「In the nick of time」は英語のイディオム(慣用句)で、「ぎりぎり間に合って」「危機一髪」「間一髪で」という意味を持ちます。何か重要な出来事が起きる直前に、かろうじて間に合ったという状況を表すときに使われる表現です。
この記事では、英語初学者向けに「In the nick of time」の意味と使い方を分かりやすく解説します。
「In the nick of time」の基本的な意味

「In the nick of time」は、本当にギリギリのタイミングで何かが起こった、または何かをしたという状況を表現するイディオムです。日本語でいう「危機一髪」や「間一髪」に近い意味があります。「もう少し遅れていたら大変なことになっていた」というニュアンスを含んでいます。
このイディオムの「nick」は「小さな切れ目」や「刻み目」という意味があり、かつては時計の目盛りを指していました。つまり「時間の最小単位」や「瞬間」を表していたのです。そこから転じて「ちょうど良いタイミング」を意味するようになりました。
「nick」の様々な意味
「nick」という単語自体には複数の意味があります。名詞としては「小さな切れ目」「傷」「刻み目」などの意味があり、動詞としては「切る」「盗む」などの意味があります。「In the nick of time」の「nick」は「瞬間」や「時の刻み目」という意味で使われています。
この言葉の歴史は16世紀にまでさかのぼり、当時は時間を正確に測る方法として小さな刻み目(nick)を使っていたことに由来します。
類似表現との違い
「In the nick of time」と似た表現に「just in time」があります。どちらも「間に合う」という意味ですが、ニュアンスが少し異なります。
「Just in time」は単に「ちょうど間に合って」という意味で、特に危機的な状況を強調するものではありません。一方、「In the nick of time」は「もう少しで間に合わないところだった」という緊迫感や危機感を強調する表現です。
「In the nick of time」の使い方
このイディオムは、何か重大な事態が起こる直前に、かろうじて間に合ったという状況を表現するときに使います。日常会話やカジュアルな文脈でよく使われますが、ビジネスシーンやフォーマルな文章でも問題なく使える表現です。
日常会話での使い方
日常会話では、危機的な状況や切迫した場面で物事がぎりぎり間に合ったことを表現するときによく使います。例えば、
- 電車に乗り遅れそうになったが、最後の最後で間に合った
- 雨が降り出す直前に家に帰り着いた
- 締め切り間際にレポートを提出した
このような状況を表すときに「In the nick of time」を使うことができます。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンでも、締め切りや重要な会議などにギリギリ間に合ったときに使うことができます。例えば、
- 重要なプレゼンテーションの直前に資料が完成した
- 取引先との契約が期限ぎりぎりで締結できた
- システムの故障が大事な業務の直前に修復された
このような場面で「In the nick of time」を用いることで、危機的状況から間一髪で回避できたことを表現できます。
「In the nick of time」を使った例文
ここでは、中学英語レベルの例文を使って「In the nick of time」の使い方を見ていきましょう。
基本的な例文
例文
- The bus arrived in the nick of time. I was able to go to school.(バスがぎりぎり間に合ってやってきた。学校に行くことができた。)
- My mother finished cooking in the nick of time before our guests came.(母は客人が来る直前にぎりぎり料理を完成させた。)
- The rain stopped in the nick of time for our sports day.(運動会のためにぎりぎり間に合って雨が止んだ。)
日常生活での例文
例文
- I finished my homework in the nick of time before class started.(授業が始まる直前にぎりぎり宿題を終えた。)
- We arrived at the station in the nick of time to catch the last train.(最終電車に乗るためにぎりぎり駅に着いた。)
- The doctor came in the nick of time to save the patient.(医師は患者を救うためにぎりぎり間に合って来た。)
物語や状況描写での例文
例文
- The firefighters rescued the cat from the tree in the nick of time before it fell.(消防士たちは猫が落ちる直前にぎりぎり木から救出した。)
- Tom remembered his sister’s birthday in the nick of time and bought a present.(トムは姉の誕生日をぎりぎり思い出し、プレゼントを買った。)
- The goalkeeper caught the ball in the nick of time.(ゴールキーパーはぎりぎりのところでボールをキャッチした。)
「In the nick of time」に関するよくある質問
- 「In the nick of time」と「Just in time」はどう違いますか?
-
「In the nick of time」は「危機一髪」「間一髪で」というニュアンスが強く、何か悪いことが起こる直前にかろうじて間に合ったという緊迫感があります。一方、「Just in time」は単に「ちょうど間に合って」という意味で、必ずしも危機的状況を示すわけではありません。
- 「In the nick of time」は正式な場面でも使えますか?
-
はい、このイディオムはフォーマルな文章やビジネスシーンでも問題なく使うことができます。ただし、非常にフォーマルな文書や学術論文では、より直接的な表現(例:「just before the deadline」など)を使うことが好まれる場合もあります。
- 「nick」は他にどんな意味がありますか?
-
「nick」には以下のような意味があります。
- 小さな切れ目や傷
- (俗語で)刑務所
- 盗む(動詞として)
- 捕まえる(動詞として)
- 愛称として使われる名前(Nicholas の短縮形)
- 「In the nick of time」の由来は何ですか?
-
このイディオムは16世紀頃から使われ始めました。当時、「nick」は時計の目盛りや正確なタイミングを表す言葉として使われていました。「時間の刻み目」というイメージから、「正確なタイミング」を表す表現として発展しました。
まとめ

「In the nick of time」についての重要なポイントを以下にまとめます。
- 「In the nick of time」は「ぎりぎり間に合って」「危機一髪で」という意味を持つイディオムである。
- 何か重大な事態が起こる直前に、かろうじて間に合った状況を表現する。
- 「nick」は元々「小さな切れ目」「刻み目」という意味で、時計の目盛りを指していた。
- 「Just in time」よりも緊迫感や危機感を強調する表現である。
- 日常会話からビジネスシーンまで幅広く使える表現である。
- 16世紀頃から使われ始めた歴史的なイディオムである。
- 中学英語レベルでも理解して使うことができる実用的な表現である。
「In the nick of time」を使いこなせるようになれば、英語でのコミュニケーションがより豊かになります。ぜひ日常会話やライティングに取り入れてみてください。