「in the event of」は英語の重要な表現の一つで、「〜の場合には」という意味を持ちます。この表現は特に公式文書やビジネス英語でよく使われるフォーマルな表現です。日本語を学ぶ英語初心者にとって、この表現の正確な理解は、特に契約書や公的な文書を読む際に非常に役立ちます。
本記事では、「in the event of」の基本的な意味から応用まで、わかりやすく解説していきます。
「in the event of」の基本的な意味

「in the event of」は、「〜の場合には」「〜が発生した場合には」という意味を持つ英語表現です。この表現は特に何かが起こる可能性がある状況や、あらかじめ対策を立てておきたい状況について述べる際に使用されます。例えば、緊急事態、事故、自然災害などが発生した場合の対応策を説明する時によく用いられます。
「event」という単語自体は「出来事」や「イベント」という意味を持ちますが、「in the event of」という熟語全体では「〜の場合」という条件を表す表現になります。特に予測される問題や起こりうる状況に対する備えについて述べる際に適した表現です。
「in the event of」の基本的な使い方
「in the event of」は文法的に前置詞句として機能し、その後には名詞または名詞句が続きます。基本的な構造は以下のようになります。
In the event of + 名詞(句), + 主語 + 動詞 + …
この表現は多くの場合、文の冒頭に置かれますが、文末に配置されることもあります。以下のような基本的な例文が考えられます。
例文
- In the event of rain, the sports festival will be postponed.(雨の場合には、スポーツ大会は延期されます)
- Please call this number in the event of an emergency.(緊急事態の場合には、この番号に電話してください)
文法的なポイント
「in the event of」の後には必ず名詞または名詞句が来るという点に注意が必要です。動詞を直接続けることはできません。もし動詞を使いたい場合は、「in the event that + 主語 + 動詞」という形に変える必要があります。
- In the event of his arrival.(彼の到着の場合には)
- In the event that he arrives.(彼が到着した場合には)
「in the event of」の例文と解説
ここでは「in the event of」を使った実用的な例文をいくつか紹介し、それぞれの使い方について解説します。すべて中学英語レベルの簡単な単語を使用しています。
日常生活での例文
例文
- In the event of a power cut, please use the flashlight in the drawer.
(停電の場合には、引き出しの中の懐中電灯を使ってください) - We have extra food in the event of unexpected guests.
(予期せぬ来客があった場合のために、追加の食料があります) - In the event of bad weather, we will meet at the library instead of the park.
(天気が悪い場合には、公園ではなく図書館で会いましょう)
これらの例文では、「in the event of」が日常生活の中で起こりうる状況に対する備えや対応策を述べる際に使われています。
学校や仕事での例文
例文
- In the event of a fire alarm, all students must leave the building quickly.
(火災警報の場合には、すべての生徒は迅速に建物から出なければなりません) - The company has a backup plan in the event of system failure.
(会社はシステム障害の場合に備えてバックアッププランを持っています) - In the event of your absence, please inform the teacher beforehand.
(あなたが欠席する場合には、事前に先生に知らせてください)
学校や職場では、緊急時の対応や業務上の取り決めを説明する際にこの表現が役立ちます。
緊急時の例文
例文
- In the event of an earthquake, hide under a desk or table.
(地震の場合には、机やテーブルの下に隠れてください) - Call this emergency number in the event of a medical problem.
(医療問題が発生した場合には、この緊急番号に電話してください) - In the event of a lost child, please go to the information desk.
(子供がいなくなった場合には、インフォメーションデスクに行ってください)
緊急時の指示や対応策を伝える際に、この表現は明確さと正確さを提供します。
旅行時の例文
例文
- In the event of flight cancellation, the airline will provide a hotel room.
(フライトのキャンセルの場合には、航空会社がホテルの部屋を提供します) - Keep your passport safe in the event of identity checks.
(身分確認がある場合に備えて、パスポートを安全に保管してください) - In the event of lost luggage, contact the airline service desk immediately.
(荷物が紛失した場合には、すぐに航空会社のサービスデスクに連絡してください)
旅行中のトラブルや予期せぬ事態への対応を説明する際に有用です。
「in the event of」と類似表現の違い
英語には「in the event of」と似た意味を持つ表現がいくつかあります。ここではそれらの表現との違いを見ていきましょう。
「in case of」との違い
「in case of」も「〜の場合には」という意味で使われますが、「in the event of」よりも若干カジュアルで、日常会話でも使用されます。意味的にはほぼ同じですが、「in the event of」はより公式な文脈で使われる傾向があります。
例文の比較
- In case of fire, break the glass.(火事の場合は、ガラスを割ってください)
- In the event of fire, evacuation procedures must be followed.(火災発生の場合には、避難手順に従わなければなりません)
「if」との違い
「if」は最も一般的な条件表現で、「もし〜なら」という意味です。「in the event of」よりもカジュアルで汎用性が高く、あらゆる種類の条件文で使用できます。
例文の比較
- If it rains tomorrow, we will cancel the picnic.(明日雨が降れば、ピクニックをキャンセルします)
- In the event of rain tomorrow, the picnic will be cancelled.(明日雨が降った場合には、ピクニックは中止になります)
「if」は日常会話で頻繁に使われますが、「in the event of」はより公式な状況や文書で好まれます7。
「when」との違い
「when」は「〜の時に」という意味で、条件というよりも時間的な関係を表すことが多いです。ただし、条件的な意味で使われることもあります。
例文の比較
- When the bell rings, students must return to class.(ベルが鳴ったら、生徒は教室に戻らなければなりません)
- In the event of the bell ringing, students must return to class.(ベルが鳴った場合には、生徒は教室に戻らなければなりません)
「when」は出来事が確実に起こることを前提としている場合が多いのに対し、「in the event of」は可能性としては低いけれども起こりうる事態に言及する際に使われることが多いです1。
「should」を使った表現との違い
「should + 主語 + 動詞」は「万が一〜の場合には」と訳され、起こる可能性が低い仮定を表します。
例文の比較
- Should you need any help, please contact us.(万が一あなたが何か助けを必要とする場合には、ご連絡ください)
- In the event of your needing help, please contact us.(あなたが助けを必要とする場合には、ご連絡ください)
「should」を使った表現は特に起こる可能性が低い場合に使われますが、「in the event of」はそのような含みは必ずしも持ちません。
「in the event of」が使われる場面
「in the event of」はいくつかの特定の場面で特によく使用されます。それらの代表的な場面を見ていきましょう。
契約書での使用
「in the event of」は契約書で非常によく使用される表現です。契約違反、不可抗力、解約条件などを規定する際に使われます。
例文
- In the event of breach of contract, the innocent party may terminate this agreement.
(契約違反があった場合には、被害を受けた当事者は本契約を終了させることができます)
契約書では正確さと明確さが重要なため、このようなフォーマルな表現が好まれます。
公文書や通知での使用
政府の文書、学校や企業からの公式通知などでも、「in the event of」はよく使用されます。
例文
- In the event of a change in policy, all affected parties will be notified in writing.
(方針の変更があった場合には、影響を受けるすべての関係者に書面で通知されます)
公文書では明確さと正式さが求められるため、この表現は適切な選択肢となります。
警告や指示での使用
緊急時の対応策や安全指示などを説明する警告文や指示文でも、「in the event of」はよく見られます。
例文
- In the event of an emergency, please follow the red exit signs.
(緊急時には、赤い出口標識に従ってください)
明確な指示を与える必要のある状況では、この表現が役立ちます。
「in the event of」の応用表現
「in the event of」には関連するいくつかの表現があります。ここではそれらの応用表現について見ていきましょう。
「in the event that」について
「in the event that」は「in the event of」と似ていますが、後ろに節(主語+動詞)が続くという違いがあります。
例文
- In the event that you cannot attend the meeting, please inform us beforehand.
(あなたが会議に出席できない場合には、事前にご連絡ください)
この表現は「in the event of」と同様にフォーマルで、特に契約書や公文書でよく使用されます。
「in that event」について
「in that event」は「その場合には」という意味で、前に述べた特定の状況を指す場合に使用されます。
例文
- If the train is delayed, we might miss our connection. In that event, we’ll have to stay overnight.
(もし電車が遅れれば、乗り継ぎに間に合わないかもしれません。その場合には、一晩滞在する必要があるでしょう)
この表現は前に述べた条件を受けて使われることが多いです。
「in any event」について
「in any event」は「いずれにせよ」「どのような場合でも」という意味で使われます。
例文
- We don’t know if it will rain tomorrow. In any event, we should prepare an indoor activity.
(明日雨が降るかどうかわかりません。いずれにせよ、室内活動を準備しておくべきです)
この表現は状況に関わらず適用される事柄について述べる際に便利です。
「in the event of」に関するよくある質問
ここでは「in the event of」に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 「in the event of」はどのようなレベルの表現ですか?
-
「in the event of」は中級から上級レベルの表現で、特にフォーマルな文脈で使用されます。一般的に英検準1級以上、TOEICでは600点以上のレベルに相当します。ただし、意味自体はそれほど難しくないので、基本的な英語力があれば理解して使うことができるでしょう。
- 「in the event of」は日常会話で使っても良いですか?
-
「in the event of」は非常にフォーマルな表現なので、日常会話ではあまり使われません。カジュアルな会話では、同じ意味を持つ「if」や「in case」の方が自然です。ただし、ビジネスの場など、より公式な会話の中では使われることもあります。
- 「in the event of」と「in case of」はどちらを使うべきですか?
-
どちらを使うかは文脈によります。非常に公式な文書や契約書では「in the event of」がより適切です。やや日常的な状況や一般的な警告では「in case of」の方が一般的です。意味はほぼ同じですが、フォーマリティのレベルが異なります。
- 「in the event of」の後には必ず名詞が来ますか?
-
はい、「in the event of」の後には名詞または名詞句が来なければなりません。もし動詞を含む表現を使いたい場合は、「in the event that + 主語 + 動詞」という形式を使用します。
- 「in the event of」を効果的に覚えるコツはありますか?
-
「in the event of」を効果的に覚えるには、実際の例文と一緒に覚えるのが良いでしょう。例えば、「In the event of rain, the game will be cancelled.」(雨の場合、試合は中止になります)のような簡単な例文を何度も練習すると定着しやすくなります。また、この表現が使われている実際の標識や通知を意識して見るのも効果的です。
まとめ

「in the event of」は「〜の場合には」という意味を持つフォーマルな英語表現です。主に契約書、公文書、緊急時の指示や警告などの公式な文脈で使用されます。この表現の後には名詞または名詞句が続き、文の冒頭や文末に配置されることがあります。
この表現の主なポイントは以下の通りです。
- 「in the event of」は主に公式な文書で使用される堅い表現である
- 後ろには名詞または名詞句が続く
- 「〜の場合には」という意味で、特に予測される問題や起こりうる状況に対する備えについて述べる際に使われる
- 類似表現として「in case of」「if」「when」などがあるが、それぞれ使われる文脈やフォーマリティのレベルが異なる
- 関連表現として「in the event that」「in that event」「in any event」などがある
英語初学者の方は、まず基本的な使い方を理解し、簡単な例文から練習することをお勧めします。日常会話ではあまり使われない表現ですが、フォーマルな英語やビジネス英語、また英文読解力を高めるためには押さえておくべき重要な表現です。
この表現を習得することで、より公式な英語表現のレパートリーが広がり、契約書や公文書の理解力も高まるでしょう。「in the event of」を見かけたら、「〜の場合には」と理解し、その後に続く対応策や結果に注目するとよいでしょう。
正確な英語表現の習得は時間がかかりますが、コツコツと学ぶことで着実に英語力を向上させることができます。「in the event of」のような表現を一つ一つ理解していくことで、英語の読解力・表現力が豊かになっていくでしょう。