「誰か」「何か」「どれか」など、特定されていない人や物を指す言葉を日本語では使いますが、英語でも同じように不特定のものを表す表現があります。これが「不定代名詞」です。英語の文法において、不定代名詞はとても重要な役割を果たしています。
この記事では、英語初学者の方でも理解できるよう、不定代名詞の基本的な意味から様々な種類、具体的な使い方まで、わかりやすく解説します。一覧表や例文も豊富に用意しましたので、しっかりマスターしていきましょう。
不定代名詞とは?基本的な意味と役割

不定代名詞とは、特定されていない人や物、数量などを表す代名詞のことです。例えば、「somebody(誰か)」「something(何か)」「any(どれか)」などがこれにあたります。
通常の代名詞は「he(彼)」「she(彼女)」「it(それ)」など、具体的に誰や何を指すかがはっきりしています。一方、不定代名詞は「誰か」「何か」のように、対象が特定されていない場合に使います。
不定代名詞の主な役割は以下の通りです。
- 不特定の人や物を表す
- 数量や程度を表す
- 文章を簡潔にする
例文
- Someone is at the door.(誰かがドアのところにいます)
- I need something to drink.(何か飲み物が必要です)
- All of the students passed the test.(生徒全員がテストに合格しました)
これらの文では、具体的に誰が、何が、という特定はされていませんが、不定代名詞によって意味が通じる文章になっています。
不定代名詞の種類と一覧表
不定代名詞は大きく分けて以下のようなグループに分類できます。まずは一覧表で確認しましょう。
主な不定代名詞の一覧表
分類 | 単数 | 複数 | 両方 |
---|---|---|---|
人・物を表す | one, another | others | some, any |
人を表す | somebody, someone, anybody, anyone, everybody, everyone, nobody, no one | – | – |
物を表す | something, anything, everything, nothing | – | – |
場所を表す | somewhere, anywhere, everywhere, nowhere | – | – |
数量を表す | each, either, neither | both, few, many | all, some, any, none, more, most |
これらの不定代名詞は、使い方やニュアンスに違いがあります。次から具体的に見ていきましょう。
「one」「another」「other」「the other」の使い分け
これらの不定代名詞は、不特定の人や物を指す際に使いますが、それぞれ使い方が異なります。
「one」の使い方
「one」は「数えられる名詞の1つ」を表す不定代名詞です。
前の文で出てきた名詞を繰り返さずに表現する際によく使われます。
例文
- This pen doesn’t work. I need one that works.(このペンは動きません。動くものが必要です)
- My bag is old. I want to buy a new one.(私のバッグは古いです。新しいものを買いたいです)
「another」の使い方
「another」は「もう1つの」「別の」という意味で、不特定のもう1つを指します。
例文
- I don’t like this book. Please give me another one.
(この本は好きではありません。別のものをください) - We need another chair for our guest.
(客のためにもう1つ椅子が必要です)
「other」と「others」の使い方
「other」は「他の」という意味で、「others」はその複数形です。不特定の残りのものを指します。
例文
- Some students like math, others prefer English.
(数学が好きな生徒もいれば、英語の方が好きな生徒もいます) - I have read this book, but not the other books.
(この本は読みましたが、他の本は読んでいません)
「the other」と「the others」の使い方
「the other」は「(2つのうちの)もう一方」、「the others」は「(全体の中の)残りのもの」という意味で、特定のものを指します。
例文
- I have two pens. One is blue, the other is red.
(私は2本のペンを持っています。1本は青で、もう1本は赤です) - Two students are from Japan, the others are from Korea.
(2人の生徒は日本出身で、残りの生徒は韓国出身です)
「some」「any」の使い分け
「some」と「any」は、不特定の量や数を表す不定代名詞です。
「some」の使い方
「some」は、肯定文で「いくつかの」「いくらかの」という意味で使われます。
また、相手に何かを勧める質問文でも使うことがあります。
例文
- I have some questions.(いくつか質問があります)
- Would you like some tea?(お茶はいかがですか?)
- Some of the students passed the test.(一部の生徒はテストに合格しました)
「any」の使い方
「any」は、否定文や疑問文で「何か」「いくつか」という意味で使われます。
また、肯定文では「どれでも」という意味になります。
例文
- Do you have any questions?(何か質問はありますか?)
- I don’t have any money.(お金はまったくありません)
- You can choose any color you like.(好きな色を選んでいいですよ)
人・物・場所を表す複合不定代名詞
「some」「any」「every」「no」と「-body」「-one」「-thing」「-where」を組み合わせた複合不定代名詞があります。
人を表す複合不定代名詞
- somebody/someone:誰か(肯定的な文脈)
- anybody/anyone:誰か(否定・疑問の文脈)、誰でも
- everybody/everyone:みんな、全員
- nobody/no one:誰も~ない
例文
- Someone called you while you were out.(あなたが外出中に誰かが電話してきました)
- Is anyone home?(誰か家にいますか?)
- Everyone loves music.(みんな音楽が好きです)
- Nobody knew the answer.(誰も答えを知りませんでした)
物を表す複合不定代名詞
- something:何か(肯定的な文脈)
- anything:何か(否定・疑問の文脈)、何でも
- everything:すべてのもの
- nothing:何も~ない
例文
- I have something important to tell you.(あなたに伝えたい大切なことがあります)
- Do you need anything from the store?(お店から何か必要なものはありますか?)
- Everything in this shop is expensive.(このお店のものはすべて高いです)
- There is nothing in the box.(箱の中には何もありません)
場所を表す複合不定代名詞
- somewhere:どこか(肯定的な文脈)
- anywhere:どこか(否定・疑問の文脈)、どこでも
- everywhere:どこでも、至る所
- nowhere:どこにも~ない
例文
- I left my keys somewhere in the house.(家のどこかに鍵を置き忘れました)
- We can go anywhere you want.(あなたが行きたいどこにでも行けます)
- There are flowers everywhere in spring.(春には至る所に花があります)
- There was nowhere to hide.(隠れる場所はどこにもありませんでした)
数量を表す不定代名詞
数量や程度を表す不定代名詞には以下のようなものがあります。
「all」「both」「each」の使い方
- all:すべて、全部
- both:両方
- each:それぞれ
例文
- All of the students are here.(生徒全員がここにいます)
- Both of my parents are teachers.(私の両親は二人とも教師です)
- The students each received a prize.(生徒はそれぞれ賞品をもらいました)
「either」「neither」「none」の使い方
- either:どちらか(2つのうちの一方)
- neither:どちらも~ない(2つのうちのどちらも)
- none:誰も~ない、何も~ない(3つ以上の中で)
例文
- You can choose either of these two books.(この2冊の本のどちらかを選べます)
- Neither of my sisters lives in Tokyo.(私の姉妹はどちらも東京に住んでいません)
- None of the students knew the answer.(生徒は誰も答えを知りませんでした)
「many」「much」「few」「little」の使い方
- many:多くの(可算名詞)
- much:多くの(不可算名詞)
- few:少しの、ほとんどない(可算名詞)
- little:少しの、ほとんどない(不可算名詞)
例文
- Many of my friends like soccer.(私の友達の多くはサッカーが好きです)
- There isn’t much time left.(残り時間はあまりありません)
- Few of the students passed the difficult test.(難しいテストに合格した生徒はほとんどいませんでした)
- I have little interest in politics.(私は政治にほとんど興味がありません)
日常会話での不定代名詞の使い方
不定代名詞は日常会話でもよく使われます。いくつかの場面別の例を見てみましょう。
買い物の場面
例文
- Do you have anything cheaper?(もっと安いものはありますか?)
- I’d like something to drink.(何か飲み物が欲しいです)
- Would you like some help?(お手伝いしましょうか?)
学校の場面
例文
- Everyone in our class likes our teacher.(クラスの全員が先生を好きです)
- Some of the students are good at sports.(一部の生徒はスポーツが得意です)
- Nobody was absent today.(今日は欠席者はいませんでした)
家庭の場面
例文
- Somebody left the lights on.(誰かが電気をつけっぱなしにしました)
- Is there anything to eat?(何か食べるものはありますか?)
- Everything in the kitchen is clean now.(今、キッチンのすべてがきれいです)
英語の不定代名詞に関する練習問題
以下の問題で、不定代名詞の理解を深めましょう。
- I have two pens. One is blue and _____ is red.
- We need _____ milk for the cake.
- Is _____ at home?
- _____ of the students passed the test.
- _____ in this shop is expensive.
- She lives _____ near the station.
- I don’t have _____ to wear to the party.
- _____ of my parents speaks English.
- Do you have _____ questions?
- I want _____ new to read.
- _____ of these two books is interesting.
- There is _____ in the refrigerator.
- _____ can solve this problem.
- The teacher gave _____ student a book.
- I lost my pen. I need to buy _____.
- Tom and Ken are friends. They help _____.
- _____ of the apples are ripe.
- I don’t like this shirt. Show me _____ one.
- I can go _____ with you.
- _____ knows the answer.
不定代名詞に関するよくある質問
不定代名詞に関するよくある質問とその回答をまとめました。
- 「someone」と「somebody」の違いは何ですか?
-
「someone」と「somebody」はほぼ同じ意味で、「誰か」を表します。使用上の大きな違いはありませんが、「someone」の方がややフォーマルな印象があります。
- Someone is knocking at the door.(誰かがドアをノックしています)
- Somebody told me about the party.(誰かがそのパーティーについて教えてくれました)
- 「any」はいつ「どれでも」という意味になりますか?
-
「any」は肯定文で使われると「どれでも」という意味になります。
- You can take any book you like.(好きな本をどれでも持っていっていいですよ)
- She can answer any question about history.(彼女は歴史についてどんな質問にも答えられます)
- 「none」「no one」「nothing」の違いは何ですか?
-
これらはすべて否定の意味を持っていますが、使い方が異なります。
- none:「誰も~ない」「何も~ない」(3つ以上の選択肢の中で)
例:None of the students passed the test.(生徒は誰もテストに合格しませんでした) - no one/nobody:「誰も~ない」(人について)
例:No one knew the answer.(誰も答えを知りませんでした) - nothing:「何も~ない」(物について)
例:There is nothing in the box.(箱の中には何もありません)
- none:「誰も~ない」「何も~ない」(3つ以上の選択肢の中で)
- 「another」と「other」の違いは何ですか?
-
「another」は「もう1つの」「別の」という意味で単数形のみです。「other」は「他の」という意味で、単数にも複数にも使えます。
- I don’t like this pen. Give me another one.(このペンは好きではありません。別のをください)
- Some students like math, others prefer English.(数学が好きな生徒もいれば、英語の方が好きな生徒もいます)
- 「each」と「every」の違いは何ですか?
-
「each」は個々に焦点を当て、「every」は全体に焦点を当てます。どちらも「それぞれの」「すべての」という意味ですが、ニュアンスが異なります。
- Each student received a certificate.(生徒はそれぞれ証明書をもらいました)[個々に焦点]
- Every student in our school wears a uniform.(私たちの学校の生徒は全員制服を着ています)[全体に焦点]
まとめ

この記事では、英語の不定代名詞について詳しく解説しました。主なポイントは以下の通りです。
- 不定代名詞の基本
- 不特定の人や物、数量を表す代名詞
- 特定されていない対象を指す
- 主な種類
- 「one」「another」「other」「the other」:不特定の人や物
- 「some」「any」:不特定の量や数
- 「somebody」「something」などの複合不定代名詞:人・物・場所
- 「all」「both」「each」などの数量を表す不定代名詞
- 使い分けのポイント
- 肯定文では主に「some」、否定文・疑問文では「any」
- 「another」は単数、「others」は複数
- 「the other」は2つのうちのもう一方、「the others」は残りすべて
不定代名詞は英語の文法の中でも重要な要素であり、日常会話や文章でも頻繁に使われます。この記事で紹介した基本ルールと例文を理解し、練習問題に取り組むことで、不定代名詞の使い方をマスターしましょう。
正しく不定代名詞を使えるようになれば、より自然で豊かな英語表現ができるようになります。さあ、今日から実践してみましょう!