英語を学ぶ際、「Its」と「It’s」は見た目も発音も似ているため、多くの初学者が混乱しがちな表現です。しかし、これらは全く異なる意味と使い方を持っています。
この記事では、この二つの表現の違いと正しい使い分けを、わかりやすい例文とともに詳しく解説します。英語の基礎をしっかり固めたい方は、ぜひ最後までお読みください。
「Its」と「It’s」の基本的な違い

「Its」と「It’s」の最も基本的な違いは、アポストロフィ(’)の有無です。この小さな記号の違いが、文法的な役割と意味を大きく変えています。
「Its」はアポストロフィなしで「it(それ)」の所有格を表し、「それの」という意味になります。主に物や動物が何かを所有していることを示す時に使用します。例えば「The book and its cover(その本とその表紙)」のように使います。
一方、「It’s」はアポストロフィありで「it is(それは~です)」または「it has(それは~した/している)」の短縮形(縮約形)です。「It is cold today.(今日は寒いです)」を短くして「It’s cold today.」と表現します。
この基本的な違いを理解することが、正しい英語表現への第一歩となります。
「Its」の意味と使い方
「Its」は「it」の所有格で、「それの」「そのもの」という意味を持ちます。人称代名詞の所有格(my, your, his, her, our, their)と同じような働きをしますが、「its」は主に物体や動物、概念などに使用します。
「Its」はアポストロフィが付かないことに注意が必要です。これは英語の代名詞の所有格には通常アポストロフィが付かないというルールに従っています(例:his, her, theirなど)。
「Its」を使った基本例文
物体や動物が何かを所有していることを表す時に「its」を使います。以下に基本的な例文を紹介します。
例文
- The dog wagged its tail.(その犬は尻尾を振った)
- The car lost its wheel.(その車はタイヤを失った)
- The flower showed its beauty.(その花は美しさを見せた)
- The tree has lost its leaves.(その木は葉を落としてしまった)
- The computer and its keyboard are new.(そのコンピューターとキーボードは新品だ)
これらの文では、「its」が後ろに続く名詞(tail, wheel, beauty, leaves, keyboard)の所有者が「it」(dog, car, flower, tree, computer)であることを示しています。
「It’s」の意味と使い方
「It’s」は「it is」または「it has」の短縮形です。アポストロフィは省略された文字の位置を示しています。英会話や非公式な文章では頻繁に使われる表現です。
「it is」の短縮形としての「it’s」
「it is」の短縮形としての「it’s」は、「それは~です」という意味で、状態や性質を説明する時によく使われます。
例文
- It’s a beautiful day.(素晴らしい日です)
- It’s very cold today.(今日はとても寒いです)
- It’s my birthday.(私の誕生日です)
- It’s important to study English.(英語を勉強することは重要です)
- It’s time to go home.(家に帰る時間です)
「it has」の短縮形としての「it’s」
「it has」の短縮形としての「it’s」は、主に現在完了形で使われ、「それは~してきた/している」という意味を表します。
例文
- It’s been raining all day.(一日中雨が降り続いています)
- It’s been three years since I started learning English.(英語を勉強し始めてから3年が経ちました)
- It’s become a popular tourist spot.(それは人気の観光スポットになりました)
「Its」と「It’s」の見分け方
「Its」と「It’s」を見分けるためのシンプルな方法をいくつか紹介します。
文中での役割を確認する
「Its」は常に名詞の前に置かれ、その名詞の「所有者」が「it」であることを示します。例えば「its color(その色)」のように使います。
一方、「It’s」は文の主語と動詞の役割を果たします。
置き換えテストを行う
「It’s」が正しいかどうか迷ったときは、それを「it is」または「it has」に置き換えてみましょう。意味が通れば「It’s」が正解です。
- It’s cold today. → It is cold today.(意味が通じる)
- The dog wagged it’s tail. → The dog wagged it is tail.(意味が通じない)
2つ目の例では意味が通じないので、「its」が正しいことがわかります。
中学英語で覚える「Its」と「It’s」の例文
中学英語レベルの簡単な例文を使って、「Its」と「It’s」の使い方を見ていきましょう。
「Its」を使った例文
例文
- The cat cleaned its face with its paw.(その猫は前足で顔を洗った)
- Japan is famous for its beautiful mountains.(日本は美しい山々で有名です)
- Our school celebrated its 50th anniversary last year.(私たちの学校は去年50周年を祝いました)
- The bird built its nest on that tree.(その鳥はあの木に巣を作りました)
- The sun gives its light to the earth.(太陽は地球に光を与えます)
「It’s」を使った例文
例文
- It’s sunny today.(今日は晴れています)
- It’s 8 o’clock now.(今は8時です)
- It’s easy to make this cake.(このケーキを作るのは簡単です)
- It’s been two hours since the movie started.(映画が始まってから2時間経ちました)
- It’s important to be kind to others.(他人に親切にすることは重要です)
「Its」と「It’s」の類似表現の違い
「Its」や「It’s」と似た表現や、混同されやすい表現についても見ていきましょう。
「It is」と「It’s」の違い
「It’s」は「It is」の短縮形ですが、使われる場面に違いがあります。「It’s」はカジュアルな会話や文章で頻繁に使われますが、「It is」はより形式的な場面や強調したい時に使われます。
例文
- It’s fine.(大丈夫です)- カジュアル
- It is absolutely necessary to follow the rules.(ルールに従うことは絶対に必要です)- 形式的/強調
「His」「Her」と「Its」の使い分け
「His」は男性、「Her」は女性の所有格ですが、「Its」は物や動物など、性別のない対象や性別が不明な対象に使います。
例文
- Tom lost his book.(トムは彼の本をなくした)- 男性の所有
- Mary found her key.(メアリーは彼女の鍵を見つけた)- 女性の所有
- The baby dropped its toy.(赤ちゃんはおもちゃを落とした)- 性別不明
- The table has its leg broken.(そのテーブルの脚は壊れている)- 物の所有
ただし、ペットなど親しい動物には「his」や「her」を使うこともあります。
「Its’」は存在するか?
「its’」という表現は英語には存在しません。「its」はすでに所有格の形なので、アポストロフィを付ける必要がありません。
「Its」と「It’s」の使い分け練習問題
以下の文の括弧に「its」または「it’s」のどちらが入るか考えてみましょう。
- The cat chased ( )own tail.
- ( )very cold outside today.
- The house lost ( )roof in the storm.
- ( )been a long time since we last met.
- The dog wagged ( )tail when it saw me.
- ( )important to study every day.
- The tree dropped ( )leaves in autumn.
- ( )going to rain tomorrow.
- The car and ( )owner are from America.
- ( )not easy to learn a new language.
- The bird built ( )nest on the tree.
- ( )already 8 o’clock.
- The computer crashed because ( )system was old.
- ( )interesting to learn about different cultures.
- The baby dropped ( )toy on the floor.
- ( )been raining for three days.
- The country is known for ( )beautiful beaches.
- ( )time to go home now.
- The book has lost ( )cover.
- ( )not my fault that we are late.
「Its」と「It’s」に関するよくある質問
- 「Its」にアポストロフィがないのはなぜですか?
-
英語の所有格には二つの表現方法があります。一般的な名詞の場合は「’s」を付けて所有格を作りますが(例:dog’s bone)、代名詞の場合は特別な形を持っています(例:my, your, his, her, our, their, its)。「its」はすでに所有格の形として確立されているため、アポストロフィを付ける必要がありません。
- 「It’s」と「Its」をよく間違えてしまうのはなぜですか?
-
「It’s」と「Its」は発音が同じで見た目も非常に似ているため、混同しやすいです。また、一般的な名詞の所有格には通常アポストロフィと「s」が付くため(例:the dog’s bone)、「its」にアポストロフィが付かないことが直感に反すると感じる方も多いでしょう。
- 「Its」の代わりに「It’s」を使うとどうなりますか?
-
「Its」の代わりに「It’s」を使うと、文の意味が大きく変わり、多くの場合、文法的に誤った文になります。例えば、「The dog wagged it’s tail.」と書くと、「The dog wagged it is tail.」という意味になってしまい、意味が通じません。
- 動物について「its」と「his/her」のどちらを使うべきですか?
-
基本的に動物には「its」を使いますが、ペットのように親しい関係にある動物や、性別が明確で話し手がその動物を「彼/彼女」と見なしている場合は「his/her」を使うこともあります。
- 「It is」の代わりに常に「It’s」を使っても良いですか?
-
会話や非公式な文章では「It’s」を使うことが一般的ですが、学術論文や公式文書など、フォーマルな文章では「It is」のような縮約形を避けることが多いです。状況に応じて使い分けるとよいでしょう。
- 「It’s」が文頭に来ることはありますか?
-
はい、「It’s」は文頭に来ることが非常に多いです。「It’s raining.(雨が降っています)」「It’s important to be on time.(時間通りであることは重要です)」のように使われます。
- 「Its」の複数形はありますか?
-
「Its」は「it」の所有格であり、「it」は単数形の代名詞なので、「its」に複数形はありません。複数の物を指す場合は「their」を使います。
まとめ

この記事では、「Its」と「It’s」の違いと使い方について詳しく説明しました。重要なポイントをまとめると以下のようになります。
- 「Its」は「it」の所有格で、アポストロフィなしで「それの」という意味を持ちます。
- 「It’s」は「it is」または「it has」の短縮形で、アポストロフィありで「それは~です」や「それは~してきた」という意味を表します。
- 「Its」は物や動物が何かを所有していることを表す時に使います。
- 「It’s」は状態や性質を説明したり、現在完了形を表したりする時に使います。
- 「Its」と「It’s」を見分けるには、「it is」または「it has」に置き換えられるかどうかをテストします。
- 物や概念には「its」を使い、人には「his/her」を使います。
- 公式な文書では「It is」のような完全形を使い、会話では「It’s」のような短縮形を使うことが多いです。
- 「its’」という表現は英語には存在しません。
「Its」と「It’s」の違いをしっかり理解し、正しく使い分けられるようになれば、英語の文章をより自然に、より正確に書くことができるようになります。この記事が皆さんの英語学習の助けになれば幸いです。日々の練習を通じて、これらの表現を自然に使いこなせるようになりましょう。
英語学習は小さな違いを理解することから始まりますが、それが積み重なって高度な表現力につながります。「Its」と「It’s」のような基本的な区別をマスターすることで、あなたの英語はさらに洗練されたものになるでしょう。