英語学習で混乱しやすい表現の一つが「含む」を意味する動詞です。特に「include」と「contain」は日本語では同じ「含む」と訳されるため、どちらを使うべきか迷うことが多いのではないでしょうか。
この記事では、これら二つの単語の違いと適切な使い分け方を、初学者にもわかりやすく解説します。例文も豊富に用意していますので、実践的な理解を深めることができます。
「include」と「contain」の基本的な違い

「include」と「contain」はどちらも「含む」という意味を持ちますが、使われる状況やニュアンスには明確な違いがあります。
「contain」は物理的に何かが中に入っている、または全体的に内部に保持しているという意味合いが強いです。例えば、ボトルに水が入っている状態や、食品に栄養素が含まれているような場合に使います。容器の中に何かがあるというイメージで覚えるとよいでしょう。
一方、「include」は全体の構成要素の一部として含まれているというニュアンスがあります。例えば、ホテルの料金に朝食が含まれている場合や、セットに特定のアイテムが含まれているような場合に使います。全体の中の「一部分」を強調する表現です。
つまり、簡単にまとめると、
- 「contain」:全体に・物理的に含む(容器と中身のイメージ)
- 「include」:一部として・構成要素として含む(全体と部分のイメージ)
「contain」の意味と使い方
「contain」は主に「物理的に内部に保持する」という意味で使われます。何かが他のものの中に入っている状態を表現するのに適しています。
「contain」の語源と基本的な意味
「contain」はラテン語の「continere」に由来しており、「con(完全に)」と「tenere(保持する)」が組み合わさった言葉です。この語源からも分かるように、全体をしっかりと内部に保持しているイメージがあります。
日本語でも馴染みのある「コンテナ(container)」という単語が「contain」の派生語であることを考えると、「何かを中に入れる容器」というイメージが湧きやすいでしょう。
「contain」の具体的な使い方と例文
「contain」は以下のような場面でよく使われます。
物理的な容器と中身の関係
- The box contains many books.(その箱にはたくさんの本が入っています。)
- This bottle contains water.(このボトルには水が入っています。)
食品や飲料の成分
- Oranges contain vitamin C.(オレンジにはビタミンCが含まれています。)
- This soup contains vegetables.(このスープには野菜が入っています。)
書籍や文書の内容
- The book contains ten chapters.(その本は10章から成っています。)
- This letter contains important news.(この手紙には重要なニュースが書かれています。)
「contain」を使った文は、何かの中身や成分に焦点を当てていることが多いです。「何の中に何があるか」を具体的に示す場合に適しています。
「include」の意味と使い方
「include」は主に「全体の一部として含む」という意味で使われます。何かがより大きな集合や概念の一部として含まれていることを表現するのに適しています。
「include」の語源と基本的な意味
「include」はラテン語の「includere」に由来しており、「in(中へ)」と「claudere(閉じる)」が組み合わさった言葉です。つまり「中へ閉じ込める」という意味合いがあります。
この語源からも、「include」には「あるものの中に他のものを入れる」というニュアンスがあることが分かります。全体の中に一部として加えるイメージです。
「include」の具体的な使い方と例文
「include」は以下のような場面でよく使われます。
料金や価格に関する表現
- The price includes breakfast.(その価格には朝食が含まれています。)
- The ticket includes entrance to the museum.(そのチケットには博物館の入場料が含まれています。)
セットや計画の構成要素
- The set includes a book and a pen.(そのセットには本とペンが含まれています。)
- The plan includes three meetings.(その計画には3回のミーティングが含まれています。)
グループやリストの要素
- Our team includes five members.(私たちのチームには5人のメンバーがいます。)
- My hobbies include reading and swimming.(私の趣味には読書と水泳があります。)
「include」を使った文は、全体の一部を強調していることが多いです。また、明示的に言及していない他の要素も存在する可能性を示唆しています。
「include」と「contain」の使い分けのポイント
「include」と「contain」を適切に使い分けるためのポイントをいくつか紹介します。
料金や価格の場合
料金や価格に何かが含まれている場合は、通常「include」を使います。
例文
- The hotel fee includes breakfast.(ホテル料金には朝食が含まれています。)
- The tour price includes transportation.(ツアー料金には交通費が含まれています。)
これは、朝食や交通費が料金の一部を構成する要素であり、物理的に中に入っているわけではないからです。
物理的な容器と中身の場合
物理的な容器と中身の関係を表す場合は、「contain」を使います。
例文
- The glass contains juice.(そのグラスにはジュースが入っています。)
- The drawer contains many papers.(その引き出しにはたくさんの紙が入っています。)
これは、容器の中に物理的に何かが入っているという状態を表しているからです。
成分や構成物の場合
食品や製品の成分を表す場合は、通常「contain」を使います。
例文
- This bread contains wheat flour.(このパンには小麦粉が含まれています。)
- The medicine contains three active ingredients.(その薬には3つの有効成分が含まれています。)
ただし、材料や成分のリストを挙げる場合は「include」も使えることがあります。
例文
- The ingredients include flour, eggs, and sugar.(材料には小麦粉、卵、砂糖が含まれています。)
リストや集合の場合
リストや集合の要素を示す場合は、通常「include」を使います。
例文
- Popular sports in Japan include baseball and soccer.(日本の人気スポーツには野球やサッカーがあります。)
- The committee includes representatives from five countries.(その委員会には5カ国の代表者が含まれています。)
これは、全体の中の一部の要素を示しているからです。
「include」「contain」と類似表現「involve」との違い
「含む」という意味に関連する英単語として、「involve」も重要です。これは「include」や「contain」とは少し異なるニュアンスを持っています。
「involve」の意味と使い方
「involve」は「in(中へ)」と「volve(巻く)」が組み合わさった言葉で、「中へ巻き込む」という意味です。何かが不可欠な構成要素として関わっている、または必要とされていることを示します。
例文
- This project involves a lot of work.(このプロジェクトには多くの作業が必要です。)
- The game involves thinking and strategy.(そのゲームは思考と戦略が必要です。)
- The accident involved two cars.(その事故には2台の車が関わっていました。)
「involve」は、単に「含む」というよりも「関与させる」「巻き込む」というニュアンスがあり、積極的な参加や影響を示すことが多いです。
「be involved in」の表現
「be involved in」という形で「~に関わっている」「~に参加している」という意味でよく使われます。
例文
- She is involved in the school festival.(彼女は学校祭に関わっています。)
- He is involved in many club activities.(彼は多くのクラブ活動に参加しています。)
この表現は、何かに積極的に参加したり、深く関わったりしている状態を表します。
「include」と「contain」の語源から理解する違い
「include」と「contain」の違いをより深く理解するために、それぞれの語源について詳しく見てみましょう。
「contain」の語源と派生語
「contain」はラテン語の「continere」から来ています。これは「con(完全に)」と「tenere(保持する)」が組み合わさった言葉で、「完全に保持する」という意味になります。
この語源から派生した言葉には以下のようなものがあります。
- container(容器、入れ物)
- content(中身、内容)
- containment(封じ込め、抑制)
これらの言葉からも、「contain」には「内部に保持する」というイメージがあることが分かります。
「include」の語源と派生語
「include」はラテン語の「includere」から来ています。これは「in(中へ)」と「claudere(閉じる)」が組み合わさった言葉で、「中へ閉じ込める」という意味です。
この語源から派生した言葉には以下のようなものがあります。
- inclusive(包括的な、含んだ)
- inclusion(包含、含むこと)
- inclusive of(~を含めて)
これらの言葉からも、「include」には「中に入れる」というイメージがあることが分かります。
「include」と「contain」の使い分け練習問題
それでは、「include」と「contain」の使い分けの理解を深めるために、練習問題に挑戦してみましょう。各文の空欄に「include」または「contain」の適切な形を入れてください。
- This box ( ) many small toys.
- The price ( ) breakfast and dinner.
- Milk ( ) calcium.
- Our team ( ) six members.
- The bottle ( ) water.
- The tour ( ) visits to famous museums.
- The dictionary ( ) over 100,000 words.
- This cake ( ) eggs and flour.
- The package ( ) a user manual.
- The ocean ( ) many kinds of fish.
- His schedule ( ) a meeting in the afternoon.
- The room ( ) many people.
- The set ( ) a knife, fork, and spoon.
- This fruit ( ) a lot of vitamin C.
- The course ( ) five different subjects.
- The box ( ) a surprise gift.
- The report ( ) important information.
- The forest ( ) many types of trees.
- The menu ( ) many delicious dishes.
- The bag ( ) my books and pens.
「include」と「contain」に関するよくある質問
「include」と「contain」に関してよく質問される内容とその回答をご紹介します。
- 「include」と「contain」は完全に置き換え可能ですか?
-
完全に置き換え可能ではありません。特に物理的な容器と中身の関係を表す場合や、料金に何かが含まれる場合など、どちらか一方が自然な表現になることが多いです。ただし、文脈によっては両方使える場合もあります。
- 「含まれていない」と言いたい場合はどうすればいいですか?
-
「含まれていない」と言いたい場合は、「not include」または「not contain」を使います。
- The price does not include tax.(その価格には税金が含まれていません。)
- This product does not contain nuts.(この製品にはナッツは含まれていません。)
- 「tax included」と「tax is included」はどちらが正しいですか?
-
どちらも正しい表現です。「tax included」は簡潔な表現で、看板やメニューなどでよく使われます。「tax is included」は完全な文の形で、より丁寧な表現です。状況に応じて使い分けると良いでしょう。
- 「including」と「containing」の違いは何ですか?
-
「including」と「containing」はそれぞれ「include」と「contain」の現在分詞形です。「including」は「~を含めて」という意味で、リストの例を挙げる際によく使われます。「containing」は「~を含む」という意味で、何かの特性や内容を説明する際に使われます。
- There are many fruits, including apples and oranges.(りんごやオレンジを含め、たくさんの果物があります。)
- I bought a box containing chocolates.(チョコレートの入った箱を買いました。)
- 「include」や「contain」の名詞形は何ですか?
-
「include」の名詞形は「inclusion」で、「含むこと」「包含」という意味です。「contain」の名詞形は「container」で、「容器」という意味です。また、「contents」(中身、内容)という関連する名詞もあります。
まとめ

この記事では、「include」と「contain」の意味の違いと使い分けについて解説しました。主なポイントを以下にまとめます。
- 「contain」は物理的に中に入っている、全体的に含まれているという意味合いが強い。
- 「include」は全体の一部として含まれている、付加的な要素を示すニュアンスがある。
- 「contain」は容器と中身、成分などの関係によく使われる。
- 「include」は料金、計画、リストなどの一部を示す場合によく使われる。
- 語源から理解すると、「contain」は「完全に保持する」、「include」は「中へ閉じ込める」という意味。
- 「involve」は「中へ巻き込む」という意味で、必要不可欠な関わりを示す場合に使う。
- 状況に応じて適切な単語を選ぶことで、より自然な英語表現ができる。
「include」と「contain」の使い分けは、英語の微妙なニュアンスを理解する上で重要です。この記事で紹介した基本的な違いとポイントを覚えておくことで、自然な英語表現が可能になります。
日常会話や文章作成の際に、ぜひ意識して使い分けてみてください。