を選択して」「〜に味方して」- 二つ以上の選択肢から一つを選ぶ場合
この表現は公式な場面からカジュアルな会話まで幅広く使われ、特に会議や討論、ビジネスメールなどでよく見られます。
類似表現との違いを理解し、状況に応じて適切に使い分けることが重要です。「in support of」はより積極的な支援を、「for」はよりカジュアルな賛成を、「pro」は特定の立場を表すのに適しています。
英語学習者としては、まず基本的な「〜に賛成です」という意味での使い方から始め、徐々に他の用法にも慣れていくとよいでしょう。例えば「I am in favor of learning English.(私は英語を学ぶことに賛成です)」のような簡単な文から始めて、次第に「She gave up her job in favor of studying abroad.(彼女は留学するために仕事を辞めました)」のようなより複雑な用法も使えるようになると、英語表現の幅が広がります。
日常会話やビジネスシーンでこの表現を適切に使うことで、より自然で洗練された英語を話すことができるようになるでしょう。英語の学習では、このような頻出表現をしっかりマスターすることが上達への近道です。